住民訴訟の訴状   96-09-01

訴    状

     当事者及び代理人
             別紙当事者目録及び代理人目録のとおり(略)


住民訴訟による違法確認請求事件

訴訟物の価格 算定不能
帖用印紙額 八二〇〇円



請求の趣旨

一 被告東京都知事青島幸男が、別紙図面記載の土地のうち赤色に着色した部分を占有している在日米軍及び東京防衛施設局に対し、返還請求措置をとらないことは、違法であることを確認する

二 訴訟費用は被告の負担とする

との判決を求める。

請求の原因

一 当事者
原告はいずれも東京都の住民であり、被告東京都知事青島幸男は(以下「被告」という。)、一九九五年四月二三日東京都知事に就任して以来、東京都の職務執行に携わっている者である。

二 本件に至る経緯の概要

1 別紙図面のうち、黒色太線で囲まれた部分の土地は、一九四五年九月二 二日、在日米軍が接収して以来使用を継続しており、現在は星条旗新聞社 や独身将校宿舎等が存在しているが、その施設の一部としてヘリポート離 着陸に用いる敷地を擁するものである。

2 東京都(以下「都」という)は、一九八三年五月一九日、米軍施設と環 状三号線との共同使用に関する日米合同委員会の合意をうけ、都道環状三 号線トンネル工事(以下「工事」という)の期間中、臨時ヘリポート用地 として都立青山公園の一部約四三〇〇平方メートル(別紙図面記載の土地 のうち赤色に着色した部分。以下「本件土地」という)を米軍に提供し、 工事終了後は都に返還する旨の三者協定(以下「協定」という)を、在日 米軍及び東京防衛施設局との間で締結した。

3 しかし、工事が終了した一九九三年三月二九日以降も、本件土地は未だ 都のもとへは返還されておらず、都民は公園全体を使用することが不可能 な状態に置かれ続けている。また、在日米軍は、本件土地につき返還意思 の無い趣旨の見解を表明しており、一九九三年六月以降は、陸上自衛隊も 本件土地上のヘリポートを使用している状況である。

三 監査請求と監査結果に対する不服(財産の管理について)

1 原告らは、一九九六年七月三日、東京都監査委員会に対し、都は在日米 軍及び防衛施設局に対して本件土地の返還請求など必要な措置を講ぜよと の趣旨で、監査請求を申し立てた。これに対して東京都監査委員会は、同 年八月八日、本件土地は大蔵省が所管する国有地であり、都が無償で借り 受けていたものを一九八三年一二月一日付けの国有財産無償貸付契約の一 部変更契約により返還したものであって、都の所有に属する財産ではない という理由から、監査請求の対象になり得ないとして請求を却下した。

2 本件土地は確かに国有地ではあるが、一九六三年三月の国有財産関東地 方審議会答申をうけた後、都が国から本件土地を無償にて借り受け、公園 として管理することにより都民に開放してきたものである。これは、使用 貸借類似の貸借関係であり、都にとっては当然に財産的価値を有するもの であって、監査委員会がいう財産ではない旨の理由はおよそ妥当しない。 なお、国有地を無償で地方自治体が使用する使用貸借のような権利も、地 方自治法二三七条、同二三八条一項四号にいう「公有財産」にあたること は、判例も認めているところである(東京地裁昭和四四年一二月四日判決 等)。

3 ところで、本件土地は既に国に返還されているものの、協定によれば工 事終了後は都に返還されることになっているものである。すなわち、いず れにしても都は一九九三年三月二九日の工事終了以来、本件土地の返還を 在日米軍に対し求め、返還後は公園として再度管理・利用しうるという権 利を有するのであり、このような権利ないし地位も、前述した使用貸借権 と同様、財産管理上の権利として、地方自治法二三七条一項、同二三八条 一項四号にいう「公有財産」にあたることは明らかなのである。

四 怠る事実の違法性
被告は、一九九五年四月二三日に東京都知事に就任して以来、在日米軍及び東京防衛施設局に対して、前述のような財産管理上の権利を行使する必要があったにも関わらず、何ら積極的な行為を行っていない。これは、地方財政法八条における財産の適正な管理・運用義務に違反するものであり、かつ地方自治体の財産に対する管理権限の逸脱ないし濫用と言えるものである。

五 損害の発生
1 都立公園のように非収益的用途に供されている場合であっても、第三者 により権利の行使を妨害されている場合には、収益的用途に供しうる可能 性がある限り、このような不法占有自体によって賃料相当額の損害が生じ るものと考えられている。

2 そしてこの理は、協定に違反して本件土地を占拠する在日米軍及び東京 防衛施設局の行為によって、本来なら返還されるはずの本件土地に対する 管理・利用権限の行使が妨害されているような場合にも同様に妥当するの であり、このことから、都には現実に賃料相当額の損害が発生していると 言えるのである。

六 よって、原告らは、監査結果に不服であるので、地方自治法二四二条の二
第一項三号の規定により、被告に対して怠る事実の違法確認を求めるものである。
以上

証拠方法

    一 甲第一号証          監査措置請求書
    二 甲第二号証の一ないし二七   監査結果


添付書類

    一 甲各号証    各一通
    二 委任状 通

   一九九六年九月 日

右原告ら訴訟代理人
弁 護 士 松 島 暁
同 黒 澤 計 男
同 泉 澤 章

東京地方裁判所  御 中