目次
 | 問題解決の手法 |
 | グループ意思決定 |
 | 重要発見事項と監査人の対応 |
 | 情報ソース |
1.問題解決の手法
問題解決は理想とするところと現実状況とのギャップ(問題)を認識し解決していくプロセスです。
監査目的設定から、監査報告に至る一連の内部監査活動の各ステップにおいて、監査人は問題に立ち向かい、これを解決していくことが要求されます。

ここでは次の3つの項目について説明します。
 | 一般的な問題解決プロセス |
 | 意思決定を誤らせる諸要因 |
 | 問題解決プロセスにおけるその他考慮事項 |

(1)一般的な問題解決プロセス
問題解決は、以下の5つの一般的な手順を含みます。
 | 問題の定義 |
 | 代替案(解決方法)の組成 |
 | 代替案の選択 |
 | 代替案の実行 |
 | 評価 |
問題定義
問題定義は次のステップに従って進められます。
 | 現実の状態の認識 |
 | 理想の状態の視覚化 |
 | 理想の状態と現実のギャップの原因を浮き彫りにする |
しばしば問題定義を誤らせる要因がいくつかあり、これには注意が必要です。
 | 与えられた解決方法に沿って問題を定義する |
 | 優先すべき項目を犠牲にして、比較的重要でない問題を取り扱う |
 | 原因でなく現象を考慮する |
 | 境界を持った合理性: 既成概念にとらわれてすべての状況を認識できない状態(トンネル・ビジョンとも呼ばれる) |
フィッシュボーン・ダイアグラム(または因果関係のダイアグラムと呼ばれる)は、品質管理の改善技術において、現実と理想の相違の因果関係を究明することに役立ちます。この図式は原因の分析を体系づけ、起こりうる原因同士の相互作用を認識するのに役立ちます。
代替案の組成
代替案の組成は、問題解決の過程の中で、最も創造性が必要とされます。
問題解決に従事している個人やグループによって、想像力を高めるための多くの技術が開発されてきました。具体例としては、以下のものがあります。
 | ブレイン・ストーミング |
 | シネクティクス |
 | デルファイ・テクニック |
 | 価値分析 |
 | フリー・アソシエイション |
 | フォースド・リレーションシップ |
 | ブラスト!ゼン・リファイン |
 | エジソニアン・アプローチ |
 | モーフォロジカル・マトリックス・アナリシス |
 | アトリビュート・リスティング |
 | オペレーションズ・リサーチ |
 | クリエイティブ・リープ |
参考
代替案の選択
組成された代替案の中から有効性と効率性の観点で最もバランスの良いものを選択するステップ。狭義の意思決定プロセス。
代替案の選択においてはしばしば不確実性と情報の不完全性の制約を受けます。
代替案の実行と評価
代替案は現実と理想のギャップを埋めることが期待されるものです。権限責任を委譲された実行担当者がその代替案を受け入れ、着実にこれを遂行することも重要な要素です。
このようにして実行された結果については確実にフォロアップされるべきです。達成度の測基準の理解も重要です。
(2)意思決定を誤らせる諸要因
意思決定と不確実性
不確実性が支配する状況の中で問題解決/意思決定しなければならないことは少なくありません。不確実性は次のように分類することも出来ます。
 | 環境の不確実性:
環境が部分的又は全体的に予測不能 |
 | 結果の不確実性:
特定の環境変化の影響に関連する |
 | 反応の不確実性:
環境変化に対応してなされた特定の意思決定の結果が予測不能 |
意思決定主体の能力限界
問題解決/意思決定を誤らせるもう一つの要因として意思決定主体の能力限界があります。
 | 外的要因: 経営者は様々な問題を考慮に入れなくてはならない。 |
 | 評価能力: 経営者は、起こりうる意思決定の危険性を評価する能力がなければならない。 |
 | 長期的影響: 短期的目的の達成を意図した意思決定は、予期せぬ長期的影響を与えることがある。 |
 | 専門性の高さ: 専門家が必要とされるとき、意思決定はより複雑になる。 |
 | 合意の統一の困難: 人間は異なった背景、能力、意見、価値を持つ。 |
意思決定行為の問題点
 | フレーミング・エラー:
意思決定対象の間違った捕らえ方のことである。情報の表示及びその内容は解釈及び結果としての行動を偏向させる |
 | コミットメントのエスカレーション:
純粋に客観的な意思決定者が選択しない間違った決定に固執する事
誤って固執してしまうこの非合理的傾向は様々な組織、社会、心理的要素に基づく。
 | 組織内における変化に対する構造的反抗 |
 | 組織的方針 |
 | 組織の風潮:障害に対面した時に持続性に重点を置く価値観 |
 | 障害に立ち向かい克服する者の容認 |
 | 敗北を認める困難を回避するための人間的欲求 |
 | 事象の流れをを逆転出来得ると認識された機会 |
 | 勝とうとする競合的欲求 |
 | 以前に行った意思決定を正当化する試み |
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 | 合理性の限界: 客観的・論理的ではない意思決定。
 | 第一印象で決めてしまう傾向 |
 | 充足化の傾向: 充足化の傾向 (最適ではないが満足できる選択肢の選択)は、最適化に必要な努力が過度とみなされた時に発生する。 |
 | 直感的に決めてしまう傾向 |
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 | 横並び意識: 同業他社を模倣する。先例に縛られる。失敗した時の意思決定者個人の正当化を最優先するアプローチだが、環境変化の時代には組織の存続を殆うくするリスクが高い.。 |
 | 自信過剰 |
(3)問題解決プロセスにおけるその他考慮事項
不確実性に対する対応パターン
組織は不確実性に対する対応によって分類されます。
 | 先見性のある組織: 情報収集と継続的革新を通じて常に新しい製品やサービスを提供する |
 | 分析的な組織: 業界のリーダーを模倣することにより、多額の研究開発費を回避する |
 | 反応的組織: 周囲の圧力により強制されるまで変化を先送りするもので、潜在的な環境の悪影響に対して迅速な反応がとれず、その他の組織と比べて成功する確率は低い。 |
環境変化が急速である時、BやCの対応パターンには限界があります。不確実性の程度を正確に評価し、情報収集を通じてこれを許容水準にまで軽減することにより効果的な意思決定の実現を目指していく必要があります。
問題解決/意思決定プロセスの種類
意思決定は、定型もしくは非定型に分類されます。
 | 定型的意思決定
定型的意思決定は、頻発する日常的事柄に関連してルーチン化された意思決定であり、経営における意思決定の大半を占めます。ここでは特定の問題の兆候を捉えて一足飛びに代替案の選択意思決定が行われ、問題定義、代替案の組成といった時間のかかるステップが省略されます。従って極めて効率のよい意思決定が可能になる反面、状況が変化して本来ルーチン意思決定そのものを変えていかなければならない事態に立ち至っても、これに気付かないまま誤った意思決定を繰り返してしまう危険性も孕んでいます。
棚卸資産の補充、従業員の雇用、給与、製品及びサービスの価格設定、顧客への信用の供与は、定型的意思決定の例です。 |
 | 非定的意思決定
非定的意思決定は、ルーチンではない意思決定と定義され、問題解決プロセスの忠実な遵守が必要です。 |
問題解決における情報の役割
情報を得るためのコストとベネフィットを考慮することはもちろん必要です。
 | 情報が質が高くなればなるほど、費用も高くつく |
 | 情報の最大限の価値を考慮すべきである |
 | 情報は決して100%完全ではない |
 | 情報の質については、評価されるべきである |
考察能力のレベル
考察能力のレベルを複雑さの度合いに応じて分類すると次のようになります。
 | 知識の記憶を呼び戻す能力 |
 | 解釈し理解する能力 |
 | 知識を問題解決に応用する能力 |
 | 分析能力 |
 | 同一化能力 |
 | 評価能力 |
2. グループ意思決定
(1)概観
委員会、特別プロジェクトチーム、審査会、研究グループ、品質管理サークルなどが、グループ意思決定の具体例です。IT技術の発展は、時間、場所、距離の制約を減少させることによりグループ意思決定を容易にします。
 | 共同コンピューティング: 電子カレンダー、電子メール、テレビ会議、コンピューター電話会議 |
 | グループウェア: コミュニケーションの促進 |
 | グループ意思決定支援システム:
グループ意思決定プロセス自体を支援する |

(2)グループ意思決定の長所
グループ意思決定は次の長所を持ちます。
 | グループは、個人よりも知識、経験が豊富である |
 | グループは、問題に対してより多くの手法、レビュー方法を持つ。 |
 | 結果の履行に責任を負うべき者が意思決定に参加することにより、その背景や実行方法についての理解を提供する。 |
 | 結果の履行に責任を負うべき者が意思決定に参加することにより、彼らの意思決定結果の受容と積極的支援を期待できる。 |
 | グループ意思決定活動への参加は、経験の浅い下級構成員のよい訓練機会となる。
卓越した能力を持つ個人と集団で活動することにより、そこに参加する平均的能力の個人が卓越した実績をあげる傾向がある |
 | グループプロセスは、民主主義の考え方に首尾一貫する: 意思決定が、恣意的に権威主義的に行われたという外観を排除する |
 | グループの中の最適の個人が到達する意思決定よりも、必ずしも優れているわけではないが、グループでは個人よりもより正確な意思決定を行う傾向がある。 |
 | グループでは個人よりも、より早く仕事を習得する傾向がある |
 | グループはより創造的な傾向がある |
(3)グループ意思決定の短所
グループ意思決定の短所は次の通りです。
 | グループにおいては協調への社会的重圧が存在する: 他のメンバーに受容されたいという個人的欲求から自己の異論を抑圧し、結果として意思決定の正確性を犠牲にすることがある |
 | 少数のメンバーがグループ活動を支配するかもしれない: もし支配を確立した者が十分な能力を持ち合わせていなければ、グループの有効性は低下する |
 | メンバーは組織全体の利益より個人的利益を優先させる意思決定を行うかもしれない |
 | グループでは個人よりもより多くの時間を要する傾向がある: グループでは電子会議でさえも招集に必要な時間と労力のために非効率になり、さらにグループメンバーの相互作用は非建設的になり得る |
 | グループ意思決定では責任関係が分散される: 後から個人としての責任が問われない中での意思決定では、過度に危険な結果をもたらす代替案をも安易に採択してしまう傾向がある |
 | 複雑な業務の場合、最適の方法はプロジェクトごとに別々に働いている個人によって得られた結果を収集、評価することかもしれない |
3.重要発見事項と監査人の対応

4.情報ソース
クリティカルシンキング
問題解決事例
参考資料
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