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不正対応
不祥事発生の構造

目次

コーポレート・ガバナンスとは
コーポレート・ガバナンスの必要性
わが国でガバナンスが問題とされる背景
経営者の説明責任、取締役会の説明責任
良好なガバナンスのポイント
監査委員会の役割
内部監査の役立ち
サステナビリティ(CSR)
わが国のガバナンス状況
諸外国のガバナンスルール/規制と実務状況
情報ソース

 

1.コーポレート・ガバナンスとは 

OECDによれば、コーポレート・ガバナンスは会社が運営され統制される内部的手続であり、「良好な」ガバナンスは次の役立ちがあるとしています。

会社の効率的な資本活用を保証する。
会社が幅広いステイクホルダーの利益を考慮し、取締役会が会社と株主に対して説明責任を果たすことを保証する。
会社が社会全体の利益のために運営されることを保証する。
投資家の信頼を維持し、より忍耐強い長期資本の惹きつける。

より簡単に、ガバナンスは組織目的をより確実に実現するために組織を方向付けて統制するシステムだ、ということもできます。

組織はそもそもが一定の目的実現を目指してステイクホルダーから経営資源の委託され活動を展開する人の集合体です。こうした組織において、その目的実現を保証するためのガバナンスの仕組みが確立していれば、ステイクホルダーは自らが保有する資源(資本、労働力、他)を安心してその組織に投じることが可能になります。

強固なガバナンスは第一義的には株主・投資家の利益のためですが、資本市場の透明性/公正性を高めることはその市場に資金調達を依存する企業にとっても大きな利益となります。

経団連 第555回常任理事会 ビッグバンを迎えたわが国証券市場について 山口東証理事長より聞く(1998年7月7日)

 

2.コーポレート・ガバナンスの必要性 

会社は、所有と経営を分離することで、次のことが可能になります。

オーナー(株主)は優秀な経営陣を雇って経営を一任することでより大きな富を自由に運用・処分できる。
権限委譲された経営陣は適時に機動的な意思決定と経営執行できる。

ただここで問題は、日常の経営執行にオーナーの目が十分に行き届かなくなることです。先述のメリットを享受するためには、どうしても「本当に経営陣がオーナーの意向に沿った形で経営執行される」ことを保証するシステム、つまりコーポレート・ガバナンス、が必要だ、ということになります。

わが国の株式会社を例に取ると、このチェック・アンド・バランスの仕組みは次のようになっています。

経営トップ(代表取締役)は指揮命令系統の中枢に位置し、組織を適切に運営することで所期の目的を達成し、各ステイクホルダーから期待される成果を生み出し配分していくことに責任を負います。
取締役会は組織目的に添った戦略意思決定を下すとともに、経営者がこれに従って経営執行しているかを継続的に監視します。
監査役は取締役の職務執行を全般的に監査します。
会計監査人は経営者が作成する会計報告を会計専門家の視点で監査します。
株主総会は組織のオーナーとして組織運営の執行者、監視役、監査役、会計監査人を選解任します。

この中でもっとも重要な役回りとなるのは、「大人数だが結束力はなく会社の中身について十分な知識も持ち合わせていない株主」と、「実際の経営執行に当たる強力な経営陣」、との間を取り持ち、前者の利益が実現できるように後者の執行状況を継続的に監視する「取締役会」と「監査役」です。

A premium for good governance (The McKinsey Quarterly, 2002 Number 3)
Institutional investors in companies based in emerging markets claim to be willing to pay as much as 30 percent more for shares in companies that are well-governed.

 

3.わが国でガバナンスが問題とされる背景

わが国において、ガバナンスを殊更問題視させる要因がいくつかあります。 

経営陣は、しばしば株主の意向に十分フォーカスしない経営をすることがあり、実際に株主の目から問題視される事態が発生している(各種不祥事の発生労働生産性/競争力の低迷、等)
誠実な経営に見えない(組織目的の歪み)
有能な経営に見えない(統制不良)
最近になって株主がそのことを気にし出した
経営陣が真剣に株主のことを考えていなくともそこそこの成長が得られた時代が終わり、多数の企業が業績低迷や赤字に苦しむ状況となっている。
持ち合い構造が急速に崩れ、株価低迷が続く中でよりシビアな投資家の持分割合が増えてきた
従来のわが国の「常識」にとらわれない海外投資家がわが国企業の株主として参加するようになった。

このうち、特に前者は経営陣に対する取締役会、監査役の監視機能がワークしていないことを示しています。この原因としては次の点が指摘されています。

取締役の大半が社内取締役で占められ、監視と執行が分離されていない。
しかも大半の社内取締役は管理職社員として日常業務に忙殺されているため、権限のほとんどは社長に集中する。
実質的に社長の権限は、各取締役・監査役の選解任、評価、報酬決定、に及んでいる。

つまり、最高経営執行者である社長は、取締役会をも一人で取り仕切る立場に立ち、結局その説明責任は、お目付け役を飛び越えて「大人数だが結束力はなく会社の中身について十分な知識も持ち合わせていない株主」に直接果たせば済む仕組みとなっています。

ガバナンスの国際比較。

GovernancMetrics International, GMI Releases New Global Governance Ratings Improvements Seen Following Enactment of SOX, But Risks Remain (September 7th, 2004)
GMIによるガバナンス調査の結果、SO法の影響で米国企業が国別スコアでトップの7.23をマークしたのに対し、日本企業(356社)はギリシア(2.93)に次いで最低の3.57でした。最低スコアの1.0をマークした25社のうちの13社は日本企業でした。
ガバナンスルールの各国間比較

 

4.経営者の説明責任、取締役会の説明責任

もちろん、誰から監視されなくとも、常に自らの役割を振り返ってチェックし、問題点の識別と是正を継続的に実施し、結果として会社を発展させ続けることのできる名経営者も存在するでしょう。しかし、以前に大きな実績を上げカリスマ経営者として尊敬を集めた「名経営者」が、ワンマンを続けているうちに自ら晩節を汚し、見苦しく立ち去っていった例も決して少なくありません。

不祥事に対する対応/反応(例)

最高経営者にとって、「ガバナンス=説明責任」は自らの経営を客観的に映し出す鏡と考えることができます。明瞭な目的意識と価値観、リスク認識に基づいて理路整然と経営執行している限り、説明責任を恐れる必要は豪もありません。逆に説明責任遂行にフラストレーションを感じるときには、鏡を壊す前に、まず経営そのものに本当に問題がないか、顧みるゆとりが求められます。こうした仕組みをビルトインしておくことで、株主の利益が守られるのはもちろん、結局は自らの個人的利益も守られることになります。

他方で、取締役・監査役は名誉職ではなく、株主から負託された責任です。その役割は株主利益の貫徹にあることをまずもって肝に銘じなければいけません。経営陣である社長は、監視および査定の対象です。こうした認識に立って、経営陣の戦略設定、リスクマネジメント、トップのトーン等について批判的に検討し、厳正に経営陣を査定し、時として経営陣に交代を迫ることすら求められます。平時においてはこうした役割を果たしていたかの説明責任が問題になることはあまりありませんが、だからといって怠けているればいるほど、正にこれを求められる裁判等の有事を招き寄せる誘因となることに留意すべきです。こうした責任に耐えられない、と考える人は、潔くこうした職責から身を引くべきでしょう。

 

5.良好なガバナンスのポイント

ガバナンスの要である取締役会監視機能の有効性維持のためのポイントは次の8点です。(プライスウォーターハウスクーパース「コーポレート・ガバナンスと取締役会−最も効果的な手法」)。

戦略計画 
リスクマネジメント 
トップのトーン/企業倫理 
業績の評価と監視 
組織変換的取引 
経営陣に対する評価、報酬、後継計画 
外部とのコミュニケーション
取締役会の力学

南アフリカのキング委員会のキング氏は、より簡単に、良好なガバナンスの基盤は次の2点だ、と言っています。

各ガバナンス主体の知的正直さ(と責任感)
意思決定情報の品質保証確保

取締役会の役割

The Board Agenda - Good Practices for Meeting Market Expectations (PwC, 2001/3)
IT ガバナンス

監査委員会の役割

経営戦略評価

Geac, Managing for No Surprises: Using Strategy Management to Regain Shareholder Confidence
Strategic Planning: What Boards Should Expect from CFOs (CICA, February 2003)
20 Questions Directors Should Ask about Strategy (CICA, February 2003)
20 Questions Directors Should Ask About IT (CICA, Revised April 2004)
In search of shareholder value - Second edition (PwC)
Investment Management Perspectives - Issue 1/2000 (PwC)

リスクマネジメント評価

20 Questions Directors Should Ask about Risk (CICA, February 2003)
20 Questions Directors Should Ask about IT (CICA, January 2002)
Risk Management & Internal Audit Practices in the Investment Management Industry (PwC, 2002)
Risky Business - Issue 2a (PwC, 2000/12)
This issue is devoted to reputational risk, and includes the following stories

トップのトーン/倫理

Investment Management Perspectives - Issue 2/2000 (PwC)

役員報酬評価

20 Questions Directors Should Ask about Executive Compensation, February 2003

対外コミュニケーション評価

20 Questions Directors Should Ask about Management's Discussion and Analysis (CICA, February 2003)
Reporting Progress: Good Practices for Meeting Market Expectations (PwC)

OCEG GRC能力モデル(ver 2.0)公開草案

多くの企業において、複雑な事業環境に直面する中で、内部統制、リスク管理、ガバナンス、コンプライアンスといった特定局面毎にパッチワークのように対応策を講じているうちにあちこちに重複や脱漏といった歪みが生じているのが実情ではないでしょうか。OCEGのこのモデルは様々な要求事項を統合的に処理するフレームワークの提供を目指すものです。
8つの構成要素
状況と企業風土・・・外部状況 内部状況 企業風土 価値観と目的 
組織化と監督・・・目的とコミットメント 役割と責任 アプローチと承認 
評価と整列・・・リスク識別 リスク分析 リスク評価 リスク計画 
予防と奨励・・・行動規則 方針と手続 認識と教育 人事動機付け 人事管理 プロセス管理 IT統制 物理的統制 リスクの共有、移転、ファイナンス 
検知と識別・・・通知と警報 問診とサーベイ調査 検出的統制 集約と分析 
情報伝達と統合・・・情報マネジメント 情報の流れとトリガ ITとインフラ 
対応と解決・・・問診と調査 第三者調査 危機対応 是正 
監視と測定・・・リスク監視 業績監視 組織的改善 監査とアシュアランス
期待される測定可能な8つの普遍的成果
事業目的の達成 
組織風土の強化 
ステークホルダー信頼強化 
組織の整備と防護 
困難の予防、検知、軽減 
希求される行動への動機付けと触発 
即応性と効率性の改善 
経済価値と社会価値の最適化

 

6.監査委員会の役割

SEC Final Rule: Audit Committee Disclosure, 17 CFR Parts 210, 228, 229, and 240[Release No. 34-42266; File No. S7-22-99]RIN 3235-AH83
require that companies include reports of their audit committees in their proxy statements;13 in the report, the audit committee must state whether the audit committee has: (i) reviewed and discussed the audited financial statements with management; (ii) discussed with the independent auditors the matters required to be discussed by Statement on Auditing Standards No. 61,14 as may be modified or supplemented; and (iii) received from the auditors disclosures regarding the auditors' independence required by Independence Standards Board Standard No. 1,15 as may be modified or supplemented, and discussed with the auditors the auditors' independence (see Section III.B below);
require that the report of the audit committee also include a statement by the audit committee whether, based on the review and discussions noted above, the audit committee recommended to the Board of Directors that the audited financial statements be included in the company's Annual Report on Form 10-K or 10-KSB (as applicable) for the last fiscal year for filing with the Commission (see Section III.B below);
require that companies disclose in their proxy statements whether their Board of Directors has adopted a written charter for the audit committee, and if so, include a copy of the charter as an appendix to the company's proxy statements at least once every three years (see Section III.C below);
require that companies, including small business issuers,16 whose securities are quoted on Nasdaq or listed on the American Stock Exchange ("AMEX") or New York Stock Exchange ("NYSE"), disclose in their proxy statements whether the audit committee members are "independent" as defined in the applicable listing standards,17 and disclose certain information regarding any director on the audit committee who is not "independent"(see Section III.D below); require that companies, including small business issuers, whose securities are not quoted on Nasdaq or listed on the AMEX or NYSE disclose in their proxy statements whether, if they have an audit committee, the members are "independent," as defined in the NASD's, AMEX's or NYSE's listing standards, and which definition was used (see Section III.D below); and
Guiding Principles for Audit Committee Best Practices (NYSE)
The Audit Committee as Catalyst for Effective Financial Reporting (NYSE)
Audit Committee Handbook (英国HM Treasury, 31 October 2003)
Audit Committee Effectiveness Center (AICPA,)
The AICPA Audit Committee Toolkit
PricewaterhouseCoopers
A New Strategy for Success Through Integrated Governance, Risk And Compliance Management (2-April-2004)
Working Guide for an Investment Company's Audit Committee - 2003 (PwC, 2003)
This 2003 edition of the working Guide for an Investment Company's Audit Committee has been completely revised and reorganized in light of the post-Sarbanes-Oxley environment.
Key Elements of Antifraud Programs and Controls: A White Paper (2002)
Current Developments for Audit Committees 2004 (2003/12/31)
Current Developments for Audit Committees 2003
Current Developments for Audit Committees 2002
Current Developments for Audit Committees 2002 - - Supplement (CG)
Financial Services Audit Committee Forum: Conference Highlights 2002
Emerging Trends in Corporate Governance 2001
Navigating Fair Disclosure (2001/7)
The Board Agenda - Good Practices for Meeting Market Expectations (2001/3)
Reporting Progress - Good Practices for Meeting Market Expectations (1999/11)
KPMG's Audit Committee Institute
An Approach to Effective Audit Committee Self-Evaluation (1999)
Basic Principles for Audit Committees (June 2002)
Shaping the audit committee agenda (April 2003)
Audit Committee Resource Guide (Deloitte, February 2003)
トーマツ企業リスク研究所
研究室
調査資料
ICAEW - Guidance for Audit Committees Series
Company reporting and audit requirements
Working with your auditors
Reviewing auditor independence
Evaluating your auditors
Monitoring the integrity of financial statements
The internal audit function 
Whistleblowing arrangements

 

7.内部監査の役立ち

IIAは2006年7月12日付でポジションペーパー「組織ガバナンス:内部監査人へのガイダンス」を公表しました。ここでのポイントは次の通りです。

第1章 組織ガバナンスと内部監査の役割

組織ガバナンスとは何か
OECDのガバナンスの定義:コーポレート・ガバナンスは、会社経営陣、取締役会、株主及び、ステークホルダー(利害関係者)間の一連の関係に関わるものである。コーポレート・ガバナンスは、会社の目標を設定し、その目標の達成するための手段や会社業績を監視するための手段を決定する仕組みを提供するものである。
ガバナンスにおける内部監査の役割
内部監査は典型的に2つの潜在的役割(capacity)を担いうる。第一に、監査人は、組織体のガバナンス構造の適切性と、個別の組織ガバナンス活動の運用の有効性について、独立の客観的な評価を提供する。第二に、彼らは、組織のガバナンス構造及び実務を強化するための改善を、変革し、助言し、唱導する、触媒の役割を果たす。
組織体において、経営陣と取締役会は有効なガバナンスのために会社全体のシステムを確立し監視する。内部監査は、これらの活動を支援し、改善することができる。加えて、内部監査は独立性を維持すべきではあるが、ガバナンスプロセスの確立に参画するかもしれない。組織体のリスクマネジメント、コントロール、ガバナンスプロセスのアシュアランスを提供することで、内部監査は有効な組織ガバナンスの礎石となる。
どちらの潜在的役割が最も適切かについては、組織体のガバナンスプロセスと構造の成熟度、および内部監査が組織体において現実に果たしている役割・位置付けにより、大きく異なったものとなる。成熟度の低いガバナンス構造・プロセスを持つ組織体においては、内部監査機能は最適な構造と実務に関する助言と現在のガバナンス構造と実務を諸規則やその他コンプライアンス要求事項に照らして助言することにより大きなフォーカスを置くことになるだろう。より高度に構造化され成熟したガバナンス実務を持つ組織体においては、内部監査は次の点により大きなフォーカスを置くことができる。
所期の通りに全社的なガバナンス構成要素が統合的に機能しているか評価する
ガバナンス構造の各部分間の報告の透明性レベルを分析する
ガバナンス最善実務と比較する
認知された該当するガバナンス規則を遵守しているか識別する
内部監査は、個別プロセスの監査を実施するだけにとどまらず、ガバナンス活動を取り扱う際に、しばしば最も有効性を発揮しうる。組織体における内部監査人のユニークな立場により、直接の責任を負うことなく、ガバナンス構造と設計を観察することができる。しばしば、内部監査人は取締役会や執行経営陣に、単に確立されたプロセスが運用されているかだけでなく、構造と設計における必要な改善と変革について助言することで、組織体をよりよく支援する。これは、個別監査を通じた個別的なガバナンス活動の客観的評価提供とは異なるものである。
最終的には、内部監査のガバナンス活動に関する評価は、長年に渡る幾多の個別監査から入手された情報に基づくものとなるだろう。最適には、内部監査人は、個別的にか統合的にかはともかくとして、主要組織ガバナンス要素の有効性評価と、リスクマネジメントと主要コントロール手段の有効性評価を提供することに主眼を置くべきである。これらのガバナンス活動評価は次の点を考慮すべきである。
個別ガバナンス割当
個別の取締役会レベルのガバナンスレビュー作業の結果
一定期間に実施された数多くの個別監査から持ち上がったガバナンス問題
内部監査人に利用可能なその他の情報・知識
内部監査人は取締役会のために、独立の客観的な情報と評価を提供する代理人となるときに、最も有効に機能するだろう。この場合に、取締役会は内部監査を所有し、相互に支援的な内部監査/取締役会の関係を醸成するだろう。組織体の業務の完全な理解を得るためには、取締役会が内部監査の仕事を検討することは基本である。例えば、内部監査は取締役会に、文化、トーン、倫理、透明性、内部的な相互作用のような事柄について情報提供できる。加えて、ゲンダイの内部監査は、組織体が直面する多様な戦略、業務、財務、法令順守に関わる諸リスクについて、これを識別し、対応し、管理するための、組織体のフレームワークを基盤とする。その結果、内部監査人は、経営陣のモニタリングとアシュアランス活動や、個別の主要リスクの管理を含む、フレームワーク全体としての有効性に関する客観的なアシュアランスを提供することができる。
しかしながら、内部監査は経営陣のパートナーとしても位置づけられるために、この取締役会を支援する役割は緊張を創り出す。内部監査は、2つの役割に対するニーズと期待について、注意深く管理することが必要となるだろう。内部監査の役割についての追加的なガイダンスとして、IIA専門職的実施のフレームワークの実践要綱1000.C1-2、1120-1、1130.A1-1、1130.A1-2を参照されたい。.
組織ガバナンスの固有の活動
ガバナンス活動は、組織体が、適切に運営されステークホルダーに説明責任を果たす中で、その目標の実現を支援するために存在する。 他の活動と全く同様に、経営陣と取締役会は、各領域における彼らの目標を明確に設定し、それらの目標を実現するためのプログラムを稼動させる。これに続くセクションは、多様なガバナンス活動に関連する目標とプログラムの示唆を提供するものである。ガバナンス活動とその他組織的イニシアチブとの間で大きな重なりがあることを認識した上で、この文書は典型的に他のイニシアチブとは関連しないタスクにフォーカスする。
内部監査人は、ガバナンス構造とプロセスに関連して組織体を支援する個別タスクを実施できる、そして経営陣と取締役会を次の領域において支援することを検討すべきである。
取締役会の構造、目標、力学・・・(略)
取締役会委員会機能・・・(略)
取締役会方針マニュアル・・・(略)
ガバナンス要求事項の認知を維持するプロセス・・・(略)
取締役会の教育と訓練・・・(略)
適切な説明責任の割当と実績管理・・・(略)
倫理方針と行動規則の完全性・・・(略)
倫理方針と行動規則のコミュニケーションと承認・・・(略)
倫理調査とこれに関連する社員の規律・・・(略)
経営陣の査定と報酬・・・(略)
上級経営陣と取締役会メンバーの採用プロセス・・・(略)
社員トレーニング・・・(略)
ガバナンス自己評価・・・(略)
ガバナンスコードや最善実務との比較・・・(略)
対外的コミュニケーション・・・(略)
外部監査人の監督・・・(略)
組織ガバナンスを最適化するのに一律OKの方法はない。各組織体は業種や成熟度、事業戦略、能力、文化、競争環境等を勘案して個別に解決策を編み出さなければならない。
その他留意事項
組織ガバナンスは複雑なトピックであり、内部監査人はこれまで取り扱ったことがないような領域に足を踏み入れることになるだろう。
経営陣はこれまで正式にガバナンス事項がより大きな組織ガバナンス戦略の一部として検討したことがなかっただろう。ガバナンスにおける内部監査の適切な役割を果たすための行動に着手する前に、内部監査人は経営陣と協働し、ガバナンスプロセスと組織における構造について適切な理解と定義の保持を確実にする必要があるだろう。
内部監査が組織ガバナンスに関してどのような役割を果たすにせよ、それが内部監査の独立性にどのような影響を与えるかを評価することが必要である。いくつかの役割は内部監査の一定の監査活動に関して独立性を阻害する。この場合に、内部監査はその独立性阻害について経営陣と取締役会に報告しなければならず、この役割に関連する監査やその他の評価活動を実施してはならない。
組織体の戦略策定は、取締役会や経営陣の主要な役割である。内部監査は一般にこれら主要な戦略的要素や組織体の主たる戦略が組織体の主要ステークホルダーにとって適切か、といった事項について疑念を持つことはしない。しかし、これは内部監査が戦略に関連する全ての事項について沈黙を守らなければならない、ことを意味するわけではない。組織体にとって、内部監査が戦略実施に関連する主要問題や、戦略が適切に取り扱っていない主要リスク、各種戦略要素間の矛盾点、戦略の組織体やステークホルダーに対する影響、等について観察することは、有用だろう。
内部監査は、単に組織ガバナンス評価の監査作業結果だけでなく、組織体の全般的なガバナンス構造についても検討するよう、注意しなければならない。その時々で、各部分は適切に見えたとしても、これらを結合した時に深刻な問題が出現することがありうる。内部監査人は、より広範な(取締役会等)ガバナンスプロセスを考慮しなければ、個別のガバナンスレビュー手続を実施したところで、所詮限界があるものであることを理解しているべきである。多くのガバナンス要素はトップが推進するものであり、内部監査人は設計されたプロセスが適切で組織全体に有効に組み込まれていることを確実にするために、ガバナンスをトップダウンでレビューすべきである。
ガバナンス環境は多くの国々や業種で急速に変化している。内部監査人は継続的にこれらの変化を監視し、それらが今後どのように内部監査人の役割に影響するか、評価しなければならない。
組織ガバナンスの監査に求められる技能と能力には、内部監査人が現在保持しないものが含まれるかもしれない。ガバナンス領域の監査を引き受ける前に、内部監査人が関連する技能保持を確実にし、あるいは適切な訓練を受けることが極めて重要である。内部監査人はまた、これまでとは異なるツールや経営資源、最善実務を求めるよう奨励されるべきである。
ありうる次のステップ
 組織ガバナンス領域における拡大された役割を果たしていくためには、内部監査は多くの異なる道筋を辿ることができる。ありうる最初のステップには次が含まれる。
1. 組織ガバナンスについて、全ての関連性のある社内外の書面による方針、規則、基本規程条項をレビューする。
2. 組織ガバナンスについて執行経営陣や取締役会メンバーと話し合う。これら話し合いの目的は内部監査がガバナンス構造とプロセス、およびそれらプロセスの成熟度について、これに責任を負う者の視点からの、明確な理解をもつことを確実にすることである。
3. 内部監査の役割を組織ガバナンスに拡大するオプションについて、取締役会議長、取締役会各種委員会議長、執行経営陣メンバーと話し合う。これら話し合いは、内部監査がどのような活動を新たにすることになるか、内部監査がこの領域を支援しなければ取締役会のアシュアランス要求事項と組織体の実務との間にどのようなアシュアランスギャップが生じる可能性があるか、説明することが含まれる。検討されている拡大された役割が内部監査基本規程と整合することについても確認する。
4. 組織ガバナンスのトピックについて、外部監査人、法務、広報、総務、コンプライアンス、規制担当等の組織体の関連部署の社員を含む、その他の主要ステークホルダーと話し合う。この話し合いの過程で、彼らの現在と将来の活動、またどのように拡大された内部監査の役割が彼らの活動と調整されるかについて検討する。
5. 潜在的な弱点や懸念事項の識別を通じて、組織体のガバナンス構造の広範なフレームワークを作成する。
6. 組織ガバナンス領域における内部監査の役割を系統的に整理して中期計画をドラフトする。
7. 上掲の領域の一つについてパイロット監査を実施する。単一の、明確に定義された、管理可能なトピックを選択し、トピックに関連する活動について、その整備状況の適切性と運用状況を評価する。パイロット監査実施は、内部監査に拡張された役割に対する組織体の反応を見極め、他のステークホルダーとどのようにより有効に調整するかを学習する機会を提供する。

第2章 組織ガバナンスの原則、参加者、他のイニシアチブとの相互作用

一般に認知される組織ガバナンス原則
関係者とそれぞれの役割
ガバナンスに影響する組織的イニシアチブ
法令要求事項へのコンプライアンス
内部統制の評価と報告
全社的リスクマネジメント
品質イニシアチブ
透明性と開示
ガバナンス構造とプロセス

第3章 参考資料

組織ガバナンスに関するリソース
IIA
政府と証券取引所
非政府系のガイダンス、最善実務
会社の事例
関連IIAガイダンス
組織ガバナンスの各種定義

 

8.サステナビリティ(CSR)

IIA Sustainable Development resource repository
Board of Environmental, Health & Safety Auditor Certifications
COM+ (Alliance of communicators for sustainable development)
FTSE4Good home page
Global Reporting Initiative
The Institute of Chartered Accountants (UK) Sustainability Resource Centre
Key Indicators Initiative (U.S.)
The Global Compact
The National Corporate Social Responsibility Report: Managing Risks, Leveraging Opportunities.
United Nations Division for Sustainable Development
World Bank Sustainable Development

 

9.わが国のガバナンス状況

委員会設置会社と監査役設置会社
監査役設置会社の特徴 
監査役有効性向上のポイント

 

10.諸外国のガバナンスルール/規制と実務状況

各種ガバナンス原則
米国のルール/規制と実務状況
英国
IFAC企業内職業会計人委員会「組織体ガバナンスの評価と改善」報告書公開草案
昨今のガバナンスは決められたルール遵守の側面があまりにも強調されすぎて、ステークホルダーの期待に応える「業績」を実現するというガバナンスが果たすべき重要なもう一つの使命が忘れられているのではないか。そんな反省に基づき、「業績」と「遵守」のバランスをとるガバナンスを目指す原則をA〜Lまでの12項目にまとめています。
A. ガバナンスの目的はステークホルダー価値の創造と最適化であるべきである。
B. 良好なガバナンスは価値を最適化させるためにステークホルダー利益を適切に均衡させるべきである。
C. ステークホルダー価値を最適化する上で、ガバナンスにおける遵守と業績の両次元は共に重要である。 
D. 良好なガバナンスは組織体の中に完全に統合化されるべきである。
E. ガバナンス機関は業績と遵守の間に適切なバランスを実現するよう、適切に構成され構造化されるべきである。
F. ガバナンス機関は組織体を運営する一連の根本的価値観を確立すべきである。ガバナンスに参画する全ての者はこれら根本的価値観を信奉すべきである。
G. ガバナンス機関は組織体のビジネスモデル、業務環境、ステークホルダー価値がどのように創造され最適化されるかを理解しすべきである。
H. ガバナンス機関は遵守と業績の両次元において戦略方向性と監督を提供すべきである。
I. 有効かつ効率的な全社的リスクマネジメントが組織体のガバナンスシステムの統合的な一部を構成すべきである。
J. 経営資源配分は戦略方向性と整合されるべきである。
K. ガバナンス機関は組織体の戦略方向性と事業運営を定期的に測定・評価し、適切な進捗と諸ゴールとの持続的な整列を確実にするための適切なフォロアップ行動をとるべきである。
L. ガバナンス機関はステークホルダーの合理的な情報要求が適時に充足されており、提供される情報が関連性・理解可能性・、信頼性を備えたものであることを確実にするべきである。
IFAC(国際会計士連盟)「財務報告サプライチェイン〜現状と今後の方向性」(2008/3)・・・サーベイ調査結果報告書
ガバナンス
<改善点>
良好なガバナンスに意味があるとの認知の拡大
新しい規則や基準
取締役会構造の改善
リスク管理や内部統制の改善
開示と透明性の改善
<懸念領域>
実体が伴わない形式だけのガバナンス
チェックリストを埋めればよしとする風潮 
過剰な法規制 
取締役や経営陣への個人賠償責任 
費用対効果への疑問
<今後の課題>
ガバナンスの行動面/組織風土面への更なるフォーカス 
既存ルールの見直し 
取締役の品質改善 
報酬と業績とのリンク改善 
「遵守」主体のガバナンスから「事業ガバナンス」への視点拡大

11.情報ソース

ガバナンスの実情
証券取引所/規制機関
会計基準/会計関係団体
その他関係団体
ガバナンスルールの各国間比較
コンサルティングサービス
不祥事件に対する対応/反応(例)
参考文献

ガバナンスの実情

 

証券取引所/規制機関

東京証券取引所
東証マザーズ
「新規性」「流動性」「迅速性」「透明性」の4つの特徴
Public Company Accounting Oversight Board (PCAOB)
United States Securities and Exchange Commission
米国SECのサイト
London Stock Exchange
ロンドン証券取引所
New York Stock Exchange
ニューヨーク証券取引所
The Nasdaq-Amex Market Group
NASDAQとアメリカン証券取引所合同サイト
NASDAQのコーポレートガバナンスの要求
国内企業(Market Place Rules 4310. Qualification Requirements for Domestic and Canadian Securities, (b)(25) Corporate Governance Requirements)
外国企業(Market Place Rules 4320. Qualification Requirements for Non-Canadian Foreign Securities and American Depositary Receipts, (e)(21) Corporate Governance Requirements)
Toronto Stock Exchange (TSE)
トロント証券取引所

会計基準/会計関係団体

International Accounting Standards Committee 
国際会計基準委員会
日本公認会計士協会
Rutgers Accounting Web  
会計関連の団体、出版物、会計事務所にアクセスできるリンク集。
CPA net
会計専門家のためのリンク集と情報を提供する
The Accountant’s Ledger 
会計士のためのオンライン・マガジン。監査、インターネット、ソフトウエア、e-ビジネス等の情報を提供する。
朝日監査法人 マネジメントニュース「会計ビッグバン」
いわゆる会計ビッグバンについての簡単な解説
横山明 会計・税金・財務情報(ディスクロージャー)
会計関係のリンクが充実していて便利
企業会計向上委員会
公開企業破綻情報、粉飾決算書を読み解く、監査法人経営分析、等

訴訟関係情報

Stanford Securities Class Action Clearinghouse
米国スタンフォード大学の証券クラスアクション情報
Milberg Weiss Securities Class Action Designated Internet Site
証券クラスアクション一筋30年の法律事務所(米国)

その他関係団体

Organisation for Economic Cooperation & Development (OECD)
Corporate Governance page
Council of Institutional Investors (CII)
TIAA-CREF 
Policy Statement on Corporate Governance
CalPERS 
Governance Principles
The World Bank
Corporate Governance Principles of Best Practices
NACD
The Changing Face of Corporate Governance A Special Issue Center on Governance Reforms and Regulations Post-Enron
. NACD's Response to Corporate and Governance Reforms
. Regulatory Action Impacting Governance - Post Enron to the Present
. New Governance Codes and Practices -Sarb-Ox, SROs, Investors, and Governing Groups
. What's Changed in the Boardroom? Directors and Boards Respond
. Congressional Testimony on Governance Practices Post-Enron -
. Historical Historical Timeline of Governance Regulation
The Business Roundtable (BRT)
Principles of Corporate Governance
Corporate Board Member
International Corporate Governance Network (ICGN).
- The purpose of ICGN is to examine corporate governance principles and practices; develop and encourage adherence to corporate governance standards and guidelines; and generally promote good corporate governance.
The Open Compliance & Ethics Group (OCEG)
is a coalition of the nation's business leaders assembled to develop compliance standards and guidelines. These standards are designed to optimize the proactive education of organizational directors, officers, and employees to reduce risk, fraud, and malfeasance, and to restore the public's confidence and faith in the corporate world. Importantly, OCEG outlines standards and guidelines that reflect both the "spirit" and the "letter" of the laws, rules, and regulations.
In essence, OCEG seeks to put abstract “Principles into Practice.”
Society of Corporate Secretaries and Governance Professionals
American Society of Corporate Secretaries(米国事務部長協会)

ガバナンスルールの各国間比較

Survey of Corporate Governance Developments in OECD Countries released, December 2003
The World Bank - Corporate Governance Principles of Best Practices
世界各国のコーポレートガバナンス原則を比較してみることができます
Weil, Gotshal & Manges LLP.
Comparison of Corporate Governance Guidelines and Codes of Best Practice: United States

 

コンサルティングサービス

Institutional Shareholder Services (ISS)
株主総会議決権行使のための参考書類に関する助言サービス
Directorship, Inc
コーポレートガバナンスに関するコンサルティングサービス
Pension Investment Research Consultants (UK) - Corporate Governance Services
コーポレートガバナンスに関するコンサルティングサービス
Proxinvest 
株主総会議決権行使のための参考書類に関する助言サービス

不祥事件に対する対応/反応(例)

不祥事発生の構造ページ参照

参考文献

 

 

 

 

 

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最終更新日 : 2009/03/06