「ラフカディオ・ハーンの会」ニュース NO.9 (2001512発行)

 

暦の上では立夏を過ぎ、周りの山々にも一段と緑が増し、急に夏の近づく気配が感じられる昨今です。連休の影響があるのでは、との危惧から、今月も第2週の土曜日が定例会となりました。事務局の一存で第一土曜日の予定を変更し、申し訳ないと反省しています。 何故か5月と言う月は色々な行事が次々と重なるようで、変更した為却って出席できなくなった方々も多いようです。しかし安易に定例会を取りやめる訳にも行かず、例え少人数でも、出席可能な方だけでハーンの研究を続けたいと考えます。

さて、前回は、『日本の面影』第2回「神々の首都」の前半を見ました。そして、坪内逍遥が絶妙であると述べた「盆踊り」という作品を取り上げました。平井呈一訳、仙北谷晃一訳を原文と比較しながらこの短編を読んでこられた田村先生からは、この作品を古典として鑑賞すべきである旨の示唆を頂戴いたしました。坪内逍遥が「絶妙」と述べた真意については、奈良在住の高木大幹先生からも、逍遥の美学―歌舞伎観、シェイクスピア観、能楽観、《没理想論》―を突き詰めた時、「絶妙」の真意が解かれるのでは、とのアドヴァイスを頂きました(420日付書簡)。事務局はこうした示唆を踏まえて、逍遥の真意を探求すべく今後も研究を続け、いま一度討議題目として提出したいと思っています。

先日、染村絢子氏から「小泉八雲と周囲の人々」(『金沢大学資料館紀要』第2号、金沢大学資料館、20013)をご恵送頂きました。これは昨年10月の金沢大学資料館特別展「書籍展小泉八雲と教え子の四高教授たち〜染村絢子コレクションと付属図書館蔵書による〜」の際の展示資料を氏が纏められたものです。 60葉を超える珍しい写真を載せた大論文(41頁)で誠に貴重な資料であると言えます。事務局としては、今回のこの素晴らしい論文に因んで染村氏が今日までに発表された論考を簡単に纏めてみたいと思っていました。しかし本日の発表との関係もあり、誠に勝手ながら、次の機会まで延期させて頂くことをご了承下さい。

本日は前回に続いてNHKの『日本の面影』第2回の後半を見ます。アニメによる「大雄寺の怪談」、「幽霊滝」が劇中劇として含まれています。

1.《最近・各地の情報から》

325日、ラフカディオ・ハーン生誕150年記念講演会テープ(ハーン交流協会)小泉凡氏と佐野史郎氏との対談

・「広瀬中佐」(大和田健樹作詞、納所弁次郎曲)演奏ピアノ・福間直子、ハーモニカ・福間彰:アイルランド民謡「ひまわり」の録音あり。

 《佐藤先生が送ってくださったもの》

・ラフカディオ・ハーン生誕150年祭:記念講演&シンポジウム「ハーンの遺産と21世紀への展望」―報告書―(ラフカディオ・ハーン生誕150年祭実行委員会:事務局は熊本日日新聞事業局)

・『小泉八雲に親しむ―パート8―』(京都2001、洛北盛年団)

・インターネット「小泉八雲掲示板」において、5月は芭蕉の俳句「古池や…」のハーン英訳(蛙を何故複数形にしたか)が話題となっている。

31011、京都の劇団「遊劇体」が「怪談NIPPON~ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が異国で見た夢のいくつか~」(朗読劇)を発表。

417日、中国新聞「ケルト文化静かなブーム」(小泉凡氏に聞く)

 

2、《本の紹介、9》幣原喜重郎著『外交五十年』(中公文庫、198758円)アメリカの親日家の中にはハーンの著書を通じてそうなった者が多いのであるが、著者がそうした中の一人であるウェットモア夫人(E.ビスランド)に、帰国途中の船上で会った経緯を述べている。

 

3、《次回予告》

第一土曜日に戻して6月2日(土)2時〜4時とします。

 

4、《新刊書》(事務局が最近入手したものを含む)

@Lafcadio Hearn: Japan, An Attempt at Interpretation (ICG Muse,Inc.,1,500)【英文復刻版】

A       ラフカディオ・ハーン著『ハーンの宍道湖』(吉田薫編訳、SIリサーチ、2000250円)

B      遠藤文彦『ピエール・ロチ珍妙さの美学』(法政大学出版局、2001

「盆踊り」Bon-Odori について

2001414

「盆踊り」Bon-Odoriは『日本瞥見記』Glimpses of Unfamiliar Japan,Vol.1 (1894)の第6章にあります。(cf.下市の妙元寺境内でのイサイ踊り)

1、地蔵との関係

2、動物崇拝:猿、狐、庚申塚、馬頭観音、白蛇への信仰

3、挿絵画家ドレ…昼なお暗い日本の杉の森のうっそうとした様

4、梶谷泰之『へるん先生生活記』:宿屋はウワイチの「そうめん屋」

5、梶谷泰之:「ハーンは下市に2泊したか」について(「へるん」20号)

6、平川祐弘「祭りの踊り―ロティ・ハーン・柳田国男」

7、「ラフカディオ・ハーン生誕150年祭、記念講演&シンポジウム」:盆踊りについては、ハーンが松江に来てから記事にして、タイムズ・デモクラットに送っているが、その記事と『盆踊り』という作品はだいぶ違うところがある。ハーンは熊本に来た翌年、隠岐に行き、帰りに中国山地を越える。そのときの記録手帳がヴァージニア大学に残っており、馬頭観音にささげ物をする農民の話や、ヘビが道を横切ったのを見て人力車が急に止まり、そのヘビをひき殺さないように通してやる場面などがある。ハーンはこの出来事を、後になって『盆踊り』の中に挿入しているのである。その記述はアメリカに送った新聞の中には出てこない。ハーンは明らかに熊本に移ってきた翌年に経験したことを『盆踊り』の中に入れている。全体的に農民の素朴な信仰心を描いている『盆踊り』の中のエピソードとして挿入・作品化しているのである。(「ハーンの遺産と21世紀への展望」:銭本健二氏の発言)

8、小泉凡『八雲の足跡を訪ねて』〈八雲会、1987

9、中山町中央公民館『小泉八雲が見た中山の盆おどり』、рオたら「盆踊り」のビデオをダビングして送って下さるとのことでした。

10、八雲会編『へるん今昔』

11、E・スティーヴンスン『評伝ラフカディオ・ハーン』、(原文あり)

12、「美しい日本の着物は…ギリシャかエトルリアの画家の描いた壷絵に倣ってデザインされたとも思えぬことは無い。」