「ラフカディオ・ハーンの会」ニュース NO.222002713発行)

 

前回紹介した銭本健二氏の論考「ラフカディオ・ハーンの『日本―解釈の試み―』」(『異邦人の見た近代日本』所収)の中に、「(ハーンの)死後残された原稿のうちにも、「回想記」として幼少年期の思い出七篇が一つのグループとして丁寧にまとめられたのが発見されたりした」という指摘があります。これは恐らく、小泉八雲全集第15巻(第一書房、昭和15)に載っている「遺稿」及び「自伝断片」を指すのだと思います。それらは「おばあさんの話」「私の守護神」「偶像礼拝」「私の最初の小説」「星」「直覚」「消えた光で」となっており、七篇という数字とも合致します。

余談ながら、『作家の自伝32 小泉八雲』(日本図書センター、1999)の中で、池田雅之氏は自伝風のものとして次の八篇を選んでいます。第1章“「私」を語る”の項に「私の守護天使」「夢魔の感触」「ゴシックの恐怖」「亡霊」「ひまわり」「子捨ての話」「むじな」「かけひき」が揚げられていますが、晩年の『怪談』誕生の素地になった作品としての観点から選ばれたのでありましょう。興味深い選択です。

去る7日は松江市総合文化センターで八雲会の総会がありました。「梶谷・森・銭本先生を偲ぶ」と題する染村絢子氏による講演があり、銭本先生亡き後の誠にタイミングのよい講演でした。氏が昭和31年(1956)卒論作成のため松江を訪問された時からの思い出話で、大変貴重な内容のお話でした。総会後、参加者一同で銭本先生の墓参も行いました。偶々松江市内の古書店「だるま堂」で鉄森氏が求められた池野誠編・監修『ヘルンを訪ねる』(島根出版文化協会、昭和42)に染村絢子氏の「へルンゆかりの地を訪ねて」という文が載っています。

『神国日本』については、朝日新聞客員であった濱川博氏の『風狂の詩人小泉八雲』(恒文社、1979)から「絶筆『神国日本』にそそいだ情熱」を読んで参考にしたいと存じます。

さて、永らくお待たせいたしましたが、愈々本日は貝嶋先生の「ハーンとワイルド」についてのお話です。

【6月出席者】狩野、熊野、鉄森、村田、横山、照沼、田村、風呂(8名)

1.《最近・各地の情報から》

・染村絢子氏講演「梶谷・森・銭本先生を偲ぶ」(7日、八雲会総会)

・『比較文学』第44巻(日本比較文学会、2001)「ハーンの浦島伝説にたいする認識」(里見繁美)、「小泉八雲の民話「雪女」と西川満の民話「蜆の女」の里帰り」(平川祐弘)

Angelus Novus 第29号(早稲田大学大学院文学研究科ドイツ文学専攻Angelus Novus会、2002、非売品)「ラフカディオ・ハーンと世界システム―かれのクレオール音楽との関係を中心に」(黒田晴之)

・『モラエス』2002 No.5(モラエス会)2冊寄贈を受ける

 

2、《本の紹介、22》:府川源一郎『「稲むらの火」の文化史』(久山堂、1999

ハーンの「生神」と国語教科書との関係を実に丹念に調べ上げている。サクラ読本から始まって、感動物語あるいは防災教材「稲むらの火」として見直されるに至る、今日までの問題点を細大漏らさず網羅する。

 

3、《次回予告》 8月10日(土)2時〜4時を予定しています。

 

4、《事務局が最近入手した新刊書など》:

・岡本嗣郎『陛下をお救いなさいまし』(集英社、2002

・山折哲雄『日本人の宗教感覚』(NHKライブラリー、1997

・大林太良『神話の話』(講談社学術文庫、1979

・大林太良『神話の系譜』(講談社学術文庫、1991

・金子三郎編『記録 東京帝大一学生の聴講ノート』(リーブ企画、2002、非売品 限定100部)

・船曳建夫『「日本人論」再考』(NHK人間講座67月期、2002

Yoshijiro Sato:THE MEANING OF THE TERM SHINTO(Japanese Religions Offprinted from Vol.3 spring 1963 No.1) ★抜粋

THE EAST AND THE WESTA Study of Their Psychic and Cultural Characteristics by Sidney Lewis Gulick(Chales E. Tuttle Company: Publishers) ★抜粋(この二つは照沼先生のご好意で頂いたもの)