「ラフカディオ・ハーンの会」ニュース NO.13(2001・10・6発行)

 

“朝顔のしぼまぬ秋となりにけり”―「子規100年祭in松山」の記念式典が9月19日松山市総合コミュニティーセンターキャメリアホールにて開催されました。正岡子規が亡くなってから早や100年です。記念式典には子規ゆかりの人たち(正岡子規、夏目漱石、高浜虚子、伊藤左千夫に縁続きのお孫さん等)も出席されていました。お孫さん達のお顔を拝見し、そのお声を拝聴していると不思議にも100年という時間が何処かへ消えてしまったかの錯覚に陥りました。上の句は子規記念博物館で買い求めた絵葉書にあったものです。

前回出席の鉄森令子さんから「心」は英語でどう訳せばよいのでしょうか、との質問が出ました。最近、Lafcadio Hearn: KokoroHints and Echoes of Japanese Inner Life(ICG Muse,Inc.2001)が出版されました。その冒頭部の「心」という日本文字でのタイトルの下に次の説明があります。誠にタイミングが良いというか、ご紹介しておきます

This word signifies also mind, in the emotional sense; spirit; courage; resolve; sentiment; affection; and inner meaning,just as we say in English, “the heart of things.”

 さて、前回は思いもかけず、東広島から照沼好文先生がお越し下さいました。先生は国学の分野では夙に著名なる研究家であり、ハーンの『日本−一つの試論』なども深く読んでおられます。先生がご参加下さって、色々とアドヴァイス下さることになったのは誠に光栄と言わざるを得ません。 今後とも宜敷くご指導下さい。なお先生のご子息である彌彦氏は将来を嘱望されている新進気鋭の画家であり、その稀に見る才能に注目した吉和村の住建美術館が早くから氏の作品の購入に極めて熱心になっている事実は良く知られている。余談ながら、紹介させて頂きます。

 熊本では市民講座「ハーンとアイルランドの文化」が、9月より来年1月まで毎月1回 (合計5) 開催されるとのことで、企画書がファックスで送られてきました。焼津も元気を取り戻し活動が盛んになり始めています。広島でも大いに頑張りましょう。

1.《最近・各地の情報から》

・9月22日()熊本アイルランド協会総会

・「ハーン通信」No.8 (小泉八雲熊本旧居保存会発行)が出ました。

・9月24日(振替休日)焼津八雲忌講演会

 講師:前田守一氏(版画作家)海からの便りー「へるんやいづ行」

機関誌『八雲』第13号(9月26日発行)が手元に届きました。

・『婦人画報』10月号に特集「水の都・神話の国 松江・出雲きもの紀行」

 があり、小泉凡氏の記事も載っている。

・中国新聞「緑地帯」に「ハーンとの新たな旅」が載る。104日より。

 

2、《本の紹介、13》:布村 弘著『つなぎわたす知の空間』(小倉編集工房、2000

『へるん』No.38に松村 恒氏の書評がある(p.160)ので、詳しい紹介は遠慮するが、第四章ラフカディオ・ハーン論の中に「外国人による日本論の変遷T―小泉八雲の場合―」という優れた論考(公開講座の講義録)がある。布村氏は富山商船高専の教授在職中の1985年に東京大学比較文学比較文化に半年内地留学をした経歴を持つ人である。行間から学問に対する誠実さが滲み出ている。発行者は奥様の秀子女史である。

 

3、《次回予告》

11月3日(土)2時〜4時を予定しています。

 

4、《新刊書》(事務局が最近入手したものを含む)

・工藤美代子『野の人 會津八一』(新潮社、2000

 『学鐙』Vol.98 No.9 に「評伝を書く楽しみ」が載っている。

Lafcadio Hearn: KokoroHints and Echoes of Japanese Inner Life (ICG Muse,Inc.2001)

・『比較文学』第四十三巻(日本比較文学会、2000

 橋本順光氏による論考「東亜未来論―チャールズ・ピアソンの黄禍論とラフカディオ・ハーンにおけるその変容」がある。

布村 弘著『つなぎわたす知の空間』(小倉編集工房、2000

 

小泉八雲名作選集『怪談・奇談』(L. Hearn 平川祐弘編 講談社学術文庫)の解説および原拠翻訳を担当したり、『世界の中のラフカディオ・ハーン』(河出書房新社)の中に、「学生から見た外人教師ハーン」を発表している布村 弘氏は、1935富山市生まれ、富山大学文理学部卒業。高校教諭、高専教授を経て、高岡法科大学教授(のち副学長)となられた。専門は国文学。論文に「『夜の寝覚』研究序説」「『ひかりごけ』論」などがある。氏はまた富山商船高専の教授在職中の1985年に東京大学比較文学比較文化に半年内地留学をした経歴を持つ人であるが、惜しいかな、還暦を僅かに廻られた平成10年に急遽他界された。上記の書は氏の追憶のために編まれた論文集である。発行者は奥様の秀子女史となっている。これ以上の詳しい紹介は『へるん』No.38の松村 恒氏の書評に譲るが、第四章ラフカディオ・ハーン論の中に「外国人による日本論の変遷T―小泉八雲の場合―」という今まで何処にも発表されたことのない貴重な論考(公開講座の講義録、平成7)がある。 実は厚かましくも奥様宛てに直接手紙を差し上げたところ、一冊謹呈下さったのである。上記の次第で、今回は是非それをご紹介したい。

 

配布された良心的、学問的「日本論」、「日本人論」、「日本文化論」の書物(資料)には、オールコック『大君の都』、アーネスト・サトウ『一外交官の見た明治維新』、WB・グリフィス『ミカドの帝国』、P・ローエル『極東の魂』、BH・チェンバレン『日本事物誌』、『日本小文典』、『古事記』翻訳、ポール・クローデル(フランス大使)、モラエス(ポルトガル人)、ブルーノ・タウト(ドイツ人)、福沢諭吉『福翁自伝』、海舟勝麟太郎、ルース・ベネディクト『菊と刀』などがあった、と思える。

 

講義の中で言及されたハーンの作品、その他は次ぎの通り。

・「稲むらの火」(仏の畑の落穂)、「生き神様」

・『日本―解明への一(つの)試論』…複眼の研究(日本人の心と生活感を共有し、しかも西洋人の目で以って捉えた日本研究)、cf.「隻眼の人」ハーン

・「ヘルン文庫」(『神国日本』の手書原稿)2435冊。再話文学の原典も。

「おしどり」…原典とハーンの作品との比較。フローベルの影響。

欧米の「有言の文化」と日本的な「沈黙の文化」の対比

再話作品ハーンの生活体験、願望、肉体条件が込められている。

ハーンの「詩と真実」(「文学と生活」)に解明すべき点が多い。

・小泉セツ『思い出の記』

「停車場にて」…日本人の「心」の在り方をしっかりと見ている。

 子供の無心さ、純真さはそれだけで大人を強く感化するものだ。

・「お貞の話」…誓い、愛情の強さ・・・「怨魂借体」

・「青柳の話」(cf.「玉すだれ」)…瘤寺での杉の木切り倒し

・「雪女」cf.夕鶴;「和解」(『影』);「安芸之介の夢」(『怪談』)

・「ある保守主義者」のモデル雨森信成(『こころ』)

相対的な「比較」が自国の文化や伝統知り、認識するための手順

 

 

★マルティ二―クについて

・くまもと「ハーン通信」No.7No.8

・マルティ二―クからの新聞(「プリンス通信」に訳あり)

・ヘルンの島根県教育会における講演「西印度雑話」(明治24・2・14)

 

熊本に於ける市民講座「ハーンとアイルランドの文化」

9 月:八雲作品の朗読とトーク「小泉八雲の怪談について」(ピーター・フラハティ、中村青史氏)

10月:講演「ジェーンズ像に新たな視点 “ジェーンズとハーン記念祭”から10年―」(田中啓介氏)

11月:講演「ハーンと夢」(アラン・ローゼン氏)

12月:講演「アイルランド最近事情」(小島 浩氏)

1 月:講演「ケルト文化について」(講師 未定)