「ラフカディオ・ハーンの会」ニュース NO.10(200162発行)

 

梅雨を控えて真夏日が続いておりますが、愈々水無月となりました。6月の声を聞くと、やはり昨日まで吹いていた同じ風でも、何となく夏の香りが漂ってくる気がして不思議です。昨日、61日は大田川の鮎釣り解禁の日でした。梅林の高瀬堰辺りでも、この日遅しと待ちに待ったAnglers達が、まるでboulevardsに沿って植わっている並木の如く、両岸沿いに見事な列をなして等間隔に糸を垂れている風景は実に壮観でした。

さて、第54回カンヌ国際映画祭の授賞式が20日の夜行われました。ご承知の如く、松田聖子の長女でタレントのSAYAKA14歳)が出演した米国映画『おはぎ』(Bean Cake、デイヴィッド・グリーンスパン監督)が、短編映画部門で最高賞(パルムドール賞)を受賞したそうです。ところが驚いたことに、この原作は、ハーンの「赤い婚礼」(The Red Bridal)なのです。ストーリーは極めて日本的で、幼馴染みの若い男女、太郎とおよしが心中する物語です。『小泉八雲事典』(恒文社)には、およしと言う女性が、ハーンが人間において最大に評価していた三つの資質、即ちユーモア、優しさ、勇気を備えた理想の女性として描かれている旨の説明が載っています。(p.5)本日は、1894年7月、アトランティック・マンスリー誌に発表され、その後『東の国から』(Out of the East)所収となった、この「赤い婚礼」を読んでみたいと思います。日本語訳の方は、講談社学術文庫にある『日本の心』(「小泉八雲名作選集」)から、仙北谷晃一氏のものを利用します。

 前回まで山田太一作『日本の面影』(NHKテレビ・4回シリーズ、1984)を鑑賞し、第2回まで見終わりました。本来ならば最後までご一緒に鑑賞しようと思っていましたが、折角集まっても話し合いの時間が少なくなるということから、暫時上映は中止して、ハーンの作品についての勉強会、意見交換会にする為、方向転換を致します。どうも事務局の悪い癖で、初志貫徹とならず、優柔不断で申し訳ありませんが、何卒ご同意くださいますようお願い申し上げる次第です。残りをご覧になりたい方は、どうぞ事務局までお申し出ください。ビデオ・テープを御貸しします。

1.《最近・各地の情報から》

・演劇制作体地人会(小田桐)『日本の面影』(山田太一作・木村光一演出)を、8月・9月に再演する。823日(木)東京公演(かめありリリオホール)、9月英国ロンドン公演、次いでアイルランド・ダブリンでも上演(風間杜夫、三田和代)。

519日(土)、焼津小泉八雲顕彰会で稲垣明男氏が講演。演題は「稲垣 巌に関する二,三のこと」

519日(土)、広島大学教育学部にて、日本英語教育史学会 第17回全国大会が開催される。松村幹男「広島英語教育の先達」(講演)

526日(土)、日本英学史学会広島支部大会が安田女子大学にて開催される。風呂鞏「小泉八雲とその今日性」(講演)司会は田村一郎先生

 

2、《本の紹介、10ロジャー・パルバース著(上杉隼人訳)『旅する帽子』(講談社、2000):移動・流転を重ねてきた自己の経歴の面から100年前のハーンの生き方と自己をダブらせ、明治日本の精神的風土である寛容性、これからの日本が生きるべき多元性・周縁性について、小説という形式をとりながら語る。ハーンの今日性についても思わぬ示唆を与えてくれる本である。

 

3、《次回予告》

松江の八雲会総会が8日〈日〉なので、第2土曜日の7月14(土)2時〜4時とします。なお、会誌の原稿を出来るだけ早く提出してください。

 

4、《新刊書》(事務局が最近入手したものを含む)

Lafcadio Hearn: Kwaidan (Mercure de France)『怪談』の仏語訳

・『耳なし芳一・雪女』(保永貞夫訳)講談社青い鳥文庫

・『怪談』(平井呈一訳)偕成社文庫

・『アニメ日本の名作―怪談・芳一ものがたり』〈金の星社〉

・小泉八雲文集『海の文学』(大谷繞石訳注)北星堂書店、大正10

宮沢賢治全集6「ビヂテリアン大祭」(ちくま文庫、1999