206回「広島ラフカディオ・ハーンの会」        (20171014

 

Every serious thinker knows that emotional transformation of the individual through education is impossible. To imagine that the emotional character of an Oriental race could be transformed in the short space of thirty years, by the control of Occidental ideas, is absurd. Emotional life, which is older than intellectual life, and deeper, can no more be altered suddenly by a change of milieu than the surface of a mirror can be changed by passing reflections. (The Genius of Japanese Civilization)

 

1】本日のスケジュール:

@「ある保守主義者」ABを読む

A 小泉八雲来焼120周年・焼津小泉八雲記念館開館10周年記念公演と

  シンポジュウム開催(108日)の参加報告(浮田ほか)

Bウォルター・ラッセル・ミードとの会見談(寺下)

 

2】ニュース&情報交換:

・行方昭夫東大名誉教授がモームの名作をもとに『英文精読術』、『英文翻訳術』、『英文読解術』を次々と出されていることは周知の通りである。今度の『英文読書術』(DHC2017)には、ハーンの怪談「葬られた秘密」A Dead Secret が採択されている。語釈、読書のポイントの助けを借り読みを深めては如何?また平井呈一訳と比較してみるのも一興、いや大変勉強になる。

・加藤友三郎元帥研究会第3回セミナー(98日、クレイトンベイホテル)

・新宿区立漱石山房記念館 924日(日)開館

開館記念イベント「漱石と日本、そして子どもたちへ」(竹下景子、半藤一利、宮崎駿)1028日(土)早稲田大学大隈記念講堂大講堂、14:00

・八雲会主催第51回「ヘルンをたたえる青少年スピーチコンテスト」924

・小泉八雲朗読のしらべ「夢幻」(佐野史郎、山本恭司、小泉凡)101、松江城二の丸内興雲閣で。なお、山本恭司のCDLafcadio』が発売中

・「小泉八雲を読む」感想文の募集、締め切りは3019まで

・小泉八雲来焼120周年・焼津小泉八雲記念館開館10周年記念(公演とシンポジュウム)108日、130分〜430

▲第1部:紺野美沙子氏公演「トークと音楽、朗読の時間」

▲第2部:シンポジュウム「地域資源としての文学」

 

3】次回の予定:114日(土)

★萩原朔太郎「日本への回帰」―我が独り歌へるうた(1

少し以前まで、西洋は僕等にとっての故郷であった。昔浦島の子がその魂の故郷を求めようとして、海の向うに竜宮をイメーヂしたように、僕等もまた海の向うに、西洋といふ蜃気楼をイメーヂした。だがその蜃気楼は、今日もはや僕等の幻想から消えてしまった。あの五層六層の大玻璃宮に不夜城の灯が燈る「西洋の図」は、かつての遠い僕等にとって、鹿鳴館を出入する馬車の轢蹄と共に、青春の詩を歌はせた文明開化の幻燈だった。だが今では、その幻燈に見た夢の市街が、現実の東京に出現され、僕等はそのネオンサインの中を彷徨してゐる。そしてしかも、かつてあった昔の日より、少しも楽しいとは思はないのだ。僕等の蜃気楼は消えてしまった。そこで浦島の子と同じやうに、この半世紀に亘る旅行の後で、一つの小さな玉手箱を土産として、僕等は今その「現実の故郷」に帰って来た。そして蓋を開けた一瞬時に、忽然として祖国二千余年の昔にかへり、我れ人共に白髪の人と化したことに驚いてるのだ。(『萩原朔太郎全集』第十巻、筑摩書房、昭和50

 

★島崎藤村「二三の事実」:

今日のヨーロッパ化のこの風潮に対して、過ぐる昔の時代のシナ化ということを考えてみるのも興味深いことだ。私たちの先祖の中には、今日のヨーロッパ崇拝家にも劣らないようなシナ崇拝家があったようだ。そういう人たちはシナ人のように書き、シナ人のように歌うほど大陸のほうにあるものに心酔した。しかしそうゆう人たちの骨を折って書き遺した漢文漢詩よりも、かえって婦人の手に成った日常の言葉の日記、おのずから読みいでた和歌、もしくは当時にあって戯文戯作とせられ滑稽文字とせられたもののほうに今日でもなお私たちの心を動かすものが多く残っている。(岩波文庫『春を待ちつつ』、昭和7

 

★「ある保守主義者」の大要:平川祐弘『破られた友情』より

〈第1節〉彼は武芸の訓練を受け、四書の素読を初めとする教育を授かり、祖先の霊を敬い、死をも恐れぬ武士に躾けられた。

〈第2節〉時代は黒船が来航した幕末期で、神風は吹かず、

〈第3節〉「夷狄」は内陸の城下町にもお雇い教師としてはいってきた。

 

《参考文献》:

・萩原朔太郎『日本への回帰』(白水社、昭和13

・森鷗外「舞姫」、「妄想」(現代文学大系4『森鷗外集』、筑摩書房、昭和39

・横光利一『旅愁』(全)(『日本文学全集』20、河出書房、昭和46

・竹山道雄「私の文化遍歴」(『竹山道雄著作集』2、福武書店、昭和58