「広島ラフカディオ・ハーンの会」第203回例会     (201771

 

Let me tell you that it would be a mistake to suppose that the stories of the supernatural have had their day in fine literature. On the contrary, wherever fine literature is being produced, either in poetry or in prose, you will find the supernatural element very much alive. (The Value of the Supernatural in Fiction)

 

1】本日のスケジュール:

@古川先生のお話(ケルティック能「鷹姫」について)

 古川先生は、去る216日(木)、Bunkamuraオーチャードホール(東京)で行われた一夜限りのプレミアム公演「ケルティック能・鷹姫」Celtic Noh “At the Hawk’s Well” を鑑賞された。

A「雪女」の原文から何が判るか

B「勝五郎再生記」についての補足(時間があれば?

 

2】ニュース&情報交換:

・桝井幹生氏の「追悼文 櫻井先生の思い出」が日本バラッド協会の情報広場欄に掲載された。(「洛北通信」平成29427日号より)

・読売新聞「小泉八雲の魅力に迫る」(2017523)広島ハーンの会紹介

・稲垣明男様よりお礼の葉書(523日)―貝嶋先生、藤森さん、井野口さんからお預りした写真を御送りしたことに対して

・池田雅之氏講演会「小泉八雲から日本文化の真髄を学ぶ」NHK文化センター青山教室、527日と624日の2回。参加費4,050

・日本・アイルランド外交関係樹立60周年記念「小泉八雲のみた神の国、日本」

63日(土)明治神宮参集殿。講演:平川祐弘「小泉八雲と神道―アイルランド的解釈とギリシャ的解釈」、牧野陽子「ラフカディオ・ハーンがとらえた神社の姿〜“A Living God”をてがかりに」

・峠三吉と四国五郎、駆けぬけた広島の青春(73日〜16日)広島市まちづくり市民交流プラザ1Fロビーにて。78日午後2時からは永田浩三氏の記念講演もある

・八雲会定期総会(72日)記念講演「ラフカディオ・ハーンの描いた女性像」(三成清香)、松江市総合文化センター

・「文学の宝庫アイルランド」展(小泉八雲記念館、627’18610

 

3】次回の予定:812日(土)

4】ハーンの再話「雪女」と杉野希妃映画「雪女」:

【再話】何かしら原典(original)があり、それを再話者が独自の読みと想像力で話をふくらませ、独自の文飾を凝らして近代語で語り直したものを言う。原話の選択はハーンの場合、人生の主題と文学趣味によって厳密になされている。

 

■《ハーンの「雪女」》:@恐怖と美;A愛;B夢 ⇒テーマは“愛”

@雪女との出会い、吹雪の中で茂作(老人)の死、口外しないとの「約束」

A一年後の再会→結婚→10人の子供

B「破約」→別れ(巳之吉を殺さない)〈母性愛、愛情物語〉

・芸術作品(詩的散文詩)→自己の芸術(美)と人生(仕合せ、夢)〈約束〉

・人間と厳しい自然との闘い、融和 〈愛〉

★短編→緊張感(背景が雪、「雪女」の恐怖と美)→究極の“怪談”

★雪女の台詞の役割と語りの口調(異界の者の声音)

★(日本で開眼した)表現の単純さ、平易な文体→傑作への要諦

★小林正樹監督『怪談』の「雪女」(1964)は、ハーン作品のイメージを忠実にスクリーン上で映像化した稀に見る(歴史に残る)メルヘン大傑作(小泉凡氏の評言では「原作と響き合う魂がある」)

●【補足】:翻訳から始めたハーンの文学歴、ゴーチェ流の装飾的な文体とボードレールの音楽的詩的散文との間で揺れ動いていたハーン(cf. 『飛花落葉集』、『中国怪談集』)→再話という文学形式の中に、自己の芸術(美)と人生(愛)の融和、人間と自然との闘い(恐怖)と調和(美)を追求して行ったのがハーンの夢、真実であった。ハーンは日本では装飾的文体の誤りに気付き、表現の単純さ、平易な文体に辿りついた。

●詩的散文体…散文詩、小品(スケッチ)、再話(民話、伝説)、随想

 

■《杉野希妃監督作品「雪女」》:

@出会い、茂作の死、約束、再会、別れ 〈「お前は可愛いね」の言葉なし〉

A結ばれる、娘ウメ誕生、ユキの謎めいた行動(夜出掛ける、赤い糸)

B周りで死が相次ぐ(cf. 自然死)…茂作、母、幼馴染の少年、同僚、ばあば

C(疑惑と)破約→静かに姿を消すユキ→巳之吉とウメ(混血)の二人が残る

D「冬眠をしている獣が見るのは子供を育てる夢」(ウメの言葉)

▲巳之吉は猟師(途中電機を作る工場で働く、松谷みよ子…親子の猟師)

▲渡し船、温泉でのラブシーン、成人の儀式、雨宮灯榮社

▲杉野希妃監督手記―“約束を破った夫の命も奪えず、自らが消え去る決定をした雪女こそ、人間的ではないか。一体何のために雪女は人間界にやって来たのだろう?cf. 目下、杉野氏の関心は「共同体と排除」であるらしい。