「広島ラフカディオ・ハーンの会」第202回例会     (201763

 

 And the Japanese fancy has its “Snow-women” tooits white spectres and goblins, which do no harm and say nothing, only frighten and make one feel cold. I can see the beauty of snow now, but still it makes me shiver. I think the Yukionna sometimes when I am asleep, passes her white arm through a crack of the amido into my sleeping room, and in spite of the fire, touches my heart and laughs. (To Basil Hall Chamberlain; February 5, 1893)

 

1】本日のスケジュール:

@田中先生ご発表「ヘルン先生とラジオ補習講座」(527)を聞いて

Aハーンの「雪女」について(右欄を参照)

B映画「雪女」の感想を発表し合う

C「勝五郎再生記」を読む(時間があれば…)

 

2】ニュース&情報交換:

・渡部昇一氏心不全で死去(417日、86歳)cf. 『知的生活の方法』正続

You Tube DHCテレビ「書痴の楽園」に次のものがある(30分x3

@#36 22歳〜ハーンとの邂逅〜

A#37 22歳〜ハーンと漱石 運命の時代〜

B#38 22歳〜ハーンが教えてくれたこと〜

 ◆司会(宮崎美子)、工藤美代子出演

・日本英学史学会中国・四国支部ニューズレターNo.89201755

・山陰日本アイルランド協会 総会(528日、県立短大):アイルランド・日本外交関係樹立60周年記念「茂山千五郎家と行くアイルランド」狂言観賞ツアー9日間の旅(724日〜81日)

・日本アイルランド協会50年史特別号『エール』(20173)広島ラフカディオ・ハーンの会浮田佐智子さんの「小泉八雲とアイルランド」も載る(p.256

・桑島秀樹広島大大学院教授が第14回木村重信民俗藝術学会賞を受賞

cf. 評論集『生と死のケルト美学』

・ロンドン漱石記念館再開へ(恒松館長の自宅に来夏)

・くまもとハーン通信『石仏』no.24 (熊本地震特集号)

・焼津小泉八雲顕彰会総会(79日)講演:ロジャー・パルバース「21世紀―小泉八雲の旅―」

 

3】次回の予定:71日(土)

 

4】「雪女」考:

・ハーンの「雪女」は、6頁ばかりの短編ながら、数多くの再話作品の中でも最もよく知られている作品(『小泉八雲事典』p.664)。

ハーンが「雪女」について言及しているものに、次の4つがある。

@『怪談』の原序(Preface)西多摩郡調布村に伝わる伝説

A『日本瞥見記』第25章「幽霊とお化け」金十郎の父の見た雪女

Bハーンのチェンバレン宛書簡(189325、熊本)雪女伝説

C小泉一雄編『妖魔詩話』“ハーンの雪女のスケッチ”

・原話との関係…はっきりとは判っていない←青梅出身の庭師宗八

・雪女の話は古来、恐怖の対象、異類婚姻譚、笑話化したもの(3種)がある

・異類婚姻譚の型⇒「出会い・再会・別れ」の3部構成(cf. 羽衣伝説、三輪山伝説、鶴女房)を踏んでいるが、二面性をもつ雪女の不思議な魅力

・殺人、恋愛、破約(裏切り)、別離など劇的要素が多く盛り込まれている

・多様な解釈が可能…この作品に秘められた意味の豊かさと象徴性

・少年期の体験(父母の離反、夢魔に襲われたり白昼夢を見る恐怖の体験、左眼失明事件など)やマティとの恋愛などと深い関係を持つ怪異譚

・小林正樹監督の映画「怪談」(昭和39)で岸恵子が雪女を演じた

・田中徳三監督の映画「怪談雪女郎」(1968

・黒沢明監督の映画「夢」(1990)“こんな夢を見た「雪あらし」”

・杉野希妃監督(第3作目)の映画「雪女」…恐怖と神秘と、そして雪の結晶のように繊細ではかなく美しい愛の物語。21世紀の雪女、精緻に構成されたエロティシズムと畏れの脈打つ力作。(日本の古典怪談を新解釈!?

 

《参考文献》:

・牧野陽子「雪女―世紀末“宿命の女”の変容」(『小泉八雲 回想と研究』講談社学術文庫、1992

・藤原万巳「増殖する雪女」(『ユリイカ』青土社、19934

・橘正典『雪女の悲しみ』(国書刊行会、1993

・グレン・グラント『ハワイ妖怪ツアー』(大栄出版、1995)藤野治美ほか訳

・伊勢英子=絵『雪女』(偕成社、2000)訳・平井呈一

・中田賢治「雪女」(『小泉八雲論考―『怪談』を中心として』、2003)私家版

・大島廣志『伝承の現実 民話』(三弥井書店、2007)「雪おんな」伝承論

・田中榮一『伝承怪異譚―語りのなかの妖怪たち』(三弥井書店、平成22

◆昭和レトロ商品博物館『雪おんな』(クレイン、2002)には、シンポジュウム「八雲の「雪おんな」と青梅の風土」が載っている

◆安部信一郎・紙漉の出雲民芸紙『雪女』が発売さる(平成281月)