要 望 書(7)
私どもは5月25日、低用量経口避妊薬(ピル)の審議継続を求める第6回目の要望書ならびにアピールを提出いたしましたが、さらに次の資料を入手いたしましたので、それらを添付のうえ、審議を継続され慎重に検討されることを要望いたします。
●「内分泌攪乱化学物質」として医薬品の安全性を再評価することが重要です。私どもはピルに関してこの点を訴えてまいりましたが、薬学や医療の現場からも同様の問題提起がなされています。
昨年8月、新薬学研究者技術者集団の方々は、厚生大臣にあてて「妊娠中に投与される女性ホルモン剤の安全性確保についての要望書」を提出されています。そのなかで、「医薬品として使用されている女性ホルモン剤は、今日、環境ホルモンとして問題となっている多くの化学物質に比べて、はるかに強いホルモン(内分泌かく乱)活性をもっている。また、量的に見ても、女性ホルモン剤の臨床的用量は、推定される環境ホルモンの暴露量をはるかに超えるものと考えられる」ため、「医薬品としての女性ホルモン剤の安全性を確保するための緊急な対策が必要」と述べられています。また、具体的な薬剤(子宮頚管熟化剤)の安全性の再評価のみならず、「過去に、妊娠中に女性ホルモン剤の投与を受けた母親からの出生児について、女性ホルモン剤暴露の影響を明らかにするための調査を行うこと」などを要望されています。
@Aとも、その問題意識については私たちがピルに対して抱いている危惧と一致しています。
@の「妊娠中に女性ホルモン剤の投与を受けた例の追跡調査」は、薬剤の投与時期が違うとはいえ、私どもが臨床試験中の妊娠例の追跡調査を要望している点に該当します。
Aについてはまだサンプル数が少なく問題提起の段階とはいえ、公害や薬害の発見が臨床現場からの問題提起より始まっている歴史をみるとき、軽々に見逃すことはできません。ここで使用されているステロイドホルモンはピルに使用されているホルモンと近縁関係にあり、ピルについても同様の危惧を払拭することはできません。性比以外の健康面への影響も心配されます。また私どもは第6回目の要望書で内分泌攪乱化学物質の毒性が「逆U字型反応」としてごく低濃度でも現れているということを指摘しましたが、このAの例でも「ごく微量」のステロイド剤の影響が、量が多いものよりもかえって異常を起こし得るのではないかという懸念が表明されています。
いずれにしましても、@Aの例は、医薬品も化学物質のひとつとして「内分泌攪乱」という視点から毒性評価の見直しが迫られる時代に来ていることを認識させるものです。
医薬品の安全性を審議して承認の可否を決定すべき中央薬事審議会ならびに厚生省がこうした厳しい現状認識にたってピルの認可問題を慎重に審議されることを要望します。
1999年5月31日
厚 生 大 臣 宮下創平殿
中央薬事審議会会長 内山 充殿
「エコロジーと女性」ネットワーク
参考文献
1)
新薬学研究者技術者集団の厚生大臣宛て要望書 1998年8月19日付け
2) 妊娠中に投与されている女性ホルモン剤とりわけ子宮頚管熟化剤プラステロン硫酸ナトリウム(商品名マイリス)の安全性 〜厚生省への申し入れについて〜 新薬学技術者集団による説明文書
3) ステロイド(cs)外用剤が胎児に及ぼす影響についての疫学的考察:幸寺恒敏(島津医院アレルギー科):1999年5月13―15日 日本アレルギー学会予稿集p.379