要望書(5)
私たちは、これまでにもピルの認可に関して慎重な審議を要望してまいりましたが、以下の点につきましては特に留意していただきたく、要望いたします。
1.処方の異なる製剤については個別に評価されること。特に第三世代ピルについては慎重に扱われること。
現在申請中のピルは6処方となっています。「中間とりまとめ」ではこれらのピルがひとまとめにして評価されています。薬剤の認可にあたって、処方の異なるものを同一に扱うことは非常に無責任なことと思われます。
とりわけ、申請中の製剤の中で第三世代ピル(マーベロン)については慎重な取り扱いが求められます。第三世代ピルはそれまでの第一世代、第ニ世代のピルよりもさらに血栓症のリスクを増加させることが報告されていることは貴委員会におかれましても周知のことと存じます。第三世代ピルのリスク増加については私どもも資料を提出しております。欧州では回収の必要性までは認めていないものの、ドイツでは使用にあたっての制限が出され、イギリスでも処方上の注意勧告が出されています。マーベロンについてノルウェーでは「他の避妊薬を使うことが適当でない場合を除いて」処方をしないよう医師に通達が出されています。日本の製薬会社の資料(1)によれば、「ドイツを除く欧州各国の規制は緩和されていない」とされています。
私たちが1月29日に提出しました「意見書ならびに要望書」に添付しましたイギリスの「ピルに関連する死亡例」では、マーベロンで8件、また申請中の別の製剤(トリキュラー、リビアン、トライディオール、アンジェ)と同処方の製剤(Logynon)でも3件の死亡例が挙がっています。
それぞれの製剤についての違いがわからなければ、仮に認可された場合でも医師すら的確に選択することはできないと考えます。
「中間とりまとめ」以降の審議におかれましては、処方の異なる製剤についてそれぞれに評価されることを強く要望いたします。
2.ピルの使用頻度が高いと言われているオランダ、デンマークでは、ピル服用を中止したのちの、妊孕力の問題が出されております。
厚生省の第82回人口問題審議会総会(1998年11月26日)に招聘されたデンマーク人口研究センター研究講師のリスベス・クヌードセン氏はピルの有効性に関する質問の回答の中で、「子どもを産むのをずっと遅らせていて、今は子どもが欲しいと思っている女性が、なかなか思うように子どもをつくれなかったり生めない。…そういうこともいま問題として考えております」と述べています。またオランダ学際人口研究所研究員のギース・ベーツ氏は、「30代に入って急にピルをやめると、すぐに妊娠すると思い込んでいる人が多いので、そんなに簡単にはいかないということを今度徹底的に教えてあげたいと思います。…ピルをやめてからの健康の教育とかそういうことをこれからはもっと努力をしなければならないと考えております」と、それぞれ発言しています(2)。
長期にピルの使用経験があり、しかも使用率の高いと言われるこれらの国の状況について、さらにデータを収集され、ピル服用後の妊孕力の問題として検討されることを要望いたします。
1999年3月1日
「エコロジーと女性」ネットワーク
厚 生 大 臣 宮下創平殿
中央薬事審議会会長 内山充殿
参考資料
(1)「薬剤疫学論文の評価研究」その2、日本RAD-AR協議会海外情報研究会 1998年2月、p.7
(2)第82回人口問題審議会総会議事録、(p.16-17)、1998年11月26日