服用前の検査、服用中の定期検査の項目、時期など
ピルの処方にあたっては次のような検査を目安とするように勧められています。ただし、ピルの気になるニュースにも載せましたが、きちんと検査を行っている医師は非常に少ないようで、心配しています。以下は、「低用量経口避妊薬(OC)の医師向け情報提供資料」より抜粋しました。これはピル認可の際に厚生省から出されたものですが、実際の作成にあたっては日本産科婦人科学科う、日本母性保護産婦人科医会、日本不妊学会、日本性感染症学会、日本家族計画協会、日本エイズ学会の協力で作成されたものです。
ピルを飲むということは、こんなにも検査を受けなければいけなくなる、ということでもあります。つまり、それだけリスクもある薬だということです。
1.処方前のスクリーニング検査例
検査項目 |
|
一般検査 |
1)血圧測定 2)身長・体重測定 3)身体的診察(特に甲状腺腫、心肥大、心雑音、肝腫大の有無) 4)検尿(蛋白、糖、ウロビリノーゲン) 5)血液生化学検査(AST(GOT)、ALT(GPT)、コレステロール、中性脂肪) 6)血液学的検査(赤血球、白血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板) 7)血液凝固系検査(血栓症のリスクが高いとき) |
婦人科的検査 |
1)内診(妊娠、子宮筋腫、子宮内膜症などの有無) 2)子宮頚部細胞診 3)乳房検診(触診) |
性感染症検査 |
クラミジア(重要)、梅毒、淋病、B型肝炎、HIVなど |
2.OC(ピル)服用中の定期検査
定期検査項目
OC(ピル)服用による副作用の出現をチェックするため、定期的に問診と検査を行う必要がある。その際にはOC(ピル)の副作用を念頭においた計画的な定期検査を行う。
検査の時期としては、少なくとも服用開始直後は1ヶ月目、3ヶ月目、以後は3ヶ月毎に検診し、早期に副賞の発生を抑えるために十分な問診を施行すべきである。臨床検査は検査項目に応じて、6ヶ月〜1年毎に実施する。また、婦人科的検査及びSTD(性感染症)検査は、服用後6ヶ月毎に行うことが望ましいが、間隔や内容は、問診等による症状や個人の性行動に応じて、服用者とも相談し、個別に医師が必要性を判断する。なお、耐糖能異常のある人では定期的に血糖値等の検査が必要である。
| 検診時期 | 診察 | 臨床検査 | |
| 服用開始1ヶ月後 | 保健指導および服用状況のチェック | 問診、血圧測定、体重測定 | |
| 服用開始3ヶ月後 及び以後3ヶ月毎 |
保健指導および服用状況のチェック | 問診、血圧測定、体重測定 | |
| 服用開始6ヶ月後 及び以後6ヶ月毎 |
保健指導および服用状況のチェック | 問診、血圧測定、体重測定、身体的診察、婦人科的診察、乳房検診 | 血液学的検査 血液生化学検査 STD検査(クラミジアなど) 血液凝固系検査(血栓症のリスクが高いとき) |
| 服用開始1年後 及び以後1年毎 |
保健指導および服用状況のチェック | 子宮頚部細胞疹 |
NEW(2001.10.22)
服用を中止する場合
OC(ピル)服用による副作用として重篤なものは、静脈血栓塞栓症、心筋梗塞などの心循環器系の異常、ホルモン依存性の腫瘍、肝胆系の異常、糖代謝・脂質代謝の異常などが考えられる。これらの副作用は、場合によっては声明に関係する場合があるので、十分な注意が必要である。
服用中に異常が起こった場合あるいは定期検査でこれらの出現が疑われたら、服用を中止するとともに必要な検査を実施して、異常とOC服用の関係を精査すべきである。OCの副作用に関係した症状、状態(表T)や異常検査所見(表U)が認められた場合および原因不明の症状が発生した場合は直に服用を中止させる。特に、血栓性静脈炎又は血栓塞栓症の初期症状が発生したときには、注意が必要である。
表T.服用を中止すべき症状又は状態
| 服用を中止すべき症状 | 疑われる疾患 | |
| 1 | 片側または両側の下肢(ことに‘ふくらはぎ’)の痛みと浮腫 | 血栓性静脈炎 |
| 2 | 胸痛、胸内苦悶、左腕、頚部等の激痛 | 心筋梗塞 |
| 3 | 突然の激しい頭痛、持続性の頭痛(偏頭痛)、失神、片麻痺、言語のもつれ、意識障害 | 出血性・血栓性脳卒中 |
| 4 | 呼吸困難(突然の息切れ)、胸痛、喀血 | 肺塞栓 |
| 5 | 視野の消失、眼瞼下垂、二重視、乳頭浮腫 | 網膜動脈血栓症 |
| 6 | 黄疸の出現、そう痒感、疲労、食欲不振 | うっ滞性黄疸、肝障害 |
| 7 | 長期の悪心、嘔吐 | ホルモン依存性副作用、消化器系疾患 |
| 8 | 原因不明の異常性器出血 | 性器癌 |
| 9 | 肝臓の腫大、疼痛 | 肝腫瘍 |
| 10 | 体を動かせない状態、顕著な血圧上昇が見られた場合等 | 静脈血栓症への注意 |
表U.服用を中止すべき他覚所見、検査所見
| 1.血圧の上昇 2.AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇 3.理学的所見の異常 4.子宮の増大 5.乳房腫瘤の出現 6.貧血の出現 |
7.出血・凝固系検査の異常 8.性器癌検査の異常 9.体重の急速な増加 10.血中脂質の増加 11.原因不明の異常性器出血 |