ピ ル と ガ ン

 ピルについては処方時の服用者への説明書でも、ピルの服用が乳ガンや子宮頚ガンのリスクを高めるといったことが書かれていると思います。1999年には、世界保健機構の付属機関である国際ガン研究機関でピルの発ガン性について調査した報告書が出されています。また、乳ガンにかんしてはアメリカで1997年に出版されている『乳ガン予防プログラム』という本でピルによるリスクについて触れてありますのでご紹介します。

1.国際ガン研究機関(IARC)の最新の分類

 合剤型ピルはヒトに対する発ガン性がある。(グループ1に分類。「ホルモン避妊薬と更年期のホルモン療法に関する国際ガン研究機関モノグラフ」、1999年刊)
 (ただし、同報告では卵巣ガンと子宮内膜(子宮体)ガンについては予防効果があるようであるということも述べています。)

 グループ1ヒトに対して発ガン性を示す。

  このカテゴリーは人に対して発ガン性を示す十分な証拠がある場合に用いられる。

 グループ2Aヒトに対しておそらく発ガン性を示す。

 グループ2Bヒトに対して発ガン性を示す可能性がある。

 グループ3:ヒトにたいする発ガン性について分類できない。

 グループ4ヒトに対しておそらく発ガン性を示さない。

このモノグラフの「概要」の中では、次のように記されています。

●経口避妊薬の使用は人間の活動としては最近のものであり、世界中で最も広く使用されている薬剤にもかかわらず、女性の健康への利益と副作用は完全な一世代にわたってもまだフォローされているわけではない。1960年代に20歳前で経口避妊薬を使用し始めた女性たちはほとんどの悪性の病気の発病が増加し始める年代(50−60歳)に今やっと到達しているところである。

●同じ化学的グループに属するエストロゲンとプロゲストーゲンでも異なるエストロゲン、アンドロゲン、プロゲストーゲン効果をもっている。個別の成分の長期における健康へのリスクと予防効果はあまりわかっていない。女性たちが年齢を重ねるに従って、経口避妊薬に始まって閉経後のホルモン療法に進むなど、彼女たちは異なるタイプと用量のホルモンに曝露することもあり、その影響は非常に複雑になってきている。

*結局、世界の女性たちは今もピルによる人体実験の途上にあるといえるのではないでしょうか?
  
もちろんピルを飲んだ人の誰もがガンにかかるわけではありません。けれども、ピルは毎日、そして人によってはかなりの長期間服用することもある薬です。私たちの周りにも発ガン性のあるものは少なくありません。そうしたものはできるだけ避けるに越したことはないのではないでしょうか。

*なお、この“モノグラフ”では、更年期のエストロゲン療法の発ガン性はグループ1、エストロゲン/プロゲストーゲンのホルモン療法はグループ2Bに分類されています。

2.『乳ガン予防プログラム』(サミュエル・エプスタイン、1997年、アメリカ)

 この本では「ピル」という章を設け、たくさんの医学論文を引用しながらピルが乳ガンに及ぼすリスクを説明しています。そして乳ガンの予防のために「あなたにできること」として、できるならピルを飲むのをやめること、特に次のような女性は直ちにやめるようにと忠告しています。それは、
 ★まだ一度も満期の出産を経験していない女性、
 ★25歳未満、20歳未満ならなおさら、
 ★家族に乳ガンの人がいる女性、そして
 ★良性の胸の疾患歴がある女性、

となっています。

 著者のエプスタイン博士はイリノイ大学公衆衛生部門の労働・環境医学の教授であり、ガンの環境的原因に関する国際的専門家です。1998年にはガン予防対策の大家として、そしてガンの要因となる化学物質についての警告運動の先駆者として「もうひとつのノーベル賞」と言われているライト・ライブリフッド賞を受賞しています。

3.「エコロジーと女性」ネットワークは厚生省に提出した「要望書」の中でガンのリスクに関する論文をいくつか紹介しています。その一部を紹介します。その他の文献、出展など詳しくは「要望書」の中の「意見書」をご覧下さい。

@乳ガン

出典 この欄は厚生省が公表している部分です 厚生省が触れていない点、または別の文献での報告
(1)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相対リスク
現服用者
   1.24 
服用中止後1‐4年 1.16
     同   5‐9年    1.07
     同 10年以降  1.01

 

 

 

 

 

 

 

 

20歳未満の服用開始では、リスクがもっと高くなる。
@服用開始年齢が20歳未満の場合       
 現服用者         1.59         
  
 服用中止後1‐4年     1.49                      

     同    5‐9年    1.07                      
   
 同    10‐14年    1.13               
    同  15年以降      1.14                   
                                                       
A30歳前に乳ガンと診断されたもの                                
 20歳未満で服用開始し中止後1‐4年 1.95

B30‐34歳で乳ガンと診断されたもの
 20歳未満で服用開始、中止後1‐4年 1.54

C人種別リスク  アジア人
服用中止後1‐4年      1.35

同    5‐9年      1.19
同    10年以上     1.02

Dその他、
   未経産婦で現使用者のリスク  1.30

    第一子出産前ピル服用開始の現使用者  1.33

(2)

 

 

閉経期前の乳癌患者の診断平均年齢
@非服用者                 46.3歳
   服用者20歳前にピル服用開始     36.5歳

     20―24歳で開始                    41.5歳
   25歳以上で開始                      45.9歳
 ピル服用患者では非服用患者と比べて、腫瘍が大きく、腋窩への転移の頻度が高く、エストロゲンとプロゲストゲンのレセプター濃度が低く、生存率が低い。

A子宮頚ガン

(7)

 

非服用者と服用者との比較
  オッズ比    2.1

 

1970年代初期から1980年代半ばまでの間にアメリカでは子宮頚部の腺癌は35歳未満の女性の間で2倍以上の発生率となった。一方扁平上皮腺癌は同時期に減少した。
 最高リスクとなったのはピル服用12年以上のものでみられた(オッズ比 4.4)が、服用1-6ヶ月でもオッズ比は2・9であった。
(8)

 

 

 

非服用者と服用者との比較
  相対リスク  1.5

 

 

服用期間と服用開始年齢による相対リスク
                   服用期間(月)
服用開始年齢    12ヶ月未満    13‐60ヶ月   60ヶ月以上
 20歳未満           2.8         1.9        6・2
 20-24           0.8         1.8        2.6
 25-29           1.3         1.6        0.8
 30-34           1.3         0.9         1.3
 35歳以上         1.9          1.9          2.0