【IO's FACTORY】

ある日のひげじい
このページの最終更新日は 2001/6/4です

 < 1.備長炭 >
 ある日曜日の朝、ひげじいはホームセンターで備長炭を買いました。 「へへへ、きょうはこれを入れてゴハンをたくぞー!」

 備長炭には色々な効用があり、お風呂に入れれば水がきれいになり、下駄箱に入れれば靴の臭いをとってくれてゴバンを炊くときに入れればふっくら美味しく炊き上がると聞いています。

 「どのくらい入れればいいのかな〜♪」 奥さんは一本でいいと言っていますが日曜日はひげじいがゴハンの支度をしているので、ひげじいはもっと入れちゃおうと思っています。

 夕方ひげじいがふっと見ると奥さんが炊飯器をセットしています・・・「奥さん、備長炭は入れてくれましたよね?」、でも奥さんは入れてくれてませんでした。そして備長炭の入ってたハコを指差して、「だってほら、ココに“タワシなどでよく洗い、ナベで沸騰させ、よく乾燥させて使いましょう”ってかいてあるでしょ?」と奥さんはいったのです。

 ひげじいは備長炭をタワシでこすりながら思いました『ハコも見るもんだな・・・』 と。



 < 2.夜中の奥さん >
  朝、いつもの時間にひげじいは奥さんに起こされました、奥さんはイオ君をオンブしています。

 「イオ君が寝てくれなかったの?」と聞くと、奥さんは目をショボショボさせながら頷きました。イオ君は夜中
3時頃からずーっと元気に遊んで寝てくれなかったとのことです。ひげじいは「イオ君が起きちゃったら、ひげじいのことも起こしていいんですよ。ひとりじゃ、つまんないでしょ?」と、言ったのですが、翌日会社に行くひげじいを起こすことは出来ないよと言われて「うちの奥さんはやさしいな。」と、ひげじいは思いました。

 会社に向かう電車の中、ひげじいは夜中にひとりでイオ君をダッコしたりオンブしたりしてる奥さんのことが
なんだかカワイソウになって「きょうはなるべく早く帰ろう。」とつぶやきました。

 しかし、奥さんが夜中にバナナを2本・ヨーグルト1個・柿の種一袋・ピーナッツチョコ一袋・カップラーメン
1個食べていることを、ひげじいが知ることはなかったのでした。



 < 3.鼻血 >
  ひげじいには、悩み事がひとつありました、それは隣で寝ている奥さんの寝相がわるいことです。奥さんはひげじいがベッドから転げ落ちるまで右に左にゴロゴロ寝返り、真中で大の字になって寝るのです。今日もひげじいは奥さんにベッドから追い出されたので、床の上に座布団を並べて寝ていると・・・奥さんがイオ君のオムツを替えるから、そんな所で寝てないでベッドで寝てくれと、ひげじいを起こしました。「やれやれ。」と、ひげじいは自分の枕を抱えてベッドに戻りながら昔のことを思い出しました・・・

 それは、ひげじいが奥さんと結婚して、ちょっと経ったころでした。その日も奥さんの寝相は凄まじく、ひげじいはグイグイとベッドの端に追いやられていました。と、いきなり奥さんの肘鉄がひげじいの鼻を直撃したのです!なんと、ひげじいの鼻からは血が出てしまいました。ひげじいは鼻血をティッシュでおさえ、痛いけど何も言わないで寝ました。そして翌朝…奥さんはひげじいの鼻を見て「やだー、ひげじいったら、朝から鼻血なんかだして〜。」なんて言ってクスッっと笑ったのです。

そんな事を思い出しながら、今日もひげじいはベッドの端っこで小さくなって寝ているのでした。

                                                               1999.05.30


 < 4.悲しい日 >
  「きょうは、ひげじいにとって悲しいだけの日だったよ。」 夜、会社から帰ったひげじいは奥さんにボソッと言いました。 ― 凍りつく食卓・いったい何があったのか?平穏な生活に突然の影が…! ―

 まじめに働いてきたひげじいの人生にとって、こんなにも悲しいことって、めったにない・・・ということがおきたらしいのです。
ひげじいの会社で、健康診断のシーズンを迎えました。昨日、今日で会社の人間は受診するのです。いつもなら、事前に診断票が個々にきて、それに記入の上受診にいくのです。でも、今年、ひげじいには診断票が届かなかったのです。だから健康診断を受けることができませんでした。変だな?と思ったら、他に2−3人、そんなヒトがいました。ナゼみんなと健康診断を受けられないのか? この4人に共通することは何なのか?

 ついに一人が人事部に問い合わせをしたところ、大変な事実が判明したのです。ひげじいを始め、何人かは、もう、健康診断を受けられない体だと言うのです。つまり、今後は人間ドック対象者ということになってしまったのです。ひげじいは、周りから、年長者呼ばわりされるトシになってしまったのです。後輩は、目を見張っていいました"えー、ドックなんですかあ、へーえ、そうなんですかあ"上司には"そうか、オマエもやっと我々大人の仲間入りをしたな"とまで、言われました。仲間入りなんてしたくなかった・・・。ひげじいはまだ若い、なのに・・・。これから、ひげじいのバリウム人生が始まるのかと思うと…ひげじいは悲しくなったのです。

 「おうちに帰って奥さんになぐさめてもらおう。」とトボトボ帰ってきたひげじいに詳細を聞いた奥さんは「なんだ、そんな事!大丈夫だよ、最近バリウムも飲みやすくなったって言うしね。人間ドックどこで受けるの?何の検査するんだろう?そうだー、バリウムってトイレで流れないんだよね。前の日から食べちゃいけないんでしょ?バリウム、バリウム、バリウム 〜」―傷口に塩をすり込まれる思いのひげじいなのでした。 

                                                               1999.06.07

 

 < 5.ブロッコリー >
 ないしょですが、ひげじいは賢い主夫なのです!会社が休みの土日にゴハンの支度をするひげじいは、月曜日から金曜日まで奥さんがゴチャゴチャにした冷蔵庫を、テキパキと整理しながらおいしいおかずを作るのでした。きょうも干からびかけた野菜や賞味期限の切れそうな惣菜が救われテーブルに並んでいます。そんなひげじいはダイコンの葉やキャベツの芯も無駄にしません。そのままだと奥さんが食べてくれない鶏肉の皮も調理用のハサミで細かく刻んでスープに入れます。

 そんなひげじいを悩ませる敵、その名は“ブロッコリー”・・・の茎?!

 奥さんは「茎はすててね。」と言いますが、ひげじいは捨てたくありません。だって、食べるとこより茎のほうが大きかったりします。その日、ブロッコリーを茹でてサラダで食べることにしました。そこでひげじいはブロッコリーの茎を横にスライスして茹でました。しかし茎の芯はドロドロで、皮はボソボソで味もなく食べられません「ごめんね、ごめんね…」と、ひげじいはブロッコリーの茎をすてました。
そして別の日、スープにブロッコリーを入れることにしました。今度こそはとブロッコリーの茎を縦に薄くスライスして茹でました。なんとか、なんとか食べられるものの、やはりマズイ。「ごめんね、ごめんね…」と、ひげじいはブロッコリーの茎をすてたのです。奥さんは絶対食べられないんだよと言いますが、ひげじいは『こんどは天ぷらにしてみよう。』と思っているのでした。

                                                               1999.06.14


 < 6.きっと明日は… >
 ひげじいはお給料日に奥さんからお小遣いをもらいます。会社のお昼には一番安い“鶏飯弁当―380円”とかを食べて、お小遣いを節約しています。そして奥さんにプレゼントを買ってあげたり、いざとゆう時の為に貯金とかもしています。

 そんなひげじいの苦労を知ってか知らずか…お休みの日にひげじいと一緒にお買い物に行くと奥さんは「あーっ、お財布忘れたからお金かして。」とか、「小銭かして。」とか、「お財布は持ってきたけど、お金が入ってなかった。」とか言ってひげじいにお金を出させるのでした。ひげじいの財布にはもう1000円ぐらいしかありませんから、奥さんに言いました「奥さん、ひげじいの財布には1000円しかありませんよ。」でも奥さんは「よしよし、かわいそうだね。」なんて言っています。もう少し時間が経ってから言ってみました「奥さん、さっきひげじいは買い物でお金を使っちゃいましたよ。」でも奥さんは「よしよし、大変だね。」なんて言ってます。
 あしたの朝、もう一回言ってみようと思っているひげじいなのでした。

                                                               1999.06.21


 ショート・ショートひげじい

ひげじい―「奥さん!おトイレブラシが台所に掛かってるよ。」
おくさん―「それは、コップブラシってゆーんだよ!」

                                                               1999.06.30


 < 7.カリアゲひげじい >
 「そろそろ床屋さんに行かないとな。」ひげじいは奥さんに言いました。奥さんは夏だから刈上げにしたらと言っています。・・・刈上げ・・・かりあげ・・・なんだろう?むかしイヤなことがあったような気がするひげじいです。

 あれはまだ、ひげじいが休みの日もひげを剃っていて、奥さんが毎日化粧していた頃。平たく言うと結婚前。その日ひげじいと奥さんは銀座でシャレこんでデートの約束をしていました。待ち合わせはマクドナルド。前日に床屋に行ったひげじいは、床屋の親父に思いっきり刈上げられてしまったのです。会社では上司に「やっぱり男はこれだよなー。」と頭をなでられてしまいました。奥さんに会ったら何か言われるかなと思いながらマクドナルドに着きました。奥さんは一足先に着いてコーヒーを飲んでいたのですが、ひげじいに気づくと・・・
「ドワッハハハーッ」っと吹き出して大笑いしたのです。時間が経っても奥さんの笑いは止まりません「顔見ると笑っちゃう!」とかいって下向いてるのです。せっかくのデートなのに、マクドナルドなのに、銀座なのに!!!

 そうだった・・・絶対刈上げにはしないぞ、と思うひげじいなのでした。
                                                               1999.06.30

 

 

 ショート・ショートひげじい

ひげじいはグラタンに醤油をかけて食べる

                                                               1999.07.15


 < 8.大雨洪水警報 >
 この日は朝から雨が降り続き、天気予報でも大雨洪水警報が出ていました。お仕事がチョット長引いて、帰りが遅くなってしまったひげじいを乗せた電車が、ナント!ひげじいの降りる駅の一つ手前で動かなくなってしまったのです。一つ手前とはいえ、そこは山あり谷ありグルリと弧を描いていたりで歩ける距離ではありません。駅のアナウンスも「復旧のめどはたっていません」と言うばかりで、もう40分も経ってしまいました。奥さんに電話したら車で迎えに行くと言いますが、この大雨の中を赤ちゃんを乗せた奥さんが事故でも起こしてはと心配です。あとでまた電話することにして一応駅を出ることにしました。
  駅のロータリーは大洪水で車が入って来ると海のように波が立っています。車のタイヤも水の中です。
「これじゃ、奥さんに迎えに来てもらうのは無理だな」と思ったひげじいの目にバス停が映りました!バス停に急ぐひげじい!バシャバシャと水を掻き分け、誰かを迎えに来た車にブーブーとクラクションを鳴らされ、水を浴びせかけられ・・・ところがバスはもう無かったのです。呆然とひげじいはロータリーを出て奥さんに電話しました、やはり、どこかまで来てもらうしかないと思ったときです。ひげじいの降りる駅まで行くバスがこっちに向かって来たのです、またまた駅に走るひげじい。間に合うのか?ひげじい!
  ありがたいことに、大雨で大幅に遅れたバスがあったのです。ずぶぬれの乗客をぎゅうぎゅうに満載したバスに乗ったひげじいは「ああ、助かった」と思いました。もう少しで駅に着くかなと外を見たとき、さっきひげじいがあきらめた電車がひげじいの乗ったバスを追い越して行ったのです。「ひどい…ひどすぎる…駅で待ってりゃ良かったんだ…」誰にもぶつけられない悔しさをかみしめるひげじいなのでした。 
                                                               1999.07.15


 ショート・ショートひげじい

最近のひげじいのお気に入り ― たれぱんだのライター

                                                               1999.08.02


 < 9.胃カメラ >
 なんだか最近のひげじいは辛そうです、毎日お腹のあたりが痛むのです。奥さんが病院に行くように言っても、お医者さんの嫌いなひげじいは「寝ていれば治りますよ。」とか言って行きません。でも、あんまり奥さんがうるさく言うし、痛みも我慢できなくなってしまったので病院に行くことにしました。診療の結果―来週胃カメラで見てみましょうということになりました。ガーン!「胃だったのか!」・・・そうとは知らずにひげじいは、筋肉痛かと思って冷シップ薬を貼ってみたりしていたのでした。奥さんなんか「なにしてるの?お腹に冷シップなんか貼っちゃだめでしょ!温シップにしなさい。」と買ってきてくれたのに、あれはゼンゼン見当違いだったのです。

 そして検査当日・昨日の夜から水も飲まずに胃カメラに臨んだひげじい…先生は「唾液が出てきたら我慢しないで垂れ流しちゃっていいですよ。」なんて言ってますが、ひげじいはオエーッっとなるのも我慢して頑張りました。胃カメラの映像を後で見せてもらうと胃の入り口と出口に真っ赤に炎症がありました。ひげじいは胃潰瘍だったのです!検査後の注意事項の書いた紙と薬をもらってトボトボとお家に帰ったひげじいは奥さんに「ヒドイ目に合ったよー。」と、訴えました。でも奥さんが買い物があるって言うので買い物も行って、赤ちゃんのお散歩にも行って、夜はいつものように晩御飯の支度をして…「あれ?」自分は病人だったんじゃないかなぁ〜、なんか変だな〜、と思ったひげじいなのでした。
                                                               1999.08.02


 ショート・ショートひげじい

『ひげじい』を さんづけすると『ひげじいさん』…ひげのはえたおじいさんみたいだな

                                                               1999.09.18


 < 10.花火 >
 よーく考えてみれば不思議なことですが、それは自分がラッキーだったのだとひげじいが思っていたこと・・・それは『花火』。なんと!ひげじいは花火がドーンと開いたとき、横からは見えないと思っていたのです。今まで自分が見ていた花火は真正面か真後ろからだと信じて疑っていなかったのです。
 ある日、TVで花火の中継をみながら奥さんが「花火がさー、丸く開いているんじゃないと思っているヒトがいたりしてねー。」と言うのを聞いたひげじいは「えっ?ひげじいは、横からみたらペタッっとつぶれてると思っていましたよ・・・。」と、思わず言ってしまったのです。その後ひげじいが奥さんからさんざんバカにされたのは言うまでも無い。
                                                               1999.09.18


 < 11.お洗濯 >
 ひげじいは会社がお休みの日、奥さんの代わりに洗濯をします。きょうもたくさんの洗濯物をベランダで干しています。ひげじいは自分のハンカチを干すときに、キレイに角をそろえてピッピとシワを伸ばします。こうしておけば奥さんがアイロンをかける手間が省けると思ったのでした。奥さんがベランダの方に来たので「ほら、こうやっておけばアイロンがけをしなくてもいいでしょ?」と言うと奥さんは「私のアイロンがけが下手くそなんだね。」なんて言ってブーっとふくれています。ひげじいは「そうじゃないよ、ひげじいは独身の頃もこうしていたんですよ。」と言ったのですが、奥さんに「私のアイロンがけは角がズレてたり、裏表が逆だから気に入らないんでしょ!」と怒られてしまいました。ちょっとほめてもらおうと思っただけなのに…なんだか悲しいひげじいなのでした。

                                                               1999.11.2


 ショート・ショートひげじい

ひげじいの小さな喜び:台所洗剤は別容器で水で薄めて使うと泡立ちがよく、泡切れ抜群!へへっ、スゴイ?

                                                               1999.11.2


 ショート・ショートひげじい

今年もクリスマスが近づいて来ました。奥さんがひげじいのために手編みのセーターを編んでくれると2年前に言っていたのを、まだ待っているひげじいなのでした。

                                                             1999.11.29


 < 12.カニ >
 きょうも一日ハードな仕事をこなしたひげじい。しかし、帰路につく彼の足どりは軽い。実は帰るコールをしたときに奥さんが「お義母さんにカニをもらったよ。」って言ってたのです。ひげじいはカニが大好きなのでした、もう愛していると言っても過言ではないのです。「カニさん、カニさん♪」と歌いながら食卓についたひげじいは、パカッと甲羅をはずしました・・・「あれ?」 ないのです、カニ味噌が・・・。ひげじいは奥さんに「このカニはカニ味噌がないよ?」と、言いました。奥さんは「そう、お義母さんが洗って食べなさいって言ったから、よーく洗ったの。」なんて言っています。おかげで味噌がないばかりか、カニもすっかり 薄味になっています。なんでそんな事を!いつも温厚なひげじいも、こればかりは納得ができませんでした。でも奥さんは「お義母さんが、洗ってねって言ったのよ!」と譲りません。「でもでも、洗うのと洗い流すのは違う・・・」今日だけは、引っ込みたくないひげじいなのでした。
                                                             1999.11.29


<13.ドーナツ枕>
 今日は休日です ひげじいは部屋の大掃除をしているようです。はじめは普通の掃除だったのですが、あまりにも部屋中ホコリだらけで大掃除になってしまったようです。さすがのひげじいも奥さんに言いました「奥さん、いらないものは処分しましょうね。」 奥さんは「赤ちゃんの世話で大変なのよ!」とかブーブー言いながら色々なモノをポイポイ捨て始めました。
 ふと、ひげじいがゴミ箱の中を見ると…赤ちゃんのドーナツ枕が捨ててありました。青いクマさんのドーナツ枕です。「これ捨てちゃうの?」と、ひげじいが聞くと「もう使わないし。」と、奥さんは答えました。でも、ひげじいは捨てたくありませんでしたので「捨てちゃイヤだ。」と言いましたが奥さんは「ほとんど使わなかったんだから、記念にもならないでしょう。」なんて相手にしてくれませんでしたので、ひげじいはゴミ箱の前でクマさんのドーナツ枕を抱いて悲しくなりました。
 あれからドーナツ枕はどうなったのでしょう?大丈夫、ちゃんと洗濯してもらってベビーダンスに入っています。 
                                                               2000.1.28


<14.ハラペコひげじい>
 きょうは本当に忙しかったひげじいは、昼ご飯もたべられませんでした。お家に帰る電車の中でグーグーお腹が鳴ってしまいました。お家に着いたらすぐにゴハンを食べようと思っていたのですが、奥さんが「今日はグラタンだから、ひげじいが帰ってきてから焼こうと思って待っていたの。」と言って、焼き始めました。ひげじいはヨダレが垂れそうなほどハラペコでしたが『美味しいグラタンが出来るまでだ…。』と、チーズの香ばしい匂いをかぎながら頑張って待っていました。
 やっと焼きあがったグラタンを食べようとしたひげじいに奥さんが小皿を差し出して「イオ君の晩御飯がまだなの、ココに分けてあげてよ。」と言いました。イオ君はひげじいの足元で「お腹空いたよー!」と言いたげに泣いています。ひげじいは小皿に取り分けたグラタンをフーフーして冷ましてあげていたのですが、あまりにも空腹だったので思わず食べてしまいました。「あっ!イオ君ゴメンね…。」と言ったのですが、奥さんに「子供の食べ物を取るなんてー!!」と、怒られてしまいました。パパだってお腹がすいているんだってコトを分かって欲しいひげじいなのでした。
                                                               
2000.2.28


<15.米のとぎ汁>
 ひげじいの家には鉢植えのパキラが3つあります。これは結婚前に奥さんからプレゼントされた一つの鉢が大きくなって株分けしたものです。奥さんはゼンゼン水をあげたりしないので、ひげじいが大切に育てています。ひげじいは誰かに『植木には米のとぎ汁をあげると良い。』と聞きましたので、お米を研いだ後にはパキラにあげているのでした。
 ひげじいがパキラに米のとぎ汁をあげていると、奥さんが「ひげじいは偉いね。」って言ってくれたので、ひげじいは嬉しくなりました。そしてひげじいは子供の頃のことを思い出しました・・・「よく小さい頃風邪をひくと、母親が米のとぎ汁を飲ませてくれたんですよ。」 奥さんは、それを聞いて変な顔をしていました。ひげじいは心の中で『奥さんは飲ませてもらわなかったんだな。』って思いました。でも、ひげじいは知らなかったのです、奥さんが心の中で『ひげじい…それは米のとぎ汁じゃなくて、重湯だろ!』って思っていたことに。
                                                              
2000.3.24



 ショート・ショートひげじい

こどもちゃれんじの“しまじろう”を“寅次郎”と言ってしまう ひげじい…。
                                                           
2000.3.24



<16.桃缶>
 ひげじいはイオ君の食が細いので、心配で心配で仕方ありません。奥さんは「二重あごだから心配ないんじゃないのぉ。」とか言っています。もちろん奥さんが、ちゃんとお世話してくれているとは思っていますが、やっぱり気がかりなのでした。『よしっ!』」・・・おや?ひげじいは何か決心したようです。『お休みの日は、ひげじいがイオ君に沢山美味しいものを食べさせてあげよう。』・・・父親として立ち上がったひげじい!頑張れひげじい!

 そして休日の朝 ― その日の朝食もイオ君はちょっとしか食べていませんでした。奥さんは、もう慣れているので気にしないでサッサと食べ残しを片付けてしまいます。ひげじいはイオ君をダッコして、奥さんに桃の缶詰を開けてくれるようにお願いしました。奥さんは「イオ君はね、桃の缶詰は食べないんだよ。」って言いますが、ひげじいはもう一度開けてくれるようにお願いしました。実は桃の缶詰は、ひげじいの大好物なのです。どんなに具合が悪くてご飯がノドを通らなくても、桃の缶詰だけは食べられるのです。だからきっとイオ君も桃の缶詰が美味しいって事に気がついてくれると思うのです。ひげじいはイオ君に食べやすいように小さくしてフォークで口に入れてあげました。すると、モグモグモグとイオ君は食べてくれたのです!ひげじいは嬉しくて「ほらほら、イオ君が食べてるよ。」って奥さんに言いました。奥さんも「へぇ〜。」って顔で見ています。ちょっとだけ ひげじいは得意になっています。なんたってイオ君は桃の缶詰を殆ど食べてしまったのですから。お腹がいっぱいになったせいか、イオ君は上機嫌でニコニコ笑ったり、クルクル踊ったりしています。ダッコしなくても一人でTVを見てゲラゲラ笑ったりして、珍しく良い子で午前中を過ごし、グズらないでお昼寝したのでした。

 ひげじいは満足しながら、ふと桃の缶詰の空き缶に目をやりました。そこに書いてあったのは“ブランデー入り白桃” ショック!!イオ君がニコニコクルクル上機嫌だったのは、ブランデーに酔っ払っていたのかと、空き缶を手に立ち尽くすひげじいなのでした。
                                                              
2000.5.19




<17.グリーン・マイル>
 ここは病院です、ひげじいは手術を受けて入院しています。術後の痛みもツライものですが、ひげじいにとってはお家に帰れないことが何よりツライことでした。いつもは夜になるとパソコンの前に座っている奥さんの足元で丸くなって本を読んで、奥さんが眠くなるまで待っている ひげじい。今は『奥さんは もう寝たかなぁ…。』病院のベッドの上で天井を見上げる ひげじい。

 そんなひげじいにとって毎日イオ君をベビーカーに乗せて、“一般の方は使用できません”と注意書きのある手術用エレベーターに堂々と乗ってくる奥さんのお見舞いが唯一の楽しみなのでした。毎日奥さんは着替えと新聞を持ってきてくれます。今日は「こんな本でも読んでみたら?」と、スティーヴン・キングのグリーン・マイルを買ってきてくれたのでした。映画ではトム・ハンクスが看守主任の役で話題になっていたもので、ひげじいも興味を持っていたものですから、長い夜をつぶすには嬉しい差し入れだったのです。…が、映画にもなったにしてはすごく薄い本だなと ひげじいは思いました。それに表紙には【グリーン・マイル5】となっています。裏表紙の本の紹介にはグリーン・マイル(1〜6巻)と書いてありました。世の中には、結果が気になって本を終わりから読んじゃう人もいるとゆうけれど、いくら暇でも後ろから2冊目を読んでしまう気にはなれません。それでもやっぱり「私って気が利くでしょう?」ってな顔をしている奥さんに『ありがとうね』とつぶやく ひげじいなのでした。
                                                              
2000.8.2


<18.青のり>
 ひげじいはマクドナルドのマックフライポテトが大好きで、揚げたてホクホクだと幸せな気分♪奥さんと二人でいても、ポテトを全部食べきるまで口も利かないでホクホクの幸せをかみしめるのでした。

 ちょっと前、バリューセットのポテトに青のりが付いて来るサービスがありました。山盛りでギューギューのポテトに青のりをまぶすのは大変です。「少しぐらいこぼれてもしょうがないよね?こぼれたのは ひげじいが食べますから。」ひげじいは青のりだらけになって奥さんの分もやってあげるのでした。―そんなことが何回かあってから―ある日、ひげじいはセットにいつも小さい紙袋が付いて来るコトを不思議に思いました。「これなんだろう?」と奥さんに聞くと「ここにポテトを入れて、青のりを入れて、振るんだよ。ここにも書いてあるじゃない。」と言いました。確かに、どのテーブルの上にも青のりのまぶし方を書いたものが置いてありました。ガーン!そんな便利な袋だったとは知らなかった!ひげじいは食べ残しをお土産にする袋かと思っていたのです。急に恥ずかしくなって、ちょっと赤くなっちゃった ひげじいなのでした。
                                                              
2000.8.2



 ショート・ショートひげじい

ひげじいは湿気た塩せんべいが好き。買ってそのままではなかなか湿気ないので袋の隅をチョコっと破いておきます。 奥さん 捨てないでね。                                                         
2001.6.4


<19.老後の夢>
 ひげじいの老後は結構忙しい。
 今は無いけれどツーシーターのフルオープンを買って助手席には奥さんを乗せてドライブ。二人ともめいっぱいオシャレして「まだまだ若いモンには負けんぞ!」とハンドルを握るひげじいの横では奥さんがニコニコしながら お家から持ってきた水筒のお茶を「はい、どうぞ」と渡してくれる。今は無いけれど お気に入りの工具がズラリと並んだガレージで ひげじいは一日中車の下に潜り込んでいる。そして庭からは花の手入れをしている奥さんが「もうそろそろ お家に入りませんか」と呼ぶ声がしたり・・・。

 「ねえ奥さんの老後の夢は?」と尋ねると「超高級有料老人ホームでヒトの作ってくれたご飯を食べること!」
・・・奥さんがわりと本気で考えてるって事を認めたくない ひげじいなのでした。
2001.6.4



つづく