colum 架け橋は落ちて
オリンピックサッカーも一次リーグが終わり、結果が出そろった。 予選突破チームの成績で、3勝無敗というのはアルゼンチンだけである。  後は全て2勝1敗とか1勝1分1敗或いは1勝2分だ。 日本の属する B組でも、パラグアイが2勝1敗、イタリアとガーナが1勝1分1敗だっ た。 つまり日本も後一頑張りすれば、決勝トーナメントに進めたのだ。 パラグアイ戦或いはイタリア戦のどちらかで引分けにしていれば、と今更 ながら悔やまれる。

第3戦の相手のガーナは、イタリアと引分け、パラグアイに勝っている。  戦前の予想では、B組で最強と見る人さえあった。 しかも、予選突 破は最後の日本戦にかかっていたから、「手を抜いた」とか「モチベー ションが低かった」ということでは決してない。 そのガーナに勝った のだ。 しかも押されに押されていたが、偶然1点入って勝ってしまっ た、というような内容ではない。 正面からがっぷり四つで寄り切った、 という感じの非常に良い出来の試合だった。 それだけに「何故最初か らこういう戦い方が出来なかったのか?」という疑問と無念さが 残る。 

イージーなミスを繰り返すチーム(選手)は絶対に勝てない、というのは 勝負の鉄則。 それが初戦のパラグアイ戦では、信じられないような 凡ミスの連続だった。 特に立ち上がりの那須のクリアミス(これはミ スというより、単に何もしないで呆然と立ちすくんでいたという状態だっ た)が、その後の流れを決めてしまった。 これがなければ、その後の試合 の流れはかなり変わっていただろう。 那須は普段の試合では、こんなミ スは絶対にしない選手だけに、これがオリンピックの魔物ということなの だろうか。 

オリンピックのような大きな試合で勝つためには、実力も必要だがそれ 以上に運とかつきとかいわれるものが必要と思われる。 その運やつき は、ただ単に偶然良い結果が得られたというものではなく、ハートの強さ が大いに影響しているのではないか。

ヨーロッパ選手権のギリシャとか、今大会のイラクとかは、そのハートの 強さの好例だろう。 サッカーのみならず、他の競技でもこれは全く同じ だ。 オリンピックに出場する選手でも、トップクラスなら実力差はほん の僅か、事実上ほとんどないといってもよい位だ。 その中で栄光の架け 橋を渡れる者は、例外なく強いハートの持ち主なのである。 日本選手で 言えば、谷亨子選手とか北島選手などがその好例だろう。

オリンピックのような大きな試合で、初戦の開始直後という状態は、選手 たちにしてみれば極限の緊張状態にあると思われる。 大げさに言えば、 耳は何も聞こえず、目は何も見えない、といった状態ではなかろうか。 そのような状態でも普段の実力を発揮できる選手やチームが、真の実力の 持ち主ということになる。 そういう選手たちの闘いでは、えてして相手 がミスをしたり、或いはボールのバウンドが有利な方に転がったりして 勝利を呼び込むことが多いものだ。 これが「運も実力の内」ということ なのだろう。

残念ながら今回の日本サッカーチームには、そのような強さがなかった。 勝敗が決した後の、いわばエキジビジョンマッチで実力を発揮したのでは、 チキンハートと言われてもしょうがない。 

今回のU23の選手達は、技術的にはそれほど下手とは思えない。 Jリーグの一般的水準から見ても、かなり上の方に入る選手がほとんど だろう。 しかし、全体におとなしい選手が多く、覇気がない、戦意が 見られないという評価が多かった。 これが「谷間の世代」と言われる 所以だろう。 その「谷間の世代」に精神的強さを植え込もうとした大 沢監督のもくろみは、結局失敗したと言わざるを得ない。

今回の選手達がA代表の主力となる数年後には、日本のサッカーはどう なっているのだろうか。 U20の選手にもオリンピックチームと同様 の傾向が見られるだけに、大いに心配である。


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