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日本代表はバンコクでついにワールドカップ出場を決めた。 まずは大賀 の至りである。 しかし私の心の中には、8年前のジョホールバルの時のような歓喜の爆発 はなかった。 あの時は、岡野が決勝ゴールを決めた時、「嬉しいよ、うれしいよ」と泣 きながら部屋の中をゴロゴロと転げ回ったものだ。(笑) その4年前にドーハで敗れた時には、分厚いホーローびきの鉄製吸い殻入れ を、重たい砲金の灰皿でぶったたき、でかいへこみを作った。 12年前は まだまだ元気だったんですなあ。 今はとてもそんな元気はない・・・ その時に比べると、今回は嬉しいには嬉しいが、何かさめたものがある。 これは私だけではなく、大方の人々も同様ではないだろうか。 一つは、「常連」として、「出て当たり前」という感があるからだろう。 ジョホールバルの時には「ワールドカップ初出場」という新鮮な驚喜が あった。 今回は三度目ということで、そのような新鮮さは薄れている。 もう一つは、私たち自身のサッカーを見る目が肥えて来たということ かも知れない。 この数年間、優れた海外の代表チームやクラブチーム との試合を数多く見ることによって、世界の最前線の技術を目の当たり にすることができた。 それらのチームから見ると、今回の相手はかなりの力の差がある(イラン は別だが)ことがはっきり見えてしまった。 バーレーンにしても北朝鮮にしても、良い時はかなりの脅威を覚えるが、 あまり調子の良くない時には、まるで弱い、という印象を受けた。 今回の北朝鮮についても、前回の試合から見るとスピードと迫力の点で 別人の感があった。 このあたりは前回のバーレーンとそっくり同じで ある。 これについては、コンディショニングの失敗があったのかも知れ ないし、北朝鮮の場合は、モチベーションというものも影響しているの だろう。 その点、現在の日本代表やイランは、「悪くてもそれなりに」という闘い 方が出来る。 これが本大会に出場できるチームとそうでないチームの 最大の違いではないだろうか。 このへんは選手層の厚さや試合経験の豊富さも影響しているのだろう。 そのようなことも含めての力が、本当の実力ということかも知れない。 これからに日本代表のあり方については、色々な問題が山積している。 これまで日本の代表チーム育成は、「まず底辺を堅め、そこから拡大と 発展を目指す」というものだったと思う。 これは決して間違っていな い。 Jリーグ、J2、JFLと、下部組織を組織育成し、底辺の拡大から 優秀な人材の育成を、という考え方は、いわば王道であり、日本が バーレーンに勝ったのも、この広大な下部組織による人材の豊かさ という点が大きい。 しかし、今後はこれだけでは足りない。 韓国の場合は、日本と対照的 に少数厳選主義でやってきた。 プロは勿論学生や社会人のチームの 数は至って少ない。 韓国のサッカー人口は日本の十分の一以下だが、 代表チームの実力は甲乙付けがたい。 プロリーグ発足の前年には、代表チームを固定して丸1年間合宿と数多くの 海外試合をこなした。 これによって韓国代表の力は飛躍的に伸びたと いう。 現在の日本の底辺重視システムに、スーパーエリート育成の システムも組み合わせる時期がやってきたのではないだろうか。 具体的には、まず第一には代表チーム優先の日程を組む こと。 出来る限 り多くの合宿と試合をこなし、チームとしての習熟度と技術の向上を図る。 そこでは、現在のレギュラーだけではなく、そのすぐ下の選手達、 具体的にはオリンピック出場チーム(U23)の選手達も出来るだけ組み入れ て、高いレベルの試合と練習を経験させる。 これは次の時代 の代表チーム作りには、絶対に必要なことだと思う。 その次には、若手のスーパー選手を育成することだ。 これまでのジーコ監督のスタイルは、常に現在最高の力を持つ選手を使う、 というものだった。 予選勝抜きが最大課題という点から見れば、これは 誤りではない。 しかし、トルシェが若手を抜擢し、これを集中的にトレーニングしてトップ 選手に育て上げたような、抜きんでた若手選手の育成という点では、これ までの所全く成果がない。 前に何度も書いたように、現在の代表チームの寿命は後2.3年で 終わる。 しかし、U23にせよU20にせよ、「普通に」優秀な選手は数多く存在するが、 抜きん出て優れた、つまり第二の中田中村になりそうな選手は、 今の所見あたらない。 その次の、つまり2010年のワールドカップを背負って立つスーパー若手は、 これまでの所全くと言ってよいほど存在しないのだ。 この点が現在最も 気がかりな所である。 ジーコ監督はドイツ大会終了後に辞任というのは、現在の所既定の路線で あるようだ。 その後を継ぐのは誰か。 ベンゲルかトニーニョ・セレーゾ か、リトバルスキーか、はたまた岡田武史か、それともフェリペか、レオン か。 誰が後を引き継ぐにせよ、優秀な、それも並に優秀なのではなく、 中田中村中沢に匹敵する、或いはそれを凌駕する超優秀な若手が出現しなけ れば、日本のサッカーは再び70年代の悪夢を見なければならない だろう。 残念ながら、現状から見るとその可能性はかなり高い。 ドイツへはたどり着いた。 しかしその先のアフリカは全く見えていない。 果たして我々はドイツの向う側を見ることが出来るのか? |