colum FTTHの泣き所
現在インターネット接続環境は、日に日に高速化している。  パソコン通信時代のダイアルアップによる1200ボーや2400ボーから、 ISDNの64/128キロボー、ADSLの数メガ、更には光ファイバー (FTTH)による100メガクラスに至っている。 現在の主流はAD SLだが、次第にFTTHに移りつつあるようだ。

ADSLは現在敷設されている電話回線をそのまま使用できる という大きなメリットがあるが、その速度には限界がある。  20メガ30メガ という看板はあっても、実際にその速度で接続できる人は極々少数 だろう。 実際の接続速度(スループット)は、回線ノイズと基地局 迄の距離による減衰が大きく影響し、看板通りの速度を得ら れる人は、恐らく1/10を遙かに下回るだろうと思われる。

私の場合は、自宅から基地局迄の距離は約1500メートル と、それほど遠 いわけではないが、ADSL12メガの契約で、現在のスループッ トは約5メガである。 この上の24メガにしても、速度の上昇は 僅か数百キロbps程度で、事実上改善は全くないも同然 だった。 これは基地局の設備にも よるそうだ。 つまり、同じ電話局といっても、接続状態の良い局とそ うでない局があるということらしい。 又回線自体にもノイズの少ない 回線と多い回線があるようで、電話回線ならどれも同じというわけでは ないという。

自宅の設備なら簡単に変更できるが、電話局の設備をもっとグレードの 高いものにしてくださいとNTTにお願いしても、「はい、そうですね、 では変更しましょう」とほいほいやってくれる筈がない。 結局 回線状態の悪い所に住む者は、ことADSLに関してはこのまま我慢する より手はなさそうだ。


というわけで、これ以上の速度を得るには、現状では光ファイバーによる 接続(FTTH)しかない。 しかもADSLのように、公称と現実の 速度に大きな差があるのとは違い、FTTHの場合はほぼ公称通り、 場合によっては公称以上の速度が得られる場合さえある

私の会社では部屋の中まで直接光回線を引き込み、ダイレクトに光モデムに 接続してある。 NTTとの契約は30メガの筈だったが、引込直後 にスループットを実測したら、35メガ程出ていた。(笑)  光回線はノイズ にも強く、現在使用できる接続方法の中では、やはり最良のものと思われる。


いいとこづくめの光だが、大きな泣き所がある。 つまり専用の 光回線を引き込まなければならないという点だ。 これが既存 の回線をそのまま使えるADSLとの最大の違いである。

この一二年の間に建設された最新のマンションやビルなら、建築時に光 回線を引き込んである、というものも多いだろう。 しかし、10年前は 勿論、5年前ですら建設時に光回線を引き込んでいるというビルやマン ションはほとんどないだろう。

つまりはおおかたの場合は、新たに光回線を引き込まなければならない ということだ。 ここで問題になるのは、回線引込用の環境が 整っていないビルやマンションなどのケースだ。

戸建て住宅の場合は、全体が個人の持ち物なので特に問題はない。  しかし集合住宅の場合は、管理組合の決定やオーナーの許諾という条件が ある。 しかしこれも最近はインターネット接続に対する理解が 深まり、ほとんど必需品という認識が一般化しているから、それほど 問題はなさそうに見える。

しかし、最大の問題は前に書いた「回線引込用の環境が整っていない ビルやマンション」の場合だ。 私の住むマンションは十数年前に 建設されたもので、当時としてはグレードはかなり高いものだった (筈)。 しかし、建設当時はバブルの真っ最中で、工事業者も手不 足だったせいか細かい所でやたら手抜きが多い。 電話回線 などの引込溝に余裕が全くなく、電線一本入れることができない。  おまけに全てが壁と床の中に埋め込まれているので、メンテも満足に 出来ないというひどい有様である。

光回線にせよ、増設の電話回線にせよ、新たに引込溝を作らなけれ ば引込は不可能である。 次回の理事会でこの問題を取り上げる ことになっているが、大雑把な見積りでも、この工事には 数百万単位のお金がかかるようだ。 しかも工事にはかな りの日数もかかる。


NTTや東電でもこの種のケースの相談はかなりあるようで、これ に対する解決策として、無線による接続という手を 打ち出してきた。  これは電柱などにアンテナを設置し、ユーザー側ではそれに対応 するアンテナを設置してこれと接続するというものである。  基地局−(光回線)−電柱−(無線)−ユーザー 、という図式だ。

これなら光回線の直接引込が出来ないケースでも問題ない。 これ で全て解決、万々歳・・・ というわけにはいかなかった。


東電のtepco光サービスは、マンション内に接続機器を設置しな ければならない(無料)ので、組合の許可を得なければならず、個人で は契約できない。

又東電系のスピードネットというプロバイダーでは、個人に対する無線 による接続を行っているが、速度は僅か1.5メガで、これなら現在 のADSLの約5メガの方が数倍速い。(笑) 今時1.5メガの

スループットで満足する人がいるとは、到底思えない。 NTTの場合はというと、マンションまたはビル単位で8件以 上の契約がある場合で、且つ同社が指定する無線アクセス基地局装置か ら見通しのきく場合でなければならない、という条件がある。  私のマンションは全部で10所帯しかないので、その内8所帯が契約という のは、事実上不可能だろう。 総じて無線接続の為の条件は厳 しすぎると思う


というわけで、私の場合当分の間FTTHは使用不可能という、 なんとも情けない結論に達したのである。 

しかし考えてみれば、このような劣悪な条件下にあるインターネット ユーザーは、相当数存在するのではないだろうか。

「専用回線を新たに引き込まなければならない」という、FTTH最大 のデメリットを解消するために、何らかの手段を一刻も早く講じて欲し いものである。



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