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最終掲載日時:2004年02月09日
 
<掲載 -1131>
 
解説は筆者が主催する交通事故業務ネット講座【 00069】&【000070】からの抜粋です。
第三者行為による損害賠償と社会保険給付の種類と給付の範囲・内容
ネット講座【 00069】2003年6月18日分より抜粋
こちらの関連サイトもご覧下さい
ネット講座【 00069】

8.第三者行為による損害賠償と社会保険給付

(1)交通事故等、第三者行為により負傷した場合でも社会保険の給付対象とされることの理由について

 交通事故により負傷した場合、それが第三者の行為による場合でも社会保険の給付事由とされるが(注1)、その理由は、第三者に賠償能力がない場合は、被保険者は十分な治療が受けられないなど不測の事態を招くことになり、このような事態を避けるため、第三者行為により被保険者が負傷した場合でも、社会保険の給付事由が発生したものとして取り扱い、被害者を救済しようというのが社会保障的機能を有する社会保険の目的とされているからである。

(注1)自動車事故について「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて」と題する旧厚生省の通達(昭和43.10.12保険発第106号)があり、通達の内容は「最近、自動車による保険事故については、保険給付(健康保険にによる医療給付等)が行われないとの誤解が被保険者等の一部にあるようであるが、いうまでもなく、自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりがなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないように住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるよう指導されたい。(注2)」と第三者行為の一つである交通事故についても一般の保険事故と同様保険給付の対象となることが明示されている。

(注2)国民健康保険事務提要(ぎょうせい発行 967頁)

【参考資料】

(損害保険料率算出機構14年度版『自動車保険の概況』平成15年4月発行より)


 【平成13年度の社会保険の利用状況】

平成13年度の社会保険の利用状況は10.4%にとどまり、自動車事故の治療は、健康保険などの社会保険を利用できるにもかかわらず、その利用率は年々減少する傾向が見られる。

 【平成13年度の自賠責保険金の請求件数】

自賠責保険の支払保険金の請求事案数は136万件(前年度比3.4%増加)、損害調査の所要日数は、自賠責調査事務所の受け付けから30日以内に調査を完了した事案が傷害事故では全体の98%(125万件)、死亡事故では同67%(7500件)となっている。

【平成13年度の自賠責保険への医療費請求件数及び増加比率】

医療費中の自賠責保険に対して請求された総診療費・総請求件数の推移を平成9年度を100とする指数は平成13年度は105.0、114.8となり、総診療費・総請求件数ともに増加している。

 【平成13年度の自動車事故における受傷部位別比率】

  自動車事故により受傷した身体を部位別に見ると、平成13年度は頚部31.8%と最も高い割合を示し、下肢が16.1%、上肢が15.2%、腰背部が14.5%と続いている。

 【平成13年度における平均診療機関】

  請求1件当たりの平均診療期間(初診から終診)は51.3日、診療実日数(診療期間中に実際に診療を受けた日数)は16.9日、入院率(総請求件数に対する入院件数の割合)は10.2%といずれも減少傾向が続いている。診療期間別の構成比は、30日以内が44.4%と最も多く、60日以内では60.4%となっている。

(2)各種給付制度のある社会保険の種類

   各種給付制度が設けられている社会保険による給付の種類としては、次のとおりです。

  @ 労災保険

     労働災害補償保険法による各種給付
     国家公務員等災害補償法による各種給付
     地方公務員等災害補償法による各種給付

  A 医療保険

     健康保険による各種給付
     国民健康保険による各種給付
     船員保険による各種給付
     日雇労働者健康保険による各種給付
     国家公務員共済組合法による各種給付
     地方公務員等共済組合による各種給付

  B 雇用保険

     雇用保険法による各種給付

  C 年金保険

     厚生年金保険法による各種給付
     国民年金法による各種給付
     船員保険法による各種給付
     国家公務員共済組合法による各種給付
     地方公務員通勤災害共済組合法による各種給付

  D 介護保険

     介護保険法による各種給付

(3)第三者行為における調整(控除・求償)制度

 社会保険の被保険者が第三者行為によって負傷又は死亡した場合、保険者が行う保険給付については被保険者が第三者から既に賠償を受けている場合においては、第三者の損害賠償と保険給付請求が競合する時には、その重複する価額(二重に利得する額)につき控除して保険給付を行い、もしくは、保険給付後において、保険者が、被保険者が第三者に対して有する損害賠償請求権を行使すること、すなわち、保険者が第三者に対して求償すること、を調整といいますが、これらは各社会保険諸法により制度として定められています。

 調整について社会保険諸法で定めているところの根拠条文は下記のとおりです。

【健康保険】

 健康保険法第五十七条  保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額。次条第一項において同じ。)の限度において、保険給付を受ける権利を有する者(当該給付事由が被保険者の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。次項において同じ。)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
 2  前項の場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。

【日雇労働者健康保険】

(準用=日雇特例被保険者に対する給付規定の準用)
健康保険法第百四十九条  次の表の上欄に掲げる規定は、それぞれ同表の下欄に掲げる日雇特例被保険者に係る事項について準用する。
第五十六条から第六十二条まで 保険給付
以下省略

【国民健康保険】

国民健康保険法第六十四条  保険者は、給付事由が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付を行つたときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。次条第一項において同じ。)の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2  前項の場合において、保険給付を受けるべき者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責を免かれる。

【船員保険】

船員保険法第二十五条  政府ハ事故ガ第三者ノ行為ニ因リテ生ジタル場合ニ於テ保険給付ヲ為シタルトキハ其ノ給付ノ価額ノ限度ニ於テ保険給付ヲ受クル権利ヲ有スル者(当該事故ガ被保険者ノ被扶養者ニ付生ジタル場合ニ於テハ当該被扶養者ヲ含ム次項ニ於テ之ニ同ジ)ガ第三者ニ対シテ有スル損害賠償請求ノ権利ヲ取得ス
2 前項ノ場合ニ於テ保険給付ヲ受クル権利ヲ有スル者ガ第三者ヨリ同一ノ事由ニ付損害賠償ヲ受ケタルトキハ政府ハ其ノ価額ノ限度ニ於テ保険給付ヲ行フ責ヲ免ル

【国家公務員共済組合】

国家公務員共済組合法第四十八条  組合は、給付事由(第七十条又は第七十一条の規定による給付に係るものを除く。)が第三者の行為によつて生じた場合には、当該給付事由に対して行つた給付の価額の限度で、受給権者(当該給付事由が組合員の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2  前項の場合において、受給権者(同項の給付事由が組合員の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。)が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、組合は、その価額の限度で、給付をしないことができる

【地方公務員等共済組合】

地方公務員等共済組合法第五十条  組合は、給付事由(第七十二条又は第七十三条の規定による給付に係るものを除く。)が第三者の行為によつて生じた場合には、当該給付事由に対して行つた給付の価額の限度で、受給権者(当該給付事由が当該組合員の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。)が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2  前項の場合において、受給権者(同項の給付事由が組合員の被扶養者について生じた場合には、当該被扶養者を含む。)が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、組合は、その価額の限度で、給付をしないことができる。

【労働者災害補償保険】

労働者災害補償保険法第十二条の四  政府は、保険給付の原因である事故が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2  前項の場合において、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険給付をしないことができる。

【厚生年金保険】

厚生年金保険法第四十条  政府は、事故が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2  前項の場合において、受給権者が、当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、保険給付をしないことができる

【国民年金】

国民年金法第二十二条  政府は、障害若しくは死亡又はこれらの直接の原因となつた事故が第三者の行為によつて生じた場合において、給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2  前項の場合において、受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で、給付を行う責を免かれる。

【介護保険】

介護保険法第二十一条  市町村は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
2  前項に規定する場合において、保険給付を受けるべき者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、市町村は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。
3  市町村は、第一項の規定により取得した請求権に係る損害賠償金の徴収又は収納の事務を国民健康保険法第四十五条第五項 に規定する国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)であって厚生労働省令で定めるものに委託することができる。



(4)労災保険の各種給付の種類及び給付の内容

   労災保険法による各種給付としては次のものがあります。

 @ 療養補償給付
  1 療養補償給付
  2 療養費用の支給
 A 休業補償給付
 B 障害補償給付

  1 障害補償年金(第1級〜第7級)
  2 障害補償年金前払一時金(第1級〜第7級)
  3 障害補償年金差額一時金(第1級〜第7級)
  4 障害補償一時金(第8級〜第14級)
 C 傷病補償年金(労災保険法施行規則別表第2の第1級〜第3級)
 D 遺族補償給付

  1 遺族補償年金
  2 遺族補償年金前払一時金
  3 遺族補償一時金(遺族補償年金受給資格者がない場合)
 E 葬祭料


【給付の内容】

 @ 療養補償給付
 
 1 療養補償給付

   業務災害又は通勤災害で疾病に罹患し又は負傷した場合、労災病院又は労災指定医で診療が受けられます。療養給付は、労災病院又は労災指定病院で直接療養そのものを給付する「療養の給付(直接給付)」です。

 2 療養費用の支給

 労災病院や労災指定病院等以外の病院・療養所で診療を受けた場合は、一時費用を立て替えておいて後で払い戻しを受けることができます。この場合は診療費等を現金「療養費用の支給(現金給付)」で支払われます。

 A 休業補償給付

   業務災害又は通勤災害で疾病に罹患し又は負傷し、療養のため休業したことにより賃金の支払いが受けられない場合は、休業4日目から給付基準日額(注)の60パーセントの割合の額が休業補償として支給されます。

  (注)給付基準日額の算定法(給与・賃金の支払形態ごとの計算式)については別講座で解説します。

 B 障害補償給付

   業務災害又は通勤災害による傷病が治癒(注)した後に、身体に障害が残った場合は、障害の程度に応じて障害補償年金、あるいは障害補償一時金が支給されます。第1級から第7級までに該当する障害を残した場合は年金が、第8級から第14級までに該当する障害を残した場合には一時金が支給されます。

(注)労災保険では、一般では「症状固定」というのを「治癒」といいます。

 1 障害補償年金

   障害補償年金は、障害等級第1級から第7級の障害について、その程度におうじて、次のとおり、各等級ごとの給付基礎日額に対応する給付日数分が年金として支給されます。

   第1級 給付基礎日額の313日分を年金として支給
   第2級 給付基礎日額の277日分を年金として支給
   第3級 給付基礎日額の245日分を年金として支給
   第4級 給付基礎日額の213日分を年金として支給
   第5級 給付基礎日額の184日分を年金として支給
   第6級 給付基礎日額の156日分を年金として支給
   第7級 給付基礎日額の131日分を年金として支給

 2 障害補償年金前払一時金(第1級〜第7級)

   前記Cの障害が残った場合に、障害補償年金の受給権者に対し、障害等級に応じて次に掲げる額のうち受給権者の選択する額が障害補償年金の前払いとして支給されます。
   ただし、この一時金が支給された場合には、前記Cの障害補償年金は当該年金の毎月の額(1年経ってからの分は年5%の単利で割り引いた額)の合計額が前払一時金の額に達するまでの間支給停止となります。前払一時金の請求は、同一の事由に関し、一回しか認められていません。なお、前払一時金の請求は、「障害補償年金前払一時金請求書」に支給を受けようとする前払の額を示して、障害補償年金の請求と同時に行うのが原則ですが、障害補償年金の支給決定の通知があった日から1年以内であれば障害補償年金の請求後においても行うことが可能です。
   
障害補償年金の前払一時金として選択できる給付基礎日額に対応する日数分は次のとおりです。

   第1級 200日分・400日分・600日分・800日分・1,000日分・1,200日分
   第2級 200日分・400日分・600日分・800日分・1,000日分・1,190日分
   第3級 200日分・400日分・600日分・800日分・1,000日分・1,050日分
   第4級 200日分・400日分・600日分・800日分・920日分
   第5級 200日分・400日分・600日分・790日分
   第6級 200日分・400日分・600日分・670日分
   第7級 200日分・400日分・560日分

 3 障害補償年金差額一時金

   障害補償年金の受給権者が死亡した場合において、既に支給された障害補償年金及び障害補償年金前払一時金の額の合計額が障害等級におうじて定められている一定額に満たない場合は、その差額の障害補償年金差額一時金が、その遺族に対し支給されます。

   障害補償年金差額一時金の支給要件及び支給額の基礎となる一定額は、障害補償年金に係る障害等級に応じ次の日数分とされています。

   第1級 1,340日分
   第2級 1,190日分
   第3級 1,050日分
   第4級   920日分
   第5級   790日分
   第6級   670日分
   第7級   560日分

   障害補償年金差額一時金の受給権を有する遺族としては、次の遺族とされますが、これらの遺族の受給権取得順位は次の●A又は●Bに掲げる順序とされています。

   ●A 労働者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた配偶者(内縁の配偶者を含む)
   ●B 上記●Aに該当しない配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹

 4 障害補償一時金

   障害補償一時金は、第8級から第14級の障害が残った場合に支給されます。なお、各等級ごとの給付基礎日額に対応する給付日数は次のとおりです。
です。
   第8級  503日分
   第9級  391日分
   第10級 302日分
   第11級 223日分
   第12級 156日分
   第13級 101日分
   第14級  56日分

 C 傷病補償年金

 傷病補償年金は、業務災害又は通勤災害で疾病に罹患し又は負傷し、療養をはじめてから1年6ヶ月経っても治癒しない場合であって、その傷病による障害の程度が労災保険法施行規則別表第2(下記参照)の傷病等級表(第1級から第3級)に該当する場合に、その状態が継続している間、その障害の程度に応じ、それぞれ下記のとおり給付日額に対応し定められている日数分を休業補償給付に代えて、それぞれの等級に応じ傷病補償年金が支給されるというものです。

   なお、傷病補償年金は、障害の程度に応じて、給付基礎日額の313日分(第1級)から131日分(第7級)までの額が毎年2月、5月、8月、11月の4回に分割して支給されます。

 第1級 313日分
 第2級 277日分
 第3級 245日分

【別表第二 傷病等級表 (第十八条関係)】

傷病等級 給付の内容 障害の状態

第一級 当該障害の状態が継続している期間一年につき給付基礎日額の313日分

一 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に介護を要するもの
二 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に介護を要するもの
三 両眼が失明しているもの
四 そしやく及び言語の機能を廃しているもの
五 両上肢をひじ関節以上で失つたもの
六 両上肢の用を全廃しているもの
七 両下肢をひざ関節以上で失つたもの
八 両下肢の用を全廃しているもの
九 前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの

第二級 同277日分

一 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
二 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要するもの
三 両眼の視力が〇・〇二以下になつているもの
四 両上肢を腕関節以上で失つたもの
五 両下肢を足関節以上で失つたもの
六 前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの

第三級 同245日分

一 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの
二 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの
三 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつているもの
四 そしやく又は言語の機能を廃しているもの
五 両手の手指の全部を失つたもの
六 第一号及び第二号に定めるもののほか常に労務に服することができな 
いものその他前各号に定めるものと同程度以上の障害の状態にあるもの

 D 遺族補償給付

   業務災害又は通勤災害で死亡した場合は、死亡労働者の遺族に遺族補償年金あるいは遺族補償一時金が支給されます。この遺族補償給付には、遺族補償年金と遺族補償一時金の二つがあり、労働者の死亡当時の生計維持関係、続柄、年齢等によって、いずれの受給資格があるかが定められます。

1 遺族補償年金

  遺族補償年金の受給権を有する遺族の範囲は、死亡労働者の死亡当時同一生計(被扶養者)にあった配偶者(内縁を含む)子、父母、祖父母、兄弟姉妹です。

  年金はこれらすべての受給資格に対して支給されるのではなく、受給権者となる順位が定められています。その順位は次のとおりです。
 【注=共通要件は同一生計(被扶養者であった者)】

 @ 妻、又は60歳以上もしくは障害のある夫

 A 18歳未満(
18歳になった誕生日の最初の3月31日まで)又は障害の子

 B 60歳以上又は障害のある父母

 C 18歳未満(
18歳になった誕生日の最初の3月31日まで)又は障害のある孫

 D 60歳以上又は障害のある祖父母

 E 18歳未満(
18歳になった誕生日の最初の3月31日まで)又は60歳以上もしくは障害のある兄弟姉妹

 F 55歳以上又は60歳未満の夫

 G 55歳以上60歳未満の父母

 H 55歳以上60歳未満の祖父母

 I 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹

  遺族補償年金の額は上記@〜Iの遺族補償年金受給権者及びその者と同一生計にある上記@〜Iの者の人数に応じ次のとおり定められている額です。なお、受給権者が2人以上ある時は、この額を等分した額が支払われます。
  
18歳未満の子について、8歳になった誕生日の最初の3月31日までというのは、国民年金、厚生年金等に関しても共通です。
す。
   遺族の数        支給額

  @ 1人    給付基礎日額の153日分
  A 2人    給付基礎日額の153日分
  B 3人    給付基礎日額の153日分
  C 4人    給付基礎日額の153日分
  D 5人以上 給付基礎日額の153日分

  @の場合はその遺族が55歳以上の妻又は一定の障害の状態にある妻の場合は給付基礎日額の175日分が支払われます。ただし、上記F〜Iの者は60歳になるまで、加算対象から除かれます。また、受給権者が次のいずれかに該当するに至った時は、その者の受給権は消滅し、他に同順位者がいない時は次順位者が新たに受給権を取得します。

  @ 死亡した時
  A 離婚した時(内縁の解消を含む)
  B 直系血族又は直系姻族以外の者の養子となった時
  C 養子縁組の解消により、死亡労働者との親族関係が終了した時
  D 子、孫、兄弟姉妹が18歳に達した時(労働者の死亡当時から引き続き障害の状態にある者を除く)
  E 障害のために受給権者又は受給資格者となっていた者が障害の状態がなくなった時

  この遺族補償年金については、他の年金の場合と同様毎年2月、5月、8月、11月の4回に分けて支給されます。

2 遺族補償年金前払一時金

  遺族補償年金前払一時金の額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分の額のうち遺族補償年金の受給権者が選択する額とされています。

  この前払一時金の請求は、遺族補償年金の請求と同時に請求するのが原則ですが、遺族補償年金の支給決定の通知のあった日から1年以内であれば、遺族補償年金の請求後においても行うことができます。なお、前払一時金の請求は一回しか認められていませんが、次順位の受給権者(転給権者)が新たな受給権者も失権した先順位者が前払一時金の支給を請求していない場合は請求することができます。

  前払一時金が支給されると遺族補償年金は支給停止となり、その停止期間は、遺族補償年金の毎月分の額(一年経過後の分は年5分の単利で割り引いた額)の合計額が前払一時金の額に達するまでの間とされています。先順位者がこの停止期間中に失権し、次順位者が受給権者となった場合もこの停止期間中は支給停止となります。

3 遺族補償一時金(遺族補償年金受給資格者がない場合)

  遺族補償一時金は、労働者が死亡した時、遺族補償年金受給権を有する遺族がいない場合に、給付基礎日額の1,000日分が支給されますが、遺族補償年金受給権者が失権した場合においても次順位以下の遺族補償年金受給権者がいない場合にも支給されます。ただし、年金の総額1,000日分から、失権するまでに支払われた額を差し引いた残額が支給されることになります。

  遺族補償一時金の受給資格者となる遺族の範囲は次のとおりです。

 @ 配偶者
 A 労働者の死亡時に死亡労働者と同一生計にあった父母、孫、祖父母
 B その他(被扶養者でなかった)の子、父母
 C 兄弟姉妹

(注)上記A及びBに掲げる者の間の順位ついては、子、父母、祖父母の順で上の順位の者から優先して受給資格者となります。

 E 葬祭料

   葬祭料は、遺族に支給されますが、遺族がいない時に遺族以外の者が葬儀を行った場合には、その者に支給されることがあります。
 
 支給される葬祭料の額は、265,000円に給付基礎日額の30日分を加算した額(その額が給付基礎日額の60日分に満たない場合には給付基礎日額の60日分)です。
ネット講座【 00070】

(5)労災保険と他の社会保険との調整

   第三者の行為によって業務上や通勤途上の災害が発生した時は、被災労働者は労災保険に対する給付請求権と、第三者に対する損害賠償請求権の二つの権利を得ることになりますが、このうち社会保険である労災保険に関しては、さらに、障害厚生年金、遺族厚生年金、国民年金の障害基礎年金、国民年金の遺族基礎年金又は寡婦年金等、別の社会保険による年金受給権との併給がある場合には一定の率による減額調整(注)が図られています。

(注)年金以外の給付については、併合はありません。例えば健康保険による療養給付や傷病手当金の支給を受けている時は、労災保険そのものが適用されませんし、また、逆に労災保険にかかっている時は、健康保険による療養給付や傷病手当金の受給資格はありませんので、年金以外の場合には併給ということはありません。

(6)年金間の調整

   同一の事由(障害、死亡)に関して、次に掲げる労災保険の年金と他の社会保険の年金とが併給される場合には、労災保険の年金(第1表)は一定の調整率(第2表)を乗じることで減額して支給されますが、他の社会保険の年金はそのまま全額が支給されます。

 @ 調整の対象とされる社会保険(第1表)

   労災保険の障害補償年金及び障害年金と
           |
   厚生年金保険の障害厚生年金及び国民年金の障害基礎年金との間

   労災保険の遺族補償年金及び遺族年金と
           |
   厚生年金保険の遺族厚生年金及び国民年金の遺族基礎年金又は寡婦年金との間

    労災保険の傷病補償年金及び傷病年金と
           |
   障害厚生年金及び国民年金の障害基礎年金との間

A 調整率(第2表)

  各年金間の調整率は下記URLを参照して下さい。

   
http://home.att.ne.jp/red/cyberoffice/index.htm/rosai-1.jpg 

(7)給付基礎日額(所謂平均賃金)

   労災保険では、業務上災害又は通勤災害による稼得能力の損失の回復、てん補を図るための各種の保険給付がありますが、それらの給付の算定基礎とされるのが、「給付基礎日額」、一般には、いわゆる平均賃金と言われるものです。

   この給付基礎日額は、原則として労働基準法第12条による平均賃金に相当する額とされ、平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる時は厚生労働省令(労災保険法施行規則第9条)で定めるところによって所轄労働基準監督署長が算定する額を給付基礎日額とすることとされており(労災保険法第8条2項)、給付基礎日額と平均賃金とは常に同一のものではなく、場合によっては、最低保障額が規定されている点では、平均賃金より高くなることがあります。

   さらに、賃金水準の変動に応じてその額が改定されるスライド制が導入されており、例えば、療養開始後1年6ヶ月を経過した者に支給される休業補償給付及び休業給付の額の算定基礎となる給付基礎日額や、年金給付の算定基礎となる給付基礎日額(後述)には、年齢階層別の最低限度額及び最高限度額が定められています。

【参照条文=労災保険法】

第八条  給付基礎日額は、労働基準法第十二条 の平均賃金に相当する額とする。この場合において、同条第一項 の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、前条第一項各号に規定する負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によつて同項各号に規定する疾病の発生が確定した日(以下「算定事由発生日」という。)とする。
2  労働基準法第十二条 の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、前項の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところによつて政府が算定する額を給付基礎日額とする。

第八条の二  休業補償給付又は休業給付(以下この条において「休業補償給付等」という。)の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額(以下この条において「休業給付基礎日額」という。)については、次に定めるところによる。
一  次号に規定する休業補償給付等以外の休業補償給付等については、前条の規定により給付基礎日額として算定した額を休業給付基礎日額とする。
二  一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの各区分による期間(以下この条において「四半期」という。)ごとの平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月きまつて支給する給与の額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の一箇月平均額をいう。以下この号において同じ。)が、算定事由発生日の属する四半期(この号の規定により算定した額(以下この号において「改定日額」という。)を休業給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、当該改定日額を休業補償給付等の額の算定の基礎として用いるべき最初の四半期の前々四半期)の平均給与額の百分の百十を超え、又は百分の九十を下るに至つた場合において、その上昇し、又は低下するに至つた四半期の翌々四半期に属する最初の日以後に支給すべき事由が生じた休業補償給付等については、その上昇し、又は低下した比率を基準として厚生労働大臣が定める率を前条の規定により給付基礎日額として算定した額(改定日額を休業給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、当該改定日額)に乗じて得た額を休業給付基礎日額とする。
2  休業補償給付等を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して一年六箇月を経過した日以後の日である場合において、次の各号に掲げる場合に該当するときは、前項の規定にかかわらず、当該各号に定める額を休業給付基礎日額とする。
一  前項の規定により休業給付基礎日額として算定した額が、厚生労働省令で定める年齢階層(以下この条において単に「年齢階層」という。)ごとに休業給付基礎日額の最低限度額として厚生労働大臣が定める額のうち、当該休業補償給付等を受けるべき労働者の当該休業補償給付等を支給すべき事由が生じた日の属する四半期の初日(次号において「基準日」という。)における年齢の属する年齢階層に係る額に満たない場合 当該年齢階層に係る額
二  前項の規定により休業給付基礎日額として算定した額が、年齢階層ごとに休業給付基礎日額の最高限度額として厚生労働大臣が定める額のうち、当該休業補償給付等を受けるべき労働者の基準日における年齢の属する年齢階層に係る額を超える場合 当該年齢階層に係る額
3  前項第一号の厚生労働大臣が定める額は、毎年、年齢階層ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、当該年齢階層に属するすべての労働者を、その受けている一月当たりの賃金の額(以下この項において「賃金月額」という。)の高低に従い、二十の階層に区分し、その区分された階層のうち最も低い賃金月額に係る階層に属する労働者の受けている賃金月額のうち最も高いものを基礎とし、労働者の年齢階層別の就業状態その他の事情を考慮して定めるものとする。
4  前項の規定は、第二項第二号の厚生労働大臣が定める額について準用する。この場合において、前項中「最も低い賃金月額に係る」とあるのは、「最も高い賃金月額に係る階層の直近下位の」と読み替えるものとする。

第八条の三  年金たる保険給付の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額(以下この条において「年金給付基礎日額」という。)については、次に定めるところによる。
一  算定事由発生日の属する年度(四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)の翌々年度の七月以前の分として支給する年金たる保険給付については、第八条の規定により給付基礎日額として算定した額を年金給付基礎日額とする。
二  算定事由発生日の属する年度の翌々年度の八月以後の分として支給する年金たる保険給付については、第八条の規定により給付基礎日額として算定した額に当該年金たる保険給付を支給すべき月の属する年度の前年度(当該月が四月から七月までの月に該当する場合にあつては、前々年度)の平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月きまつて支給する給与の額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の平均額をいう。以下この号及び第十六条の六第二項において同じ。)を算定事由発生日の属する年度の平均給与額で除して得た率を基準として厚生労働大臣が定める率を乗じて得た額を年金給付基礎日額とする。
2  前条第二項から第四項までの規定は、年金給付基礎日額について準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは「次条第一項」と、同項第一号中「休業補償給付等」とあるのは「年金たる保険給付」と、「支給すべき事由が生じた日」とあるのは「支給すべき月」と、「四半期の初日(次号」とあるのは「年度の八月一日(当該月が四月から七月までの月に該当する場合にあつては、当該年度の前年度の八月一日。以下この項」と、「年齢の」とあるのは「年齢(遺族補償年金又は遺族年金を支給すべき場合にあつては、当該支給をすべき事由に係る労働者の死亡がなかつたものとして計算した場合に得られる当該労働者の基準日における年齢。次号において同じ。)の」と、同項第二号中「休業補償給付等」とあるのは「年金たる保険給付」と読み替えるものとする。

第八条の四  前条第一項の規定は、障害補償一時金若しくは遺族補償一時金又は障害一時金若しくは遺族一時金の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額について準用する。この場合において、同項中「の分として支給する」とあるのは「に支給すべき事由が生じた」と、「支給すべき月」とあるのは「支給すべき事由が生じた月」と読み替えるものとする。

第八条の五  給付基礎日額に一円未満の端数があるときは、これを一円に切り上げるものとする。


 【参照条文=労働基準法】

第十二条  この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。
 一  賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十
 二  賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額
2  前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。
3  前二項に規定する期間中に、次の各号の一に該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する。
 一  業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
 二  産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間
 三  使用者の責めに帰すべき事由によつて休業した期間
 四  育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 (平成三年法律第七十六号)第二条第一号 に規定する育児休業又は同条第二号 に規定する介護休業(同法第六十一条第三項 (同条第六項 及び第七項 において準用する場合を含む。)に規定する介護をするための休業を含む。第三十九条第七項において同じ。)をした期間
 五  試みの使用期間
4  第一項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。
5  賃金が通貨以外のもので支払われる場合、第一項の賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
6  雇入後三箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする。
7  日日雇い入れられる者については、その従事する事業又は職業について、厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする。
8  第一項乃至第六項によつて算定し得ない場合の平均賃金は、厚生労働大臣の定めるところによる。

(8)平均賃金の算定方法

 @ 算定方法

   労災保険における給付基礎日額は、原則として、労働基準法の平均賃金に相当する額です。平均賃金は、原則として、業務上の事由又は通勤による負傷や死亡の原因となった事故が発生した日又は医師の診断によって病気にかかったことが確定した日(賃金締切日が定められている時は、その日の直前の賃金締切日)の直前3ヶ月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額をその期間の暦の日数で除した一日当たりの金額です。

 A 対象となる賃金とは

   ここでいう賃金の総額には、金銭で支払われたものの外、現物で支給されるものも含まれますが、例えば結婚手当てなど臨時に支払われる賃金、賞与等3ヶ月を越える期間ごとに支払われる賃金は含まれません。

 B 算定期間から控除される期間

   平均賃金の算定に当たり、平均賃金の算定期間である3ヶ月(原則、例外は入社したばかりで日数が少ない場合は、その勤務した月又は日数)の中に、次の期間がある場合には、その期間は算定期間から控除されます。

  ● 業務上の傷病による療養のために休業した期間
  ● 産前産後の休暇期間
  ● 使用者の都合で休業した期間
  ● 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する
法律に基づいて育児休業又は介護休業をした期間
  ● 試みの使用期間

   がある時は、算定期間からこれらの期間の日数を除き、賃金の総額からはこれらの期間中の賃金額を差し引いて平均賃金を計算します。

 C 平均賃金の最低保障

   賃金が日給、時間給、請負給などの場合には、前述@の原則による方法によって計算すると、その労働者が就労できなかったため賃金を受けなかった期間も平均賃金の算定期間に含まれ、その結果、実質的平均賃金よりも低い不合理な額が平均賃金となることがあります。したがって、そのような場合には、次の方法で計算した最低保障額と、前述@の原則による計算方法で計算した額のいずれか高い方の額を平均賃金とします。

●賃金が日給制、時間給制、出来高払制などの請負制の場合には、前述@により平均賃金を計算する場合の賃金総額をその期間中の労働日数(稼働日数で除した金額の60パーセント

●賃金の一部が月、週、その他一定の期間によって定められている部分がある場合には、次の方法によって計算した額の合計額

 ○賃金の一部分が日給制、時間給制、請負制によって定められている場合には、その部分の総額をその期間中の労働日数(稼働日数)で除した金額の60パーセント

 ○賃金の一部が月給制、週休制、その他一定の期間によって定められている場合には、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額

なお、月給日給制の場合の最低保障に関しては、別に定められている規定(解釈例規=昭30.5.24 基収第161号)に従い計算します。すなわち、賃金の一部もしくは全部が、月、週その他一定の期間によって定められ、かつ、その一定の期間中の欠勤日数もしくは欠勤時間数に応じて減額された場合の平均賃金(算定期間が4週間に満たないものを除く)が、左の各号の一(下記)によってそれぞれ計算した金額の合計額に満たない場合には、これを昭和24年労働省告示第5号第2条に該当するものとし、自今、かかる場合については、同条の規定に基き都道府県労働基準局長(現行・都道府県労働局長)が左の各号の一(下記)によってそれぞれ計算した金額の合計を以ってその平均賃金とする。という通達に従い計算することとされています。

【解釈例規による計算方法】

 一 賃金の一部が労働した日もしくは時間によって算定され、又は出来高払制によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の100分の60

二 賃金の一部もしくは全部が、月、週、その他一定の期間によって定められ、かつ、その一定の期間中の欠勤日数もしくは欠勤時間数に応じて減額された場合においては、欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額をその期間中の所定労働日数で除した金額の100分の60

三 賃金の一部が月、週、その他一定の期間によって定められ、かつ、その一定の期間中の欠勤日数もしくは欠勤時間数におうじて減額されなかった場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額
            
  

 D 日雇労働者の平均賃金

   日雇労働者は、稼働にムラがあり、また日によっては就業する事業場が変わることがあるので、賃金も不安定な場合が多い。したがって、日雇労
働者の平均賃金については、業務災害又は通勤災害による負傷や死亡の原因となった事故が発生した日又は医師の診断により病気にかかったことが確定した日の直前1ヶ月間に、その事故が発生し、又は病気にかかった事業場に使用された期間がある場合には、その期間に支払われた賃金の総額を労働日数で除した額の73%とするなど特別の計算方法が定められています。

(9)給付基礎日額算定の特例措置

   給付基礎日額は、原則として、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とされているところですが、しかし、平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる時は厚生労働省令で定めるところに従い政府が算定する額を給付基礎日額とします。

厚生労働省令(保険法施行規則第9条の規定)による特例措置は次のとおりです。

  @ 業務外傷病の療養のため休業した場合

    平均賃金の算定期間中に通勤災害その他いわゆる私傷病の療養のために休業した期間が含まれている場合には、その休業した期間及びその期間中に受けた賃金の額を、平均賃金の算定期間及びその期間中に受けた賃金の総額から、それぞれ差し引いて計算した平均賃金に当たる額が給付基礎日額とされます。

    ただし、この方法により算出した給付基礎日額が原則どおり労働基準法の平均賃金を求める方法によって計算した額を下回る場合には、後者
の額が給付基礎日額とされます

    このような措置は、通勤災害や私傷病のため休業した期間が含まれている場合には、健常時の賃金に比べて低くなることが多いので、健常時の賃金水準によって給付基礎日額を決めようという趣旨によるものであり、昭51年の法改正(52年4月1日施行)によるものです。

  A その他

    前記@及びじん肺患者の場合(本項目では省略)の特例措置のほかに、平均賃金に当たる額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる時は、厚生労働省労働基準局長が定める基準に従って算定した額を給付基礎日額とするという特例措置があります。この特例措置により平均賃金算定期間中に親族の病気や負傷などの看護のために休業した期間が含まれている場合の特例措置として前記@に順じた取り扱いがなされます。

  B 最低保障額に満たない場合

    平均賃金に相当する額又は前記@及びA(じん肺患者の場合を含む)までの方法により確定した額(以下「平均賃金相当額」という。)が4,250円に満たない場合には、給付基礎日額は一律4,250円とされます。これは最低限度の給付水準を保障する必要があることから取られている措置です。
 
    なお、給付基礎日額がスライド(スライド制については、ここでは解説を省略し、次回講座で後述します。)されることとなる場合については、平均賃金相当額に通算スライド率を乗じた額が4,250円以上である時は、給付基礎日額は平均賃金相当額を用い、平均賃金相当額に通算スライド率を乗じた額が4,250円未満であるときは、スライド後の給付基礎日額が4,250円となるよう給付基礎日額は4,250円を通算スライド率で除して得た額を用いることとされています。

 【参照条文=労災保険法施行規則】

   第九条  法第八条第二項 の規定による給付基礎日額の算定は、所轄労働基準監督署長が、次の各号に定めるところによつて行う。
一  労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)第十二条第一項 及び第二項 に規定する期間中に業務外の事由による負傷又は疾病の療養のために休業した労働者の同条 の平均賃金(以下「平均賃金」という。)に相当する額が、当該休業した期間を同条第三項第一号 に規定する期間とみなして算定することとした場合における平均賃金に相当する額に満たない場合には、その算定することとした場合における平均賃金に相当する額とする。
二  じん肺にかかつたことにより保険給付を受けることとなつた労働者の平均賃金に相当する額が、じん肺にかかつたため粉じん作業以外の作業に常時従事することとなつた日を平均賃金を算定すべき事由の発生した日とみなして算定することとした場合における平均賃金に相当する額に満たない場合には、その算定することとした場合における平均賃金に相当する額とする。
三  前二号に定めるほか、平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる場合には、厚生労働省労働基準局長が定める基準に従つて算定する額とする。
四  平均賃金に相当する額又は前三号に定めるところによつて算定された額(以下この号において「平均賃金相当額」という。)が四千百八十円(当該額が次項及び第三項の規定により変更されたときは、当該変更された額。以下「自動変更対象額」という。)に満たない場合には、自動変更対象額とする。ただし、次のイからニまでに掲げる場合においては、それぞれイからニまでに定める額とする。
イ 平均賃金相当額を法第八条 の規定により給付基礎日額として算定した額とみなして法第八条の二第一項 の規定を適用したときに同項第二号 の規定により算定した額を同項 の休業給付基礎日額とすることとされる場合において、当該算定した額が自動変更対象額以上であるとき。 平均賃金相当額
ロ イの当該算定した額が自動変更対象額に満たないとき。 自動変更対象額を、当該算定した額を平均賃金相当額で除して得た率で除して得た額(その額に一円未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとし、当該端数を切り捨てた額が平均賃金相当額に満たないときは、平均賃金相当額)
ハ 平均賃金相当額を法第八条 の規定により給付基礎日額として算定した額とみなして法第八条の三第一項 (法第八条の四 において準用する場合を含む。)の規定を適用したときに同項第二号 (法第八条の四 において準用する場合を含む。ニにおいて同じ。)の規定により算定した額を当該保険給付の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額とすることとされる場合において、当該算定した額が自動変更対象額以上であるとき。 平均賃金相当額
ニ ハの当該算定した額が自動変更対象額に満たないとき。 自動変更対象額を当該算定に用いた法第八条の三第一項第二号 の厚生労働大臣が定める率で除して得た額(その額に一円未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとし、当該端数を切り捨てた額が平均賃金相当額に満たないときは、平均賃金相当額)
2  厚生労働大臣は、年度(四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)の平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計(次条及び第九条の五において「毎月勤労統計」という。)における労働者一人当たりの毎月きまつて支給する給与の額(第九条の五において「平均定期給与額」という。)の四月分から翌年三月分までの各月分の合計額を十二で除して得た額をいう。以下この項において同じ。)が平成六年四月一日から始まる年度(この項及び次項の規定により自動変更対象額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至つた場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の八月一日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。
3  自動変更対象額に五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。
4  厚生労働大臣は、前二項の規定により自動変更対象額を変更するときは、当該変更する年度の七月三十一日までに当該変更された自動変更対象額を告示するものとする。

 続きはネット講座で解説しています。

  次回の
ネット講座【 00071】2003年6月20日午後11時00分(金曜日)は下記の項目からです。

(10)給付種類別の給付基礎日額

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解説は筆者が主催する交通事故業務ネット講座【 00069】&【000070】からの抜粋です。
 

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【 更新日=2004/02/09 月曜日
 
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