| |
| <掲載 -0090> |
| |
| <徳島県行政書士会会員 行政書士 石橋吉治氏の声明> |
| |
| <行政書士法第十九条(行政書士でない者の業務)の適用除外規定拡大反対理由> |
| <平成14年5月9日掲載> |
| |
| 行政書士法を骨抜きにする19条の適用除外規定の拡大がされようとしています。以下の理由によりこれに反対をいたします。 |
| |
| 行政書士法第十九条適用除外拡大に反対する理由書 |
| |
| IT化になればなるほど行政書士の社会的役割は重くなる。 |
| |
| 行政書士でない者は、業として第一条の二「行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。)に規定する業務を行うことが出来ない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」となっている。 |
| |
| 今、IT化時代の要請で、従来の書類による事務処理を電子情報処理技術を利用した電磁的記録により、諸般の事務を取り扱う必要が出てきた。そこで、電磁的記録を従来の書面と見なす制度が必要となったため、法体系の整合性を図ろうと作業が行われている。 |
| |
| 行政書士法第一条の二(業務)の改正案は、「行政書士は他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によって認識することが出来ない方式でつくられる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。 |
| |
| 以下この条及び第十九条第一項において同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。」となっている。この一条の二の改正は法体系の整合性から当然の措置である。 |
| |
| 市民のプライバシーを守る行政書士制度 |
| |
| 行政書士法は、 |
| |
| 1.弁護士法、司法書士法等と同様に、資格ある自然人を能力ある者とみなして、業務の独占をなさしめる代わりに、必要な規制を加え、行政書士に書類の作成を依頼する一般市民の保護等を図り、もって官公署における執務能率の向上を図ることを目的とするものである。 |
| |
| 2.行政書士制度における業務独占の緩和を行うこととした場合には、例えば、一般市民が、権利義務に関する書類あるいは身分上に関する業務等依頼者のプライバシーに関わるような書類の作成を依頼する場合において、書類作成者が書類の作成業務に関する専門的知識等を有しておらず、また、反社会的行為を行った場合であってもこれに対する処罰が存在しないことから、依頼者のプライバシーを侵害するような事態が生じ、人権問題に発展することも十分考えられる。これに対しては、不正行為について処罰されることにより業務の適正を担保することのできる有資格者による独占業務であることが必要である。 |
| |
3.また、自動車を販売するに際しての車庫証明等の申請書類の作成については、現在でも、無報酬であれば(サービスとしてであれば)ディーラー等の事業者がこれを行うことは可能であり、また、現にこれを行っている。
したがって、行政書士法の代書業務の独占を緩和し、事業者にも代書業務を認めることは現在無報酬(サービス)として事業者が取扱っている申請書類の作成を有償とする結果を招くのみであり、これが消費者の利便につながるものではない。 |
| |
| このことは、(社)日本自動車会議所、(社)経済団体連合会、(社)日本中古自動車販売協会連合会が、行政書士による代書業務の専属の緩和(行政書士による書類作成業務の専属を広く見直し、消費者の利便に即時対応できるように、事業者による自由な手続代行〈書類作成を含む〉を認めるべきとの要望に対して、平成9年3月28日の閣議決定「規制緩和推進計画の再改定について」のうち、現行制度・運用を維持するものにあっては、自治省(現総務省)が、その必要性、根拠等を明確にしたもので、同年4月30日に公表されたものである。 |
| |
| 行政書士の業務独占の社会的必要性は、上記のとおり国の見解で明らかであるが、ここで、この度の行政書士法第十九条改正案が生れた社会的背景を確認しておく必要がある。それは従前から、自動車関連団体が執拗に要求している行政書士業務の開放と少し事情を異にするからである。 |
| |
| 適用除外規定の拡大は官僚の天下り法人の利益追求が狙い。 |
| |
| 第十九条の改正案は、「行政書士でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことが出来ない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。」として、第二項を新設し、「総務大臣は、前項に規定する総務省令を定めるときは、あらかじめ、当該手続に係る法令を所管する国務大臣の意見を聴くものとする。」となっている。この第十九条の摘要除外規定を拡大することは、官僚の天下り法人の利益追求の為である。 |
| |
| 自動車団体は、自動車の運行に際して必要な手続である車両の検査・登録の手続について、手続料を取ることにより販売利益に上乗せした収益を得たいと考えている。事実、行政書士が行う自動車の登録手続に依頼者が支払う報酬額は車庫証明を含め、1台当り精々一万円程度であるが、同じ手続を自動車団体が行えば、1台あたり車庫証明を含め六万円が相場であり、これ以上の請求がなされることもしばしばである。これは、自動車を購入したユーザーが実際に支払った領収書等により明白である。自動車の登録手続台数は年間約2500万件もあり、自動車団体の不当利益は実に1兆2500億円に達するのである。しかし、今回の行政書士法の適用除外の拡大は、単に自動車団体が要求している事ばかりではない。それは、8月5日から施行される新住民基本台帳法による住民基本台帳ネットワークシステムと米国政府からの我が国における規制の撤廃、競争政策、透明性及びその他の日本政府の慣行に関する要望書に大きく関係している。 |
| |
| 住民基本台帳ネットワークシステムは、1999年8月に住民基本台帳法の一部改正として成立し、今年8月からスタートする新システムで、日本に住んでいて住民登録している日本人全員に他の人と重複しない11桁の住民票コードを割り当て、この番号と住民基本台帳に記載された個人情報(氏名・性別・生年月日・住所)を全国の都道府県や市町村を結んだコンピューターネットワークに流通させ、全国どこでも本人確認が出来る仕組みであり、市区町村と都道府県と財団法人地方自治情報センターが集めた個人情報を三者間に提供し合うものである。 |
| |
| 住民は大容量が書き込めるICカードを購入し自分の情報を書き込む。住民票が旅行先で取得できる程度で住民のメリットは少ないが、国にとっては、各自治体が管理していた個人情報を全部取得した上で管理が出来るメリットがあり、役人のためのシステムである。 |
| |
| しかも、住民基本ネットを端末で運用している数万人の自治体職員と民間業者の内、誰か一人が間違った操作をすれば個人情報が漏れる結果、悪用される。しかし、これを防止する方法はない。ICカードに書き込まれるのは、収入、借金、買い物履歴、図書館やレンタルビデオの借り出し記録、電話やメールのやり取り、本籍、家族構成、学歴、病歴、結婚暦、妊娠、出産暦等々。こうした個人情報が、一元化されるプライバシー・クライシスがこの国民総背番号制にほかならず、データ―は永久に残り、差別や偏見がシステム化され、官僚によるプライバシーの監視システムとなる。アメリカで否決、ドイツで廃案、韓国・台湾・ハンガリー・オーストラリア・ニュージランド・イギリス・アイスランド・フィリピンで断念されたもので、我が国でも国民共通番号制に反対する活動がようやくはじまった。 |
| |
| 政府は、この番号制のセキュリティとして、個人情報保護法案を提出しているが、この法案は当初の説明と内容を大きく変えてあり、個人の自由の制限、とりわけ表現の自由の制限として各方面から反対され、政府与党内からも反対或いは修正の声が上がっている。この一連の動きは、現在日本の法律制定の実権が国会ではなく、官僚が支配する実態を如実に物語っている。つまり、内閣主導の行政執行が為されず、一群の官僚により立法と行政の双方が牛耳られ、議会と内閣は彼らの道具としての機能しか果たしていないとみなされる。結論を前もって言うと、官僚たちの利権追求の道具として、前述の財団法人地方自治情報センター等天下り公益法人による実質的日本の支配が仕上げの段階にきていることを示唆していることに他ならない。 |
| |
| 公益の名の下に行政代行業務を独占する公益法人 |
| |
| ここで、実例をあげて説明すると、「官」と「民」との境界に横たわる「公益法人」という名の非営利法人で、建前は「公益事業を行う」との条件で、民法34条に基づき主管官庁の許可を得て設立された社団法人・財団法人がある。これが行政代行業務を独り占めにして国や地方自治体から補助金や依託費を貪ったり、利益をため込んだり「官」が利権の蜜を吸っている実態があきらかである。国の事務を、法的根拠もないのに独占的に補完・補助している公益法人の一つに財団法人関東陸運振興財団があるが、そこには国との一体意識・一体事業としての特徴がある。 |
| |
| 「関東陸運振興財団(旧称、陸運賛助会)」は、自動車のナンバープレートを交付する事業を国土交通省から任されている。17営業所に230人の職員を擁し、民間企業の準利益に当る当期正味財産増加額は、2000年3月期決算で一億5090万円に上っている。ナンバープレート交付手数料収入を主たる財源としているが、役員や職員の人件費が役所が認可した交付手数料の中におり込まれており、財団が人件費を計算して国土交通省に提案し、国土交通省がこのように手数料を書いて来なさいと口頭で指導する。そこで正式に書面により申請して認可をもらう。天下り先である財団の利益優先でナンバープレートの代金が決定される仕組みである。ペイント式大型車プレートの売価が1960円で、仕入値は1372円であり、588円が利ざやである。「手数料の30%が粗利」という優雅な商売を国が保証している。因みにこのプレート代金は地方ほど高値である。 |
| |
| このような財団・社団は現在2万6000を超えており、この利益追求システムの政・官・業のトライアングルを主導するのが「官」である。「官」が自らの利益を追求するための舞台装置に「公益法人」があり、中央省庁が日本官僚国家の「家の柱」とすれば、公益法人は「官」が天下り、利権を大規模に栽培する「裏庭」といえる。官僚が公益法人の設立に手を貸したあと、自分達の天下り先と利権の温床に使われている。 |
| |
| この官僚の天下り支配を実行する上で、邪魔になるもののひとつが、行政書士法であり、とりわけその第十九条の業務の制限規定であることは明らかである。あらゆる公益法人は行政手続を独占しようとし、手続きにかこつけて多額の収益をあげている構造は、先に例として示した、財団法人関東陸運振興財団のナンバープレートのからくりを見ても容易に理解される。しかも、このような実態は、JAFや財団法人日本交通管理技術協会・財団法人日本建築センターなど数多の公益法人が新たな利権の発生を目論見、政府の肥大化を突き進めているのである。 |
| |
| 行政手続が電子的情報処理技術の利用により行われる2005年度からは、社団財団を問わず、公益法人による行政手続きの独占化が目論まれることは明かである。これを可能にするためには、中央省庁の元締めである総務省から、利権追求のお墨付きをもらう必要がある。そこで、かねてより行政書士制度潰しに熱心な自動車関連団体に働きかけて、総務省に適用除外の拡大を画策したとしても頷けることである。また、自動車団体だけの判断で、この度の適用除外拡大の働きかけが行われたとしたならば、他団体からは濡れ手にあわとして歓迎される事である。総務省が自動車関連団体を動かしたとも考えられる。 |
| |
| 一方、米国から我が国へ数次に渡り要求のある規制の撤廃等は、電気通信・住宅・医療機器・医薬品・金融サービス・エネルギー分野をはじめ法律業務についても開放を求めている。弁護士以外の準法律専門職と弁護士・外国法律事務弁護士との相互関係における雇用・パートナーシップ及び費用分担に対する規制を廃止すべきであるとしている。この事は即座に行政書士法第十九条の制限解除というわけではないが、官僚の脳裏には損得勘定がつき纏っていることではある。 |
| |
| グローバル社会にあって日本だけが官僚天国の利権政策をとりつづける事は許されず、国際的にも準法律職としての行政書士制度の活用が要求されている事実に鑑み、行政書士法の適用除外規定の拡大は国家として慎まなければならない。 |
| |
| さらに、この度の改正案によると、刑罰規定が国会のコントロールの及ばない省令委任により総務大臣(実態は課長以下の官僚)の裁量次第で、自由に刑罰の及ぶ範囲を変更することになる。行政書士法第十九条の除外規定の拡大方法は、法治国である日本において刑罰法規をあいまい且つなし崩しにすることになり、国民は何が犯罪なのか判断に迷い、国会軽視につながる。憲法第31条で定める法手続の保障から国民の権利を奪い、官僚の恣意的な運用で刑罰を科すことは憲法の精神を逸脱した無法な企てであるといわざるを得ない。 |
| |
| よって、行政書士法第十九条の適用除外規定拡大は、ひとり、一部の官僚が天下り先の利権確保のための策略に他ならないと断ずる事ができる。この度の改正案がそのまま法律となった場合、地方自治体の窓口での混乱は、収拾のつかない状況となることを指摘する。即ち、暴力団或いはそれに類する団体等が行政手続に公然と介入し、行政事務に不当な圧力と強要を迫り、一部特定の利益のために善良な一般市民の正当な申請権を脅かすと共に、例えば交通事故処理に絡み、被害者・加害者に書類の作成の名目等で金銭を要求し、保険会社へも不当な請求をすることを許し、社会の信義と基本的人権が侵されるのみならず、罰則で担保された守秘義務のない各種の団体が手続に介在し、あるいは手続を独占する結果、申請者である市民のプライバシーは一切守られず、暴力的強権的な一部の者が利権を拡大し、一般大衆の平和な生活を脅かし、まさに暗黒の国家へと突き進むシステムの定着が懸念される。行政書士法第十九条を現行のままとしておく必要性を訴えるものである。 |
| |
| 行政書士法第19条の改悪阻止は民主主義の根幹である。 |
| |
| 世情は不安と不信に取り憑かれ、我が国の将来を楽観視する者は独りだにいない。はたしてこれでよいはずはない。心あるジャーナリストや作家をはじめ一般市民も現状打開策を真剣に考えている。また価値ある意見が発表されるようになった。公益法人という隠れ蓑を被った官僚の悪の実体については、既にご理解をいただいたところであるが、さらなる官僚による国民いじめを阻止しなければ日本の将来は暗澹たるものとなってしまう。 |
| 行政書士法第19条の改悪を阻止し、民主主義の根幹である市民のプライバシーを守り、表現の自由を守る。これこそが諸悪を根絶する有効な手段であり、日本の良識が勝利することである。 ご理解とご支援を賜りますよう衷心よりお願いを申し上げます。 |
| |
| 平成14年 5月 8日 |
| |
島県徳島市応神町吉成字中ノ瀬5番地1 行政書士 石橋 吉治
рO88−641−4500 FAX088−641−4649
メール nandemo@jad2000.com
|
| |