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第5部( モジュール5)− 臨床試験報告書−

序文

「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン(E3)」が公表されているが、この第5部では、医薬品承認申請のための国際共通化資料(CTD)における総括報告書、その他臨床データ及び参考文献の配列に関する指針を示すものである。これらCTD資料の配列は、承認申請書類の作成及び当局による審査を容易にするものである。
このガイドラインは、臨床試験報告書の配列を示すものであり、承認取得のためにどのような試験が要求されるのかを示すものではない。

国際共通化資料(CTD) 第5部(モジュール5)における臨床試験報告書及び関連情報の配列

5.1 目次
5.2 臨床試験一覧表
5.3 試験報告書及び関連情報
5.3.1 生物薬剤学試験報告書
5.3.1.1 バイオアベイラビリティ(BA)試験報告書
5.3.1.2 比較BA試験及び生物学的同等性(BE)試験報告書
5.3.1.3 In Vitro-In Vivoの関連を検討した試験報告書
5.3.1.4 生物学的及び理化学的分析法検討報告書
5.3.2 ヒト生体試料を用いた薬物動態関連の試験報告書
5.3.2.1 血漿蛋白結合試験報告書
5.3.2.2 肝代謝及び薬物相互作用試験報告書
5.3.2.3 他のヒト生体試料を用いた試験報告書
5.3.3 臨床薬物動態(PK)試験報告書
5.3.3.1 健康被験者におけるPK及び初期忍容性試験報告書
5.3.3.2 患者におけるPK及び初期忍容性試験報告書
5.3.3.3 内因性要因を検討したPK試験報告書
5.3.3.4 外因性要因を検討したPK試験報告書
5.3.3.5 ポピュレーションPK試験報告書
5.3.4 臨床薬力学(PD)試験報告書
5.3.4.1 健康被験者におけるPD試験及びPK/PD試験報告書
5.3.4.2 患者におけるPD試験及びPK/PD試験報告書
5.3.5 有効性及び安全性試験報告書
5.3.5.1 申請する適応症に関する比較対照試験報告書
5.3.5.2 非対照試験報告書
5.3.5.3 複数の試験成績を併せて解析した報告書
(正式な統合解析、メタアナリシス、ブリッジングに関する解析を含む)
5.3.5.4 その他の臨床試験報告書
5.3.6 市販後の使用経験に関する報告書
5.3.7 患者データ一覧表及び症例記録
5.4 参考文献

国際共通化資料(CTD) 第5部( モジュール5) における臨床試験報告書及び関連情報の配列に関するガイドライン

本ガイドラインは、承認申請書類の作成とその審査が円滑に行われるよう、また資料を完全なものにするため、臨床試験報告書及び関連情報の一定の配列を推奨するものである。報告書の配列は、主たる試験目的によって決めること。各報告書は一つの項のみに添付し、複数目的の場合は、添付を繰返さずその項を参照すること。添付する報告書又は情報がない項目には、「該当せず」又は「試験を実施せず」等と記載すること。

5.1 目次

試験報告書の目次を作成すること。

5.2 臨床試験一覧表

全ての臨床試験及び関連情報の一覧表を作成すること。試験ごとの記載内容は、通常、本ガイドラインの表5.1に示す情報が含まれることになる。その他の情報は、申請者が有用と判断するものを含めてよい。順序は、下記第5.3項の配列に従うこと。異なる配列を使用する場合は、一覧表の序文にその旨を説明すること。

5.3 試験報告書及び関連情報

5.3.1 生物薬剤学試験報告書

BA試験は、医薬品から有効成分が放出される速度と程度を評価するものである。比較BA試験又はBE試験は、PK、PD、臨床的又はin vitroの溶出性等のエンドポイントを用い、単回又は反復投与で実施される。試験の主たる目的はPKの評価であるが、同時にBA情報を得たものであれば、その結果は第5.3.1項に添付し、第5.3.1.1項、第5.3.1.2項では第5.3.1項を参照すること。

5.3.1.1 バイオアベイラビリティ(BA) 試験報告書

本項のBA試験には、(1)経口固形製剤からの有効成分の放出及び全身的利用率を、静脈内投与又は経口液剤による全身的利用率と比較した試験、(2)含量の異なる製剤間における比例性試験、(3)食事の影響に関する試験が含まれる。

5.3.1.2 比較BA試験及び生物学的同等性(BE) 試験報告書

本項に添付する試験は、有効成分放出の速度と程度を類似した製剤間(例:錠剤と錠剤、錠剤とカプセル)で比較しているものとする。比較BA又はBE試験に含まれるものとしては、(1)有効性を裏付ける試験で用いられた製剤と市販予定製剤との比較試験、(2)有効性を裏付ける試験で用いられた製剤と安定性試験で用いられた製剤との比較試験、(3)製造者が異なる製剤間の比較試験があげられる。

5.3.1.3 In Vitro-In Vivoの関連を検討した試験報告書

In vivoとの関連を検討したin vitro試験等、BAに関する情報が得られたin vitro溶出試験があれば、この第5.3.1.3項に添付すること。バッチの品質管理、バッチの出庫可否判断のために用いたin vitro溶出試験報告書は、CTDの第3部(モジュール3)「品質に関する文書」に添付すること。

5.3.1.4 生物学的及び理化学的分析法検討報告書

生物薬剤学試験又はin vitro溶出試験で用いた生物学的分析法、理化学的分析法は、通常、個々の試験報告書に記載すること。ある一つの方法が複数試験で用いられた場合は、方法及びそのバリデーションに関する報告書を第5.3.1.4項に添付し、個々の試験報告書においてはそれを引用すること。

5.3.2 ヒト生体試料を用いた薬物動態関連の試験報告書

ヒト生体試料とは、有効成分のPK特性を評価するためにin vitroやex vivoで用いられたヒトに由来する蛋白質、細胞、組織、及び関連試料を指す用語である。例として、生体膜透過性及び輸送過程の評価のために用いられる培養ヒト結腸細胞や血漿蛋白結合検討のために用いられるヒトアルブミン等がある。特に重要なものは、薬物代謝経路を検討し、代謝経路に関係する薬物−薬物相互作用を検討するための肝細胞、肝ミクロソーム等のヒト生体試料である。その他の特性(例:無菌性や薬力学)を検討するために生体試料を用いて実施した試験は、臨床試験報告書の部に添付せず、非臨床試験報告書の部に添付すること(第4部(モジュール4))。

5.3.2.1 血漿蛋白結合試験報告書

Ex vivo蛋白結合試験の報告書は、本項に添付すること。PK試験から得られた蛋白結合に関するデータは、第3項に添付すること。

5.3.2.2 肝代謝及び薬物相互作用試験報告書

肝組織を用いた代謝及び薬物相互作用試験の報告書は、本項に添付すること。

5.3.2.3 他のヒト生体試料を用いた試験報告書

その他の生体試料を用いた試験の報告書は、本項に添付すること。

5.3.3 臨床薬物動態(PK) 試験報告書

健康被験者、患者におけるPK特性の評価は、投与計画及び用量調整の検討や、併用薬剤による影響の予測、観察された薬力学的作用の差異を解釈する上で重要である。PK評価は、親化合物及び代謝物(特に薬理活性がある場合)が、生体内でどのような挙動を示すかを経時的に検討するものであり、最高血漿中濃度(最大曝露量)、AUC(総曝露量)、クリアランス、そして蓄積に焦点が置かれるものである。

第5.3.3.1項及び第5.3.3.2項の対象となるPK試験の目的としては、(1)血漿中薬物及び代謝物濃度の経時的測定、(2)有用又は必要な場合には尿中又は糞中の薬物及び代謝物濃度の測定、(3)蛋白質や赤血球と結合した薬物及び代謝物の測定等が一般的である。PK試験には、組織、臓器、体液(例:滑液や脳脊髄液)への薬物分布測定が含まれる場合もあるが、その結果は第5.3.3.1項又は第5.3.3.2項に適切に添付すること。これらの試験により、薬物のPK特性を明らかにするとともに、健康被験者、患者における薬物及び活性代謝物の吸収・分布・代謝・排泄に関する情報を提供すること。マスバランス試験や、用量(例:用量比例性)や時間(例:酵素誘導又は抗体産生の影響)と関連したPKの変化を検討した試験は特に重要であり、結果は第5.3.3.1項又は第5.3.3.2項に添付すること。

健康志願者及び患者におけるPKの測定結果は、平均値による記述とは別に、個々の変動範囲についても記述すること。外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因に関するICH E5ガイドラインでは、異なる集団における異なる薬物反応をもたらす要因として内因性民族的要因と外因性民族的要因を挙げている。本ガイドラインでは、これらの分類をそれぞれ内因性要因及び外因性要因と記述する。これら内因性要因(例:年齢、性、人種、体重、身長、疾患、遺伝子多型及び臓器機能不全)及び外因性要因(例:薬物間相互作用、食事、喫煙及び飲酒)によるPKの変化の結果としての全身曝露量の違いを評価することもある。これら内因性及び外因性要因の影響を検討した試験報告書は、第5.3.3.3項及び第5.3.3.4項にそれぞれ添付すること。

繰返しサンプルを採取する標準的PK試験に加え、臨床試験において少数回サンプルを採取するポピュレーションPK解析によっても、用量−PK−反応関係の変化における内因性及び外因性要因の関与を検討することができる。ポピュレーションPK試験で用いられる方法は、標準的PK試験で用いられるものとは本質的に異なっているため、これらの試験報告書は第5.3.3.5項に添付すること。

5.3.3.1 健康被験者におけるPK及び初期忍容性試験報告書

健康被験者におけるPK及び初期忍容性試験の報告書は、本項に添付すること。

5.3.3.2 患者におけるPK及び初期忍容性試験報告書

患者におけるPK及び初期忍容性試験の報告書は、本項に添付すること。

5.3.3.3 内因性要因を検討したPK試験報告書

内因性要因を検討したPK試験報告書は、本項に添付すること。

5.3.3.4 外因性要因を検討したPK試験報告書

外因性要因を検討したPK試験報告書は、本項に添付すること。

5.3.3.5 ポピュレーションPK試験報告書

有効性及び安全性試験を含む臨床試験で少数回採取したサンプルに基づくポピュレーションPK試験の報告書は、本項に添付すること。

5.3.4 臨床薬力学(PD) 試験報告書

ヒトにおける医薬品のPD作用を検討することを主目的とする試験の報告書は、本項に添付すること。しかし、有効性の確立や、安全性データの集積が主目的である場合には、第5.3.5項に添付すること。

本項の対象となる試験には、(1)期待される臨床効果と関連するか関連すると考えられる薬理学的特性(生物学的マーカー)に関する試験、(2)主たる臨床的効果を検討する短期試験、(3)期待される臨床効果と関連しないその他の特性に関するPD試験等がある。薬理学的効果と用量ないし血漿中薬物/代謝物濃度との定量的関係については、通常関心のあるところであり、PD関連情報は、用量反応試験あるいはPK試験(濃度−反応又はPK/PD試験)における薬物濃度に関する情報と共に得られることが多い。適切に管理された試験から得られたものではないPKとPD作用との関係は、しばしばモデルを用いて評価され、用量反応試験のデザインの根拠として、時に、部分集団における薬物濃度の違いの影響を解釈する根拠として利用される。

用量探索試験、PD試験、PK-PD試験は、健康被験者及び/又は患者を対象に実施されるが、それらの験を、ある適応症を対象に行う安全性及び有効性試験に組み入れることもできる。健康被験者で実施されたこれらの試験報告書は第5.3.4.1項に、患者で実施された報告書は第5.3.4.2項に添付すること。

患者におけるPD試験で得られる短期PD、用量探索、PK-PDに関する情報には、受け入れられる代用マーカー(例:血圧)や治療上のベネフィットを示すエンドポイント(例:疼痛の緩和)に対する効果を反映するものもあるため、有効性評価に寄与するデータを提供する場合もある。同様に、PD試験が重要な安全性情報を含むこともある。ゆえに、PD試験のうち有効性や安全性を証明するものがあれば、その試験は有効性及び安全性試験とみなし、第5.3.4項ではなく第5.3.5項に添付すること。

5.3.4.1 健康被験者におけるPD試験及びPK/PD試験報告書

健康被験者を対象とした、治療を目的としないPD試験、PK/PD試験は、本項に添付すること。

5.3.4.2 患者におけるPD試験及びPK/PD試験報告書

患者を対象としたPD試験、PK/PD試験は、本項に添付すること。

5.3.5 有効性及び安全性試験報告書

本項には、申請医薬品の有効性、安全性に関する全ての臨床試験報告書を添付すること。対象となるのは、治験依頼者が実施した試験か入手可能な報告書であり、申請適応症であるか否かを問わず、完了しているか進行中であるかを問わない。報告書の詳細さは、その試験の重要性及び申請における位置付けに相応したものであること。安全性と有効性の両方を裏付ける試験の報告書の内容についてはICH E3に記述されている。試験によっては、簡略化された報告書を提出してもよい(ICH E3及び地域ごとのガイダンスを参照)。本項における配列は、試験のデザイン(比較対照試験、非対照試験)に拠ること。また比較対照試験の配列は、対照の種類に拠ること。さらに各項では、総括報告書と簡略化された報告書( ICH E3)とに分け、総括報告書を先に添付すること。データが限られているか、又は追加データが入手できない公表文献は、最後に添付すること。

複数の適応症を申請する場合には、適応症ごとに第5.3.5項を起こし、該当する報告書を分けて添付すること。ある有効性試験がひとつの適応症のみと関連している場合は、該当する適応症の第5.3.5項に添付すること。複数の適応症と関連している場合は、最も適切と考えられる適応症の第5.3.5項に添付し、必要に応じて他の適応症の第5.3.5項(例:第5.3.5A項、第5.3.5B項)においてはそれを参照すること。

5.3.5.1 申請する適応症に関する比較対照試験報告書

比較対照試験報告書は、対照の種類により配列すること。

薬剤の有効性評価と関連がある場合には、対照の種類別に、試験を投与期間ごとに添付すること。申請した適応症に関する試験ではないが、申請した用法・用量での有効性を裏付けるデータを提供する試験は、第5.3.5.1項に添付すること。
薬力学試験が有効性を裏付ける場合には、第5.3.5.1項に添付すること。試験が実施された時期的な順序は添付する順序には関連しない。したがって、プラセボ対照比較試験は、実施された時期にかかわらず、第5.3.5.1項に添付すること。安全性に関する比較対照試験も、申請の対象ではない条件での試験も含めて、第5.3.5.1項に添付すること。

5.3.5.2 非対照試験報告書

非対照試験の報告書(例:非盲検の安全性試験)は、本項に添付すること。
これには承認申請の対象ではないものも含まれる。

5.3.5.3 複数の試験成績を併せて解析した報告書

申請に関する臨床上の問題点は、複数の試験成績を考慮した解析によって扱われることがある。そのような解析結果は、一般に臨床概要に要約されるべきであるが、解析結果を詳細に記述し提示することは、その結果を解釈する上で重要である。臨床概要に記載するには解析が詳細すぎるような場合には、それらを別の報告書としてまとめること。このような報告書は、第5.3.5.3項に添付すること。本項に含まれる報告書の例には、以下のものが含まれる。

正式なブリッジング試験、関連する他の臨床試験、他の適切な情報(例:PK及びPD情報)を考慮したブリッジングに関する詳細な解析報告書は、臨床概要に含めるには長すぎる場合には、本項に添付すること。

5.3.5.4 その他の臨床試験報告書

本項には以下の報告書が添付される。

5.3.6 市販後の使用経験に関する報告書

現在市販されている製品については、市販後の使用経験(全ての重要な安全性に関する知見を含む)をまとめた報告書を第5.3.6項に添付すること。

5.3.7 患者データ一覧表及び症例記録

症例記録及び患者データ一覧表については、「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」の付録16.3及び16.4として記載されている。これらを添付する際には、臨床試験の報告書と同じ順序で第5.3.7項に添付し、試験ごとに索引をつけること。

5.4 参考文献

重要な公表論文、公式な会議録、又は他の規制当局のガイダンスや助言を含む参考資料のコピーを本項に添付する。これには、臨床概括で引用した全ての参考文献のコピー、臨床概要又は第5部第5.3項に添付される個々の報告書で引用された重要な参考文献のコピーが含まれる。各参考文献についてはコピーを一部添付すること。本項に含まれない参考文献のコピーは、要求があれば直ちに提供すること。