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目次


臨床概要の構成及び内容

序文

臨床概要の目的は、国際共通化資料(CTD)中の全ての臨床情報の詳細な事実に基づく要約を提供することである。これには、ICH E3でいう「治験の総括報告書」から得られた情報、第5部に報告書一式が添付されている試験のメタアナリシスや複数試験にまたがる併合解析から得られた情報、他の地域で販売されている品目については市販後のデータが含まれる。本文書で提供される試験間の結果の比較及び解析は、事実に基づく観察・結果に重点を置くこと。対照的に、「臨床に関する概括評価」では、臨床において得られた情報についての考察と解釈、及び既存の治療法の中における当該医薬品の位置付けに関する考察を含め、臨床試験計画とその結果に関する重要な解析を示すこと。

臨床概要の長さは伝達すべき情報により変わるが、付表を除き通常50ページから400ページの範囲と想定されている。

臨床概要の構成及び内容 目次

2.7.1生物薬剤学及び関連する分析法の概要
2.7.1.1背景及び概観
2.7.1.2個々の試験結果の要約
2.7.1.3全試験を通しての結果の比較と解析
2.7.2臨床薬理の概要
2.7.2.1背景及び概観
2.7.2.2個々の試験結果の要約
2.7.2.3全試験を通しての結果の比較と解析
2.7.2.4特別な試験
2.7.3臨床的有効性の概要
2.7.3.1背景及び概観
2.7.3.2個々の試験結果の要約
2.7.3.3全試験を通しての結果の比較と解析
2.7.3.4推奨用法・用量に関する臨床情報の解析
2.7.3.5効果の持続、耐薬性
2.7.4臨床的安全性の概要
2.7.4.1医薬品への曝露
2.7.4.2有害事象
2.7.4.3臨床検査値の評価
2.7.4.4バイタルサイン、身体的所見及び安全性に関連する他の観察項目
2.7.4.5特別な患者集団及び状況下における安全性
2.7.4.6市販後データ
2.7.5参考文献
2.7.6個々の試験のまとめ

臨床概要の各項に関する詳細な指針

2.7.1生物薬剤学及び関連する分析法の概要

2.7.1.1背景及び概観

本項では製剤開発過程、in vitro及びin vivoでの製剤特性、バイオアベイラビリティ(BA)、比較BA、生物学的同等性(BE)、in vitro溶出特性に関する情報の収集に用いた方法と根拠の概観を示すこと。試験の計画及び実施に際して参照したガイドライン又は文献を示すこと。また、本項では用いた分析法の概観について、特に分析法バリデーションの成績特性(例:線形範囲、感度、特異性)及び品質管理(例:正確性及び精度)に重点をおいて示すこと。本項には個々の試験に関する詳細な情報は記載しないこと。

2.7.1.2個々の試験結果の要約

全ての生物薬剤学試験を基本的には一覧表で提示し(第2.7.1項の付録を参照)、BA及びBEに関するin vitro又はin vivoの重要なデータと情報が得られた個々の試験の内容と結果について、簡単な説明を付け加えること。説明は、論文抄録のように簡潔なものとし、デザイン上の特徴及び重要な結果のみを記載すること。試験デザインが似ているものはまとめて表記してもよい。その場合、結果がどの試験のものかが分るように記載し、試験間の結果に重要な差異があれば示すこと。これらの記述は、総括報告書の概要(シノプシス)(ICH E3)から抜粋してもよい。また、説明文中に、本項から各総括報告書へ参照できるように配慮しておくか、電子的リンクを貼りつけておくこと。

2.7.1.3全試験を通しての結果の比較と解析

本項では、原薬及び製剤について実施された全てのin vitro溶出試験、BA試験及び比較BA試験についての事実に基づく要約を、特に試験間の結果の違いに注目して示すこと。この概観では、以下のことを考慮して、一般的に本文及び表(第2.7.1項の付録を参照)を用いて結果を要約すること。

第2.7.1項付録

文書が読みやすくなるのであれば、図や表を適切に文章中に挿入すること。大きな表は、本項の最後に付録として添付することができる。

表2.7.1.1及び表2.7.1.2はそれぞれBA試験及びin vitro溶出試験に関する情報や結果を報告するための表様式の例である。これらの表は、結果はもちろん試験の種類とデザインをも特定する。BE試験の結果を報告するために作成された表には、Cmax及びAUCの幾何平均値の比(試験製剤/対照製剤)並びにその90%信頼区間、又は現在推奨されているBE評価に対する基準も含める。

これらの表はテンプレートではなく、申請者が生物薬剤学試験をまとめる際に考慮すべき情報の種類を単に示したものである。これらの試験から得られた情報や結果が表、文章、図を用いて最も分かりやすく示されているかについても判断すること。例えば、結果が文章及び図で良く示されている場合は、表は試験の一覧を示すためだけに用いられることになる。

2.7.2臨床薬理の概要

2.7.2.1背景及び概観

本項では、臨床薬理試験についての総括的な概要を示すこと。これらの試験には、ヒトでの薬物動態(PK)と薬力学(PD)を評価するための臨床試験、PKに関連するヒト細胞、組織、又は関連試料(以後、ヒト生体試料という)を用いて実施したin vitro試験が含まれる。ワクチン製品については、本項で投与量、投与スケジュール、最終製剤の選択を裏付ける免疫反応データを示すこと。適切な場合には、第2.7.1項、第2.7.3項、第2.7.4項で要約する関連データも参照して、薬物動態、薬力学、PK/PD、ヒト生体試料に関する情報の収集に用いた方法と根拠の包括的な概要を示してもよい。本項には個々の試験に関する詳細な情報を含めないこと。

本項は、まず、PK又はPDデータの解釈を助けるために実施されたヒト生体試料試験の簡潔な概観から始めること。透過性(例:腸での吸収、血液脳関門通過)、タンパク結合、肝代謝、代謝に基づく薬物相互作用に関する試験は特に重要である。次に、健康被験者及び患者におけるPK/PD関係、PKとPK/PD関係に対する内因性及び外因性要因*1の重要な影響についての試験等、医薬品のPK及びPDの特性を明らかにするために実施された臨床試験の簡潔な概観を記載すること。試験デザイン及びデータ解析の重要な側面を記載すること(例:単回又は反復投与の選択、試験対象集団、検討した内因性及び外因性要因の選択、PDエンドポイントの選択、データを収集・解析してPK又はPDを評価するために標準的方法を用いたのか、あるいはポピュレーション法を用いたのか)。

*1 外国臨床データを受入れる際に考慮すべき民族的要因についてのICH E5ガイドラインでは、被験者集団間で異なる医薬品の反応を引き起こす可能性のある要因を内因性民族的要因と外因性民族的要因に分類している。CTDにおいては、これらの分類をそれぞれ内因性要因と外因性要因と呼ぶ。

2.7.2.2個々の試験結果の要約

全ての臨床薬理試験を、通常、一覧表で提示し(第2.7.2項の付録を参照)、PK、PD及びPK/PD関係に関するin vitro又はin vivoのデータと情報が得られた重要な個々の試験の内容と結果について、簡単な説明を付け加えること。説明は、論文抄録のように簡潔なものとし、デザイン上の特徴及び重要な結果のみを記載すること。個々の試験結果及び試験間の重要な違いに着目して、試験デザインが似ているものはまとめて表記してもよい。また、本項から各総括報告書へ参照できるように配慮しておくか、電子的リンクを貼りつけておくこと。

薬力学的エンドポイントを用いた用量−反応又は濃度−反応試験の要約を本項に含めること。しかし、これらが適切に管理された試験であり、有効性又は安全性に関する重要なデータが得られる場合には、第2.7.3項又は第2.7.4項で要約し、ここでは引用するのみとする。

2.7.2.3全試験を通しての結果の比較と解析

本項では、当該医薬品のPK、PD、PK/PD関係を特徴づけるために実施したin vitroヒト生体試料試験、PK、PD、PK/PD試験の全ての結果を用いること。これらの結果のうち、個体内及び個体間変動に関する成績、これらのPK関係に影響を及ぼす内因性及び外因性要因について示すこと。

本項では、通常は文章と表を用いて、以下の事柄に関する全ての試験データを事実に基づいて示すこと。

2.7.2.4特別な試験

本項では、特定の種類の医薬品に関連する特別な種類のデータを得るために実施した試験を示すこと。免疫原性試験及び他の試験で、データがPK、PD、安全性、有効性データと関係する可能性のあるものは、その関係に係る説明を本項で要約すること。PK、PD、安全性、有効性に対して認められた影響又は考えられる影響については、本項と相互参照しながら臨床概要の適切な項に示すこと。特に懸念される安全性上の問題が認められた試験については、本項に記述する代わりに第2.7.4項「臨床的安全性の概要」に示すこと。

なお、本項の報告書は第5部第5.3.5.4項「その他の臨床試験報告書」に添付することができる。

例1:免疫原性

特異的な免疫反応が認められたタンパク製剤やその他の製剤について、免疫原性に関するデータを本項で要約すること。特定の免疫反応を誘発するためのワクチンや他の製品については、免疫原性データを有効性の項に記載すること。用いた分析法を簡単に説明し、その性能(例:感度、特異性、信頼性、確実性)に関する情報を要約すること。申請資料中の詳細な情報の記載箇所を相互参照すること。

用いた抗体分析法(例:ELISA法によるIgG、中和法)の種類別に、抗体発現率、抗体価、抗体発現時期、持続期間に関するデータを要約すること。基礎疾患、併用薬、投与量、投与期間、投与方法、製剤と抗体産生との関係を検討し要約すること。長期的に持続して投与される医薬品については、治療の中断が抗原性に及ぼす影響に関するデータを解析し要約すること。

臨床的意味があるかもしれない免疫原性との相関を分析し、要約することは特に重要である(例:特定の種類又は特定の力価の抗体の存在と、PKの変化、PDの変化、有効性の減弱、有害事象プロフィールの変化、有害事象の発現がどの程度相関すると考えられるかを判定すること)。免疫学的に仲介される可能性のある事象(例:血清病)及び投与された医薬品に対する抗体による交叉反応性内因性物質の結合により生じた事象には特に注意を払うこと。

例2:臨床微生物学

抗菌薬又は抗ウイルス薬については、活性スペクトルを検討するためのin vitro試験は、臨床的有効性に関する試験計画全体の中で重要な部分を占める。有効性決定の一環としての臨床分離株の感受性に関する特性検討を含む臨床的有効性試験は、第2.7.3項「臨床的有効性の概要」に示すこと。しかし、世界各地から得られた菌株のin vitro感受性のパターン等を評価する試験(すなわち臨床的な有効性試験とは別の意味合いの試験)は本項に示すこと。

第2.7.2項付録

文書が読みやすくなるのであれば、図や表を適切に文章中に挿入すること。大きな表は、本項の最後に付録として添付することができる。

表2.7.2.1はPKについての薬物相互作用試験に関する情報や結果を報告するための表様式の例である。PK/PD試験、用量−反応試験、ヒト生体試料に対する影響に関する試験、ポピュレーションPK試験についても、同様の表を作成できる。この表はテンプレートではなく、申請者が臨床薬理試験をまとめる際に考慮すべき情報の種類を単に示したものである。これらの試験から得られた情報や結果が、表、文章、図を用いて最も分かりやすく示されているかについても判断すること。例えば、結果が文章及び図で良く示されている場合は、表は試験の一覧を示すためだけに用いられることになる。

その他の種類の臨床薬理試験において表を作成する場合には、以下の情報を含めることを考慮すること。これらは単なる例示であり、どの情報を示す必要があるかは申請者が決定すること。

2.7.3臨床的有効性の概要

第2.7.3項は適応症ごとにおこすこと。ただし、適応症が密接に関連する場合はひとつの項目にまとめてもよい。本項が複数のセクションとなる場合、3A、3B、3C等と表示すること。

2.7.3.1 背景及び概観

本項では、個々の申請適応症における有効性を評価した比較対照試験及びその他の試験の実施計画を記述すること。これらの試験における安全性評価の結果は、第2.7.4項「臨床的安全性の概要」で考察すること。

本項は、有効性を評価するために実施された比較対照試験のデザインを概観することから始めること。対象となる試験には、用量反応試験、比較対照試験、長期有効性試験、特別な患者集団における有効性試験が含まれる。無作為化手順、盲検化手順、対照治療の選択、対象患者の選択、クロスオーバー法やランダム治療中止デザイン等のデザイン特性、run-in期間の設置、その他のエンリッチメント法(強化法)、採用したエンドポイント、試験期間、事前に計画した解析方法等の重要な試験デザインの特徴について考察すること。本項は臨床的評価に焦点を置いたものであるが、適宜、非臨床データや臨床薬理学データも参照し、有効性に関連する臨床使用経験を包括的に要約してもよい。ただし、本項には個々の試験の詳細を記述しないこと。

2.7.3.2 個々の試験結果の要約

申請医薬品の有効性を検討した(又は検討を目的とした)全ての試験を、通常、一覧表で提示し(第2.7.3項の付録を参照)、重要な試験については説明的な記述を加えること。説明は、論文抄録のように簡潔なものとし、デザイン上の特徴及び重要な結果のみを記載すること。試験デザインが似ているものはまとめて記載してもよいが、その場合、結果がどの試験のものかが分かるように記載し、試験間の結果に重要な差異があれば示すこと。また、安全性評価上重要な試験については、どの程度被験者が被験薬又は対照薬に曝露されたか、安全性データをどのように収集したかについて説明すること。これらの記述は、総括報告書の概要(シノプシス)(ICH E3)から抜粋してもよい。また、本項から各総括報告書へ参照できるように配慮しておくか、電子的リンクを貼りつけておくこと。

ある特定の外国臨床データが新地域に外挿できるかどうかを評価するために実施した試験等、臨床的エンドポイントを用いたブリッジング試験(ICH E5を参照)に関する記述は、本項に含めること。必要であれば、そのブリッジング試験の結果について、外国試験での有効性と安全性を外挿するうえで有用と思われるその他の情報(例:PK及びPDデータ)と共に検討すること。検討により得られた結論は第2.7.3.3.2項「全有効性試験の結果の比較検討」の最初に示し、検討結果の全文は第5部に添付すること。

2.7.3.3 全試験を通しての結果の比較と解析

第2.7.3.3項中のサブセクションでは、文章、図、表を適切に用い(第2.7.3項付録を参照)、当該医薬品の有効性を特徴づける全てのデータを要約すること。この要約には、最終的な結論を裏付けているかどうかにかかわりなく、全てのデータの解析結果が含まれていなければならず、従って、関連する試験が互いにどの程度結論を確立するうえで有用かどうかも考察すること。有効性に関するデータ間に重大な不整合があれば記載し、追加検討を要する事柄を明らかにすること。

本項における有効性に関する検討方法は通常二種類あり、一つは個々の試験結果の比較であり、もう一つは複数試験からのデータを併せた分析である。本項に記載できない詳細な検討結果は別途第5部第5.3.5.3項に添付すること。

さらに、添付文書中の用法・用量の内容を裏付ける第2.7.2項に含まれるデータ等の重要な科学的根拠を示すこと。対象となるデータとしては、推奨する用量及び投与間隔、個々の患者における用量調整、特別な患者集団における用量変更の必要性(小児、高齢者、肝障害、又は腎障害のある患者等)、用量−反応又は濃度−反応関係(PK/PD)等が含まれる。

2.7.3.3.1 試験対象集団

有効性を検討した全ての試験における被験者の人口統計学的及び他の基準値の特性を記載する。含むべき内容は以下のとおり。

表形式により試験対象集団を併記して比較することは有用と思われる。

2.7.3.3.2 全有効性試験の結果の比較検討

ある特定の外国臨床データを新地域に外挿できるかどうかを検討するために実施した試験等、臨床的エンドポイントを用いたブリッジング試験(ICH E5を参照)に関する要約は、本項に記載すること。地域間における有効性データの類似性について検討した結果、又は新地域における有効性データの外挿を可能にする情報も本項にて要約する。これらの要約のため本項にサブセクションをおこしてもよい。

結論が明確でない試験や否定的な試験も含め、有効性の評価を目的とした全ての試験の結果を要約し比較すること。エンドポイント、対照群、試験期間、統計解析方法、被験者集団、投与量等で重要な試験デザイン上の差異があれば明示すること。

試験間の比較は、プライマリーエンドポイントとして事前に規定した項目に焦点を合わせて行うこと。しかし、プライマリーエンドポイントが試験間で共通でない場合や測定点が同一でない場合は、全ての試験に共通して測定された重要データを用いて比較することが有用であろう。経時的な結果が重要だと思われるのであれば、各試験における経時的な変化を図示してもよい。

治療効果に関する信頼区間を表示し、点推定値を解釈するための助けとすること。ベースラインからの変化量においてプラセボと治験薬との間に差が認められる場合、プラセボ群又は実薬対照群(用いた場合)を含む各々の治療群でのベースライン値と治療効果の大きさを、基本的には表形式で、あるいは文章に図を添付した形式で示すこと。実薬対照を用いた試験の目的が、同等性又は非劣性の証明にある場合、群間差の値や比率を信頼区間と共に示すこと。結果は、事前に定義した同等性又は非劣性の基準により評価し、その基準の理論的根拠と試験の分析感度を検討した根拠を示すこと(ICH E10を参照)

試験デザインが似ているにもかかわらず試験結果に重大な相違が認められた場合は、その違いを詳述し考察すること。また、相違に関係したと思われる要因を試験間で比較し示すこと。

メタアナリシスが実施されている場合、その解析がプロトコルに基づきなされたものか、試験後に実施されたものかを明確にすること。試験デザインの比較や試験対象集団の違い、あるいは有効性評価法の違いを記述して、結果や結論の類似性及び妥当性の評価ができるようにすること(ICH E9を参照)。メタアナリシスの方法や結果に関する詳細な説明は、通常、別の報告書として提出すること(第5部第5.3.5.3項)。

2.7.3.3.3 部分集団における結果の比較

本項では、特定の患者集団における有効性に関する個々の試験の結果又は全試験を通じての概括的な評価を要約すること。部分集団にて比較する目的は、対象となる全ての部分集団、特に、懸念される特別な理由がある部分集団で、主張する治療効果が一貫して得られているかどうかを示すことにある。比較をすることで、検討や考察をさらに必要とする有効性のバラツキを明らかにすることにもなるだろう。ただし、こうした分析には限界もあることを認識しておくこと(ICH E9)。また、かかる比較は、特定の効能・効果の根拠そのものを生み出すためのものではなく、全体の結果が好ましくない状況下で有効性の根拠を補強するためのものでもないことに注意すること。

個々の試験における症例数が十分でない場合、複数の試験をまとめて分析を行い、有効性に影響する主要な人口統計学的特性(年齢、性別、人種)、事前に定めた又は関連する内因性/外因性要因(例:重症度、前治療、合併症、併用薬、飲酒、喫煙、体重)について評価すること。さらに、一般的に懸念される要因(例:高齢者)や当該医薬品の薬理作用から考えられる要因、又は開発の初期段階にて生じた特別な要因等も評価すること。申請適応症から小児も対象となり得る場合、小児における有効性を分析し記述すること。詳細な解析が実施された場合は、その報告書を第5部に添付し、要約をこの項に記載してよい。

2.7.3.4 推奨用法・用量に関する臨床情報の解析

本項では、有効性における用量−反応又は血中濃度−反応関係(用量−血中濃度関係を含む)、そして投与量の選択及び投与間隔の選択のために使われた全ての資料の概要と分析結果を記載すること。非臨床試験からの関連するデータを引用し、薬物動態試験、臨床薬理試験、比較対照試験、非対照試験を要約して、用量−反応又は血中濃度−反応関係を説明すること。第2.7.2.2項で要約した薬物動態試験と薬力学試験については、その要約を繰り返し記述せず、参照しながら内容を引用する方が適切な場合もある。

これらのデータがいかに推奨する用法・用量を裏付けているかについての解釈は「臨床に関する概括評価」に記載されるものであるが、本項では、当該用法・用量(開始用量と最大用量、用量漸増法、用量個別化のための注意事項を含む)を推奨するために使用された個々の試験の結果と試験を総括的に分析し得られた結果を要約すること。また、非線形性の薬物動態、効果発現の遅延、耐薬性の発現、酵素誘導等による比較的単純な用量−反応や血中濃度−反応関係からの逸脱についてもこの項に記載すること。

患者の年齢、性別、人種、疾患、その他の要因により生じる用量−反応関係の差異を示すデータを記載すること。薬物動態的、薬力学的反応の差異を示すデータも本項にて提示するか、第2.7.2項を引用すること。差異が見られない場合でも、どのような検討を行ったかその方法を記載すること(例:部分集団における特別な試験、部分集団別有効性分析、被験薬の血中濃度測定)。

2.7.3.5 効果の持続、耐薬性

効果の持続に関する情報があれば要約すること。長期投与時のデータが得られている被験者数と曝露期間を示すこと。耐薬性(経時的な効果の減弱)のデータを示すこと。経時的な投与量の変更と長期投与時の有効性との間に明らかな関係が存在していないか検討することは有用であろう。

本項での主眼は、長期有効性のデータを収集するためにデザインされた比較対照試験に置き、比較対照試験終了後の継続投与オープン試験等の厳密でない試験とは明確に区別すること。このような区別は、耐薬性や効果に対する投与終了の影響等を検討する特別な試験でも行うこと。安全性に関連した離脱作用や反跳作用についてのデータは、安全性の項に提示すること(第2.7.4項を参照)。

長期有効性試験に関して、治療中止や他療法への切り替えが有効性の評価にどのような影響を与えたかを考察すること。これらの事柄は短期の試験についても重要であるので、適切と考えられる場合には、同様に考察すること。

第2.7.3項付録

文書が読みやすくなるのであれば、図や表を適切に文章中に挿入すること。大きな表は、本項の最後に付録として添付することができる。

表には、有効性の評価に関連した全ての試験(中止した試験、進行中の試験、理由にかかわらず有効性を示せなかった試験、公表文献のみ利用可能な試験、総括報告書(ICH-E3)にまとめられた試験、「簡略化された報告書」にまとめられた試験を含む)を示し、それぞれの試験における最も重要な結果を記載すること。ただし、進行中の試験における計画外の中間解析は、原則として必要でないし、薦められない。複数の適応症による申請において第2.7.3項が複数存在する場合、通常、各項ごとに表を付録として添付すること。

降圧薬の表を例示するが、例示が全ての申請において当てはまるわけではない。一般的に、申請にあたっては、その薬効分類又は実施された試験用に作成された表や図が必要となる。

表2.7.3.1 臨床的有効性及び安全性試験の要約
表2.7.3.2 有効性試験の結果

2.7.4臨床的安全性の概要

本項では、個々の総括報告書及び他の関連する報告書(例:一部地域にて通常提出されている安全性に関する統合解析)の結果をまとめ、対象となる患者集団における申請医薬品の安全性に関するデータを要約すること。安全性関連データの示し方は、次の三つのレベルで考察することができる(ICH E3)。

全ての臨床的安全性データを解析し、得られた申請医薬品の安全性プロフィールは、図表を使って詳細に、明確に、客観的に概説すること。

2.7.4.1 医薬品への曝露

2.7.4.1.1 総括的安全性評価計画及び安全性試験の記述

本項では、安全性に関する評価計画の全体を概括すること。その際、非臨床データ、同じ薬効分類の薬剤に共通する作用、そして臨床では、安全性データの元となった資料(比較対照試験、オープン試験等)について特に配慮したり観察した事柄に言及すること。記載は、一般的には、一覧表形式にて安全性データの元となった全ての臨床試験を適切にグループ化し、まとめること(第2.7.4項付録を参照)。有効性と安全性を共に評価した試験や安全性情報を得た非対照試験のみでなく、安全性上の特別な問題点を検討した試験も列記すること。例として、二つの異なる治療法を用いて特定の有害事象の発現率を比較検討した試験や、特別な人口統計学的特性について検討した安全性試験、離脱症状や反跳現象を検討した試験、その他、特定の有害事象(例:鎮静、性的機能、運転に対する影響、同一薬効群の薬剤で一般的に認められる有害事象がないこと)を評価した試験等が挙げられる。当該申請にて承認を求めていない適応症についての試験や進行中の試験も、安全性の解析に有用であるならば、本項の表に含めること。

本項では、これらの試験について文章で説明すること。ただし、有効性と安全性データの両方を含む試験の説明は第2.7.3.2項に記載し、本項ではそれを参照すること。説明の詳しさは、審査担当者が被験薬又は対照薬への曝露状況を理解でき、またどのように安全性データを収集したかが理解できるようなものであること(例:収集方法及び個々の試験における被験者観察の範囲)。試験一つ一つでなく、グループ化して解析した場合、その旨を記載し、一つの説明にまとめてもよい。

2.7.4.1.2 全般的な曝露状況

全ての臨床開発の相における治験薬への曝露状況を表形式(第2.7.4項付録中の例を参照)にまとめ、適切な説明をつけて概括すること。表には、異なるタイプの試験、異なる投与量、投与経路、投与期間別に曝露された被験者数を示すこと。もしも、投与量、曝露期間の種類が多い場合、当該医薬品に適切と思われる方法でグループ化してよい。例えば、各投与量、投与量の範囲、投与期間ごとに、1日以下、2日から1週、1週から1ヵ月、1ヵ月から6ヵ月、6ヵ月から1年、1年超(ICH E3)といった曝露期間別に被験者数を表示することができる。申請適用におけるその医薬品の安全性評価に特別な意味を持つと思われる診断別部分集団や特定の併用療法を受けた患者群を明確にすることが重要となる申請もある。

この表に記載される投与量は、投与された最大投与量、最も長期間投与された用量、平均1日用量等が考えられる。累積投与量が適切である場合もある。表示法としては、必要に応じ、実際に投与された1日用量又はmg/kgあるいはmg/m2単位とする。有害事象や臨床検査値の変化との相関性を検討するため薬物濃度(例:有害事象発現時の濃度、最大血漿中濃度、AUC)も、もしデータがあれば、有用である。

安全性解析には、治験に組み入れられ、少なくとも1回治験薬の投与を受けた全ての被験者を含めるものと想定している。そうでない場合には、その旨説明すること。

2.7.4.1.3 治験対象集団の人口統計学的特性及びその他の特性

要約表を作成し、開発期間中、治験薬に曝露された集団の人口統計学的特性(表2.7.4.2)について概観すること。年齢幅を決める時は、ICH E7 (特別な患者集団における試験:高齢者) 及びICH E11 (小児集団における医薬品の臨床開発について)での議論を考慮すること。もし、比較対照試験における人口統計学的特性別グループでの曝露が全体の曝露との比較において異なる場合、まとめの表は別にする方が便利なこともある。

さらに、一つ以上の表を用い、試験集団全体の特性及び特殊な特性を有する被験者数を示すこと。特殊な特性には次のものが含まれる。

これらの特性が比較対照試験と全体のデータベースの間で異なる分布を示す場合、一般的に両グループを別の表で示すとよい。

被験薬とプラセボ、対照薬との間で人口統計学的特性上の不均衡があれば表に説明をつけること。特に、その不均衡が安全性の評価結果に違いをもたらす可能性がある場合には、説明をつけること。

また、特定の患者(合併症、疾患の重症度、併用医薬品)を除外した場合、その事実を記載すること。

人口統計学的特性は、適応症ごとに一覧表としてまとめること。ただし、適応症が相互に密接に関連している場合、被験者特性からみたリスクが同じと考えられるならば、一緒に扱ってよい。

2.7.4.2 有害事象

2.7.4.2.1 有害事象の解析

本項には、有害事象の頻度に関するデータを文章及び表形式にて記載すること。文章によるまとめは第2.7.4.2.1項中の適切なサブセクションに示し、文中に含めない独立した表は第2.7.4項の付録に添付すること。

治療開始後に発現した又は悪化した全ての有害事象(「治療により発現した兆候及び症状」、治療前には見られなかった事象、治療前からあったが治療中に悪化した事象)について作表し、事象の種類とそれぞれでの被験者数、頻度を被験薬、実対照薬、プラセボの別に要約すること。その表に投与量を示してもよいし、変更して、重症度別や(開始後)発現時期別、因果関係別に発現頻度等を示してもよい。

もし、記載しようとする安全性データがごく少数の治験に基づく場合(例:一つか二つの試験のみ)や被験者群の特徴が非常に異なっている場合には、データを試験別にまとめるほうが適切であることが多い。データが少数試験によらない場合には、いくつかの試験を合わせ、データを併合し、推定値の精度や差に対する感度を増すよう考慮してみること。

試験を合わせ、データを併合することは有用であることが多いが、解釈が難しくなったり差異を見えにくくしたりすることもあるので、注意して取り扱うこと。差異が明確である場合には、試験ごとにデータをまとめる方が適切である。考慮すべき事柄としては次のようなものがある。

次のような試験は併合し、安全性解析を行ってよい。

これらのうち、最初の二つのグループ化はほぼ全ての場合に有用である。しかし、他のグループ化の意義は薬剤により異なるので、個々の試験結果を精査した後に決める方がよい。いかなる試験方法であれ、試験それぞれにおける発現率は実際の使用における発現をおおよそ表現したものにすぎないことを認識すること。

いくつかの試験のデータを併合する場合は、その方法を選択した根拠を説明すること。一般的な方法としては、併合した試験での症例数を分母に、有害事象件数を分子にすることである。その他にも、試験の規模に基づいた、あるいはバラツキの大きさに反比例させたデータの重みづけをすることも可能である。

試験間の有害事象発現率が大きく異なる場合は、その旨を記載し、考えられる理由について考察すること(例:被験者集団、投与方法、有害事象データ収集法)。

有害事象の記載内容は、個別総括報告書と同じとすること(ICH E3)。多くの試験を併合する場合は、標準的な用語を用いて表現し、類義語は基本語(preferred term)に統一することが重要である。そのためMedDRA用語集(ICH M1)等一つの標準的辞書を用いること。MedDRAが完全実施されるまでは、他の辞書を用いてもよい。その場合、使用した用語集を示すこと。有害事象は、基本語ごとや定義された事象のグループごとに頻度を示すこと。治療変更(投与中止、用量変更、治療の追加)をもたらした有害事象にどのようなものがあったか検討することは、有害事象の臨床的重要性を評価するのに有用である。これらの有害事象の発現率を有害事象一覧表に含めてもよいし、別表としてもよい。試験別にトータルの中止率を示すことは有用である。しかし、別表を用い、投与中止に至った特定の有害事象を明記することも重要である。有害事象は、器官別にグループ化し、頻度の高い順に並べること。

2.7.4.2.1.1 比較的よく見られる有害事象

有害事象発現率を表形式でまとめ(第2.7.4項の付録を参照)、被験薬群と対照薬群における発現率を比較すること。もし重症度分類と因果関係分類がなされていれば、表中に併記すると、治療群間の比較検討がし易く便利である。因果関係分類を示していても、データの中には(因果関係の有無にかかわらず)全ての有害事象を含めることに注意すること。なぜなら、因果関係の評価は本質的に主観的なものであり、実際には関係があるにもかかわらず予期されていない有害事象を除外していることがあるからである。さらに、個々の試験における被験薬群と対照薬群との間で有害事象発現率を比較し本項で要約すること。特定の試験を選択し、有害事象発現率を表としてまとめると有用であることが多い(第2.7.4項の付録、表2.7.4.4を参照)。

当該医薬品と関連すると思われ、比較的よく見られる有害事象(用量反応性があるもの、被験薬とプラセボとの間で発現率が明らかに異なるもの)を、以下の因子との関連について検討しつつ厳密に評価することは一般的に有用である。

これら薬剤と関連のある有害事象を、発現時期や持続時間との関連で検討した結果の要約もまた有用と考えられる。

ただし、上記の各因子それぞれと有害事象との関連について、一般的に、厳密な統計的評価を行う必要はない。データをまとめた時点や検討した時点で既に人口統計学的特性、その他のベースライン特性に対し意味ある関連性がないことが明らかな場合もある。そのような場合、特定の因子についてさらに解析を行うことは不要であるし、解析をしてもその結果をこの項に記載する必要はない。また、安全性の解析結果が広範なもので、その詳細を示すことができない場合には、第5部第5.3.5.3項に示し、本項ではその要約を示せばよい。内容によっては、有害事象の発現率をそのまま記述するよりも、生命表法や類似の解析方法で報告する方が望ましいこともある。

2.7.4.2.1.2 死亡

治験中の死亡例は、すべて第2.7.4項付録中の表に列記すること(試験終了後短期間での死亡、例えば中止後30日以内又は治験プロトコールに規定された期間内の死亡、それ以後の事例ながら試験中の何らかの経過(process)に起因したと考えられる死亡例)。ただし、進行癌等の死亡率の高い集団での試験や疾患に起因する死亡率が主要評価項目となっている試験において、プロトコールに規定された疾患に関連し、治験薬に関連しない死亡例(これらの死亡例は、ICH E3治験総括報告書に報告することとされている)はこの一覧表から除外すること。これらの死亡についても、群間に予想外のパターンがなかったかどうかを検討し、新たな差異が観察された場合には解析を追加すること。死亡例はそれぞれについて評価し、個々の試験及び全体における総死亡率と原因別死亡率について分析すること。第2.7.4.2.1.1項に示した因子との関係も考慮すること。死亡原因を特定することは難しいかもしれないが、比較的解釈しやすいものもある。対象となる患者集団において予想される原因による死亡例(例:狭心症患者集団における心臓発作及び突然死)一つ一つに情報価値はないと考えられるかも知れないが、例え1症例であってもそれがQT時間延長を伴う不整脈、再生不良性貧血、肝障害によるもの等であれば重要情報となる。死亡原因を合併症に関連付けるにあたっては、特別の注意を払うこと。

2.7.4.2.1.3 その他の重篤な有害事象

本項に、全ての重篤な有害事象(死亡ではないが、時間的に死亡に関連する、又は死亡に先行する重篤な有害事象を含む)を要約すること。また、被験薬を中止した後に発現した重篤な有害事象も含めること。その他、ICH E2A定義により重篤な有害事象と思われた臨床検査値異常、異常なバイタルサイン、異常な身体的観察項目を含めること。重篤な有害事象については経時的頻度を検討すること。特に、長期に亘って使用される可能性のある医薬品については検討を要する。また、第2.7.4.2.1.1項に示した因子との関連性も考察すること。

2.7.4.2.1.4 その他の重要な有害事象

顕著な血液学的異常、又はその他の臨床検査値異常(重篤という定義を満たすものを除く)、及び何らかの処置(治験薬の中止、減量又は重要な併用療法の追加等)を必要とした全ての事象を示すこと。

治験薬の投与中止をもたらす有害事象は重要な安全性上の関心事であり、次の二つの理由から安全性解析には特別の注意を払う必要がある。第一に、(薬理活性に基づき)予期されていたものであれ、中止(又は他剤に変更)する必要性があったということは、患者や医師がその有害事象の重症度と重要性をいかに感じたかを示している。第二に、投薬中止は、まだ因果関係が認識されていない治験薬と関連する有害事象であることを意味する場合がある。中止に至る有害事象は、当初その因果関係が認識されていなくとも、また、偶発症と考えられる場合でも、治験薬との関連性を否定できないと考えること。中止について、その理由を検討し、中止率を試験間並びに治験薬群とプラセボ群、実薬対照群との間で比較すること。さらに、第2.7.4.2.1.1項に示した各因子と関連があるかどうかデータを検討すること。

2.7.4.2.1.5 器官別又は症候群別有害事象の解析

死亡、その他の重篤な、又は重要な有害事象の因果関係や危険因子についての評価は、それらの事象が高頻度で起こらないため、多くの場合、簡単でない。その結果、相互に関連性のある事象を、例え重要性の低い病態生理学的事象であれ、一つのグループとしてまとめ検討することが、安全性の特徴を理解する上で有用なこともある。例えば、突然死が1例見られた時、治療との因果関係があるかどうかは、失神、動悸や無症候性不整脈の発現状況と共に考察することにより明らかになることもある。

このように、有害事象を器官別にまとめれば、臨床検査値異常を含め諸事象との関連性を検討することもできる。器官別のまとめは、第2.7.4.2.1.5項中の第2.7.4.2.1.5.1項、第2.7.4.2.1.5.2項等のサブセクションとして記載し、表題には当該器官名を付すこと。器官のまとめ方や有害事象のグループ化は、有害事象データが理解しやすいよう配慮すること。有害事象が症候群(例:インフルエンザ様症候群、サイトカイン放出症候群)として現れる場合には、器官別ではなく、症候群別用に第2.7.4.2.1.5項のサブセクションをおこしてもよい。

同じデータや要約は、第2.7.4.2.1項のサブセクションに一度記載すればよく、繰り返さないこと。必要があれば相互参照すること。

2.7.4.2.2 個別有害事象の文章による説明

死亡、その他の重篤な有害事象、他の重要な有害事象は、臨床的に重要な関心事であるため(ICH E3、治験総括報告書に記載)、事例それぞれの記述が申請資料中のどこにあるかを、審査担当者の利便のため、本項にて示すこと。治験総括報告書が作成されている場合、事例報告そのものは、その一部として存在するはずである。もしも作成されていない場合(例:安全性解析のために全てのオープン試験を併合しており、個々の報告書が作成されていない)、記述は第5部第5.3.5.3項に示してもよい。したがって、ごく簡単にでも説明しておかなくては当該医薬品の評価に支障があると考えられない限り、本項には含めないこと。

2.7.4.3 臨床検査値の評価

本項では、被験薬の使用に伴う臨床検査値の変動パターンを要約すること。顕著な異常や何らかの処置を要したものは第2.7.4.2.1.3項又は第2.7.4.2.1.4項に報告すること。もし、それらのデータを本項に記載する場合は、内容が重複していることを示すこと。臨床検査値の評価は、得られた結果そのものから行いうるが、通常、以下に列記する解析も実施し記載すること。各解析は、試験規模を考慮しつつ、被験薬群と対照薬群とで比較すること。各検査項目に対し正常範囲を示すこと(ICH E3)。可能であれば、臨床検査値は国際標準単位で示すこと。

全ての試験を通して、重要な臨床検査値の変動に関し簡単に概括すること。臨床検査データとしては、血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査、その他必要に応じて実施された検査データを含む。治験期間中の各測定点(来院時等)で得られた各パラメータは以下の3段階にて表記すること。

2.7.4.4 バイタルサイン、身体的所見及び安全性に関連する他の観察項目

全ての試験を通してバイタルサイン(例:心拍数、血圧、体温、呼吸数)、体重及び安全性に関連するその他のデータ(例:心電図、X線)を比較する方法は、基本的に前記の臨床検査値と同じ方法にて行うこと。被験薬が影響を及ぼしている証拠がある場合、用量−反応性もしくは薬物濃度−反応関係、又は患者の特性(例:疾患、人口統計学的特性、併用療法)との関係を明らかにし、この所見の臨床上の意義について記述すること。有効性の項目として評価されない変化及び有害事象とみなされる変化に特別の注意を払うこと。QT間隔延長に関する試験等、特別な安全性上の問題を評価するために計画された試験には、特別の注意を払うこと。

2.7.4.5 特別な患者集団及び状況下における安全性

2.7.4.5.1 内因性要因

本項では、ICH E5にて「内因性民族的要因」と定義される人口統計学的因子や他の要因に基づいて治療及び管理を患者個々に考慮するための安全性データを要約すること。内因性要因には、年齢、性別、身長、体重、除脂肪体重、遺伝子多型、身体組成、他の疾患及び臓器機能不全が含まれる。申請適応症が小児でも考えられる場合は、小児における安全性も分析すること。これらの要因が安全性に与える影響については他項に記載されることになるが、腎疾患又は肝疾患患者等における安全性は、薬物動態、その他の情報と共に本項で要約すること。もし、高血圧、心疾患、糖尿病等の特定の合併症のある患者の例数が十分であれば、合併症が治験薬の安全性にどのような影響を与えるのか分析すること。患者部分集団における解析を行う場合は、作成した有害事象の表又は記述を相互に参照すること。

2.7.4.5.2 外因性要因

本項では、ICH E5にて「外因性民族的要因」と定義される人口統計学的因子や他の要因に基づいて治療及び管理を患者個々に考慮するための安全性データを要約すること。これらの因子は、患者をとりまく環境に関する因子である。例としては、医療環境、他剤の使用状況(第2.7.4.5.3項、薬物相互作用を参照)、喫煙、飲酒、食事の習慣等が挙げられる。

例えば、代謝プロフィール、試験結果、市販後調査又は類薬情報等により飲酒と治験薬との相互作用が示唆される場合、それらの内容を本項に示すこと。

2.7.4.5.3 薬物相互作用

薬物−薬物又は薬物−食事相互作用に関する試験は、CTD臨床薬理試験の要約の項(第2.7.2項)に要約すること。これらの相互作用が安全性に与える影響については、薬物動態、薬力学や臨床的観察に基づいて分析し本項で要約すること。さらに、他の治療との併用時に観察された有害事象プロフィールの変化、リスクに結びつきそうな血中濃度の変化、被験薬の薬効の変化等を本項で示すこと。

2.7.4.5.4 妊娠及び授乳時の使用

開発中及び他の情報源から得られた妊娠及び授乳時の安全性に関する情報を本項で要約すること。

2.7.4.5.5 過量投与

過量投与に関連すると思われる臨床症状、臨床検査値所見、対症療法、解毒薬の使用等のデータがあれば、全ての情報を要約し考察すること。また、過量投与に対する解毒薬や透析の有効性も、データがあれば記載すること。

2.7.4.5.6 薬物乱用

ヒト及び動物における新薬の依存性に関する試験や情報を要約し、「非臨床概要」を参照すること。特に依存性を生じやすい患者集団を明らかにすること。

2.7.4.5.7 離脱症状及び反跳現象

当該被験薬の反跳作用に関する試験結果及び情報を要約すること。二重盲検試験や実薬投与の中止後に何らかの事象が発現したり、重症度を増したりした場合、それが投与中止によるものかどうか検討すること。離脱症状、反跳現象を評価するよう計画された試験には特に重視すること。

耐薬性に関するデータを「臨床的有効性の概要」の第2.7.3.5項に要約すること。

2.7.4.5.8 自動車運転及び機械操作に対する影響又は精神機能の障害

五感、協調運動、その他の障害に基づく自動車運転や機械操作能の低下、精神機能の障害等に関する安全性データを要約すること。これには安全性モニタリングで報告された関連する有害事象(例:眠気)及び自動車の運転や機械操作能力に及ぼす影響、精神機能障害に関する特別な試験が含まれる。

2.7.4.6 市販後データ

当該医薬品が既に販売されている場合、申請者が入手できる全ての市販後データ(安全性定期報告を含む既発表又は未発表資料)を要約すること。定期安全性情報は第5部に含めてもよい。曝露されたと推測される患者数を、適応症、投与量、投与経路、投与期間、治験実施地域等適切に分類し記載すること。そして、患者数を推定するために用いた方法を記載すること。人口統計学的特性の評価があれば、それを示すこと。

市販後、報告された重篤な有害事象を表としてまとめること。もし、重篤な薬物相互作用の可能性を示唆するものがあれば含めること。

市販後、種々の部分集団にて得られたいかなる知見も記載すること。

第2.7.4項付録

安全性評価のための全ての試験について、重要な結果と、特に、添付文書の内容を裏付ける結果を表形式にまとめること。

文書が読みやすくなるのであれば、図や表を適切に文章中に挿入すること。大きな表は、本項の最後に付録として添付することができる。

作表例を以下にいくつか例示するが、臨床概要では、それぞれの医薬品、医薬品分類及び適応症に応じた作表や作図が、通常、必要となるはずである。

第2.7.4項に含める表の種類・内容については、本ガイドラインの第2.7.4.2.1項、第2.7.4.2.2.3項及び第2.7.4.3項も参照すること。

表2.7.4.1 平均1日投与量及び投与期間別曝露 
表2.7.4.2 比較対照試験における被験者の人口統計学的特性
表2.7.4.3 併合したプラセボ及び実薬対照比較試験における有害事象発現率
表2.7.4.4 選択した特定の試験における有害事象発現率
表2.7.4.5 試験別の中止例:比較対照試験
表2.7.4.6 死亡例一覧

2.7.5 参考文献

臨床概要にて引用した参考文献を列記すること。重要文献は、全てコピーし第5部第5.4項に添付すること。文献リストには、コピー添付の有無を示しておくこと。また、コピーを添付しない文献は、要求に基づき提供できるようにしておくこと。

2.7.6 個々の試験のまとめ

ICH E3ガイドライン(「治験の総括報告書の構成と内容」)では、治験総括報告書にはシノプシス(概要)を含めることを提案し、また、その様式も例示されている。

本項に、臨床試験一覧表と個々の試験の概要を、第5部の試験報告書の添付順序と同じ順序で記載すること。

シノプシスは、試験ごとに一つ作成し、全ての地域で共通使用すること、また、本項及び第5部(モジュール5)の臨床試験報告書の一部として使用することになっている。長さは通常3ページ以下であるが、複雑かつ重要な試験の場合は長くてもよい(例:10ページ)。概要の理解のため必要であれば、表や図を加えること。

表2.7.1.1 バイオアベイラビリティー試験の要約

表2.7.1.2 In Vitro溶出試験の要約

表2.7.2.1 薬物動態試験の要約

表2.7.3.1 臨床的有効性及び安全性試験の要約

表2.7.3.2 有効性試験の結果

表2.7.4.1 平均1日投与量及び投与期間別曝露

投与量の中央値、最頻値及び最高値について、類似の表を作成することができる。例えば、年齢群、性、民族的要因、合併症、併用薬、これらの要因のあらゆる組み合わせに基づいた関心のあるサブグループごとに類似な表を作成することができる。

用量はmg/kg、mg/m2として、あるいはデータが得られれば血漿中濃度に関して作成することが可能である。

表2.7.4.2 比較対照試験における被験者の人口統計学的特性

表2.7.4.3 併合したプラセボ及び実薬対照比較試験における有害事象発現率

表2.7.4.4 選択した特定の試験における有害事象発現率

表2.7.4.5 試験別の中止例: 比較対照試験

注意:有用であると思われるなら、中止データを投与量別に細分化してもよい。
中止例とは、登録されたが試験を完了しなかった被験者である(投与を中止した被験者、あるいは途中で治療を変更した被験者、及び/又は追跡調査ができなかった被験者を含む)。

表2.7.4.6 死亡例一覧

臨床試験において発生したか、例えば市販後調査のような二次的な情報源から得られた事象にもかかわらず選択規定に該当する死亡例はすべて本表に記載すること。電子申請では、当該事象に関する説明又は他の証拠資料とのリンクを貼ること。

脚注には、どのような死亡例が表に含まれているかの規定、例えば、薬剤投与期間中に発生した全ての死亡、あるいは薬剤投与を中止してから30日の観察期間内に発生した全ての死亡、並びに30日の観察期間以降に死亡したが、薬剤投与期間中、又は30日の観察期間中に発現した有害事象に起因する死亡を記述すること。これら以外の死亡例の規定も同様にありうる。

プラセボ及び対照薬を投与された患者に関しても同様の表を提示すること。