Jul. 12 , 2001
Pentium III の新CPU−Tualatinはじめにインテルの新CPU Tualatinは、0.13ミクロンプロセステクノロジーで製造され、512KBオンダイフルスピードL2キャッシュ搭載と期待されたが、実際にマーケットに現れたボックス製品はコアクロックこそ1.13GHz (133MHz x 8.5)ではあるが、L2キャッシュサイズは256KBであり、512KB L2キャッシュバージョンのボックス製品は当分マーケットには出ないだろうというのが大方の見方である。 インテルのデータシートによると、Tualatin CPUファミリーについては、現在公式に発表されているのは、256KB L2キャッシュモデルは1.13/1.2GHz、512KB L2キャッシュモデルは1.13MHzのみである。コア電圧は、256KBモデルがともに1.475V、512KBモデルが1.45Vとなっている。 さらにデータシートを読み進めると、256KBモデルのクロック配給回路GTLの記述には、デュアルCPUに関する情報がない。しかし、データシートを見る限り、256KBモデルがデュアルCPUをサポートしないかどうかは明らかでない。 このCPUはSocket 370 FC-PGA2(下図参照)パッケージに実装されている。下図は、インテルの公式データシートから切り取ったものである。FC-PGA2には新しくIHS (Integrated Heat Spreader:放熱器)が取り付けられている。IHSは原理的には、熱抵抗を増すことになるが、取扱い安さの向上とチップの保護には効果があると考えれれる。
しかし、この0.13ミクロンプロセスCPUの消費電力は30W以下なので、熱抵抗値より取扱いの安全性を重視したことは、いい選択といえるだろう。これで、ヒートシンクを取り付けるとき、誤ってチップにクラックを入れることはなくなった。 最近、幸運にも、バルク製品の512KB L2キャッシュTualatin CPUを入手したのでテストしてみた。 Tualatinの動作環境とねらい新コアのTualatin CPUを動作させるには、i815EPチップセット搭載のマザーボードが必要である。このチップセットマザーボードは、既にいくつかのメーカーから発売されていて、もちろん、従来のCoppermine Pentium III/CeleronなどSocket 370互換CPUはすべて動作する。チップセット自体はSMPベースのマルチCPUシステムをサポートしているので、いずれi815EPデュアルCPUマザーボードも発売されるだろう。 このチップセットでは、メモリーはSDR SDRAM (DIMM)しかサポートされないので、通常の動作環境ではFSB 133MHz、メモリーバス133MHzが最速の設定となる。このときのメモリーとCPU−チップセット間データ転送バンド幅のピーク値は、ともに1.064MB/秒となる。この値は、PC-2100 DDR SDRAMの半分、i850チップセットなどのPC-800 RDRAMに比べて約3分の1の値である。しかし、これらの値はRAMのバーストモードデータ転送速度であり、実際のアプリケーションにはそれほど大きな影響を与えないと思われる。 さらにTualatin 512KB L2キャッシュCPUの狙いの一つは、L2キャッシュを従来のCoppermine CPUに比べて2倍に拡大することにより、そのヒット率を格段に向上したことである。 テスト環境テストしたCPUはPentium Tualatin 256KB/512KB 1.13GHzおよび比較のためCoppermine 1GHzで、その環境は以下のとおりである。
テスト結果テスト結果については、あらかじめ予測できたとおりであった。 Hdbenchの結果 Pentium Coppermine 1GHz Pentium Coppermine 1.126GHz (Over clocked) このマザーボードBIOSは、このCPUコアクロックを1.126GHzに設定したとき、メモリークロックを118MHzに設定する。したがって、メモリーパフォーマンスがまったく出ていない。このデータを取得した目的は、Tualatin 1.13GHz CPUとCoppermine CPUのコアパフォーマンスを、できるだけ近いクロックで比較してみることである。 Pentium Tualatin 1.13GHz (256/512KB L2 Cache) Pentium Tualatin 1.28GHz (256/512KB L2 Cache, Over clocked) 上に示したように、Hdbenchの設計によりベンチマーク結果はL2キャッシュサイズの影響をまったく受けないので、ここには、これら2つのCPUに対して同じスクリーンショットを掲載した。ここでも、メモリーパフォーマンスは問題で、メモリーバスクロック(FSBも同様)を150MHzに設定してもまったく効果は無く、パフォーマンスはかえって低下してしまう。特にWrite動作がおかしい。この結果は、後述のNorton Sysinfoポイントによく現れている。
測定結果は、5回のベンチマークの最高最低値を捨てた値の単純平均値である。しかし、CoppermineのFSB 150MHzの値は、ばらつきが大きく結果の信頼性はきわめて低いであろうと思われる。 結果について512KB L2キャッシュは、総合的なCPUパフォ−マンスの向上に効果は大きく、メモリーのパフォーマンスに不満があるFSB 150 MHzの設定におけるSysinfoのポイントはAthlon 1.33GHzより高い。 コアそのもののパフォーマンスについては、Hdbenchの結果が示すようにCoppermine/Tualatinの差異はほとんどない。上のHdbenchの結果が示す小さな差異はコアクロックの差異に起因している。これは、バスクロックの配給回路の変更、0.13ミクロンプロセスの採用などいくつかの電子回路的な設計変更以外は、Coppermine/Tualatinコアは同じものであることを示している。 前述のように、Athlon CPUに比べて1/4サイズのL1キャッシュしか持たないPentium III CPUは、L2キャッシュの大きさがパフォーマンスに与える効果は大きい。かりに、AthlonがL2キャッシュを512KBに拡張したとしても、Tualatin 512KBの効果には及ばないだろう。L1/L2キャッシュにExclusive Caching Algorithmを採用しているAthlonの場合は、L2キャッシュを256KBから512KBに拡張しても全体のキャッシュ能力(ヒット率)は、厳密には命令とデータに分けて計算しなければならないが、大まかな数字の上では全体のキャッシュ容量が66.7%増えたことによる効果以下に留まるだろう。 いずれにしても、オフィスアプリケーションの分野では、Tualatin 512KB L2キャッシュCPUは、同じコアクロックではAthlonを凌ぐパフォーマンスを期待できる。 おわりにコア電圧の問題、デュアルCPU対応の問題など、これから注意深くフォローしていかなければ成らない "関心事" はあるが、インテルが0.13ミクロンプロセスで製造されたPentium III Tualatin CPUの発売を開始したことは、AMDとのパフォーマンス競争に、マーケットから見れば、いい結果を与えるだろう。 やがて、発売されるであろうSDR SDRAMサポートの新コアPentium 4 (0.13ミクロンプロセス、478ピンパッケージ、i845 Brookdaleチップセットで動作:現在のPentium 4と互換性なし)CPUと同じく、このところ新しく発売されるインテルのCPUは旧プラットフォームとの互換性がない。この事実をマーケットがどのように受け止めるか興味のあるところである。 また、256KB/512KB L2キャッシュCPUのどちらが本命の製品とされるかについてもできるだけ早いインテルの公式発表が待たれる。 (Created on July 12, 2001)
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