惑星画像処理

 BORG76ED+QV-8000SXで惑星を極限まで拡大すると、どうしても露出不足になってしまい、画像もザラザラになります。
 しかし、大量の画像を重ね合わせて処理(コンポジット処理)することにより、なんとか見られる画像にすることはできます。
 とりあえず現在用いている方法につきまとめてみました。

 なお、こうした作業を自分であれこれできるようになったのも、最初に「星の風景」の近藤さんのページで土星の画像処理について記述されているのを読んだからです。
 また、AstroStackについてはタックさんに教えてもらいました。
 この場を借りて感謝いたします。
 

<使用ソフト>

  • Corel Photo-Paint 7J  Plus (画像処理全般に使用:高機能なフォトレタッチソフト)

  • たまたま私が持っていたソフトがこれだった、というだけの理由です。
    ここで述べる処理で用いている機能はだいたい下記の通りです
     →RGB別画像分解・再合成、RGB別レベル調整、トーンカーブ調整、アンシャープマスク、画像間演算、リサイズ、マクロ実行
    これを機会にフォトレタッチソフトをお買い求めになるなら、これらの機能があるかどうかを確認してください。
    このためにPhotoShopを買うぐらいならStellaImage3(2万5000円)の方がいいと思います。
    調べたところ、廉価版のPhotoShop-LEではRGB分解やバッチ処理機能が備わっていないようです。
     
  • AstroStack(フリーウェア:コンポジット処理に使用)  ここでダウンロードできます
  • ImageFilter(フリーウェア:このページでのヒストグラム表示に利用) ここでダウンロードできます 
  • <基本方針>
  • なるべく均質の撮影画像を揃える。
  • コンポジット前に各画像の輝度レベルを持ち上げておく。
  • AstroStackはコンポジットのためのみに用い、最終処理はフォトレタッチソフトで行う。
  • アンシャープマスクの成功の鍵は限りなくノイズレスな画像にあり。必要に応じてノイズ成分の少ない色画像をL画像としてLRGB再合成するなどの方法が有効。
  • 色調やトーンカーブの調整は最後の最後に。
  •  
    <作業手順>

     (1)コンポジの元となる画像をざっと眺め、あきらかにひどく歪んだ画像などはこの時点で削除してしまいます。

     (2)1/2s露出による元画像の一枚とそのヒストグラム。青の輝度情報が極端に落ち込んでいることがわかります。

     (3)各色のレベルを調整します。各色のレンジが200程度にまで伸びるように調整。
      最高値まで上げないのは、飽和を防ぐための保険と考えてください。
      当然ながら、画像のざらつきはひどくなります。

    なお、5枚や6枚ぐらいならこの作業を手でやってもできますが、数十枚以上の画像となるとちょっと苦しいですね。
    それに、AstroStackの入力画像はBMP形式なので、どちらにせよ自動的に画像の変換をさせてやる必要があります。
    Corel Photo-Paint にはスクリプト実行機能が付いていますので、それを使用すると楽です。
    まず、スクリプトレコーディング機能を使って、手作業の操作を記録します。
    例えば、チャンネル毎のレベル調整の操作が自動的に下のようにコマンド変換されて記録されます。

    WITHOBJECT "CorelPhotoPaint.Automation.7"
     .SetDocumentInfo 640, 480
     .ImageEqualize 0, 5, 5, FALSE
      .ImageEqualizeChannel 0, 0, 255, 0, 255, 100
      .ImageEqualizeChannel 1, 0, 120, 0, 255, 100
      .ImageEqualizeChannel 2, 0, 111, 0, 255, 100
      .ImageEqualizeChannel 3, 0, 61, 0, 255, 100
      .ImageEqualizeChannel 4, 0, 255, 0, 255, 100
      .EndImageEqualize
    END WITHOBJECT

    これをいったんスクリプトファイルに保存してから、バッチ実行を行います。

    上のウインドウに変換対象の画像ファイル、下のウインドウに実行するスクリプトを指定し、オプションとしてBMP形式でAstroStackの入力ディレクトリーに保存していく設定にし、「再生」をクリックすると全部の画像の変換が終わります。

    ここではPhoto-Paintを例にしましたが、PhotoShopでも同様のことができるでしょうし、ファイル形式一括変換だけならPaintShopProでも可能ですので、色々工夫してみてください。
     

    (4)いよいよコンポジット作業に入ります。
      まずAstroStackを起動し、と言いたいところですが、ここでもうひとつ問題が。
      どうもAstroStackのバグなのか、入力ファイル名が数字で始まっているとうまく読みこんでくれないようなのです。
      そこで、MS−DOSプロンプトから手っ取り早く下記のように一括変換してしまっています。
       例えば、すべてのファイルが「0903」で始まっているとすれば、
         ren 0903*.bmp aaaa*.bmp
       としてやればすべてのファイルがaaaaで始まるファイルになります。

      で、AstroStackを起動します。
      全体の画像イメージはこんな感じです。(クリックでフルサイズ表示)

      
  • まず、Full Picture はチェックをオフ
  • Resampleは元画像を拡大して読みこむ倍率です。コンポジの位置合わせ精度が上がるので、いつも2倍で読みこんでいます。


  •  
  • Show Result の Width を最終的に生成される惑星の大きさに合わせて設定します。Resample倍率も考慮してください。
  • おなじくShow Result のColor Information を Full Colorに。


  •  
  • Load...の中のBMPをクリックし、読みこみ開始ファイルと終了ファイルをそれぞれ指定します。
  • 読みこみ終わったら、Allign MethodをAutoにし、Go!をクリックすると自動で位置合わせが行われます。


  •  
  • 位置合わせが終わったらCombine MethodをMeanにし、Calculateをクリックするとコンポジ画像が生成されます。

  • → 
     
  • よりいい結果を求めるには、Set Quality Factor を使用して、各フレーム毎の重み付けをしてからCalculate をクリックしてください。

  • (歪みがひどいものはDont、模様が細かく写っているものはGood,などなど)
    シーイングが良くて、均質な画像を撮ることができていたら、ここはノータッチでOKです。

     
  • 「Save As」をクリックし、処理結果をBMPファイルに書き出してください。

  • 58枚のコンポジを行って得られたのが下の画像です。
    のっぺりした感じになっていますが、ちゃんと情報はその内部に含まれています。


     

    (5)ここから再びPhoto-Paintによる作業です。
      大気層による屈折により、色ずれがおきていますので、3色分解をしてずれを補正します。

    かすかに青画像にノイズがあるようです。
    アンシャープマスクをする時に悪影響を及ぼすため、腹をくくって軽くぼかしをかけてみます。
    また、青画像のノイズがひどい場合などは、安定している緑画像をL画像としてLRGB再合成をする手法もあります。
     

    (6)再合成したのが下の画像。
      この時点で、いったんこの画像をベースの画像として、BMPなど可逆圧縮形式(保存しても像が劣化しない)で保存しておくことを勧めます。
    (7)アンシャープマスクをかける前にコントラストを上げます。
      色々な方法はありますが、私は画像間演算機能を使って、自分自身の画像で50%乗算をかけています。
    (8)アンシャープマスクをかけたのが下の画像。
      元画像のノイズが少なければ少ないほど(均質なコンポジができているほど)、効果は大きいです。
      木星の模様を浮き立たせるには必須の処理です。作用範囲など、色々と試行錯誤してみてください。
    (9)元は裏像だったので、正立像にします。
      また、処理の過程でサイズが2倍になっているので、解像度に見合った手ごろなサイズにリサイズします。
    (10)色調やトーンカーブ調整など、好みに応じて施して完成です。
     
    色々な方法はあると思いますので、皆さんも工夫してみてください。
    もちろん、私もこれからも研究していく予定です。

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