導入支援ツールの制作

淡い天体を導入するために、ファインダーの工夫を行いました。
これで星座の位置関係を正立像で把握しながら、目標とする天体の位置のアタリをつけることができるようになりました。

透明度の低い春の空に、東京都足立区でこの機材構成で球状星団のM13を導入した時のイメージはこんな感じでした。

倍率は55倍で、光害の厳しい当地ではこんな感じにボワッとしか見えません。
当初のもくろみとしては、

  • まずワイドビノで大体の位置合わせ
  • 50mmファインダーで目標天体の確認と微調整
  • アイピースで観望
  • という流れになるはずでした。

    ところが、大体の位置合わせをした後に50mmファインダーを覗いても、M13とおぼしき天体が全然みつからないのです。
    仕方がないので、やぶれかぶれでアイピースを覗いて適当に微動つまみを回してやっと導入することができました。

    導入した後に改めて50mmファインダーを覗き直すと、やはり全然M13は見えない!
    50mm口径X7倍ファインダーでは背景の光害の影響が厳しく、淡い天体はすっぽりうずもれてしまうようです。
    これでは星雲星団を簡単に導入するという当初のもくろみが崩れてしまいます。

    そこで、次の策を考えました。
    望遠鏡の光軸と経緯台の水平垂直が合っていて、架台も水平になっていれば天体の現在位置を計算することによってダイレクトに導入することができるはずです。
    私が使用しているミザールの微動経緯台、微動つまみを1回転させると望遠鏡が4°だけ回転するようになっています。
    経緯台には角度目盛がないのですが、目標天体の近隣に明るい恒星があれば、その天体間の方位差と高度差さえ求めてやれば、「xx座yy星を導入してから、左に微動つまみ1回転と30分、上に微動つまみ45分」といった感じでズバリと導入できるかも?という結論に至りました。

    恒星の位置(方位と高度)は、その天体の赤経/赤緯、観測位置の経度/緯度、観測日時から求めることができます。
    今回、ご自分のホームページでJavaScriptを用いた天文計算を公開されているまきさんから、計算式を教えていただき、プログラムを作成することにしました。
    この場を借りて、まきさんに感謝いたします。

    上の画面がその開発中の画面です。
    機能的にはほぼ完成していますので、近日中に公開いたします。

    使用方法はこんな感じです。

  • 目標天体と基準星を選択する。プルダウンリストから選んで、「基準」「目標」をそれぞれクリックすることにより赤経、赤緯がセットされる。
  • 「Start」をクリックするとリアルタイムで計算を開始する。実際の微動操作のガイダンスは、「微動操作」欄に表示される。
  • 「Sweep」をクリックすると、5分間隔でのシミュレーションを行い、右側にグラフ表示する。縦軸が時間で、目標天体の高度が50°以上の場合のみ、水色のバーを高度/赤を高度差/青を方位差、としてプロットする。同時に、テキストファイルでログを出力。これによって、狙いやすい時間帯の見当を付けることができます。
  • 微動つまみ1回転あたりの操作角度は、「deg./r」で変更可能
  • 観測位置の緯度経度と、天体データベースはテキストファイルで作成・編集する。
  • 本当は携帯可能なPDAで稼動させたいのですが、そもそもこの試みがうまく機能するかどうかもわからないので、当面はログ出力された下のようなテキストファイルを持ち出して屋外で実験してみたいと思います。
    ヘルクレスη to M13
    22:05 →0r44m ↓0r08m -99.0 50.8
    22:10 →0r44m ↓0r08m -98.2 51.8
    22:15 →0r45m ↓0r08m -97.5 52.8
    22:20 →0r45m ↓0r07m -96.7 53.7
    22:25 →0r46m ↓0r07m -96.0 54.7
    22:30 →0r47m ↓0r07m -95.2 55.7
    22:35 →0r48m ↓0r06m -94.4 56.7
    22:40 →0r49m ↓0r06m -93.6 57.7
    22:45 →0r50m ↓0r06m -92.8 58.7
    22:50 →0r51m ↓0r05m -91.9 59.7
    22:55 →0r52m ↓0r05m -91.0 60.7
    23:00 →0r53m ↓0r05m -90.1 61.7
    23:05 →0r54m ↓0r04m -89.2 62.6
    23:10 →0r55m ↓0r04m -88.3 63.6
    23:15 →0r57m ↓0r04m -87.3 64.6
    23:20 →0r58m ↓0r03m -86.2 65.6
    23:25 →1r00m ↓0r03m -85.2 66.6
    23:30 →1r02m ↓0r03m -84.0 67.6
    23:35 →1r04m ↓0r02m -82.9 68.6
     
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