シグネットの快感

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あれこれとビンテージ物の銀塩カメラを使ってみましたが、どれが一番好きな写りをするか?という点では最初に買ったコダックのシグネット35です。
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私はカメラの評論家ではないので、専門的な視点での解説はできないのですが、隅々までビシっと写る解像感、人工物の重厚感や自然物の「生きている感じ」をよく描写してくれるカメラです。
写真に関してはほとんど無関心な周囲の人に、シグネットで撮った写真を見せても同様の感想が返ってくるのです。
とくに最近は気に入った写真を引き伸ばしてみることが多く、いい出来のプリントとなった場合の心境を形容するとすれば「快感」の一言です。
もちろん、撮影行為と時の運、レンズ→フィルム→ラボ工程、といった要因が揃ってのことではありますが、やはりこのシグネットを使っての快感度は一味違います。
QV-8000SXで撮影という行為の楽しさを知ったように、シグネットからは綺麗な写真を写すという喜びを知ったように思います。
昔に比べればフィルムの性能も格段に上がってきており、このカメラはそのフィルム性能を十分に引き出すことができるのでしょう。

ちなみに、ここで使っているスキャナはフィルムスキャナではなく、ごく普通のフラットベッドスキャナです。(Canon製、600DPI)
Webで見る分には高価なフィルムスキャナは必要ないですね。
 
 

(1)普通にスキャンした状態のプリント
ちょっと暗めですが、撮った本人からするとその時の空気が
一緒に写っているような錯覚を感じます。
(2)画像処理で彩度を高めに調節
これはこれでドキっとする画になりますね。
ビトマチックのカラースコパーと比べると、このエクターは
「コクのある」写りをするような気がします。

ビトマチックでの同じ構図の写真はこれ

<ギャラリー>

画像クリックで大きい画像が表示されます。ブラウザの「戻る」で戻ってください。
いずれもフィルムはフジのスペリア100。プリントをフラットベッドスキャナでスキャン。

色々な質感の混在するシーン
乃木神社にて

公園で弁当を食べていたら寄ってきた猫
光と影が交錯するこんな場景も見事に描写してくれます。
ボケによる遠近感もあるので、手を伸ばせば届きそうな
錯覚を覚えます。

何気なく道端に咲いていた花を普通に撮ったものですが、
やたらドラマチックな出来になっていてびっくり。
蜂(アブ?)のクローズアップはここをクリック

空がすごい色になっていてシュールです。
人に見せたら、絵画的だと言われました。

ビトマチックでも撮った構図です。
葉のはっきりとした解像感が気持ちいい。

最短距離(2ft)、絞り開放での撮影

やっぱり桜はポジフィルムで撮った方が良さそうですね。
今春はポジ挑戦してみるか!

<総括>

ここまで「シグネット」という枠の中で書いてきましたが、よく考えるとシグネットの性能が他のカメラに比べてどうかということより、印象に残る光景を写真として美しく撮ることに専念することがまず大事だということに思い至りました。
で、そのための道具のひとつとして、シグネットは十分にその能力を発揮してくれるのだと思います。
ここに挙げた写真の何枚かは、デジカメではとてもこのようには撮れそうにありません。
ハイエンドのデジカメはどんどん性能を上げてきて、その境界線は曖昧になりつつありますが、やはりまだフィルム式のカメラでないと撮れない世界があると思います。
もちろん、デジカメ向きの被写体もありますから、当分は両者を使い分けていくことになりそうですね。
例えば、下記のような場合はやはりデジカメでしょう。
・友人の結婚式の写真など、絶対に失敗できないシチュエーションの場合
・動きの速い被写体で、とにかく数うちゃ当たる方式で撮る場合
・報道写真など、そこで何が起きたのかをすばやく伝えることが至上命題の場合
・学術記録(天体写真なども含む)や作業現場などでの実務利用。
裏を返せば、フィルム式のカメラというのは、心にゆとりがあって、じっくりと被写体に向かえる時にこそ出番があるということになります。
とかく世知辛い世の中になってきましたが、心のゆとりを取り戻すためにも、自動機構の一切ないフィルム式のカメラで、皆さんも心に残った場景を写してみてはいかがでしょうか?
高価なカメラは必要ないんです。