筆者が借りていた住宅
 背景は中央アルプス
緑蔭生活(田舎暮らし)体験記 1

田園地帯の一戸建て借家に暮らす−南信州伊那谷にて


はじめに
 
 東京生まれ東京育ちの私は、96年から2001年までの5年間、南信州の駒ヶ根市での生活を体験しました。この緑蔭生活で体験したことを、「田舎暮らし」を目指す人の参考のために書いてみましょう。

 もう忘れかけていることもありますし、まずはこの5年の緑蔭生活の概要をまとめてみました。

1.駒ヶ根移住のきっかけ

  南アルプスが好きで、南信州伊那谷を時々訪れていた私は、「伊那谷自然友の会」という団体があるのを知りました。伊那谷の自然に親しみ護っていこうという趣旨に共感した私はさっそく入会し、その会の行事に参加するうち、地元の人たちと親しくなることが出来ました。その会員で、飯田市で設計事務所を営むMさんが「こっちにきて仕事を手伝わないか」と誘ってくれたのです。そろそろ東京を脱出したいと考えていた私は、この誘いに乗ることにしました。
 かねてから伊那谷のひとは柔和で住みやすいところだ、といううわさを聞いていたうえ、こうして地元に何人か知り合いが出来たことで、あまり不安を感じないまま、さっさと引越しの準備に取り掛かりました。

2.家探しの方法

  仕事先の所長や所員の方々が、いろいろ空き家を見付けてきてくれました。「あそこに空き家がある」とか「誰それの家が空いとるはずだ」など、貸すかどうか判らない家を見付けてきて、それから家主に交渉するみたいです。地元の人間でないとなかなか難しい方法です。
 
 でも、私はかねてから飯田ではなく飯田から30km北の駒ヶ根に住みたいとの希望を持っていました。飯田からは電車で1時間あまり、車は一般道で45分くらいです。そこで駒ヶ根の不動産屋を当たってみました。駒ヶ根は市としての人口は3万人の、日本でももっとも小さい市ですが、不動産屋は10件くらいあります

 アパート、マンションの類もありますが、新しいと2DKで6、7万の家賃でした。東京でも八王子市あたりの駅から遠いところとさして変わらない金額ですし、ここまで来たら一戸建てに住みたいと思いました。しかし一戸建ての貸家はほとんどありません。
 こちらのほうでは「団地」といって、小さい2DKくらいの一戸建て平屋の貸家が、何軒か固まっていることがあります。ある種の低層集合住宅です。昔の米軍ハウスみたいな感じですが、畳の部屋中心の安手の和風平屋がほとんどです。これも、せっかく広いところに来たのに、お隣とくっついているのもねえ、と思って気が乗りません。
 
 いくつか物件を見るうちに、駒ヶ根の隣駅から2kmほどの田んぼの中の一戸建て貸家がありました。大家さんは、同じ敷地のすぐ隣に新しい家を建てて住んでいます。大家さんと近すぎる気もしますが、広い敷地で、貸家も30坪くらいの平屋なので、あまり気にはならないだろうと考えました。大家さんも会ってみると私と同年齢、市内の会社に勤めるサラリーマンで気さくな感じでした。家賃は4万5千円です。築30年とはいえ東京では考えられない家賃ですね。


  

3.人付き合い

  田舎は人付き合いが大変、という話はよく聞きます。私は多少覚悟はしていましたが、駒ヶ根に移住する前に、地元(といっても飯田周辺)の人たちと付き合いが出来たので、あまり不安に思いませんでした。
 飯田のMさんの事務所を手伝い始めた最初の日、市内をいろいろ案内されMさんんの知り合いを何人も紹介されました。このとき「やはり地方の世間は狭い」という感じを強く持ちました。飯田市は人口10万(かなり広範囲な周辺部も入っているので「町」の人口とはいえない。今年遠山郷の2村と合併してさらに範囲が広がった。)ですが、なんかみんな知り合いという感じで、いささか息苦しさを感じたのです。

 一方、住まいのある駒ヶ根では、アメリカ人の知人のほかは大家さんと不動産屋さんくらいしか知り合いもおらず、こちらが独り者だったせいもあって、集落の中では完全に無視された状態でした。無視されたと言っても「村八分」にあったのではなく、近所では、なんかあそこには借家人がいるらしい、くらいしか思ってなかったようです。
 大家さんのお父さんは家の前の田んぼや畑で米作り野菜作りをしていて、朝は早く起きて私の寝ている家のまわりで作業を始めます。きっと「まだ寝てるに」などとうわさしていたに違いないのですが、お互い気にしない、干渉しない関係でした。

*自治会に入る

 しかし、2年ほどたって私が一人暮らしでなくなると、事情はいささか異なってきました。まず、自治会に入ってくれというのです。駒ヶ根はいくつかの「区」という自治組織があり(東京などの行政上の区とは別)さらにその中に通称「常会」と呼ばれる地区の自治会があります。私の住むUという地域は田んぼの中に家が点在しているのですが、全部で30件ほど住宅があり、それが5、6件の隣組に分かれています。
 自治会に入ると、まず会費をとられます。会により異なるようですが、区費と常会費で月2000円さらに親睦旅行の積み立てというのが1500円くらいで結構な出費になります。この旅行というのは毎年実施されていたのですが、後でいろいろ議論の末廃止になりました。このことはまた後で書くかもしれません。
 借家人だったので、「短期居住者」扱いで入会金は5000円、(退去時には餞別をくれた)でも土地を買って永住する人は5万円も払わなければなりません。これは主に集会所の建設費用の負担金ということのようです。仮にまた引っ越して出て行っても原則的に返してくれません。
 このごろはアパートの住民など、自治会に入らない人も増えてきているそうですが、行政のしくみがが自治会を前提に出来ているところがあって、ごみの集積場所が自治会の管理になってるので会員しかごみを出せない、など支障が出てきています。


 さて自治会に入ると、いままで回ってこなかった回覧板も回ってくるようになりました。この回覧板で回ってくる内容もいろいろ問題あるのですが、それもまた後で書きましょう。そして年に数回の寄り合い(全員の会議)と、新年会、お花見、ソフトボール大会、バレー大会といった行事があります。そういったものに会費から「補助」を出してるのですが、結局酒代になるわけですね。このはなしもまたいつか書きましょう。
 そうした親睦娯楽の会のほか、地区の清掃や消防訓練などが年数回あります。これに出られない人は、「出不足金」といってお金で払うわけです。

 自治会の役員は隣組の組長たちがやることになってますが、組長は1年ごとの順番です。というわけで、組長が回ってきた年に私は自治会の会計係をやらされ、いささか大変でした。それでもそんなにうるさい人はいなかったし、なんとか無事に(?)役目を務めました。
 
 若い人の場合は消防団というやつもあります。これはいろいろ訓練やら夜回りやらあるので、勤め人には大変なようです。市内で火事があると、拡声器で市内中に知らせるのですが、これは今時いかがなものかと思います。消防団を召集する意味もあるんでしょうが、夜中に何キロも離れた火事のため起こされてしまいます。
 知り合いが火事に合ったりすると「お見舞い」をあげなければならない、という考えがあるようで、そのためにも全市に知らせる必要があるのかもしれません。葬式は地元紙に載せたり有線放送で知らせたりします。地元紙は死亡通知のため購読してるという話もあるくらい。なにしろ狭い社会ですから、どこのだれそれが亡くなったというと、すぐ「ああ、あの人」と知ってたりします。そうすると葬式にいかなきゃ、となるわけです。
 お見舞い(あるいはお祝い)いくらもらったからいくら分お返ししなきゃ、ということに非常にこだわってるように見えます。日本は概して、お見舞いの気持ちより金銭(金額)にいろいろ気を使わなければならなかったりしますが、東京あたりよりその傾向は強く見え、私には違和感がありました。

 まあそれでも私が住んでいたところは、人付き合いという面ではストレスを感じることも少なくて、住みよかったといえるでしょう。ひとつには伊那谷の人たちが評判どおり親切で柔和だったせいもあるし、所詮よそ者ということで、向こうも深く相手にしなかったし期待してなかったということもあると思います。さらに駒ヶ根という土地が以前から外国人も多く住み、開かれた気風を持ってるということがありそうです。
 近くのある村では、以前都会からIターンの人たちを行政が主導して呼んだのですが、村の人たちが冷たくしたのでみんな出て行ってしまったそうです。駒ヶ根程度の町とそういう山村とでは、大分様子も違うようです。私が判るのは駒ヶ根と飯田くらいで、他の様子は住んだことがないので論評できないですが。

*冠婚葬祭

 自治会の活動以外に、隣組の中で「仲良し会」という行事がありました。これは昔、稲刈りの後慰労の意味で宴会をやった名残のようです。組長が幹事になって、温泉に行き(駒ヶ根には温泉があります)宴会をするというものです。幹事になると、当然いろいろ手配をしなければなりません。
 そのほか、冠婚葬祭があります。自治会に入ったころ、隣組の人が結婚することになり、いきなり新郎の父がやってきて、披露宴の招待状を渡されたのはちょっと驚きました。都会ではもう近所の人を結構披露宴に呼んだりしないでしょう。隣組は「余興」をすることになり、集まって練習までしました。

 一方、お葬式もありました。やはり隣組のおばあさんが亡くなったときは、本来組長である私が葬儀委員長をやらねばならないそうです。しかし、慣れていないからと、大家さんが代わりにやってくれました。受付、会計などいろいろ役を決められ、葬儀屋さんも来るのですが、隣組が取り仕切ります。私は「墓堀り」の役でしたが、今は火葬なので、穴は掘らずお墓の掃除をするだけです。でも、昔の習慣にのっとって、墓堀り役のひとは「精進落とし」の際に一番上座に座らされ、一番もてなしてもらえます。

 それから祭りもありました。近くの神社のお祭りは、なかなか伝統ある祭りなのですが、6つの自治会が交代でお祭りの担当になります。ちょうど担当が回ってきた年、「祭りの青年部に入ってお囃子をやてくれ」と言われました。面白そうだったのですが、青年部という歳でもないので、恥ずかしい気がしてことわってしまいました。だから青年部以外の人はそんなには仕事がないのですが、祭りの前の日曜日一日、地区のみんなが集まって準備をする日があります。
 そうそう、祭りはどうしても予算が足りなくなるらしくて(練習のたびに酒を飲むから?)、再三寄付を集めにこられたのには閉口しました。

 いずれにしても、無理して人付き合いしても疲れてしまうし、結局よそものはよそもの、それにいない所では人のことをいろいろ噂するのは都会も田舎も一緒ですからいちいち気にせず、自然体で付き合えばいいというのが私の感想です。

 まあ、そんなわけで、私は人付き合いで不快だったりうんざりするような目にはあわなかったのですが。ひとつだけ参るな思うことがありました。、これは駒ヶ根ではなく飯田地方の特徴らしいですが、冠婚葬祭で宴会のとき、主催者側(たとえば結婚披露宴では新郎新婦の家族親戚)がやたらお酌をして回ることでした。とにかく何人も酒瓶を持って歩き回り休むまもなく注ごうとするので、客としては落ち着かないことはなはだしい。隣の人とゆっくり話も出来ない。「わんこそば」みたいなものですね。
 逆に私がホスト側になったのときは、とにかくついで回れといわれるのですが、なんか無理に注ぐのも悪いし、ただ酒瓶を持ってうろうろしてしまい、これまた落ち着かないことはなはだしい。でもそれが習慣らしいのです。
 という感じで飯田の宴会はなるべく避けたい気分になってしまいました。(もちろん友人同士のは別ですが)。まあ、そんなこと気にしない人も多いかもしれません。

4.交通事情

 大都市圏を除いて、地方の公共交通機関は大変貧弱です。駒ヶ根市も例外ではなく。通勤時間帯でも30分に1本、日中2時間に1本くらいしかない飯田線の電車のほか、市内に数本のバス路線があるだけでした。バスも多い路線でも1時間に1本程度、なかには1日2往復という路線もありました。私が住んでいる間、国道を通り辰野町まで行くバス路線も駒ヶ根伊那市間が廃止になり、通学の高校生には全く気の毒な状態になりました。
 
 つまり、地方では完全な車社会なのですが、老人、子供、児童生徒など運転できないものにとっては非常に不便なところなのです。田舎に限ったことではないですが、車で移動する習慣をつけた人間は、歩いていけるところまで車で移動するようになります。環境に悪いことおびただしいですが、田舎は都市より環境がいい分、一般の環境意識は低いといえるでしょう。
 私も駅から2キロ、スーパーマーケットまで1キロのところに住んでいたのですが、あるとき車が故障して修理に1月掛かったことがありました。そのあいだ車なしで生活しましたが、まあ町の中心まででも4キロくらいですから、自転車と徒歩で充分生活できました。
 飯田までの通勤は電車を使い、駅までは自転車で坂道を2キロ登ります。駅には無料の駐輪場がある。(近くに高校があったので)。飯田の駅から仕事場まで1キロほど歩く。帰りは終電がなんと10時前なのですが、駒ヶ根に着くと、真っ暗な路を自転車で飛ばす(帰りは下りです)。あまりに暗いのでライトを増設していても田んぼに落ちそうになったりします。何度か狐を見かけたようなところですから。

 という感じで町の中心部から数キロ以内で、健康なひとなら車なしでも生活は出来ます。しかし、それ以上に町から遠いところは自動車がないときびしい。もちろん農業をやろうなどと考えたら、軽トラは必需品です。車は下駄代わりなので、都会のようにピカピカに磨いて乗ってる人は少ない。といっても家族が一台ずつ持っていたりするので、お父さんの車だけ立派だったりする。
 私の車の修理に1ヶ月掛かったと書きましたが、そのとき使っていた車はイタリア製の古い小型車でした。こういう「外車」だと修理が必要になったとき、扱いなれた修理屋さんがないので、時間が掛かるうえまともに直ってなかったりする。だからセカンドカーにするなら別ですが、変わった車は田舎暮らしには向きません。

 かように田舎は車社会で交通弱者には厳しく、またそのため駅前商店街なども衰退し、コミュニティも破壊されていくのです。なにしろ人が歩いてる姿を見かけないから路上の世間話というのもない。子供の通学も親が車で連れて行ったりしている。子供が電車に乗る機会もないから車内マナーも悪くなるわけだ。歩いていると不審に見られるくらいです。まあこうした現象は車優先(というか車メーカー優先)政策を変えない限り根本的に解決しないでしょう。
 
 しかし、これでは運転できない者は本当に困ってしまうというわけで、市が補助金を出して100円バスを始めました。5,6路線が一気に開設されたのですが、天竜川の向こうに行くのは一日数本だけ、メイン路線も1時間1本程度。でもこれは大幅な進歩でしょう。せめて20分に1本位の間隔になれば使いであるんですが、それでも普通の人は通勤などに使わないでしょうね。ドイツやスイスの都市みたいに自動車乗り入れ禁止にしないかぎり。

 全国各地でこういうバスがまた増えつつあるようですが、田舎暮らしを考える場合、車があるからいいや、と安易に考えず、いざという時のために公共交通機関をチェックすることも必要でしょう。それに、せっかく緑蔭生活をするのに、車に頼って環境に負荷を掛けるのもどうかと思います。いくらハイブリッドカーに乗っても、絶対的なエネルギー消費、CO2排出は大きいのですから。ひとりあたりのエネルギー消費量は田舎の方が都市住民よりかなり多いという統計もあります。それに、健康のためにもよくないですね。農村部の老人は概して丈夫ですが、今の若者が老人になったらどうなることやら。

5.買い物と物価

 田舎は物価が安いというイメージがあります。駒ヶ根に住んでみて東京と比較してみますと、確かに数パーセントは安いみたいです(駒ヶ根は町ですから、田舎と言ったら駒ヶ根の人が文句を言うかもしれないけど)。といっても、野菜などそれほど安くない。だって愛知産だの群馬産だの遠方の野菜を売ってるのですから。でももちろん地元の生産者名入りの野菜を売っていることもあって、これは安くて新鮮だったりします。5個で100円の桃が1個300円の山梨の桃よりおいしかったことがありました。こういうものは季節限定ですが。

 東京は駅前商店街もまだ健在なところが多いですが、駒ヶ根はほとんど大規模店舗に客をとられて小さい店はなくなっていしまってます。いわゆるスーパーとホームセンターでほとんどの人が買い物をしてます。大型店舗競争が激しく、電気製品や靴など東京より安いかもしれません。
 スーパーにしても、チラシを見てみんな車で動いてますから、遠くてもより安いところに買いに行ってしまいます。でもちゃんとガソリン代を考えてるのか疑問です。ガソリン代は日本でも有数の高さで東京よりリッター10円くらい高いのです。

* 日用品、光熱費など

 市の中心から外れた天竜川の向こうの地域などは、たいてい農協の経営するスーパーがあります。このごろはIターンの人が始めたパン屋など変わった店も出来てきました。また駒ヶ根の場合は、一応(?)観光地ですので観光客向けの名産品を売る店があったりします。このごろは補助金をもらって「農業公園」なるものをあちこちで建設し、そこで地元の直売品を売っているので、時々利用してました。まあ野菜などは畑を借りて自分で作るのが一番です。といっても私は畑はやってなかったのですが、ミニトマトとかキウリくらいならプランターで出来ます。家族で食べるにはこれでも充分です。さらに近所の人がくれることもあります。
 
 よく聞く話ですが、野菜はくれても米はくれることが少ないそうです。それだけ米に思い入れがあるのでしょうか。友人は会社勤めの合間に米を作っていますが「買った方が安いよ」と言います。でも、やっぱり田んぼを遊ばせておくのはいやなようです。米作りが一番おもしろい、と言う話も聞きます。私はちょっと手伝った程度なので、その感じは判りません。農業の話はまたいづれ。

 というわけで食料品は若干安かったですが、家賃に関しては新しいマンションなど前に書いたようにそれほど安くない。また光熱費は東京より掛かります。寒いせいもあるし、プロパンガスは都市ガスより高いですから。そのかわり夏はエアコンなしでも過ごせるので、電気代は少ない。気温は30度を超えますが湿度が圧倒的に少なくてさわやかなのです。

 駒ヶ根で一番安いと感じたのは、外食です。東京のレストランに比べ大分安い。量も多い。チェーンのファミリーレストランもありましたが、飲食店は名物の蕎麦屋を含め結構多かったです。

* 交通費のこと

 交通費は主にガソリン代ということになります。これはガソリンが高いこともあって結構掛かります。もっとも東京にいた時も電車運賃もけして安くはなかったので、同じくらいかなというところです。もちろん車の減価償却費や保険料などなどは別ですが。
 電車、バスは前述の100円バスを除いて高いです。同じ旧国鉄路線でも飯田線は東海道線などより運賃設定が高い。(国鉄民営化後、めちゃくちゃな運賃体系なので、途中下車して切符を買いなおすと安くなるなどおかしなことになってます。)民営化は地方にとってあきらかなサービス低下です。バスはいうまでもなく高くて利用者が減るという悪循環です。
 一方、東京と結ぶ高速バスは電車の普通運賃より安く、特急利用の半額で所要時間はむしろ短く1時間ごとに遅くまでありますから、東京に通うには便利です。ただ途中の停留所が限られている上、高速道路上のアクセスの悪いところばかりなのは困りものです。

* 税金その他のこと

 税金、保険料は全国平均にくらべどうかちょっと調べてません。駒ヶ根市もご多分に漏れず「箱物」行政をやってまして、私の仲間のうちでは評判悪かった。そんなものに予算を使うなら税金を安くしろというわけです。やはり移住する前に税金や公共料金について調べるべきでしょうね。ただ田舎のいいところは人口が少ないので、図書館など利用しやすいことです。たとえば、読みたい本などすぐに買ってくれる。逆に図書館まですごく遠いということもありえますが。それでも住民一人当たりに対する行政サービスは、結果的に都市より厚いのではないかと思います。

 物価の話からずれましたが、問題は収入とのバランスですね。このことは次項で書きましょう。

* 買えないもの

 こんな風に大型店舗が進出しているため、車ででかければ大抵のものは買えます。しかし買えないものもあります。大きな本屋はあるのですが、売れ線の本がほとんどで、変わった本を物色しようとしても出来ません。インターネットでも本は買えますが、店頭で物色することで面白い本に出会うことってあるでしょう。同じように音楽CDなども大型店はあっても、ちょっと変わったものは置いてません。映画も一般受けしそうな作品しか来ないし(駒ヶ根はそもそも映画館がない)展覧会もないし、と言う感じで「文化的」な消費にはやはり不便です。
 そんかわりというかなんというか、「飲み屋」は結構あります。飯田市は人口に対する飲み屋の割合が全国一高いそうです。特別伊那谷の人が酒好きとは思えないのですが、なぜか判りません。国道沿いのまわりに何もないところに「スナック」があったりするのですが、どう考えても車でないと行けないようです。運転代行を頼むのかなあ。