レ・ミゼラブル製作発表
2003年「Les Miserables」第二次キャスト発表
− (2003年1月14日) − 東京会館


通常、製作発表というのはメディア関係者が入れる場所、と思いますが、 2003年夏に上演される「レ・ミゼラブル」の製作発表では、なんと一般の方々が 応募して、運良く当選した方々はその会場に入れてもらえるという嬉しい製作 発表でした。それにラッキーにも当選して会場に入れた片帆さんから 超大作・超詳細レポートが届きました!!



1月14日、東京會舘にて、「レ・ミゼラブル」第二次配役発表が行われました。 フジテレビの軽部アナウンサーの司会で、プリンシパル・アンサンブルに選ばれた キャストのほとんどである75人が一同に会しての記者会見でした。

ピアノ伴奏での「レ・ミズ」メドレーに乗ってキャストが入場、まず男性アンサンブル、 次に女性アンサンブル、最後にプリンシパルと、一列に並んで壇上に上がっていきます…74人。 全員乗ると壮観です、実に…。

そのキャスト全員が一人一人紹介されました。男性アンサンブルと女性アンサンブルは アイウエオ順に、プリンシパルは役名ごとに一人ずつ呼ばれて立ち上がり、一礼していきます。 入場からこっち既に卒業証書授与式状態の人数なのですが、それぞれあちこちの舞台でお見かけする 実力派のメンバー、一人一人に大きな拍手が上がっていました。

その後、東宝株式会社常務取締役(演劇担当)の増田氏の挨拶がありました。 これまでの「レ・ミゼラブル」上演の歴史や、キャストを一新し新たなレ・ ミゼラブルを作るにあたって「神が地上に舞い降りて創ったという奇跡のような名作」を 今回も成功させよう!といういきごみなど(^^)。

次に、演出アシスタントの垣ヶ原美枝さんより、ジョン・ケアード氏からのお祝い メッセージが述べられたのち、昨年夏からのオーディションの経緯が説明されました。 キャスト全体の「若返り」を意識し、さらにジョン・ケアード氏が強く言うところである 「レ・ミゼラブルは(スターが作るミュージカルではなく)スターを創るミュージカルである」 という思いを踏まえての全役オーディションを行ったこと。

昨年夏に始まったオーディションで、 全国1万人以上の中から書類審査を経て残った1000人余りの「歌」を全て聴き、審査を重ねた経緯。 プリンシパルについては5人程度に絞られたところで、収録したビデオを持って 垣ヶ原さん達が渡英し、ジョン・ケアードに見せてさらに審査を行ったこと。 とにかくこのオーディションは大仕事だったのだそうで…後の質疑応答でのお話によると、 夏の暑い最中、コゼットばかり40人も続けて聴いたら耳の新鮮さが薄れてしまうので、 15人聴いたらアンジョルラスを数人聴いて、次にまたコゼットというように聴いていったり、 …などなど、ちょっと計り知れない規模の審査が行われたようです。

面白かったのはジョン・ケアードさんとのディスカッションについてのお話で、 この人はVERY GOOD、この人は歌はGOODだが表情はどうか、タイプは合っているが演技力がNOだと思う、等々さまざまな指摘をいただきつつ話し合っていったのだそうです。時には「この人はこの役でなくあっちの役がぴったりだ」なんていう指摘もあったのだとか。さらに年末にもう一度渡英・ビデオ審査を行ったそうです。 こうして決まったキャストたちの稽古は既に始まっており、歌や身体表現を中心としたスクール(旧エコール)が現在も進行中とのこと。段々にレ・ミゼラブルの作品内容など、もっと深い本格的な稽古に入ってゆくのだそうです。ケアード氏の来日は6月とのこと。そこからいよいよ仕上げということでしょうか。

プリンシパルキャスト(森公美子さんは欠席、マルシアさんは後で入場) 一人一人から挨拶がありました。以下、要約・雰囲気つらねつつ。 まずはジャン・バルジャン4人。

この会見に出ているメンバーで唯一、同じ役で続投の山口祐一郎さん。平均 年齢も下がり、新しい才能を発見するレ・ミゼラブル、「その中で、僕は、 どうしよう。と考えてます」…とほんわか。

「自分らしいジャン・バルジャンを作っていきたい」という別所哲也さんは 学生時代に英語劇をやっていたころ、日本での初演を観て感動したとのこと。

「マリウス役でずっと担がれる側で、今度担ぐ側になる」石井一孝さんは、 今回のマリウス二人は痩せてるので助かったと思ってるそうです(笑)。 ますます魂を込めて演じたいとのこと。

白いスーツの今井清隆さんは「10年間この役を狙い続けてやっと手にすることが できました(笑)。」と笑顔。

テナルディエの妻役の森公美子さんは欠席で、峰さを理さんのみのご挨拶でした。 「(初演の)1987年は私が宝塚を退団した年でした。縁あって今回初めて参加させていただき、 テナルディエの妻がどういう役になるのか自分自身が楽しみにしています。」

次はテナルディエ2人。キャラ出てます(^^)
昨年からひらがな表記でなくなっている駒田一さんは、前のプレートに『駒田一』と あるのを見て「小さい頃『こまだー』っていじめられてたことを思い出しました。」 とまずひとこと(^^;)。自分の中のミラクル(のプレッシャー)に負けないように、 新たなレミを作っていければいいかなと思う今日この頃(って本当に言ったんだ(^^;))。

集合写真でも目立ちまくってた三遊亭亜郎さん、黄色い着物で文字通り異彩を放っての登場です。 リズムよく元気よく小噺までまじえての自己紹介で隣のANZAさんを笑わせまくっていました。 「ひとり地味ですいません」「私がオーディションを勝ち抜いた秘訣は小噺です」 「業界は怖いと聞いてます。ねえコンちゃん…あちらのベジャール役いやジャベール役の 今拓哉さんは私の劇団四季時代の同期であります。」etcetc…かいつまんでもこのパワー(^^;)。

エポニーヌ4人はとにかく初々しかったです。
「とにかく歌が大好きです!」というANZAさんは大好きな歌と、演技をがんばるとのこと。緊張気味の坂本真綾さんは「とにかく楽しんで舞台に立てたら」。笹本玲奈さんは去年の冬にニューヨークで「レ・ミゼラブル」を3回観て、すごく燃えてきたとのこと。初舞台・初ミュージカルの新妻聖子さんは「とにかくがんばります」とひとこと(この時点で「コゼットのほうがイメージだなあ」という印象を受けたんですが、ところがどっこい…詳細は後ほど)。

続いてファンテーヌ。
井料留美さんは「ファンティーヌのような女性を演じられる俳優になりたいと 思ってきました。初心にかえってがんばりたいと思います。」とおちついたひとこと。

ジーンズ姿でとことんキュートな高橋由美子さんの姿は夕方のフジのニュースでも映ってましたが、 いきなり「すいません舞台はあんまり緊張しないんですけどこういうところは苦手で…」 と小さく小さくなっておられ。相変わらずの舞台とのギャップに驚くやらかわいいやら…(^^;)

コゼットの釼持たまきさんは以前の舞台「草迷宮」とは違った舞台に臨むに あたり「この舞台を新たなスタートとして自分の人生をしっかり歩いていきたいと思います」とのこと。

河野由佳ちゃんは念願のコゼットを力いっぱいやりたい、と言ってたんですがこのコメントで「持てる力を」と 言おうとして「持ち前の」と言ってしまい、2コ隣の山本君のツボに入ってしまいました(笑)。

マリウスの一人、岡田浩暉さんは「ミュージカルは初めてですが、精一杯がんばります。」とのシンプルなご挨拶。

「今もガブローシュの気持ちのまま」という山本耕史君(まだ「持ち前の」で笑い続けていた(^^;))は 「今回やれないのが悔しいぐらい」と言って場内を笑わせていました。

「今度は人間の役」と紹介されたアンジョルラスの坂元さん、「背の高い人ばかりの中、 自分だけちっちゃいので不安です。本番までにはなんとかしたいと思います。」とのたまって一同大爆笑。

吉野圭吾さんは「とにかく、いいものを!作りたいと思います。」と歯切れよく。

トリはもちろんジャベール4人。それぞれの個性に溢れておられました…。
内野さんは追う相手である4人のバルジャンに「内野のジャベールにだけは会いたくない」 と思われるようなジャベールになりたいとのこと。「『ジャベェェル』 なんて聞いただけでイヤな感じのする役」とのお言葉に大笑いしました(^^;)。

今拓哉さんは「この作品にまた出会えました!」と爽やか。この夏が熱く素晴らしいものに なるように全身全霊でがんばりたい、とのこと(^^)。

岡幸二郎さんは長年演じてきたアンジョルラスをなかなか断ち切れないでいたのが、 「今日この会場に来てアンジョルラスの二人を見て『あぁ…ジャベールがんばろう』 と思いました。」と飄々(^^;)。

最後に嶋政宏さん「とにかく稽古が待ち遠しいです。よろしくお願いします。」と締め。

報道陣からの質疑応答傑作選なぞ。
【Q】マリウス・アンジョルラス役の方に質問です。今の時点で、それぞれの役を
     どんな風に演じていこうと考えていらっしゃるかを教えてください。

【A】(岡田浩暉さん) 戦いの中で恋が芽生える、そこの分量をどっちにもってこうか
     (恋のほうを多くしていくほうがいいのか、 戦地の中という厳しさを強調したら
     いいのか)を考えてます。
【A】(山本耕史さん) 子どものころに何百回も聴いていた野口五郎さんのマリウスが
     残ってるので(「かといって別に歌はまねしないんですけど…」 と言って笑いを
     とってしまい困る山本君、 「ものまねはしない」と言いたかったみたい(^^;)」)
     マリウスの優しさや弱さや純粋さを、自分なりになぞって新しくしていきたいです。
【A】(坂元健児さん) 「全然考えてこなかったので、後で岡さんや今さんと相談して
     決めさせていただきたいと思います」と潔く(笑)。
【A】(吉野圭吾さん) 革命のリーダーとして、カリスマ性を持った人物でありたいと
     いうことと、 爆発する前の溶岩のような、ふつふつした『溜めて溜めて、でも
      ちょっと出して』みたいな(笑)ところを出したい、そして最終的に爆発できれば
     なんて、思ってます。

【Q】ジャベール役の方にお聞きします。ライバルはどなたですか?

【A】4人とも「舞台の上では一人だし、ライバルという感覚はない、お互いの いい
     ところを勉強したい」みたいなお答え。

「もうちょっと本音が聞きたい気がしますが…」と軽部アナの突っ込みについ頷いてしまいました(笑)

【Q】同じ質問を、バルジャン役のみなさんに…

【A】まず山口さんが「歌稽古で意見が分かれて2対2で殴り合った。歌詞を選ぶ時は
     3対1で殴りあった。本番始まるころには全員血みどろで 人相変わってるだろう。
     そうやってより迫力のある素晴らしい舞台をみんなで練り上げていこうと思います」
     と「本音」というより別の意味で飛ばし気味。

笑い転げていた別所さんは「山口さんのおっしゃったとおり…」というわけのわからない 前フリをしてしまって困っておられました(^^;)。石井一孝さんは「若輩者なんで 自分がライバルです」とおっしゃり、最後に今井さんが「先に言われちゃった」と 苦笑いしつつ、初演のコルム・ウィルキンソンを目標にしてます、とのこと。 この今井さんの答えに「なるほどそういう答えを言えばよかったな」みたいな顔で 頷いてた(私見です)前の二人が印象的でした(笑)。

質疑応答の合間に軽部アナがさしはさんだ話ですが、バルジャンとジャベールだけで 理論的には16通りになる今回のキャスト、プリンシパルを全部組み合わせたら 何通りに計算してみたところ1600通りになったそーです(^^;)。126公演しか 予定されていない以上、全部観ることはどんなファンでも不可能だとか… 途方もないお話ばかり(^^;)。

【Q】キャストの最年長の方と最年少の方に「レ・ミゼラブル」との出会いを お聞きしたい。
     (「最年長の方は山口さんか今井さんだと思うんですが…」と いう前フリにすかさず
     「オレだよ!! わかってるンなら聞くなよーっ!」と大音声で叫ぶ山口氏(^^;))

【A】最年少編(笹本玲奈さん) 中学生の時に月のおこづかい5千円の中からチケット代を
     工面して一番後ろの席で観たけど凄く感動した。その時からエポニーヌやコゼットの
     歌を歌ってきたので今回は夢のよう。

【A】最年長編(山口祐一郎さん) 「一ヶ月のお小遣いが5千円とのことでしたが、僕が
     初めてアルバイトをしたとき給料1280円頂いたのを覚えています。それが時代
     なのかなあと思います」

     …と言ってそのまま座ろうとなさり(^^;)。ちゃんと「レ・ミゼラブルと私」を 語るよう
     軽部さんにうながされ(笑)


     1280円からスタートしたのに法外なギャラを いただける幸せな人生、それを与えて
     くれた「レ・ミゼラブル」…というのを語っておられました(^^;)。「後に続くみんなが
     自分の人生をそういう夢あるものにできるように、 おじさん一所懸命歌います。」
     ってキャラ全開。

【Q】バルジャン・ジャベール役を3ヶ月間やっていく上で心がけようと思うことは。

【A】今井さん:声の調子を保つためよく食べよく眠ること。
     石井さん:やっぱり腕立て伏せですかね。背負うために体鍛えないと。
     別所さん:舞台の上で年を重ねていくこと(しかもお芝居と歌の中で)を
                  自分なりに探っていきたいなと。
     山口さん:別所さん・石井さん・今井さんがおっしゃったことを参考にして
                  がんばりたいと思います。←(^^;)
     高嶋さん:日々の節制と鍛錬と想念をこつこつと。 舞台が連続していない分
                  かえって維持するのが大変かもしれない。
    (軽部氏:節制とは禁酒ということですか?)
     高嶋さん:酒に飲まれないようになるべく気をつけようと。
    (軽部氏:それは禁酒じゃないですね)←全員の心の声。
     岡さん:単純計算で週3回しかできないわけで、自分の中のコンディションの 維持が
               大事だと思うのでそこを心がけたいです。
     今さん:当たり前なんですけど、体調を常にベストの状態にもっていくことを
               心がけたいです。
     内野さん:ジャベールは自殺をしてしまうので、遺書でも書こうかと(笑)。
                  死ぬ気になるっていうことがどんなことなのかを考えてみます。

最後に、「レ・ミゼラブル」のナンバーから4曲が披露されました。 まずジャン・バルジャンの「彼を帰して」を今井清隆さん。質疑応答のとき心境を聞かれて 「練習してないんで緊張してます…間違ったら勘弁してください」と苦笑いしてたのに、 そりゃもう余韻たっぷりの熱唱を聞かせてくださいました(^^)。

ヒゲダンスで登場した三遊亭亜郎さんが「宿屋の主人の歌」を。あの黄色の着物姿で歌う テナルディエもなかなか乙なもんです。ジェスチャーばんばん入れながらも結構マジメな 歌いっぷりが挨拶での飛ばしようと対照的でした(笑)。この曲全部ソロで通すのは 大変だったと思うのですが、途中から客席の手拍子も入ったりして…本編のノリが どんな風になるか楽しみです。

エポニーヌの「オン・マイ・オウン」を新妻聖子さん。前の二人は正装のままでしたが、 彼女はエポニーヌを意識してか灰色のコートを羽織ってらしたのが印象的でした。 挨拶ではなんというか品行方正なお嬢さん、どちらかというとコゼットっぽい印象を 受けたのですが、歌い出してのパワフルさに「あ、なるほどこりゃエポニーヌだ」と 納得しました。素直な気合と情感のこもった綺麗な歌声で、この方の初舞台をぜひ 観てみたいなと思いました。

最後は全員での「民衆の歌」…なんせ75人です。「きのうのリハーサルでは部屋の 酸素がなくなった」と垣ヶ原さんがおっしゃってましたが、さもありなん(^^;)。 多いんだよ、人が……!! 歌っている表情も元気な人、笑顔の人、真剣な人それぞれで、 フィナーレが近くなると情け容赦なく声を出しまくる人が何人か(誰だったんだろう(^^;)) いたりして会場全体が震えておりました…実際は75人が舞台に立つことなんて ありえませんから、これ実に貴重な一曲になったなあと。とにかく凄かったです。

最後の最後に他の仕事先から駆けつけたマルシアさんが登場、かけつけスピーチを。 「私にとっては第二弾の舞台となりますが、初舞台の気持ちでがんばります。」 とのこと。この後しばらく写真撮影があったのちお開きとなりました。