Jesus Christ Superstar
La Mirada Theater for the Performing Arts -
La Mirada, California (Nov.17, 2002)


朝7時JFK発LAX行きの便に乗り移動し、ロサンゼルス郊外ラ・ミラダで、 その日にマチソワでジーザス・クライスト・スーパースターの全米ツアーバージョンの 観劇をしました。今何故JCS、しかもツアー版か、というところから書きます。

一番の理由は、ジーザス役のセバスチャン・バックを観に行く、というものでした。 元Skid Rowのヴォーカリストの彼との出会いは、2000年のBWでのJ&H。ですから ヘビメタな時代は全然知りません。ですから「ジキルとハイド」を観にいった のであって、その時はセバスチャンを観にいったわけではありませんでした。 プリマス劇場前で「Sebastian Bach in Jekyll & Hyde」という看板を見て、 「クレジットつく程の有名人を持ってきたのか」程度の気持ちで劇場に入りました。

1曲目を歌い出した時の印象は「この人、俳優じゃなくて歌手だな。それもロック とか歌いそうな」でした。歌い方とか。。。そしてハイドになった瞬間に、 「やっぱロックの人だ(笑)」と思ったのです。シャウトしたり、足の広げ方とかも モロそんな雰囲気を醸し出していました。演技具合も・・・というか演技というよりは、 自分の特徴を出し、ハイドをロックでやり、歌い分けた、というものでしたし。 ホテルに帰ってからプレイビルのバイオを読んで、その印象が正しかったことがわかりました。 元スキッド・ロウのヴォーカリスト。グループ名は知ってたけど、歌は聴いたことがありませんでした。

ちなみにこの日、BWで初めて出待ちをしてしまいました。多くの人が待っていたので、 彼の歌った「This is the Moment」に惚れ込んだ私は、そのラインに並んでしまったのです。 その翌日は、ビビアン・ビーモント劇場でコンタクトを観劇したのにもかかわらず、 観劇後に地下鉄に飛び乗り、プリマス劇場でセバスチャンの出待ちをして写真を 一緒に撮ってもらいました。帰国後、掲示板で紹介しまくりました(笑) そして「彼はジーザスなんかも出来る人だなぁ」なーんて当時、しきりに言っていました。 ちなみにその後、1ヶ月半後にまたNYに彼のJ&H観劇の為だけに戻ってしまったり、 翌年ロッキー・ホラー・ショーでリフラフにキャスティングされた時は、11月末、 12月末、とやはり2度渡米してしまいました。ということもあり、すっかりセバスチャン・ バックという人に興味を持った私は、彼の第3作目、そして第一印象後に「ジーザス 出来る人だ」と騒いだ作品ジーザス・クライスト・スーパースターツアー版をBW新作 観劇の後、帰国前の1日を観劇日にあてたのでした。




JCSという作品に関して述べるのは今更、ってところがあると思うのと、私自身が 作品にハマらなかった(最初に観たのは、1987年4月に日生劇場で観た四季の ジャポネスク版)ままきてしまっているので、あまり作品としては語れない部分が あるので、今回のツアー版の特徴と、ロビーで囁かれていた話などを盛り込んでレポします。

チケットは発売直後、劇場ボックスオフィスに電話して購入。マチネは1階H列19番 (舞台から6列目のド真ん中)、ソワレは1階C列3番(最前列一番上手の席)を 入手。電話で自分の希望をいいながら座席を決めました。「マチネは全体を 観れるセンターで、ソワレは舞台の近くで」ということで選びました。チケット代は 38ドル。嬉しい料金です(^^)このツアーはここラ・ミラダで2002年11月1日から 始まりました。そのラ・ミラダでの千秋楽を観劇。その後、全国を物凄いスケジュールで 来年夏の終わりまでまわります。

このツアー版、一言で言えば「賛否両論だろう」というところ。そこは私達日本人の 多くが無宗教感覚なのに対し、宗教が根づいている国民が観客であることです。 BWだったら観光客もいるでしょうが、地方にこうやって観光客が来るというのは まず珍しいことで、主に地元の方々が観客になります。年齢層も子供からお年寄りまで かなり広いです。その観客を相手ですから作品としてジーザスをどのように扱うか というところもそれぞれの意見もあるでしょうし、加えてかなりメタルなジーザスをセバスチャンが披露して いることから、賛否両論であったかと思います。第1幕の「Poor Jerusalem」までは普通に JCSを観ている感覚ですが、その後、「Temple」でPilateにだったか触れる時に物凄い シャウトが入ったのです。私はそれは流れを損なうものではないと判断しましたが、 客席のあちこちで「No。。。。」みたいな声があがったことも確かです。Templeでは 終わりのほうだったかシャウトが入ったかと思います。そういうこともあってか、1幕が 終わり、休憩中に「This is NO JESUS !!」なんて囁かれておりました。またソワレ では、最前列のド真ん中の数名が第2幕からいなくなってしまいました。

その後、第2幕で見せ場の「Gethsemane」は、シャウトしていた印象しか残って いません。。。いやそこまでは言いませんが、メタルまでいかず普通に歌っても、歌唱力・声量とも満足のいく ものであったはずなのに、このゲッセマネは全体の流れを損なうものだったと思います。 ただしセバスチャンの色はしっかり出せた、というところでしょうか。主役をやる上で、ただただ 歌が上手いだけで特徴を出せなかったり、華が無い、というのでは無いですから。そして彼は背が高くて、 手足が長くて、舞台に出てきただけで「カッコいい」のです。ただゲッセマネに 関しては、シャウトを何度か連続したところがクドかったのと、音程の低い部分が聴いていて辛かったです。高い声を持ち合わせている ので、上のほうを気持ち良く歌いあげている時のほうが良いのです。(ジキルとハイドの オーディションの時も”普通に歌うのはつまらない”と3音程上げて歌った人ですし、 本番の This is the Moment では、マイクをオフにして、それでもデカイッ!という 声量で歌っていた人です^^)

しかしことセバスチャン・バックという人に関して言えば、3作品(J&H、RHS、JCS)の 中で、演技面で一番充実していたと思います。いや、経験を積んで進化してきたというのが あてはまるかもしれません。JCSは演技は出来なくてもOKなどと言う声も きかれる中、そのJCSで表現力を感じさせてもらうことが出来ました。

J&Hはご存知の通り、善(ジキル)と悪(ハイド)、”全く異なる人格を観客にわかるように”演じ わけないといけない作品です。それを悪の部分をロックという自分の得意分野で 勝負。クチオリみたいにハイドにも何種類の声を持ち、ひとつの単語の中にも 色々な声色があるというのは、これがブロードウェイデビューである彼には出来てないけど、 セバスチャンのハイドをロックで、という歌い分け というのは、非常にシンプルでわかりやすかった。多分、ミュージカルを観るのが 初めてって人なんかにはとても単純明解でよかったと思います。(すいません、 J&Hのことになると色々語りたくなるので、ここでやめておきます。ちなみに他の 俳優さんはハイドの時のほうが好きですが、彼だけジキルの時のほうが好きです^^)

そして次の出演作RHSでのリフラフは、かなり楽しんで舞台に立っているなぁ、そして 過去の自分のイメージとも近いだろう、なんて勝手に思いながら観ていました。 本来のリフラフの持つイメージとはかけ離れているかと思いますが、セバスチャンを 観ていて思ったのは、「このほうが”素”に近いな」とういことでした。ですから、 演技とかそういうのでなく、セバスチャンを観ているカンジだったんですよね。 それに客席に降りてきた時も、「遠方からわざわざ自分を観に来たファンだ!」とでも思ったのでしょう、 私のところに来て、首にかけている赤いボアをグルグル巻きにしていって、客イジリしていって、 喜ばせてくれる様が、楽屋口のセバスチャンを思い起こさせましたし。

ところが今回のJCSでは、2幕の終わりのほうになるにつれ、感情の乗った歌声が 飛んでくるのです。表情、特に目と目の周りが、ジーザスという役柄になりきっている トランス状態になっていました。 歌とかって、人によって好みは違うと思いますが、 私の場合、感情の乗ってない歌なんてつまらない、ってタイプの人間ですから、 演技を思い起こさせる歌は大歓迎! その上、表情も伴ってくれば言うこと無し、 というわけです。(って、これは当たり前のことなんですが、一応俳優出身では ないということを考慮して観ています。動きがいまだ怪しいのは今のところ許します・笑)

さて今回のツアーは、2枚看板でまわっています。その一角、ユダはカール・アンダーソン です。申し分の無いユダです。観劇後に「カール・アンダーソンが凄い、凄すぎる」と ついつい話題の中心にしてしまうものでした。ベテランの味、出しまくり状態。 ブロードウェイ、ロサンゼルスでのJCSでユダを演じ、そして映画版のジーザス・ クライスト・スーパースターでもユダを演じていますし、いわば基本型みたいな 存在。しかしその基本型は、高い位置にある基本型でした。やはり彼の存在が 大きい。「Superstar」が良いなんてのは当然ですが、死の直前に、 「I Don't Know How to Love Him」を歌い始めますが、これが「魂の歌」なんですよ! そしてマチネとソワレでは、その魂の叫びは違うのです。アドリブの歌い方も 違っていて、自由自在に歌っているのです。こういう円熟した俳優さんをナマで 観て、歌を聴けたことに対して、ホント神に感謝したい、という気持ちです。

他のキャストにも少し触れておきましょう。マグダラのマリアには、ナタリー・トロ。 ブロードウェイのレ・ミゼラブルでエポニーヌを演じています。当人談によると、 「1988年から1992年まで」ということですから、初期にレミゼを観た方は、彼女の エポニーヌを観ているかと思います。ちなみにレミに参加してた年を言った後、 「シィーっ」と人差し指を口元に持っていったことを付け加えておきます(笑) 彼女は他にもキャッツでグリザベラ、エヴィータでエヴァ・ペロンをやっています。 エヴィータでは、Jeff Awardにノミネートされています。

そしてあなどれないのがヘロデ王。出てきただけで喝采の嵐。特に奇抜な格好を しているわけではありません。タキシード(上着は白、パンツは黒)を着て、 黄金(もどき)の冠をして、おねーちゃんをはべらせているだけです。あっ、 後、上から電飾の「H」「E」「R」「O」「D」が出てくるくらいです。が、しかぁし、 その人の醸し出す雰囲気が会場を沸かせるのです。あとちょっとツボだったのが、 ピーター。真面目なオタクな雰囲気とルックスが、そのままマフラーしてマークの 格好させて、RENTに送り出したくなりました(笑)

この場所での千秋楽とあって、楽屋を片づけて、荷物を車に運んでいくキャストの みなさん。そんな中も気軽に喋ってくれましたよ〜。カール・アンダーソンクラス ともなるといかにもイイ人で、そして余裕さえ感じられます。ナタリーは昔、 エポニーヌをやっていたということもあり、レミゼの話をして、私がレミゼで非常に 感動して、その中でもエポニーヌが大好きで、それもあってインターネット上でのハンドルを エポニーヌからとって”エポ”ってしてる、と話したら、喜んでハグしてくれました。 ちなみにダーリン@セバスチャンは、2時間も待つはめになり、「大御所マイケル・ クロフォードでさえものの15分で出てきたのにー」と、顔が (−−)←呆れ顔状態に なりましたが(苦笑)、出てきたらいつものごとく、待っていた多くのファンを 相手にトークショー(爆)がはじまり、全員にサインしたり、一緒に写真撮ったりと、 皆を楽しませてくれました。

来年夏までの強行なスケジュール、そしてカール・アンダーソンとセバスチャン・バック、という 2枚看板ですから、マチネ主役とかをたてるわけではないので(勿論、代役は ちゃんといます)、兎に角、体調には気をつけて、頑張って欲しいと感じました。



CAST

  Jesus of Nazareth    Sebastian Bach
  Judas Iscariot  Carl Anderson
  Mary Magdalene  Natalie Toro
  Pontius Pilate  Stephen Breithaupt  
  King Herod  Peter Kevoian
  Simon Zealotes  Todd Fournier
  Caiaphas    Lawson Skala
  Annas.  Jeffrey Polk
  Peter.  James Clow


Apostles / Disciples
Zeyn Ali, Scott Allegauer, Eugene Barry-Hill, Christian Hoff,
Lawrence Cummings, Vince Rimoldi, Noel Douglas Orput,
Rocky Rodriguez, John Williford

Soul Girls / Disciples
Joan Almedilla, Suzanne Harrer, Natalie Nucci

Priests
Perry Brown, Daniel Guzman, Raymond Patterson

Swings
Chirstopher Carothers, Brent Schindele, Dana Solimand



Musical Numbers
ACT 1
  Overture    Ensemble
  Heaven on Their Minds  Judas
  What's the Buss / Strange Thing, Mystifying     Jesus, Mary, Judas, Disciples
  Everything's Alreight  Mary, Judas, Jesus, Disciples
  This Jesus Must Die  Caiaphas, Annas, Priests, Disciples
  Hozanna  Caiaphas, Jesus, Desciples
  Simon Zealotes/Poor Jerusalem  Simon, Jesus, Disciples, Roman Guards  
  Pilate's Dream  Pilate
  The Temple  Jesus, Profiteers
  Everything's Alright (Reprise)  Mary, Jesus
  I Don't Know How to Love Him  Mary
  Damned for All Time / Blood Money  Judas, Caiaphas, Priests, The Mob

ACT 2
  The Last Supper  Jesus, Judas, and Apostles
  :Gethsemane  Jesus
  The Arrest  Jesus, Judas Peter, Annas, Mary,
  Apostles, the Mob, Roman Guards
  Peter's denial  Peter, Mary, Apostles, The Mob
  Pilate and Christ  Pilate, Jesus, Annas, Mary, Apostles,
  the Mob, Roman Guards
  King Herod's Song  Herod and his Court
  Could We Start Again, Please?     Mary, Peter, Simon, Disciples,
  Roman Guards
  Juda's Death  Judas, Caiaphas, Annas, The Mob
  Trial by Pilate  Pilte, Caiaphas, Annas, Jesus, The Mob
  Superstar  Judas, Soul girls, Angels, Paparazzi
  Crucifixion  Jesus, Disciples
  John 19:41  Jesus, Disciples