マナティさんの観劇レポ
− ゴドーを待ちながら −
平成12年7月8日 福岡西鉄ホール
出演 : 串田和美、緒方拳、他


かねてより一度は観たいと思っていた作品「ゴドー」。もはや古典ともいえる 不条理劇の代表作。

今回のキャスティングは串田和美(ウラジミール)と緒方拳(エストラゴン)。 内容は二人の男(演出によっては女性もあるらしい)が一本の木の側でずっとゴドー という人物を待つという、ただそれだけの話。彼らが何者で、ゴドーとは誰なのか、 なぜゴドーを待つのか何も観客には教えてもらえない。ただ一つゴドーが来れば 彼らは「救われる」ということだけ。時折この二人の世界に乱入者(やはり乱入者と 言う表現が適切だろう)が現れる。今回は傲慢なポッフォと奇妙な召使いラッキー、 そしてゴドーの使いだという不思議な少年ハッピー。

噛み合わない会話(それは時にアドリブ的に、本当に台詞が飛んだんじゃないかと 思えるほど)。よくわからない不可思議な世界。正体不明の人々。そしてゴドーは 来ない。2幕に入るとその世界は時間軸さえも超越してしまう。そしてゴドーは 来ない。

主役の二人が実に可愛らしい。おちゃめな初老の二人である。主にストーリーテラー 串田和美も素晴らしかったが、緒方拳も凄かった。緒方拳と言えばかっこいい 中年俳優、いろんな女優と沢山ベッドシーンした男(こりゃやっかみだけど) なのに、その緒方拳が私のたった10m前でがぼろぼろの格好してかなりとぼけた 「おっちゃん」を演じているという感動!これがまた実に上手い。「DECIMA」の 木ノ実ナナの時も感じたがTV俳優でもやはりベテランの名優は舞台でも凛とした ものがある。存在感は凄い(もっともエストラゴンはしょっちゅう寝ているが) ものだ。

多分演出次第でこの作品はがらりと変わるのだろう。今回は主演の二人の妙に ほのぼのした雰囲気が全体を支配し、不条理も別にどうでもいいのかもという 気にもなる。300人強の観客はみんな何を感じたのだろう?私も含めてみんな いつか来る(かもしれない)GODを待ちつづけて人生という暇つぶしをしてるのかも知れない。