KINOさんの観劇レポート


KINOさんが1997年に「Jekyll & Hyde」を観劇した時のレポートを頂き ました。オリジナルキャストで観劇したものです。羨ましいですねっ!その時の KINOさんの感動を、レポートを読むことによって、一緒に感じ取りましょう! それから、先日4年ぶりにこの作品を観劇し、 その時のレポートも送って下さいましたので、そちらも楽しんでくださいませ。



☆Jekyll & Hyde☆
PLYMOUTH THEATRE (New York)
1997.10.14(Tue) 8:00PM

ORCHESTRA E-114 ($75.00)

Dr. Henry Jekyll & Edward Hyde........Robert Cuccioli
Lucy.....................Linda Eder
Emma Carew...............Christiane Noll
John Utterson............George Merritt
Sir Danvers Carew........Barrie Ingham



チケットは前日に劇場にて出演キャストを確認後購入。 なかなか良い席です。 少し早めに劇場に出向くと、入場待ちで長蛇の列が。 しかたなく並ぶと前の おば様二人組と後ろのお姉様がなにやらチケットの話しをはじめたので聞いて みるとTKTSでハーフで買ったけどどこの席?などと盛り上がっています。 お姉様は「でも端の席なのよ」と言うのでチケットを見せてもらうと、一番 端の席ではなく、全然良い席。 しかも前から3列目、私より前(-_-; 前日に購入してしまったことを少し後悔したのでした。 翌日、TKTSに行った ら25%オフで出ていました。 週末はさすがにTKTSでは無理のようです。

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ここしばらく、豪華なセットをウリにしない作品がヒットしていましたが、 久々にBWらしい華やかな(お金のかかった)作品を観た、と感じました。 いろいろな意味で一級の娯楽大作。 楽しめました(^^)

あらすじは他の方のレポートをご参照いただくとして… 全体的な感想を一言で言う ならば「ロンドン・ミュージカルの影響の見え隠れする、ロンドンを舞台とし たブロードウェイミュージカル」 これをウエストエンドのスタッフのみで製作したら、ドーンと重い作品になっ ていただろうな、と思うのです。 とってもロンドン的なのにやっぱりアメリ カの匂いもするのは何故? その謎は、作曲家、Frank Wildhornにあります。

ミュージカルの有名な作曲家が作り出す曲というのは、ワンフレーズ聞いただ けで「これは誰々の作曲」とすぐにわかるような、独特のメロディーラインを 持っているものが多いものです。 が、この「J&H」で歌われる楽曲を初めて聞 いた時の印象は「瞬間的に耳に残らない」というものでした。 これは、決し て曲が良くない!ということではありません。 聞き慣れているミュージカル 調の曲とは明らかに違うという意味です。

Frank Wildhornのプロフィールを後で見て、納得。 この人、アメリカの大物 シンガー達(ホイットニー・ヒューストン、ナタリー・コール等)に曲を提供 しているポピュラーミュージック界の大御所だったのです。 相当に暗い物語、照明もなんだか暗い、人もいっぱい殺される、ハッピーエン ドではない、でも見終わった後の気分は、このポップス調な曲のおかげか、全 く沈んではおらず、まるで、コンサートにでも行ってきたようです。 陰鬱になりきらない所が、ブロードウェイっぽい。

-*-* 以下若干ネタバレあり *-*-
有名な物語を舞台化しているだけあって、随所に見所を盛り込んであり、なか なか飽きさせません。 とは言っても、一幕後半、ジキルが自らに人体実験を ほどこし、ハイドに変貌をとげるシーンまでは、観ていて「早く早く」と少し 気が急いてしまいます。 この"This is the moment"からのシーンの盛り上が りぶりは尋常ではありません(爆) 私は2度見ましたが、一度目はクチオリの 絶唱ぶりに目を奪われ、回りを見る余裕さえありませんでした。 が、実は このシーンはセットもすごいのです。  曲の盛り上がるわずか数十秒の間に、 ジキルの背後のセットが音もなく実験室へと総転換する様は本当に見事。 盆が回ってギー、セットが降りてドーンという某劇場に通い慣れている方は涙 なしには見れないかも…(^^;

またこの最初の変身シーン前に歌姫リンダ・エダー嬢が登場。 妖艶な魅力を ふりまき、物語後半の展開にいやがうえでも期待が高まります。 舞台上は黒と赤を中心としたフレームの中で、次々に装置が転換し、場面が変 わります。 赤い照明と本物の炎がふんだんに使われており、印象的。 この 黒/赤の対比をはじめとして、登場人物、背景等にも様々な対比がなされてい るのは、もちろん物語のテーマにそったものでしょう。 特にテムズ川周辺の 実写が背景として何度も出てきますが、この川は当時の(今もか?)の階級制 の象徴です。 おなじ川沿いの街でも、こちら(ウエストエンド)とあちら (イーストエンド)ではまったく別世界です。 このあたりが実写の風景を細 かく使いわけることにより、うまく表現されていました。

登場人物で最も対照的なのはジキル(ハイド)に関わる二人の女性、ルーシー とエマです。 いかがわしい店で働くことにより生計をたてているルーシーと 上流階級の娘、エマ。 ルーシーは、本当の自分の姿を追い求めており、ジキ ルとの出会いにより、自分は新しい世界に飛び立てるのでは?と考えます。 かたや、エマはジキルとの関係の中で、すでに確固たる自己の存在意義を持っ ており、ジキルをひたむきに愛することにより、より自分らしくなれると信じ ています。 "In his eyes"という歌のなかで、ジキルへの想いを一緒に歌う 二人ですが、結果的に、まったく違った運命をたどります。 ある意味で、 ハイドはジキルが自分の心の中に潜む「邪悪」な部分を追い求めた結果の人格 ですから、同様に自分の姿を探しているルーシーにハイドはより引き付けられ てしまったという事なのかもしれません。 それが運命の分かれ道な訳なので すけれども。 それにしてもこの"In his eyes"でのデゥエットはすばらしく、 痛く感動したのでありました。

2幕目の最大の山場、ジキルとハイドの対決シーンは、前もって少々ネタを知っ ていたにも関わらず、やっぱりすごかった。 クチオリ氏、大熱演。  まわりのお客さんは最初5秒くらい何がおこっているのか分からなかったよう ですが、一人二役を同時に演じていることに気付くと、どよめきが沸き起こり ました。 このネタを考えた人は天才ではあるまいか?

誰にでも「面白いよ!」とお勧めできる作品ですが、若干の不満もあります。 まず、これはしょうがないのかもしれませんが、どこかで見たような気のする シーンが少々目につくこと。 特に群衆のシーンなどはあれれ? という感じ。 次に、セットはとっても豪華なのに、これは、すごい!と心底驚くような目新 らしい物がなかったこと。 はじめて「オペラ座の怪人」や「WHO'S TOMMY」を 見た時の様な衝撃はなし。 劇評でさんざん"Chilling!"と書かれている割に、 怖くないのも、やはりちょっと残念。 でも、まぁ、これらは、あえて挙げればの不満です。 はっきり言って出演者の歌唱のすばらしさで、十分カバー出来ています。 とにかく是非一度ご覧になってはまって下さい(^^)

KINOのお勧め度 ★★★★★
誰もが楽しめる、といういう点が良い。*5点満点です*
ロンドンの雰囲気たっぷり、出演者の歌唱力と迫真の演技最高。
とりあえず観よう!