ふーさんの観劇レポート
− 太平洋序曲 −
新国立劇場小劇場(平成12年10月6日)


ふーさんのご自身のサイトでアップしてあった観劇レポートですが、サイト閉鎖 ということで、せっかく丁寧に書いてあるレポートが消えてしまう。。。と思い、 ふーさんの許可を頂いて、私のサイトに移行させて頂きました。



新国立劇場小劇場にて。黒船来航時の幕末日本を描いたアメリカの作品。幕末ものは小さいころから興味があったので、アメリカ人がどんな風に捉えているのかとても楽しみにしていたのですが・・・う〜ん、全然違和感なく観てしまった。(^^:) すっかりアメリカの作品だということを忘れていました。私が現代人で客観的に捉えているからなんですかねぇ?  宮本亜門さんの演出作品を観るのは I GOT MERMAN 以来2つ目なのですが、「なるほど〜、これが亜門節なのね〜!」と妙に納得してしまいました。テンポがあってキレがよくて、ユーモアのセンスが好き! おもしろいだけでなくて、真面目なメッセージもしっかり伝わってくるから観客としてはかなり満足度高いです。客席も含めてホール全体が舞台になってしまうところも圧倒されちゃう。何度も出てくる板(扉?)の使い方も素晴らしいなぁ!と思いました。 舞台の造りも斬新♪ ステージは白木の能舞台みたいなデザインで、なんと周囲に水を張ってあります! 小さなさざ波に照明が反射するとまたいい感じ。(^^) 客席中央には2階にまっすぐ花道がのびていて、お芝居の中で何度も活用されます。水槽より舞台側が日本列島、客席側が太平洋(西洋諸国)という設定なのね。観客は海を泳いでる魚というところか?(笑) バンドは能舞台の2階両脇に分かれていてピットがない分、舞台がすぐそこで、役者さん達の動きがより生き生きと感じられました。 音楽はあのスティーブン・ソンドハイム。”カンパニー”を観たときは「とっつきにくい音楽だなぁ」と思ったけど、今回はあまりそう感じなかった。(ザ・キッチンの後のせいでしょうか?笑) リズムがとんでもなく難しそうな曲が1つあったけど、あとはとてもきれいな曲ばかり! 結構シンプルな印象を受けました。オープニングの曲がちょっと中国っぽかったけど、あちらの人って日本と中国の区別がついてないことも多々あるのでそのせいかな。もともと中国の影響を多大に受けているので、似てる点も多いのかも知れませんね。和太鼓も使っていたけど、フルートやパーカッション等ほとんど西洋の楽器で日本風の音をつくれてしまうところもおもしろいですね。 役者さんたちがねぇ、またもうもう魅力的だったのですよー!! 個性を生かしたキャスティングが素晴らしい! みなさん、歌の上手な方ばかりでしたねぇ。なんだかみんな楽しそうに演じていらっしゃる感じでした。 浦賀奉行になる香山役の本田修司さん、若々しくて時代に翻弄されながらも一生懸命な感じがとても素敵でした。武士らしさがよく出ていました。あの小舟で黒船に行くシーンは見どころの1つですね。(笑) ナレーター役の国本武春さん、福助のようなキャラでおもしろかった。 坂本朗さんは演技がとてもリアルで、幕末にこの立場にあったのは本当にこの人だったんじゃないか?と思わされるくらい・・・海外の大使達に迫られて困っている表情が忘れられなーい! 治田敦さんの女将も忘れられないなぁ。夢に出てきそう。(笑) 園岡新太郎さんはどうしても赤シャツ(音楽座の坊ちゃん)の強烈なイメージが抜けなかったのですけど、殺陣がかっこよかった! 村上勧次朗さんは歌の先生のお友達なので特に楽しみにしていたのですが、いろいろと個性的な役柄をこなしていらしてホント楽しませていただきました! 6月に「バタフライと影のオーケストラ」で拝見してましたけど、まさかあのようなキャラクターの方だとは・・・。(笑) バタフライの再演では見る目が変わってしまいそう。 女優さん達がみんなきれいな人ばかりで、演技も立派でした。武家の妻は妻らしく、少女は少女らしく、女郎も独特の雰囲気で、目を引かれました。 あとどうしても私はレ・ミゼ系の方々に目がいってしまうんですけど、ソロで聴ける場面がたくさんあってホクホクでした。(*^^*)  やっぱり力のある方達なのですよね〜! 惚れなおしてしまいました。全然違う役なのに「アンジョが〜、コンブフェールが〜、ジョリが〜、フイイが〜、クラクスが〜・・・」と頭をよぎる私はやはりレミゼ中毒なのでしょうね。(笑) 1人ひとりについて書き始めるととんでもなく長くなりそうなのでこれはやめておきます。(^^;) 初演のジャベールだった佐山陽規さんは、将軍の母役が面白いけど恐かった。(笑) 越智則英さんも出ていらっしゃいましたね。老人役がまさにじいちゃんぽくてすごい!  ブロードウェイ版を観てみたかったなぁ。台本は同じだとしても、またいろいろと感覚が違うのではないかしら。あちこちに散りばめられていたpunというかシャレも、英語だとどうなっているんだろう? 各国の大使が条約締結を迫るシーンでロシアが治外法権を要求してくるんですが、「コートに触るな!」と何度も言うのも”court”と”coat”をかけていたのかな? 英語で発音するとまるっきり同じわけではないんですけどね。 「上へ下への大騒ぎ」も笑えた。(笑) どの社会も歴史の上に現在があるんだよな〜と改めて感じさせられました。マイペースな島国根性で今まできたことと、他民族に屈辱的にのっとられる経験がなかったことを心に留めておかないと、他の国と渡り合っていく上ではいろいろ難しいのかも知れません。国民性はいろいろですが、それぞれに味がありますよね。この作品の原題”Pacific Overtures”はもともとは「平和的提案」という意味なのだそうです。厳密に考えると深くなってしまいそうですが、21世紀は今までの歴史をふまえて平和的に諸国民が折り合っていける時代になるよう願ってやみません。20世紀末の日本でこの作品が上演されたことには大きな意味があるかも知れませんね。10月22日(日)まで上演されています。ご都合のつく方はぜひご覧になってください。おすすめです!