森田浩貴ライブ
−新宿KINSMEN('2000.2.27)−


入り口で一枚のチラシが配られました。そこには最初におわびが書かれていました。 今回のライブでは「ピピン」と「蜘蛛女のキス」からの曲を歌うという情報が 流れていたのですが、変更になったということ。ピピンのナンバーを楽しみにして いた方々へのお詫びでした。

そうですっ!この日のライブは贅沢にもひとつのミュージカルで構成されたもの でした。その作品は「蜘蛛女のキス」!!これは森田さんにとっても思い入れの 強い作品。それに加え、今回のピアノは白石准さんをむかえてのライブ。白石さんは この「蜘蛛女のキス」の演奏のほうで参加されていた方です。その白石さんとの 共演が決まった段階で、この作品からの曲を多くやるであろうことは誰にでも 想像がついたかと思いますが、まさかこの作品1本でやってくれるとは!

この日のKINSMENは、森田さんのライブを楽しみにしている方々は勿論のことですが、 白石さんの演奏を聴きたいという方々や、蜘蛛女のキスからの曲を期待していた 方々、、、とギュウギュウでした。都合でギリギリに会場に着いた私は、かろうじて 席を確保できたという状況。ピアノはいつもと違う位置、会場のセンターにあり、 そして手元がみえるようにしてありました。私の席からは白石さんの手元はかろう じて確認できましたが、森田さんの姿は花瓶のかげでみえませんでした。。。が、 この日は姿が見えないとか、手元が見えないとか、そういう次元の事はたいした 問題ではありませんでした。とにかく、この日、この場所に居ることができた!! という喜びのほうが大きかった。

白石さんの指が、蜘蛛女のキスのオープニングを力強く奏ではじめました。そして 森田さんの歌声。。。みんな息を呑みました。のっけっからアートスフィアに ワープしてしまったかのようです。もはやKINSMENは劇場と化していました。 台詞がはいると本当に雰囲気のかわるものですね。客席の空気も1本のミュージカル の受入態勢にはいったかのような空気が流れました。

最初の曲が終わるとMCになりました。この日のライブのことについて簡単に 説明があった後、蜘蛛女のキスに戻りました。そして次は「Dressing Them Up」 を含む3曲メドレーでした。歌と台詞、、、これだけでもかなり情景は浮かんで きます。でもMCで、それを補充するストーリー展開の説明があり、加えてその シーンに関連する音楽を、白石さんがピアノで弾いてくれるのです。イメージが どんどん膨らみます。一人で歌いきれないナンバーはMCやピアノ演奏でカバー していきます。物凄く集中して聴いていました。1部が終わった時は放心状態 でした。でもライブの1部というよりは、「第1幕」が終わった、という感覚 でした。

1部と2部の休憩の間は、いつもにも増して活気がありました。「蜘蛛女のキス・ 日本初演」の時のパンフレットを江鈴さんが持参してきており、みんなでワイワイ いいながらみていました。また、いつもはハンドルネームで掲示板での交流だった 方々同士、実際に会うことになり、いままで文章でイメージしていた相手が、 顔と声を持って、動き始めたことと思います。2部も「第一幕」同様、歌と台詞、 MC+演奏といった形式で進みました。皆口々に「来てよかった」「再演を 期待してる!」と言っておりました。

「蜘蛛女のキス」の観劇経験のある方々は、この日のライブは、当時の舞台の 様子がフラッシュバックした様子です。「ああ!あの場面!」というように。 私はといえば、実はこの作品は観ておりません。行きたかったのですが、場所が アートスフィアというところだと、結構リキがいるので、週末に行こう、次の 週末に行こう、、、としているうちに観れませんでした。(金欠だったって話も ある・笑)でも観ていなくても、逆にイメージが物凄く膨らむライブでしたよ。 頭の中で、モリーナが、ヴァレンティンが、オーロラが、ガブリエルが、マルタが、 演技して歌っていました。月間ミュージカルとかで写真も見ていましたから、 尚更「感じる」「イメージする」ことができました。

終演後、白石さんがおっしゃっていましたが、ピアノというのは本当に色々な 表情を持った楽器ですよね。私のように観劇していない者が、「蜘蛛女のキス」 を観た気持ちになってしまったり、観劇経験のある人にさえ、十分なほど、その 時の場面を思い起こさせることができる楽器なんですね。 「ピアノ1台と歌というシンプルな構成」で、これだけの迫力と感動を与えて くださった森田さん・白石さんに感謝いたします。是非、再演してくださいっ!