With One Voice 〜Find Voice in Song〜
− 石川禅ライブ(2000.02.14)−



「ムジカーザに行くと、よく禅ちゃんが何かやってるよ、ってカンジにしたい」
そう言って始まった[trai]Z Angleの活動。VOL.1の「愛言葉」、 そしてファンクラブ会員限定のクリスマスライブ。それに続くVOL.2が今回の 「With One Voice 〜 Find Voice in Song」です。

今回のライブで私が感じたこと。それは、「禅ちゃんって役者さんだ」
一歩姿を現したところから、去っていくまで、ずっと役者さんだったという印象を 受けました。歌っている時も、スポットライトの中でスポットライトの向こうに 向かって歌っている、、、そんなカンジでした。

構成は2部構成。Stage1は「Memorable」というタイトルで、禅さんが今その場に 立っていることに至るまでの想い出のつまった選曲。続いてStage2では「Musical」 というタイトルで、内容もそのタイトル通りのもので、禅さんのかかわった作品 からの選曲でした。

まず第1部。スピーカーから「Indigo Walz」が聞こえてきました。久保田利伸の 曲を熱唱する禅さんの歌声。聞き入っていると、途中で急に「間違っちゃったー」 とのお茶目な禅さんの言葉で、曲が中断します。。。そ・し・て!!また「Indigo Walz」の イントロが聞こえたかと思うと、2階から禅さんの生声での歌声が聞こえてきました。 逆サイドの中2階の方々にも見える位置に出て来て、歌が続き、そして歌いながら 階段を降り、前方のステージに立ちました。

この「Indigo Walz」は9年前の「ミス・サイゴン」のオーディションの時、書類 審査の際に一緒に送ったオーディションテープに入れた曲。最初に私達が聞いて いたのは、その時のマスターテープの未公開(笑)部分の超レアものです。この 時のオーディションは、書類審査の段階で15,000人いたわけですから、物凄い 難関ですよね。その中で、審査員の方々の目をひくのですから、本当に大変な世界 だと思います。

次の曲にうつる前に、次の曲からはピアノ演奏での歌になるので、ここでピアノの方の 紹介がありました。間野亮子さんは、数々の大作に稽古の時から本番まで関わって いらっしゃる方です。

「Indigo Walz」が禅さんのミュージカル俳優のきっかけになった曲とすると、 2曲目の「夕焼け小焼け」は、プロの役者となるきっかけになった曲です。青年座の オーディションの時に歌った歌です。そのオーディションでは、自分の得意なことを アピールする場があるのですが、禅さんは歌を選びました。そして歌ったのがこの 「夕焼け小焼け」でした。しかもアカペラで表情豊かに歌ったので、「多分、審査員 も気味悪かったと思う」なーんておっしゃっていました。でも、このライブで みたカンジとしては、この歌をこれだけ表情豊かに、そしてその背景をカンジさせる 歌い方をみると、素人の私でさえ禅さんの中にある「役者」を感じます。そだね、 私が村井国夫さんのジャベールに感じたような「表情のある 歌声」というのを非常に強く感じました。

3曲目と4曲目は、その青年座のヴォイス・トレーニングの鈴木先生にまつわる 想い出がある歌です。3曲目の「慕情」は、鈴木先生がボイトレの時によく使った曲。多分 この曲をボイトレに使ったのは、最初の「Love〜」ってところを、カーーンって 出すようにするために使っていたのではないかということです。この鈴木先生が 禅さんに「君はミュージカルをやるべきだ!」と言った方だそうです。その一言が あって、今の禅さんがいるのでしょうか?

4曲目は「Paper Moon」  久しぶりに青年座に「ムーラン・ルージュ」で 出演した時に、その鈴木先生に再会したそうです。その時先生の前でこの曲を 歌った禅さん。「一体、何を言われるんだろー」と、ドキドキしたそうです。 しかし先生の口から出た言葉は、「ミュージカル向けの発声になっている。これなら どこに出してもいい。8年っていう短い間に成長したね」というものでした。 禅さんが感動したことは言うまでもありません。そしてこの曲は、鈴木先生との 想い出のひとつとして刻まれています。

次の曲「Just the Way You Are」は禅さんのお友達にまつわるエピソードがある 曲です。今でも付き合いのあるお友達がある日、テープをくれたそうです。それには ビリー・ジョエルの「Stranger」のアルバムの曲が入っていました。 禅さんの実家は国道に面している為、音楽とかガンガンかけていたそうです。 (そして、そのクセは一人暮らしになってからも直らず、よく大家さんから注意 されたそうですよ)そして当時ベスト・テンとかトップ・テンとかが全盛期の時代 ということもあってか、よく部屋で、一人だけのミニコンサートをやっていたそうです。 自分でアナウンサー役もやってたらしい(笑)そして、そのミニコンサートでの 最多ランクインの曲が、この「Just the Way You Are」だそうです。歌い終わって から禅さんは小躍りしておりましたが、この曲を歌うといつも小躍りしてしまう そうですよ。

さてさて、第1部もおおぜめ。着ていた黒のジャケットの襟をたてたかと思うと、 服のカンジが学生服(詰め襟)のようになりました。禅さんは、さだまさしさんの 歌が大好きだそうです。この曲のタイトルにおける、さださんのセンスも気に入って いる様子です。「昨日、京(=今日)、飛鳥(=明日か)、明後日」だなんて、 確かに、修学旅行の雰囲気がでていますよね。特に、東京の公立学校とかは、大抵 修学旅行先が、京都・奈良ですから、タイトルだけでも、修学旅行に関して歌って いるという雰囲気が出ていますよね。

そして第1部最後の曲「理不尽」  この歌自体は恋愛に関するものだろうけれど、 禅さんには、「子供に対する愛情」のように解釈できるように感じたそうです。 丁度その頃、禅さんのお姉さんにお子さんができ、叔父さんになった禅さんは、 とにかく甥っ子が可愛くて可愛くて、叔父さんとしてはついつい誘拐(笑)しては、 遊んでいたそうです。「幸せって、どこにでもあるんだな」とか思いつつ。この 曲に「父性愛」にも似た気持ちを見出したとき、この曲が恋人に歌う歌というよりは、 子供のに対する歌として解釈できたそうです。

この曲のスタンバイでは、客席に背を向けました。そして、曲がはじまると、 大きく両手を広げました。そして、しゃがんで、小さな子供を抱きかかえて、 頭上に両手をあげ、「たかいたかい」をしている状態を表現しました。そして 客席に向いた時は、その子供を右に抱えてる状態で歌い始めました。愛しいそうに 見つめたりするその姿に、客席からはすすり泣く声もしました。曲の最後には、 その子供を抱きかかえながら、通路を通り、後ろの出口へ消えていきました。

第2幕。それは、きっと客席にいた殆どの人が見てきた禅さんの姿だったのでは ないでしょうか。ミュージカルに関わってきた禅さんの姿がそこにありました。 赤い衣装(と思ったけど、実際はピンクらしいです)を身にまとい、後ろ向きに スタンバイしました。そして、、、レミゼの第1幕の幕があける前のイントロが 始まり、、、
おーよがせてーおいて、捕まえてやるーーー・・・ゴミを始末しろ、仕事に 戻れ!
という太い声。ジャベール禅ちゃんでした。そしてそのまま、あのつなぎ(?) のメロディが流れ、「Stars」のイントロになり、「さぁー、逃げてゆけー、、、」 と、お馴染みの曲のはじまりです。曲が終わってからMCで「レ・ミゼラブルから 僕を観ている人は、”マリウスでなく、ジャベール?”って思うかもしれませんが、 ずっと声の太い役柄をやっていたんですよ」との説明。

そんな中のひとつが「アニーよ銃をとれ」のフランク・バトラー役。この役は、 とにかくクッサイ役で、かっこつけてる男なんですが、衣装がですね、超長い フリンジが袖についていて、床をこするくらいだったわけです。最初の衣装あわせ では、普通に立っているだけで、床についてしまう長さだったので、短くしたそう ですが、それでもちょっとかっこつけたポーズをとろうものなら、床にとどいてしまう 長さ。共演者の浅倉未希さんなどは、そこから暖簾をくぐるように顔を出して 台詞を言ったりしたそうですよ。ここでは、その「アニーよ銃をとれ」より4曲を メドレーで歌ってくださいました。

次はアフレコをやった「アナスタシア」からの曲。禅さんのやったドミトリーの 曲でなく、ロマノフ王家の王女のアナスタシアが、記憶を取り戻すキッカケと なった曲を披露してくださいました。荒れ果てた大広間にかかっている絵やタペストリー をみて、「変ね、前に来たことがあるみたい。。。」となる場面です。そこに 飾られている肖像画にある人達、つまりアナスタシアの家族は、祖母を除いて 全員暗殺されているのですよね。。。そんなシーンでの歌です。

「この愛を信じて」は禅さんがタナボタ企画の「貧血鬼ドラキュラ」に出演した 時のソロの曲。これはタナボタのCDにも入っていますね。私も持っています。 これは、林アキラさんの作曲ですが、レミゼでずっと一緒だったアキラさんが、 禅さんの得意な声域を考えて、作曲してくださった曲だそうですよ。

さてさて、次の「アンヌと腕を」を選んだ理由。ちょっとしたエピソードがあり ます。「ラ・カージュ・オ・フォールス」で、ゲイのアルバ役だった市村正親さんの 稽古場代役をしていたのが禅さんだったそうです。市村さんがいらっしゃらない 時に、ジョルジュを演じる細川俊之さんと踊りながら歌っていたそうです。ジョルジュの 前の奥さん(だったかな)の息子のミッシエルが17歳の時に、恋をします。 それを打ち明けられて、「どーして私が育てたのに、女の子を好きになったのかしら」 という歌です。市村さんの稽古場代役をやったということで、禅さんにとって、 素敵な想い出として残っている曲だそうです。

そしてやっぱり「回転木馬」からの歌ははずせませんよね。帝国劇場での主役 です。プライベートでもお父様が亡くなった後で、色々と考えることがあった 禅さんには、そのお父様からのプレゼントのような気がしたという作品。ここで 演じるビリー・ビグローが舞台でたったひとりでいる場面で、7分半にも渡る この曲を歌うのです。思うままに生きていたビリーが、死後15年たった時に、 地上に戻ってきて、妻や娘をみます。「トーチシーン」といわれる場面。自分は 死んだときのままの若い姿。でも妻は年をとっています。妻は側にビリーがおりて きているのを知らずに、ビリーを愛していたという話をしていました。ビリーは 自分が生きている時は、妻に一言も「あいしている」気持ちを伝えたことがありません。 でも生きている時に言えなかった言葉を歌に託して打ち明けます。このライブでは 「ひとりごと」に続いて「How I Loved You」をメドレーで歌ってくださいました。

そしてライブ第2部最後の曲は、やはり「回転木馬」から。この回転木馬の頃、 日本では大きな災害がありました。あの阪神大震災です。そんな中に、この舞台を 観に来てくれた震災を経験された方が、この舞台を観て、「勇気をもらえました。 これからも強く生きていこうと思います」という手紙を禅さんに送ったそうです。 「You Never Walk Alone」・・・「人生一人ではない」、、、まさしくその通り ですよね。自分が困難な情況に陥ったとき、、、そんな時に思い出して欲しい 言葉です。

アンコール曲。「今を大切に生きよう。そういう役者、人間でありたい」。。。 という思いから、「ラ・カージュ・オ・フォールス」より「Best of Times」を プレゼントしてくださいました。

禅さんのライブは、前述にもあるように、「役者」を感じられるものでした。 全体の演出もそうですが、曲の構成、曲を歌うときの表情や声の音色(おんしょく) と声の表情。歌いかける相手、、、細部にわたるまで「役者さん」という印象 です。この2週間で、レミ関連の方々のライブを3本観ました。3人3様で、 一人一人、特徴のあるライブでした。そして私は、禅さんのライブでは、禅さんの 中から湧き出る「役者」の潮流を感じました。


M− 1Indigo Walz
M− 2夕焼け小焼け
M− 3慕情
M− 4ペーパームーン
M− 5Just the Way You Are
M− 6昨日・京・奈良・飛鳥・明後日
M− 7理不尽
   ☆☆☆ Interval ☆☆☆
M− 8Stars(Les Miserables)
M− 9嫁にしたい女の子〜俺の負けだ〜恋はワンダフル
  〜ショーほど素敵な商売はない  (アニーよ銃をとれ)
M−10Once Upon a December  (アナスタシア)
M−11この愛を信じて(貧血鬼ドラキュラ)
M−12アンヌと腕を  (ラ・カージュ・オ・フォールス)
M−13ひとりごと   〜   How I Loved You  (回転木馬)
M−14人生ひとりではない  (回転木馬)
E−   1Best of Times  (ラ・カージュ・オ・フォールス)



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