美紀っぺさんの観劇レポート
− 太平洋序曲 −
新国立劇場小劇場(平成12年10月14日)


エポの観劇予定だった作品ですが、この土曜に出社になり観劇できなくなって しまいました。かわりに美紀っぺさんが観劇して、レポートして下さいました。 美紀っぺさん、ご協力ありがとうございました。



[舞台装置]

とにかく、この舞台で私が1番 気になったのは舞台装置でした。 開演前から幕は下りてなかったので(もともと“幕”がないと言うべきか・・・) “能”をイメージする白木で組んだ舞台が中央にあり それを取り囲むように下手側&上手側に左右対称に水が張ってありました。 水面の揺らめきが舞台の柱などに反射していました。 けれど、上演が始まると水面の反射がなくなり、観劇の邪魔にならないトコロが ちゃんと照明を計算しているんだなぁ。。。と感心させられました。

一緒に観劇した純さんが終演後に 「あの水」は「海に浮かぶ日本」をイメージしたセットだと教えてくれて 目からウロコでした。←池かな?川かな?と思っていた(笑)>自分
↑「海」にしては浅く、波もなかったもので。。。←いいわけ
ちなみに上手に張った水では折り鶴を流し 下手側に張った水では釣り糸をたらすという演技をしていました。

次に目を見張ったのは、舞台中央から観客席の後ろまで突き抜ける 1本の“黒い花道”です。 新国立劇場・小劇場は客席が傾斜になっているので、 “黒い花道”も滑り台のように結構、勾配があります。 後で座席表を確認すると、普段中心に通路は設けてないので 「太平洋序曲」の為に横3座席分・潰したということが分かりました。 縦15列×横3座席=45席分。。。の“黒い花道”(笑) この“黒い花道”が「黒船」と日本をつなぐ掛け橋を表現していて、 「船」をかたどった装置は何1つある訳ではないのに そこに「大きな黒船」が「存在」している感じがひしひしと伝わりました。 客席後方の花道から「黒船」に乗った外国人が数人一列になって 舞台方向に歩いて登場しますが、1度も舞台上まで上がることなく 外国人が日本に上陸するのは決して許されないという鎖国時代を 表現していたと思います。

そして、花道に立つ外国人は当然、舞台=日本&日本人を見下ろし 舞台上に立つ日本人は花道=黒船&外国人を見上げるという 構図が出来上がり、外国側の優位を物語っているようでした。 そして、この“黒い花道”が最初にスポットライトを浴びる時に驚くことが!! 巨大な1枚の「アメリカ国旗」が天井の3分の2程の面積を覆うのです! バルコニー席よりも上にある劇場両端の通路を (↑体育館の2階部分にある通路のようなもの) 客席後方から前方に向かってターーッ!と 巨大国旗の端を持ったスタッフが駆け抜けるというシンプル(?)な仕掛けですが、 一気に巨大国家が出現した感じで度肝を抜かれました。 そこかしこに色々な仕掛けが施されている感じなので 後ろや端寄りの座席の人たちも 何かしらの舞台装置は間近に感じることができたのではないかと思います。 最後は全出演者が花道を通ってくれますし♪


[衣装]

衣装もワダエミさん独特のものでした。 最初、黒のシャツ&黒のパンツを着た人たちが 堂々と何人も登場したのには驚きました。 鎖国時代の話だと聞いていたけど ミュージカルだから敢えて洋服で演るのかな???と(笑) それは勿論・本題に入る前の前振りだったワケなのですが。。。 洋服を着た現代人から着物を着た江戸時代の人と 入れ替わる方法が変わっていました。 56枚の扉状の板(表=金屏風・裏=むき出しの板)を 回転扉のようにクルクル回している間に見事に入れ替わるもので ちょっとしたイリュージョンを見ているようでした。

最初、板の向こうに黒ずくめの現代人が立ち、 回転してる板で一瞬・姿が見えなくなったかと思うと 次に姿が見える時には江戸時代の衣装を身に纏った人も 姿を現し、再び板で視界が遮られ、 また板の向こう側が見える時には現代人の姿は消え、 江戸時代の人たちだけが舞台上に残り 物語が始まるという仕掛けです。 「松の廊下」を練り歩く武士のような 「引き摺る袴」(笑)を身に付けた武士の衣装が印象的でした。 裃(かみしも)の着つけとかも舞台上で初めて生で見る事ができました。

外国人の いでたちは、船でやって来る人たちなので(笑) 詰襟・長ランの一般的な軍服(?)なのですが 髪型&顔立ちは。。。 赤茶色の毛糸で作ったようなクルクルパーマのかかったロングヘアに 高さが強調された付け鼻。。。という姿でした――外国人は全員。 外国人役も日本人が演るので、間違えようのない区別化です。 しかもここまで徹底されると「外国人を日本人が演るのは無理が・・・」 とかいう問題じゃないんだなーと、解ります(笑) 最後は再び黒ずくめの現代人が現われ、終わります。


[登場人物]

ほとんどの人が1人何役も演っていました。 面白かったのは、女性の集団が登場するシーンには 必ず1人は女装した男優さんが混ざっていて “おばさん”だったり、外国人にテゴメにされるわ♪と勘違いしてる女性だった り。。。(笑) それが生き生きしてて魅力的でした。 ミュージカルナンバーを歌う人たちは、皆さん上手な方ばかりで かなり気持ち良く眠ってしまいました。。。(−ω−;)ごめんなさい

なので、詳しく語るコトができないのですが それでも印象に残っているのは ♪4匹の黒い龍がー 火を吹いて来るー♪ というような歌詞を繰り返し歌っていた 「黒船」が登場するあたりのナンバーにワクワクしました。 この直後、外国人が客席中央の“黒い花道”から登場するは 天井は巨大アメリカ国旗で覆われるはで 客席も舞台と一体化した瞬間だったのでバッチリ目が冴えてました(笑)

個人的には「レ・ミゼ」のフイィ役を演った広田勇司さんに少し興味があったので ちょこっと注目して見ました。 水兵さんとして出て来た時、1輪の花を持って 優しい歌声で日本人女性に歌いかけるので「♪」と思いながら まったりと見ていたら、その後、飛び出てきた武士に刀で切られて ビックリしました。




掲示板でも大好評の作品だけに、私もとても観たい。しかも美紀っぺさんの このレポートによるとセットも素敵だし、それにとても面白そうな作品。 掲示板では「治田さんがらぶりぃ」と観劇するみなさん全員が絶賛するし、 しゃけさんも出演してるし、やっぱり観劇したいよぉ。