マミーさんのワークショップレポ
− Les Miserables −
帝国劇場(平成12年11月9日)


とにかく「レ・ミゼラブル」に関していうと、観劇リピーターが多いですよね。 そしてみなさんとても詳細な部分までチェックなさっていらっしゃいます。 そんな作品ですから、ワークショップを開いて下さると、作品ファンとしては とても嬉しいですよね。それに受講者の中に「原石」がいるかもしれませんし、 今後も是非やって欲しいですよね。できれば、日程を数日間にして頂いて、日曜・ 祭日などにも開催してくださると、いわゆる一般の社会人も、レミゼに深く触れる ことができるのにな〜。



今日、レミゼのワークショップに行って来ました。メモを取っていたわけではありませんし、 歌のこともレミゼのことも詳しくありませんので、わかりにくいかもしれません。 少しでもワークショップの雰囲気がわかっていただけるとうれしく思います。

「あなたも、『レ・ミゼラブル』のスタッフ・キャストと帝劇の舞台での稽古を体験、見学してみませんか。」と 東宝HPの「レ・ミゼラブル」コーナーに募集がありました。11月9日(木) 12時〜14時に開催されるワークショップの受講生20名とワークショップ の見学(オーディエンス)の募集です。受講生は履歴書が必要で、「基礎トレ ーニング、ミュージカルの発声、舞台製作、アンサンブルの作り方を実際に帝劇の 舞台で体験出来ます」となっていました。ワークショップの見学は「ミュージカル出演志望の方、舞台製作に興味のある方、 将来『レ・ミゼラブル』のオーディションを受けてみたい方は、 是非ご参加ください。」と往復はがきで11月3日消印有効の申し込み。

「The People's Song」の楽譜、レミゼ日本初演10周年記念のシルバーの テレホンカード、アンケート用紙とレミゼのチラシを受付でいただいて、 劇場に入りました。 座席は自由。オーディエンスは300人くらいでした。 テレビ局等のマスコミもいくつか入っていました。 舞台には100名の応募の中から当選した20名の受講生の皆さんと 女性演出家の方(林さんがミエさんと言っていたので、垣ヶ原美枝さんでしょうか? レミゼの母と言われる人だそうです)と 司教様役の林アキラさん、フイイ役の広田勇司さん、 コゼットの3人の安達祐実さん、tohkoさん、堀内敬子さん。 ピアノは実際にお稽古ピアノを担当していて、 舞台でもシンセサイザーをなさっているという間野亮子さん。

前半はまず垣ヶ原さんのお話。 レミゼのお稽古は、発声練習・歌稽古・役作り・シーン稽古だそうで、 細かい表現はその俳優さんに任せているとも言っていました。 そして、上記の方々の紹介。 次に林さんの指導で客席も立って一緒に発声練習。 腰の後ろに両手をあて、鼻から息を吸って口からスーと音がするくらいに吐く。 次に鼻から吸ってジィーと音を立てて吐く。 手を当てた部分が膨らむのを確認すること。 「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ファ・ミ・レ・ド」スタッカートで、そしてつなげて。 少しずつ高くなっていきます。 くれぐれも無理をして喉に負担をかけないようにと。 そして「民衆の歌」を全員で合唱。 アンジョルラスとフイイのところを広田さん、コンブフェールのところを林さん、 そして、学生達とコーラスのところ(たたかうものの〜♪)を全員で歌いました。 オーディエンスからも歌のレッスンをしているような響く歌声も聞こえてきました。 歌にはまったく自信のない私ですが、CDを聞いて自宅で歌っていましたので、 何とか歌え楽しかったです。

10分の休憩時間には、コゼット3人のインタビューが舞台で行われていました。 安達さんは黒のインナーにグレーのカーディガンと黒の長めのスカート、 tohkoさんは白っぽいTシャツにピンクの上着、黒のスカートにショートブーツ。 堀内さんは前だけ柄が入ったグレーのセーターに長めのスカート。 堀内さんは色白でTVで見たよりスリムで、とても可愛かったです。

後半は垣ヶ原さんからレミゼ時代のお話のあと (「レ・ミゼラブル」とはみじめな人々、みじめな状態に置かれ 犯罪まで犯してしまう人々という意味だそうです)、 役作りの練習に入りました。 コゼット役の3人と受講生の皆さんは舞台で仰向けになり目を閉じ、演出家から 「あなたは男ですか?女ですか?」 「歳をとっていますか?若いですか?だいたい何歳ですか?」 「身長は高いですか?低いですか?」 「痩せていますか?太っていますか?」 「健康ですか?病気ですか?病気ならどこが悪いのですか?」 「地方からきた人ですか?もともと都会に住んでいる人ですか?」 「視力はいいですか?」「耳はいいですか?」「歯の状態はどうですか?」 「手足はどうでしょう?曲がっていますか?折れているところはありますか?」 「結婚はしていますか?しているとしたら、子供はいますか?何人ですか?」 ・・・等々の質問を聞きながら一人一人自由に役を設定していきます。 イメージが決まったところで立ち上がり、 それぞれ役になりきって歩いたり、走ったり。 今度は2人1組になって歩き、どういう役なのか、2人の関係を発表していきます。 さすが、受講生に応募なさった方々だけあって、皆さんお上手で それぞれ違った設定でおもしろく思いました。

次に「民衆の歌」のシーンの練習。 学生役や仕事をしているお母さん役や子供役等役柄を決め、 それぞれグループに分かれ、舞台いっぱい使いながら歌い演技します。 最後に受講生の皆さんは舞台で記念撮影。 村井国夫さんがひょいと現れ特別参加なさいました。 上のお稽古場でお稽古中とのことで、 上にはキャストの方々がたくさんいらっしゃっているようでした。 (確か、石井さんは今日、出島とレミゼのダブルお稽古日でした〜) その後、受講生の皆さんはマスコミのインタビューを受けていました。

終了時間30分延長して客席からの質問にも丁寧に答えてくださいました。 なかなか質問もおもしろかったです。いくつか思い出してみますと、
●舞台を目指している女性の質問は、「金銭的な問題で歌のレッスンにいけないが どのようにミュージカルの歌の練習をしたらよいか?」
林さんの答えは、毎日歌うこと。 気に入った曲や歌手のまねをして歌うことも良い。 CDなどで一緒に歌うと思っている以上に高音が出たりすることもあるとのこと。 そして、音をさらってメロディーがわかったら、歌詞をセリフとして読んでみる。 そして聞いている人に何を伝えたいか、音とのバランスを考えるなどでした。
●観客の立場からと男性が、 「中にはとてもオーディションで決めたとは思えないキャストもいるようだが、 メインキャストもオーディションで決めたのか?」
演出家の方は、この役をこの俳優さんでという場合以外は 全部オーディションで決めている、 ただ、歌の上手いヘタだけではなく、その役のイメージにあうかどうか、 こちらからの注文を聞き入れすぐ変えて歌えるかどうかをみるそうです。 また、有名な方と新人とが最終選考に残った場合、 大勢の舞台になれている経験のある方を選ぶことはあると。 知名度でチケットが売れるということもありますしと。
●「オーディションの公募は一般雑誌には載せないのか?」
プロデューサーの答えは、 初演の時一般誌に載せたら、すごい応募者数で歌のテープを聞くだけでも すごく時間がかかってしまったので、今は一般誌には載せず、 公募の専門誌や各劇団のみお知らせしているとのことでした。 演出家からオーディションについて、 オーディションにチャレンジする場合は作品の時代背景等勉強して、 自分にその役が合あっているかどうか考えてから応募するように。 といっても必要以上に自分はダメだと思うことがないようにと。 (本当は自分が1番あっていることもあると) オーディションに応募すると、課題曲の楽譜が送られてくるそうで、 それを歌うテストがあるそうです。 できれば覚えてオーディションを受けて欲しいとも。 レミゼの場合はダンスのテストはないそうです。 オシャレをしてオーディションを受けに来る方もいるそうですが、 中にはとても歌う格好ではない方もいたそうです。 (下着が透ける服の女性orヒールの高すぎる靴を履いてきた女性等)
●中学の教師をしているという男の先生から、 音楽の教科書にもレミゼの歌が載ったそうで、キーの音域の質問でした。
ちょうど声楽指導も担当している林さんが上のお稽古場に戻られたので 詳しくはわからないと垣ヶ原さんがおっしゃいましたが、 「後で聞いてお知らせしますのでご連絡先を教えてください」ととても親切でした。

レミゼがどのように作られているのか、どんなお稽古をしているのか、 少しわかって楽しいひとときでした。