涙、また涙!感動巨編


レ・ミゼラブルに限らずのことなのですが、私は「ニューヨークに行く時に観よう」 と、日本で観ないまま、忙しかったりして時が過ぎていく、という事がしばしば あります。このレ・ミゼラブルに関していえば、その気持ちが凄く強かったのです。 凄く興味がある作品だったのですが、私が初演キャストに偏見があったんですね、 その時は。。。「なんでー?この人、声でるの?」「えーっ、ミュージカルの発声と 違う声出そう」「好評の大作も日本じゃ人寄せパンダが必要なのね」みたいな 気持ちがあって、当時は「この作品だけは絶対日本じゃ観ないぞ」などと思って いたのです。でもレミゼ7周年の時、帝国劇場へ足を運びました。

全然予定してなかったのですが。。。その日、友人から電話がかかってきました。 「今日、暇なんだー。会おうよ」というもの。「何しようか。あ、ミュージカル 今何やってるっけ。。。えっと、新宿でピーターパンでも観る?あっ!レミゼやってるよ。 今のジャベールって今井清隆だよー!Lady,Be Goodで真央ちゃんの相手役だった あの歌の上手な人覚えてる?」という私の話に、ミュージカルがやはり好きな友人が のったのでした。劇場に行って、キャストを確認すると、今井ジャベールの回は 島田エポニーヌじゃありませんか。当日券でV列をゲットし、いざ客席へ。。。 私が日本でレミゼに足を運んだのは本当に偶然でした。友人からの電話がなかったら、 そして今井さんがレミに出演していなかったら、ずっとブロードウェイで観る、 と頑張っていたことと思います。

座席についてまず思ったこと。それは「多分、集中できないな」でした。というのは 20列目くらいだと、表情が読めないし、あと私より前に座る人達の反応とかが みえたり、舞台全体がみえることにより照明とか色々とチェックを入れてしまうような 気がしたのです。特に、客席に遅れて入ってくる人とかが視界に入ると、私の場合、 一気に集中力が切れるのです。ところがそれは全くこの作品の場合、当てはまりませんでした。 あの薄暗い照明の中、「Work Song」が始まり囚人役の方々が歌い出した時、 「この人達、上手いっ!」・・・私は歌が歌えるわけでもありませんし評論家でも ありませんからこんなこと言うのはおこがましいのですが、でもこの瞬間に私の体の中に ある「波」が、舞台上から送られてくるメッセージの波形とピッタリあったの でしょうか。もはや20列目にいる私に見えるものは、あの四角い舞台の枠の中だけでした。

しょっぱなから頭をガツンとやられて、しかも次々と記憶に残るメロディーが続き、 「Confrontation」の時にはバルジャンとジャベールのやりとりに釘付けでした。 ワンクッションおいた後の「Stars」の時には震えがきていました。学生達が出て来た 時はもう夢中って感じでした。学生達が「Do You Hear the People Sing」を 「One Day More」ではもう大感動!私の初レミゼの第一幕はこんな感じでした。 第二幕はウルウル、ヒックヒック、と涙してました。「On My Own」ですでに ボロボロこぼしてましたので(^^;)その後の私の状態は、みなさん、想像がつくと思います。 「A Little Fall of Rain」の段階では私はすっかりエポニーヌです。そして バリケードにおける戦いでは皆を引っ張るアンジョルラスになってました。 ガブローシュが銃弾に倒れた時など、「なんであんな小さい子を撃つのよ!馬鹿っ!」 と、憤慨しつつ目の前は涙でぼやけていた次第です。学生達が撃たれてしまう時も もうボロボロ状態。しかもそのシーンがスローモーションになる演出がここがまた なんともいえない悲しさを誘うんですもの。加えて音楽ですが、このシーンの最後の 音が不協和音(でも心地よい不協和音)で、「何かが起こってしまった」ことを 思わせる音だし。この不協和音はジャベールが自殺するシーンの最後の音も「何かを 思わせる音」として存在してると思いました。最後のフィナーレ部分では言うまでも ありません。視力が急に落ちてしまったのでないかと思うほどボヤけていました。 バルジャン、フォンティーヌ、エポニーヌが自分の愛した人達に手をかざしている 様子と加えて美しいハーモニーで完全ノックアウトでした。

最後の場面では正直、こらえるのが大変でした。こらえてもヒックヒックしてた くらいです。胸がはりさけんばかりでしたので、もしこらえなかったら子供が 「ワァーッ!」って泣くような感じになってしまったと思います。とにかくこんな 感じの初観劇だったのですが、とにかくこの年のキャストで初めて観てよかった。 このキャストでレミゼに出会えてよかったと思います。勿論、今思えば、作品を 鑑賞するという意味で初演を観ればよかったとは思うのですが、やっぱりこの 7周年キャストで観たからこそ、これだけの感動が得られたような気がします。 これだけ感動できることって、そういうものに出会えたことって、貴重で素晴らしい 経験だと思います。

やっぱり島田エポニーヌは素晴らしい!今井さんの歌唱力も素晴らしかった。 そして佐渡さんのコゼットがとても美しい声でよかった。この年に出会った若手 の素晴らしい俳優さん達、岡さん・石井さん・宮川さんに出会えてよかった。 結局後日もう一回劇場に足を運んで立ち見(しかなかった)で観劇しました。 ただひとつだけ残念だったのは、テナルディエの歌い方が乱暴だったことです。 自分の口から出した音に責任を持ってないっていうのか、それともオケの音や 相手の音を聴いてないっていうのか、凄い暴投でした。自分一人で歌っている 感じで、しかも音がヒドイ音。音色の域に達してないんでしょうね。素人の 私でさえ聴いていてゾッとする歌い方でした。もっと自分の口から出した音に 責任持ってほしかったです。あまりの暴投のため、客席でその音をキャッチする ことができませんでした。それ以外は、とにかく素晴らしい歌声で素晴らしい 作品を頂いたという気分です。素晴らしい出会いでした。こういう出会いなら どんどんしたい、と思えるひとときを過ごしました。