−Sunset Blvd.−

★STORY8★


I must know 「ジョー!戻っていたのね!」
寝室にいたノーマがジョーの寝室に入ってきた。ジョーはぐっすり眠っている。 ノーマはジョーが毎晩外出しているのをもう知っているのだ。「女のところに 行っているのね。誰なのか絶対探してみせる」と涙ぐむノーマの目に、ジョーの スーツのポケットにはいっている原稿がみえた。その原稿を手に取り、急いで 自分の部屋へ行くノーマ。そして彼女の目に映ったものは、ジョーとベティの 合作の脚本だった。
「Untitled Love Story by Joseph C. Gills and Betty Schaefer」

その日も二人で作業をしていた。だがベティの様子が変だ。ジョーをみつめたまま ボーッとしている。理由を聞いても、「答えたくない」とか「ただ、イヤなの」と 言うばかりで、落ちこんでいる。ジョーは自分の事に関して何か噂を聞いて ベティがふさいでいるのか、と聞いたが答えない。「時間がもったいないよ。 話してごらん」とジョーが言うと、やっとベティは話し出した。

ベティ「電報がきたの」
ジョー「アーティから?」
ベティ「アリゾナに来て欲しいって。。。結婚登録料が2ドルで安いし、新婚 旅行にもなって、節約もできるって」
ジョー「そうすればいいじゃないか。木曜までには脚本を完成させられるよ」

−−−急に泣き出すベティ−−−

ジョー「泣くなよ。君は結婚したかったんだろう?」
ベティ「今はしたくないの」
ジョー「何故?アーティーを愛していないのか?」
ベティ「勿論、愛しているわ!・・・でも、もう恋はしていないの。。。」
ジョー「何が原因だい?」
ベティ「あなたよ・・・」

ベティはジョーに恋心を抱いてしまっていたのだ。ベティの将来はジョーの手の中に あるのだ。アーティーのように、本当に気の良い人間と婚約をしているのに、 自分を愛してくれた。。。そんな事を思いながら、ジョーにとっては牢獄のような サンセットの屋敷に戻ってきた。

ベティはジョーの現実を知らない。打ち明けるわけにもいかない。ジョーは悩んだ。
「そうだ!逃げ出そう。ノーマの元から」
そう考えた時、隣のノーマの寝室から、ダイヤルを回す音が聞こえてきた。それに 続き、電話に出た相手に話す声。。。「グラッドストーン9281番地? ベティ・シェーファーはいる?そろそろ戻ってきてると思うのだけど」

The address is 10086 Sunset Blvd. ノーマはついにベティをつきとめ、電話をしていたのだ。何度か電話したらしく ベティのルームメートも気味悪がっている。ベティは憤慨して電話に出た。 ベティが電話にでるとノーマはジョーがどうやって暮らしているのか、誰と住んで いるのか知っているのか、と続けた。

「彼に聞いてみなさいよ」
そうノーマが言った時、ジョーはノーマの真後ろにいた。受話器をとりあげるジョー。
ジョー「そうだ。もう一度聞いてごらん。ジョーだ。」
ベティ「一体どういうことなの?」
ジョー「自分の目で確かめにおいで。住所はサンセット大通りの10086番地だ

そう言うとジョーは怒って受話器を叩き付けるようにし、電話をきった。ノーマは 脅えていた。ジョーに嫌われたくなかった。ただ嫉妬心、ジョーを失いたくない という気持ちから、ベティをつきとめ電話をしてしまったのだ。「ぶってもいい から、憎まないで」・・・これはノーマの本心なのであろう。ノーマは拳銃を 購入していた。自殺のためなのだろうか。。。

一方ルームメートの運転で、ベティが屋敷に向かっていた。屋敷の前に着くと 心配するルームメートはベティについていくと言ったが、ベティは大丈夫だと 言い、一人で屋敷の玄関へ向かった。チャイムの音を聞いたジョーは、ベットの 上で泣いているノーマを残して玄関へベティを迎えにいった。

ジョー「いままでハリウッドの大邸宅に行ったことあるかい?あ、ここの床は 滑りやすいから気をつけて。
         この床はヴァレンチノも踊った床だよ。」
ベティ「ここに住んでいるの?」
ジョー「そうだ」
ベティ「誰の家なの?」
ジョー「彼女さ」
ベティ「誰?」
ジョー「部屋をみまわしてごらんよ。部屋中に写真があるだろ。もし顔を知らない としても、名前なら聞いたことは
         あるはずだ。ノーマ・デズモンドだよ」
ベティ「電話をしてきたのもノーマ・デズモンド?なんで私に電話してきたの?」
ジョー「嫉妬さ・・・」
ジョー「天井はポルトガル製、それからみてごらん。これは彼女のプライベート 映画館だ。」
ベティ「家をみにきたんじゃないわ。ノーマ・デズモンドがどうしたのよ?」
ジョー「今から話すところだよ。ここはノーマの家だ。浴室つきのマスターベッドルームが 8つ。地下にはボーリン
         グ場。ひとりで暮らすには寂しすぎる。仲間が欲しかった。。。 よくある話だよ。裕福な年配の女性と、生活
         に困った男。。。これでわかったろ?」
ベティ「いいえ!」
ジョー「じゃぁ、もう少しヒントをあげようか」
ベティ「いいえ!もう何も聞きたくないわ!!今までのことは全て忘れるわ。私に電話なんて なかったし、私は
         この屋敷にもこなかった。。。さぁ、荷物をまとめて!ここから出ましょう!!」
ジョー「どこへ行く?家賃も払えていないワンルームのアパートに戻るのかい? 脚本だって売れるあてもない」
ベティ「もし私を愛しているなら、一緒に・・・」
ジョー「よく考えてごらん。良い条件だよ。この長期契約は。。。君とアーティは お似合いだよ。。。さぁ、そろそろ
         帰ったほうがいいね」

ジョーはベティを玄関まで連れていった。ベティとアーティの結婚を祝福し、 アリゾナへ行くように言った。目にいっぱい涙を溜めてベティは、駆けていった。 ベティが門から出るのを見届けて、ジョーは後ろを振り向いた。

階上に一部始終をみていたノーマの姿があった




次頁に続く