−Sunset Blvd.−

★STORY4★


New Year's Eve ノーマの見立てたタキシードに身を包んだジョーがホールに現れた時、そこには ヴァイオリンやアコーディオンの生演奏で、一人踊るノーマがいた。ジョーの姿を みつけたノーマは更に御満悦。タキシード姿のジョーを「一段と素敵だ」と誉めまくった。 他の来客を待たずにノーマがシャンペンで乾杯し、ヴァレンチノがノーマに勧めたという タイルの床のホールで、タンゴを踊ろうとジョーを誘った。「ヴァレンチノみたいには できないよ」とジョーはしり込みするが、ノーマのリードで2人は踊り出す。 客の来る気配はまったく無い。実はこのパーティーは2人だけのパーティーだったのだ。

1時間も踊っただろうか、、、席についたノーマは煙草を吸いながら、来る新年を 待ち焦がれている。ジョーはといえば、隣でつまらなそうにしている。そして生演奏は まだ続いている。踊っている間、ジョーは茶化していたが、段々とノーマの 気持ちに気づいてきたのだ。イライラがつのってきた。

ノーマ「来年が待ち遠しい。来年は素晴らしい年になるわ。あなたの為にプールに水を 張るわ。それとも
         マリブの別荘へ行けば、目の前は全部海よ。映画が完成したらヨットを買ってあげるわ。
         それでハワイに航海して、、、」
ジョー「やめてくれよ。これ以上何もいらない」

嫌がるジョーのことなど全く気にせず、深夜12時を周り新年を迎えた瞬間にノーマは更に続けた。

ノーマ「これは新年のプレゼント!」
ジョー「ノーマ!これ以上何も受け取れないよ。もう十分な程、買ってもらっている!」
ノーマ「私はいまどきのハリウッドの映画人より金持ちなの。百万長者なのよ。」
ジョー「浪費しないで残しておけよ。」
ノーマ「ダウンタウンの不動産、ベイカーズフィールドの油田。。。欲しいものは 何でも買えるのよ。」
ジョー「僕には関係ない!やめてくれ!」
ノーマ「どうしたの?」
ジョー「何の権利があって僕に物を与えるんだ!」
ノーマ「なぜって?それを私の口から言わせるの?
ジョー「僕にもプライバシーがある。それに僕に恋人がいるとか考えたことはないのか!」
ノーマ「誰よ!どうせエキストラの女優とかなんでしょ!」
ジョー「あなたにはヴァレンチノのような大物がふさわしいんだ!」
ノーマ「私の愛を拒むのね!言いなさいよ!言ってごらんなさいよ!」

そう言うとノーマはジョーの頬に平手打ちをくらわし、2階へ駆け上がっていった。 一方ジョーがまわりを見回すと、何事も無いかのように生演奏は続き、マックスも 黙々と仕事をこなしている。ジョーはコートを着て、雨の中、外へ飛び出した。 行くあてはなかったが、とにかく同世代の人間の笑い声が聞きたかった。

party at the Artie's アーティー・グリーンの家・・・彼の家ではお祭り騒ぎの最中のはずだ。 仕事にあぶれた脚本家達や、まだ純真な若い女優の卵達。。。楽しさを分かち合える 幸せな若者達がいる。。。ジョーはアーティーを訪ねることにし、ヒッチハイク をしてアーティーの家へ向かった。

アーティーの家に着くと、そこには部屋中、ぎゅうぎゅうに殆ど身動きできない くらいに集まった若者であふれていた。彼等は楽しそうに、歌って、踊っていた。
「ジョーじゃないか!どこに雲隠れしてた!捜索願いを出そうかと思ってたんだぞ!」 と、アーティーが近寄って来た。高価な衣装を着ているジョーに「大富豪に借りたのか? 密輸でもしてるのか?」と冗談で言うアーティーに、ジョーは心が和んだ。

ジョーはアーティーに2週間程、家においてくれるように頼む。気のいいアーティーは 勿論快く引き受けてくれた。その時、パラマウントに作品を売りこみに行った時に 会った閲覧課のベティ・シェーファーに再会。ベティはアーティーの恋人だったのだ。 「ずっと会いたかったの」とベティはジョーに言った。彼女は目の前にいるのが 脚本の作者自身だったということを知らなかったとはいえ、ジョーを目の前にして 作品を「駄作で陳腐で全然面白くない」と言ってしまったことにたいして、罪悪感を 覚え、ジョーの作品を全部読み返していたのだ。窓がつく題名の本の話をしたいと いうベティ。「作品は嫌いだけど、途中の6ページだけは最高!」

ジョー「あの脚本のどこがよかった?」
ベティ「法廷でのフラッシュバックの場面。女性が教師の経験の話をするでしょ」
ジョー「そういう教師を知っていたんだよ」
ベティ「だから良いのかも。実話は感動するもの。あの人物像を使ってみない?」
ジョー「誰が実話を観たい?誰が感動する話を観たいものか!」
ベティ「彼女の姿勢とかキャラクターよ。まじめに取り組むべきだわ」

ベティ自身にもアイデアがあった。彼女は閲覧係で終わるつもりはなかった。彼女 自身も作品を書きたかったのだ。その時、ふさがっていた電話があいたので、ジョーは 屋敷に電話を入れた。マックスにジョーの荷物をまとめるように頼むためだ。 電話に出たマックスに、あとで誰かを向かわせるから「昔の自分の荷物だけ」を まとめるように言うと、マックスは小声で、「今はなにもできません。お医者様が 来ています。奥様がカミソリで手首を切られたのです」と言うと電話をきってしまった。

I do again ! ジョーはあわてて屋敷へ戻った。楽団はまだ演奏を続けていた。「奥様は2階の 自分の部屋にいらっしゃいます。楽団に気づかれないようにご注意ください」と マックスに言われて、ノーマの部屋へ向かった。部屋に入ってきたジョーに、 弱々しくノーマは言った。「出ていってよ・・・」

ジョー「What kind of silly things that you do !」
        (なんてバカなことをするんだ!)
ノーマ「To fall in love with you...That was idiotically..
        (あなたを好きになったことが馬鹿だったわ)
ジョー「Sure.   Would made attractive headlines」
        (新聞の見出しにおもしろおかしく書かれますよ)
ジョー「Great Star Kills Herself for Unknown Writer!
        (大女優 無名の作家との恋に破れ自殺!ってね)
ノーマ「Great star has a great pride !!」
        (大女優はプライドも高いのよ)
ノーマ「Go away ! Go to that girl you ... 」
        (出ていって! その女のところへ行きなさいよ!)
ジョー「Look...I...I was making at a...Because I thought the hole thing was mistake.   I didn't wanna hurt you.
        You've been good to me.   You are the only person in this stinking Tom has been good to me.」
        (こんなことは間違っていると 思ったんだ。。。別に傷つけるつもりはなかった。あなたはこんな僕に
        良くしてくれた唯一の人だ)
ノーマ「Why don't you just say "thank you" and go...... GO ! GO !!」
        (お礼だけ言って出ていって!)
ジョー「Not till you promise that I'd like the sense of human being.」
        (人間としての尊厳を持つと 約束するまでは、、、)
ノーマ「I'll do again !   I'LL DO AGAIN !!  ..... I'll do again...(sobbing)」
        (何度だって自殺するわ!)

−−− 階下より、バンドの演奏する「蛍の光」が聞こえてくる −−−

一旦ノーマのベットから離れて椅子に座ったジョー。泣きつづけるノーマ。。。 そのすすり泣くノーマの方をみたジョーは、立ち上がってベットに近づき、 顔を隠している両手を優しくどかし、ノーマの顔を覗きこむと言った。

ジョー「Happy New Year, Norma」
ノーマ「Happy New Year, darling


次頁に続く