−Sunset Blvd.−

★STORY2★


I AM BIG ! 「You Noma Desmond !?  Use to be inside of the pictures.
  Use to be Big.」

(あのノーマ・デズモンド!? かつて銀幕の大スターだった。。。)
「I AM BIG !!   It ・・・ PICTURES that got SMALL !!」
(私は今も大スターよ!小さくなったのは映画のほうだわ!)

ノーマは無声映画時代の大スターだった。最近の映画技術、特に役者が喋る ことにかなり憤慨している。でもジョーにとってはそんな事は昔の話。「僕を 責めないでくれよ。僕はただの作家だ」とノーマの話を適当にあしらう。その 態度に一度は怒ってジョーを追い返そうとしたノーマだが、ジョーが作家で 映画の脚本の仕事をした経験があることに興味を覚え、相談を持ち掛けた。

ノーマ豪華な家具、そして風で音を奏でているパイプオルガンのある部屋にジョーを 通し、映画の脚本は普通何ページ必要なのか尋ねた。ノーマは大作映画の脚本を 書いたという。机上をみると、そこには映画6本分くらいはある脚本がのって いる。映画の題名は「サロメ」、そして監督はかつて何本も一緒に仕事をした セシル・B・デミルに頼むという。勿論主役のサロメはノーマ自身だ。

ノーマはジョーに自分の書いた脚本を読むように強いた。ジョーには取り立て屋 の用事以外には何も予定も無いので、心の中で「この女の機嫌でもとってやるか」 と思いながら、脚本を読み始めた。間もなく執事がシャンペンとキャビアを運んで きた。どうやらこの薄気味悪い屋敷の住人は女主とこの執事のマックスだけのようだ。 読んでいる間ノーマは煙草を吸いながら、サングラスの奥からジョーの様子を 伺っている。夜の11時になり、ジョーは酒のせいかノーマの駄作のせいか気分が悪くなってきた。
「ひどいメロドラマだ。ここは何とか話をとりつくろうしかない。。。」
目で語れるわ!
ジョー「魅力的な作品だ。多少の手直しは必要だが玄人はだしだ。」
ノーマ「心で書いたの」
ジョー「だから胸をうつんだな。少し台詞を足すともっと良くなる」
ノーマ「なんの為に?全て目で語れるわ!
ジョー「削れるシーンもある」
ノーマ「とんでもない!」
ジョー「勿論、削ることもないが、誰かを雇って手直しさせてみてはどうだろう?」

話はどんどんジョーの思惑通りに進んでいった。ノーマはジョーを雇うと言った 時、「脚本を持ち帰る」と申し出たり、低姿勢で遠慮がちに「脚本を持ち出しできないなら 明日の朝、また戻ってきて仕事をする」などと申し出ると、ノーマは自分の屋敷に 泊まることを勧めた。ジョーの思うツボにはまった。まんまと仕事にありつき、 その間は車も無事だ。なにより金儲けできる。

ジョーは執事のマックスに屋敷の離れに連れていかれた。しばらく使用していなかった という離れの部屋は、マックスがこうなる事を予測していて、既に準備が整っていた。
「Say ya...She's quite a character that Norma Desmond」
(ノーマ・デズモンドってのは、たいした人だね)
She was the greatest of them all !!   You wouldn't know. You're too young」
(あなたは若すぎて知らないかもしれないが奥様は女優の中で一番偉大なお方です。)
マックスはノーマがいかに偉大なスターかを語ると部屋をあとにした。

ジョーには全てが不気味に思えた。マックスもどこかずれている気がする。 窓の外にはテニスコートの残骸。勿論お屋敷にお決まりのプールもある。きっと 往年の大スター達が泳いだのだろう。いまやそれもうかがえない程、荒れ果てている。 気づくと死んだチンパンジーの葬式が庭で行われている。この屋敷全体に呪いが かけられ、世間から取り残され、ゆっくり崩壊しているようだった。

実に奇妙だ。しかしこれはまだほんの序の口だった。


次頁に続く