Trekking Reports 〜山歩きの記録

2003.10.3(金)〜4(土) 涸沢の紅葉と岩の殿堂【奥穂高岳 北アルプス】

涸沢の紅葉(クリックで拡大:144k)

ついに10月。紅葉情報が気になり、いろいろチェックしていると、涸沢の紅葉がそろそろ見頃になるとのこと。
となると、買ったばかりのEOS Kissデジタルで涸沢の紅葉写真を撮りたい!と思い、
さらに調べると、涸沢の2つの小屋はこの時期、殺人的な混み方をするらしい。
で、横尾山荘利用でのルートも考えたが、ここまできたら奥穂高岳にも登らなきゃ嘘だろ!ということで、
かなりのハードコースになることを承知の上で、初日に上高地から穂高岳小屋まで歩くことにした。
なお、2日目は涸沢へ戻ってパノラマコースで下山するか吊尾根縦走して重太郎新道を下るか迷った末、
当日の体調や天候を考慮してギリギリで判断することに。と言いつつ気持ちは吊尾根へ。(笑)

混雑を多少でも避けるために金曜日に休暇を取り、その前日、仕事が終わってから幕張を出発。
沢渡の駐車場で仮眠を取って、5:30の上高地行きのバスに乗り込んだ。
6時過ぎに上高地に着くと、すでに多くの登山者が一様にザックを背負って涸沢へと歩き始めていた。
上高地から横尾山荘へと続く奥上高地自然探勝路はほとんどアップダウンのない遊歩道で、
街中と変わらないようなペースで歩くことができる。
地図で見ると相当長く、横尾までは大変だろうなぁと想像していたが、
峻険な岩稜を朝日に輝かせる明神岳をバックに色づきはじめた雑木林を眺めたり、
かろうじて残っているノコンギクやフジアザミ、ヤマハハコなどの花を見ながら歩いているうちに、
意外とあっさり横尾山荘前に到着した。


横尾大橋

横尾山荘前の横尾大橋を渡ると、ようやく登山道らしくなる。
ただ相変わらずの登っているんだかどうなんだかわからないなだらかな道だが、
美しい雑木林の向こうには国内最大級の岩場というどでかい屏風岩の岩壁が間近に迫り飽きさせることはない。
そして屏風岩の脇から北穂高岳が覗くようになると、やがて本谷橋に到着する。
本谷橋は横尾山荘前の橋とは違って、人がすれ違えないほどの狭い橋で、歩くと揺れる揺れる。
思わぬところで緊張を強いられながらも渡りきったところの河原で多くのハイカーに交じって小休止とした。

本谷橋を過ぎ、ちょっとした急坂を登ると、またもやだらだら登りとなる。
雑木の切れ間から覗く大迫力の岩陵を楽しんでいると、そのうち正面に涸沢カールと奥穂高岳が現れた。
刻々と変わるパノラマに感動の連続。登山と言うよりトレッキングといった感じだが、それもよし。
日本を代表する山岳風景に包まれながら、やや傾斜の増した道を登っていくと、
涸沢小屋へ向かうルートとの分岐を経て、涸沢ヒュッテに到着した。


屏風岩

ハイカーでごった返す小屋前のデッキを通り過ぎて、小屋の裏にまわってみると...
お〜っ!これこれ!紅葉の涸沢がこれまで見た写真そのままに目の前に現れた。
おもわず見とれていると、突然すごい轟音と共にヘリコプターが目の前の平坦地に着地。
でもその後は再び静かな穴場となり、昼飯のキムチラーメンをすすりながら、至福のひとときを過ごした。

1時間以上ものんびりと休憩し、ややガスが増えてきたのをきっかけにザックを担いで出発した。
目指すはこの日の宿、穂高岳山荘。実はこの涸沢ヒュッテから小さく見えており、
そこへと続くザイテングラートと呼ばれる岩場が非常に険しく、あんなところを本当に登れるのかと不安になる。
とは言え、猛烈な混雑が予想される涸沢ヒュッテに泊まる気はさらさらないので、
ま、なんとかなるだろうと、涸沢カールのど真ん中を登っていった。

下から見上げるカールは白い砂で被われているような美しさだが、実際に歩くとゴロゴロしたガレの斜面で、
道はよく踏まれてしっかりしているが、ちょっと道を外すと岩が簡単に崩れる、まさにガレ場。
また遠目には美しい紅葉も近づいてみると、赤くなりきっておらず黄色が交じったナナカマドが多く、
今年の紅葉はやや遅れているという噂どおりの状況。でも来週の3連休にここに来る勇気はないなぁ。(^^ゞ


初日唯一の難所、ザイテングラート

ザイテングラートの取り付きでは多くの登山者が休憩中。ここから涸沢を振り返ると、
屏風ノ頭の向こうに鋭い三角錐の常念岳とだらっとしてどこが山頂か分からない蝶ヶ岳のパノラマが広がり、
横から見る涸沢カール名物の獅子岩は、その名のとおりエジプトのスフィンクスのような形をしていた。
同じように休憩していたハイカーがどんどん難所へと挑んでいくのを見送りながら自分自身の気合いを入れ、
誰もいなくなったのを契機に重い腰を上げてザイテングラートへと向かった。

下から見上げた様子から、かなりおっかなびっくりではあったのだが、実際に登りはじめてみると、
岩場としては大した難易度ではないように感じた。落石の恐れのある浮き石も少ないし、
意外と広い上、痩せたところも少なく高度感もそれほど感じない。
ただこれまで蓄積された疲労のため、ついつい立ち止まってしまいペースが上がらず、
背後に広がる大展望に力づけられながら、なんとか赤い屋根の真新しい穂高岳山荘に到着した。


穂高岳山荘

この日の穂高岳山荘は10月3日で登山の日。その上80周年記念ということでサービス満点。
記念品のオリジナルスタッフバックや夕食時には缶ビールのサービス。
その上、夕食後景品抽選会まで催された。
(空くじ確率25%なのに何も当たらずというくじ運の悪さを露呈しただけだったが。(^^;)
で、気にしていた混雑具合は1人に一枚ずつ布団が当たるという山小屋としては最上級の待遇。
いやぁ頑張って1日でここまで登ってきた甲斐があったなぁ。(^-^)v

翌朝、寒い中小屋の外でご来光を待ったが、雲に阻まれて空が赤くなったのみ。
仕方なく小屋に戻って朝食後、だらだらと出立の準備。同部屋となった方々が出計らった頃、
ようやく小屋を出発。奥穂高岳へと向かい小屋脇の岩壁に取り付いた。
のっけからハシゴやクサリが連続する急な岩登りで、すぐに息が切れてしまい、
そのたび立ち止まって背後の展望を振り返る。
飛騨側は笠ヶ岳が岩の衝立状に広がり、その稜線がこの夏歩いた西鎌尾根へと続いている。
ただ残念なことに槍ヶ岳はガスの中...と思っていたら、槍ヶ岳を被っていたガスは徐々に晴れはじめ、
やがてはその穂先が姿を現した。
一方、これから向かう奥穂方面も最初はガスがかかっていたが、山頂直下にたどり着いたあたりでガスは取れ、
曇り空の下ではあるが、ジャンダルムの険しい岩陵や涸沢とその向こうの常念岳などの大パノラマが広がった。


槍ヶ岳がこの瞬間だけ姿を現した

そして奥穂高岳山頂到着。日本で3番目に高い山頂には山座同定板と祠。
一番高いと思われる祠の設置された石垣の上に立ってとりあえず大満足。
青空の下の大パノラマは残念ながら得られなかったが、小雨の中だった槍ヶ岳に比べたら百倍マシというもの。
しばらく山頂で一緒になった数人とはしゃいでいたら、下から10人前後の団体さんが到着したので、
それをきっかけに前穂高岳へと向けて吊尾根の縦走を開始した。

最初は広めの尾根にしっかりした道がついたコースで、これなら楽勝か?と思いながら歩いていくと、
徐々にその本性が姿を現してきた。クサリ場も数カ所あるが、
それよりも断崖にへばりつくようなルートで、靴底の半分ほどの広さの足場に体重をかけるときの怖さとか、
どうやってここを下りるんだというようなところにルートを示すペンキが付いていたりと、
やはりここは「穂高」なんだと実感させられるルートが続く。
そしてふと遠くに目をやった時に、見覚えのある美しい稜線が目に飛び込んできた。富士山だ!
つい二週間前に登ったばかりの甲斐駒の左隣にうっすらと浮かんでおり、
あまりのうれしさにちょっと前を歩いていた二人組の若い男女に大声で「富士山が見えるよ!」と叫んだ。


難所続きの吊尾根と富士山

向かう前穂はガスに包まれたり姿を現したりを繰り返していたが、
紀美子平に着く頃には前穂に奥穂に西穂まですっかりガスの中に入ってしまった。
とりあえず吊尾根縦走でへばっていたので、晴れ待ちを兼ねて紀美子平で長めの休憩。
パンをかじりながら、焼岳に霞沢岳、ガスのかかりはじめた乗鞍に御岳。
足元には上高地の森が広がるパノラマを眺めていたが、そのうち寒くなってきたので、
仕方なくザックをデポして前穂高へのピストンに向かった。

前穂高への岩壁に取り付くといきなり難所の連続となる。
特にこちらはクサリやハシゴなどは一切無いので、今回のコース中もっとも難易度が高いかも。
それに登り切っても奇跡でも起こらない限り、山頂はガスの中なので、やる気もイマイチ。
最後は意地だけで登頂した。前穂山頂は岩だらけだが意外なほど広い山頂で、やはり奇跡は起こらず展望ゼロ。
3090mの高峰にしてはそよ風程度だが風は冷たかったので岩陰に陣取ってしばし休憩。
10分程度では晴れる兆しもなく、ここを下るのは嫌だなぁと思いつつも仕方なく紀美子平へと引き返した。


紀美子平で休憩中の登山者(左奥が上高地)

なんとか紀美子平に戻って再度休憩中、この山域に詳しそうな男性に重太郎新道について尋ねると、
「さっきの前穂からの下りがずっと続くようなもの」との、すっごく嫌な答えが。
だが、紀美子平から下をのぞき込むと斜面は真っ逆さまに下っており、
ちょっとした岩尾根にわずかにルートが見えるものの、あとは「こんなところどこ歩くねん!」状態。
とは言え、まさか吊尾根を引き返して奥穂経由で下りるわけにもいかないし、
奥穂北尾根なんてロッククライミングのルート。岳沢ヒュッテから二時間半で登ってきたという
健脚の単独行の女性が到着したのと同時に下山を開始した。

重太郎新道は下り始めの30分が最も厳しく、雷鳥広場と書かれた岩尾根からは多少楽になる。
雰囲気は赤岳から阿弥陀岳方面へと下る最初の岩場に似た感じ。
(ちなみにザイテングラートは展望荘から赤岳への登り、吊尾根は横岳の5割り増しといった感じかな。)
長いクサリや連続するハシゴを駆使しながらガンガン下っていくと、
岳沢パノラマと書かれた展望岩で当面の目的地である岳沢ヒュッテがかなり大きく見えた。
だが見えてからが長いのは、ザイテングラートのときと同じ。
いくら下っても小屋の大きさは変わらず、樹林帯に入って小屋が見えなくなったあたりで
傾斜はややなだらかになり、黄葉真っ盛りといった雑木林の中、相変わらずの急坂を下り続けると、
岩だらけの岳沢にぶつかり、沢を渡ったところで岳沢ヒュッテに到着した。


重太郎新道、雷鳥広場付近から来た道を振り返る

岳沢ヒュッテで水場を尋ねると「1Lあたり100円の小屋分けになります」とのこと。
ややおまけで多めに入れてくれた水でラーメンを作って昼食を済ませ、
よく整備されて歩きやすい登山道を上高地へ向けて下りはじめた。
しばらくは背後の前穂(ただし山頂はガスの中)やジャンダルムの斜面を眺めながら下っていたが、
完全に樹林帯に入り展望が無くなったところでペースアップ。
同じようなペースの人に後ろに付けられたものだから、さらにペースが上がってしまい、
最後には走るようにして上高地の遊歩道に飛び出した。
結局、コースタイム2時間の下りを1時間ちょっとで下りきったおかげで、
すでに行列が出来はじめていた沢渡行きのバスに大した待ち時間もなく乗ることができた。
(ただ、観光バスによる渋滞でバスはなかなか進まなかったが。(^^;)

初日8時間40分、2日目7時間のコースタイムで最大標高差1690mのハードコースだったが、
穂高岳という日本屈指の山を歩くことができ、槍ヶ岳の時と同じようななんとも言えない充実感。
目当ての涸沢の紅葉も素晴らしく、やはりこの山域は最高です。
でも、岩場はゲップ状態なので来週はもう少し優しい山に行きたいかなぁ。


【コースタイム】
上高地 6:15…横尾山荘 8:20-8:35…本谷橋 9:25-9:40…涸沢ヒュッテ 11:00-12:05…
穂高岳山荘 14:30-(泊)-6:25…奥穂高岳 7:15-7:30…紀美子平 8:50-9:05…
前穂高岳 9:35-9:45…紀美子平 10:05-10:15…岳沢ヒュッテ 12:10-13:00…上高地 14:10

Top Page
-----------
Features
-----------
Back Numbers
-----------
Trekking Reports
DateArea
-----------
BBS
-----------
Profile
-----------
Links
-----------







このホームページはInternet Explore5.Xで最適化しています

ご意見、ご感想をお待ちしております。
dame-chan@mail.goo.ne.jp