Trekking Reports 〜山歩きの記録

2003.7.5(土)〜6(日) 規制解除直後の至仏山は凄いらしい【至仏山 尾瀬】

尾瀬ヶ原から望む至仏山

昨年の尾瀬で同部屋となった男性に「至仏の花は6月が一番凄い。
でもその時は入山禁止だから、7月1日に行くべきだ。」と勧められており、
さすがに平日に行くわけにはいかないので、7月の最初の週末である5日に至仏へ向かうことにした。
そして当初は日帰りで考えていたものの、土日とも天気は良さそうとの予報に欲が出てしまい、
金曜日になって見晴の弥四郎小屋に予約を入れ、至仏+尾瀬ヶ原+アヤメ平の3本立て周回コースを計画した。

金曜日、仕事を早々に切り上げ車に飛び乗って関越道を北進。
沼田ICの直前にある赤城高原SAでひと眠りして、まだ夜が明けぬ3時半に尾瀬戸倉の駐車場に着いた。
まずバス乗り場を確認に行くと、3時50分にバスが出るということだったので、慌てて車に引き返して準備開始。
乗車券売り場で900円を支払い鳩待峠行きのバス(というか8人乗りワンボックス)に乗り込んだ。

かすかに明るくなってきた鳩待峠に到着。バスを降りるとわずかに小雨がぱらついていた。
う〜ん、降る予定じゃなかったんだが..と言っても仕方がない。
すでに営業を始めていた鳩待山荘に飛び込んでザックからカッパを引っ張り出した。
そうこうする内、鳩待山荘内は雨宿りのハイカーでごった返してきたので、
明るくなるまで待つという予定を変更して、至仏山へ向けて出発することにした。


早朝&小雨交じりにもかかわらず鳩待峠は大賑わい

そう言えば昨年も同じバスで鳩待峠に来て同じような時間に至仏山へ向かう樹林帯のうす暗い道を
1人で歩いていたなぁと思い返しながら歩いていく。
その昨年は葉っぱだけだったマイヅルソウは2週間早いおかげかちょうど盛りと花を咲かせている。
だが他に見つかるのはギンリョウソウぐらい。昨年も花が少ない印象だったがこんなものなのだろう。
だが樹林帯を抜け森林限界を超えたあたりから様相は一変する。
まずは雨に濡れたミツバオウレンとイワナシのお出迎えがあったと思いきや、
ササの向こうに見覚えのある大輪の花が。あ〜っ!シラネアオイだぁ〜っ!
雨に打たれてかなりくたびれており、被写体にはイマイチだったが、これは幸先が良い。

その後はイワイチョウにシナノキンバイにハクサンイチゲにチングルマにハクサンコザクラにコイワカガミにと、
高山植物のオンパレード。ちょっと光量が不足気味だが、雨の滴が付いた瑞々しい花々も良いものだ。
そして小至仏山の手前にお目当ての花が登場。ホスバヒナウスユキソウである。
最初は立入禁止のロープからかなり離れたところにあったので近寄るに近寄れず、
あれが最初で最後だったら悲しいなぁと思いながらも泣く泣く諦めて先へと進んでいくと、
だんだんと増えてきて、そのうち雑草状態に。気をつけないと踏んづけしまいそうだ。
それにしても目立つ花ではないからこれだけ普通にあったら、花に興味のない人は完全に無視しちゃうだろう。
実際、周囲のハイカーを見渡しても、この花に張りついて写真を撮っているのは私ぐらいのものだった。
よほど「この花はここと谷川の一部の蛇紋岩帯にしかない貴重な花なんだよ」と教えたい衝動に駆られたが、
余計なことのような気がしたので、ま、聞かれりゃ答えればいいやと思いなおした。
で、結局誰にも聞かれず。う〜ん、ちょっと寂しいかも。(笑)


ハクサンイチゲとオゼソウのお花畑

小至仏から至仏山頂までは細かいアップダウンが連続し、濃いガスの中ではいちいち山頂と間違えその度ガッカリ。
写真を撮っている時に後ろからやってきた男性に「山頂はまだかな?」と聞かれて、
「もうすぐだと思うけど...」と答え、お互いに苦笑いを交わしたりしながら、
滑りやすい蛇紋岩に悪戦苦闘しつつもなんとか登っていくと、
2、30人のハイカーでごった返す山頂にようやく到着した。

山頂は当然のようにガスのため展望ゼロ。だがしばらく吹いていた風が突然ピタッと止んだ。
先日、根石山荘の小屋番さんに「ガスが晴れる時は一瞬風が止むという」という話を聞いていたので、
もしやこれがそうかなと思いしばらく待ってみようかと思って、適当な岩に腰掛けたが、
弥四郎小屋に予約の電話を入れた時、必ず4時までに到着するようにと言われており、
悪名高い至仏〜山の鼻への滑りやすい蛇紋岩の急坂下りに加えてこの日は小雨交じりで、
蛇紋岩は輪をかけて滑りやすくなっており、見晴まで何時間かかるか分からない状態だったので、
ま、今回は花目的であって展望目的じゃないんだからと自分に言い聞かせて山頂を後にした。

山頂から高天ヶ原までは階段や木道が多くて歩きやすい道..のはずが、
まるで氷のように滑りやすい蛇紋岩のせいで悪戦苦闘。ここでこれだと高天ヶ原より先はどうなるんだ?
と不安になるも、山の鼻から登る人にすれ違ったり、同じように下っている何人もの人々に勇気づけられて、
(って、これは危ない判断かも。(^^ゞ)なんとか転倒することなく高天ヶ原に到着。
周囲の花見物ついでに下りとは思えないほど疲れた足にしばしの休息を取らせた。
このあたりで咲いていた花はハクサンコザクラにジョウシュウアズマギクにタカネシオガマに
ハクサンチドリにシュロソウにミヤマダイモンジソウにチングルマ、イワウチワといったあたり。
基本的に小至仏周辺で見た花と変わらないが、
あれだけあったホソバヒナウスユキソウがほとんど見あたらないというのはちょっと意外な感じ。
そう言えば昨年も小至仏周辺と高天ヶ原周辺では微妙に植生が違うなぁという印象を持ったっけ。


天気は徐々に回復し、尾瀬ヶ原と燧ヶ岳が見えてきた

さて気合いを入れて今回の山行中最難関の下りへと突入。
できるだけ岩の上に載らないように、歩幅を狭め後ろ足で蹴らないようにと基本的な歩き方を思い出しながら、
慎重に下っていく。それでも何度かツルッ!っといきそうになってはダブルストックに救われながら、
なんとか下っていくと、急にあたりが明るくなった。で、山頂を見るとやっぱりというか快晴。
やっぱり待っていれば良かったかなぁと思ったが、今はそんなことを気にしている場合ではなく、
無事下山することが最優先事項なので、ひたすらこの難所が早く終わることを願いながら下っていった。

長かった難所も至仏特有の標高が低い森林限界に突入したところで終了。
ただし濡れた木道は相変わらず滑りまくりなので、なかなか緊張を解かせてもらえない。
ここから意外と長い樹林帯の下りを経て、ようやく尾瀬ヶ原の末端に下り立った。
昨年は入院からさほど期間が経っていなかったためにバテバテのヘロヘロだったのだが、
今回はさすがにかなり余裕。とりあえずお腹空いたので至仏山荘の食堂に飛び込んでカレーライスを注文。
食後のデザートに名物の花豆ジェラートも食べて豪遊モードで大満足。
時間的にも見晴に4時到着には余裕がありそうだったので、見本園をちょっと散策。
昨年の時はいろんな花が咲いていてすごく気に入った所だったが、
時期が少し早いのか木道整備の影響かイマイチ。ただオオバタチツボスミレが見られたのは収穫だった。

山の鼻に戻ると、今度は見晴へ向けて尾瀬ヶ原縦断の旅をスタート!
と、その前に晴れてきたので慌てて日焼け止めをぬりぬり。ついでに虫除けも吹きかけて準備万端。
さぁ尾瀬ヶ原縦断だ〜っ!と歩き出した途端、木道脇にノビネチドリを見つけて再度ストップ。
その後もミズトンボを見つけてはストップ。ミツガシワを見つけてはストップとなかなかペースが上がらないが、
これが目的で尾瀬に来たんだからと、時間に余裕があるのをいいことに超スローペースで歩いていった。


ワタスゲ揺れる尾瀬ヶ原を歩く

昨年はニッコウキスゲとキンコウカの黄色が非常に目立つ尾瀬ヶ原だったが、
今回はワタスゲやミツガシワなどの白がとても目立つ。
それに前回は影も形も無かったツルコケモモやヒメシャクナゲもわずかだが残っており、
カキツバタやハクサンチドリ、レンゲツツジ、タテヤマリンドウなどがちょうど盛りとなっており、
昨年よりわずか2週間早いだけなのに全く異なる印象に、尾瀬は季節に応じて刻々と変化しているんだなぁと実感。
それにしても最初は見つけるたびに喜んでいたトキソウが途中から雑草状態となり、嬉しいような悲しいような。

花がいっぱいとは言え、長い長い木道歩きにさすがに飽きてきた頃、ようやく見晴の山小屋群が見えてきた。
まだ2時前でちと早いかなぁと思ったが、さすがに疲労を感じていたので、とりあえずチェックインし、
あてがわれた部屋(ラッキーなことに個室。ただし3畳部屋)に荷物を置いて、
弥四郎小屋名物の喫茶店でティータイム。その後、お風呂の準備ができたとのアナウンスに風呂場へ向かうと、
まるで銭湯のような風呂場に利用者は私を含めて3名。窓から覗く尾瀬ヶ原と至仏山の光景に圧倒されながら、
のんびりとこの日の汗を流した。(石鹸、シャンプーなどは利用不可)


多くの小屋が集まる見晴と燧ヶ岳

夕食後、さっさと寝てしまったので、朝早く起きてしまい朝食までの時間を小屋前のベンチで過ごし、
大慌てで朝食を食べ終えて、すでにまとめていたザックを担いで出発。
見晴の小屋の一番奥にあるテン場から富士見峠へと向かうルートに入る。
この取り付きには道標やテープなどの目印はなく、多少ヤブっぽいため一瞬入るのを躊躇したが、
地形的にもここで間違いないはず。エアリアマップに熊が多いとの記述があるので、ラジオのスイッチを入れて
あまり人が歩いていないと思われる、静かすぎる樹林帯の小径に分け入った。

最初ヤブっぽいかと思った道はすぐに明瞭となり、やはりこの道で間違いなかったとひと安心。
大きな川にはちゃんと橋が架けられ、とりあえず整備されてはいるものの、木道などはほとんどなく、
ときおり湿原のようなドロドロ道への強行突入を強いられる。
尾瀬は過剰整備で公園と大差ない印象だが、やはりちょっとメインルートを外れると、
これこそ本当の尾瀬と言った、人間の都合など全く考慮されない本当の大自然が残っているのだ。
ま、たかだか一般ルートを歩いているだけでそこまで言うのは大げさすぎるというものだが。(笑)

道端の花はタニギキョウにマイヅルソウ、ミゾホオズキといったあたり。
珍しい(と言うほどではないが)ところではショウキランがあったが、撮った写真は手ぶれで大失敗。
そしてしばらく進むとドロドロ道から離れ急斜面をジグザグに登りはじめる。
クマイチゴやヒロハユキザサなどを見ながら登っていくと、わだちのある広い林道にポンと飛び出した。
あれ?ここは車が通れるんだと思いながらその道を南へと少し進むと、富士見山荘の大きな建物が現れた。
予定ではここでお昼にしようかと思っていたが、まだ9時。
ベンチもないようなので、トイレだけお借りして早々に出発。あ、小屋前にはテングクワガタ有り。


ジメジメした樹林帯の中を歩く

富士見山荘からは尾瀬名物の通行量調査用ゲートを通って木道の道を進んでいくと、すぐに小湿原が現れる。
尾瀬ヶ原ではすっかり終わっていたチングルマやヒメシャクナゲが咲いているところを見ると、
どうやら2週間ほど季節の移り変わりは遅いようだ。
ただ、残念ながらここでもミズバショウは大きな葉を広げるのみだった。

時間にかなり余裕があるようなので、アヤメ平のベンチでひとりでのんびりしていると、
竜宮から登ってきたというグループと鳩待峠から登ってきたご夫婦が到着し、いきなり賑やかに。
皆さん花好きのようだったので、花の同定をしたり蘊蓄を語り合ったり(笑)して歓談。
そのうち朝からずっと至仏山や燧ヶ岳にかかっていたガスが取れ、青空が覗くようになってきた。
こうなると雲上の湿原、アヤメ平の本領発揮。広くはないが鉢の底にある原に比べて山上にある分
当然ながら開放感はこっちの方が上。一緒になった6人でワイワイ喋りながら楽しいひとときを過ごした。


アヤメ平の池塘と至仏山

アヤメ平から鳩待峠まではなだらかな下りが続く。
しばらくは小湿原が何度か現れ、正面に至仏山の展望を楽しむことができるが、それもわずかで樹林帯に入る。
道端にはマイヅルソウやゴゼンタチバナといったこの時期お馴染みの花々がびっしり。
そしてときおり現れるギンリョウソウやアカモノがアクセントか。
とは言ってもこの2日間でさんざん見た花ばかりなので、快調によく整備された道を下ってゆくと、
やがて車のエンジン音が聞こえるようになり、鳩待山荘の裏に飛び出した。

ここでバスを待ちながらしばらくのんびりするつもりだったのだが、
バスの時間を聞きにキップ売り場に向かうと、すぐに出発しますよと急き立てられ、
タクシー(値段は一緒で900円/人)に詰め込まれてあっというまに鳩待峠を後にした。
もう少し余韻を楽しみたかったが、タクシーの運転手や同乗した人といろんな話ができたので、まあいいか。

尾瀬も今回で3度目。今回、アヤメ平に行ったことでひととおり行き尽くした感はあるが、
たった2週間の違いであれほど様子が変わってしまうのだから侮れない。
まだまだ尾瀬には通う必要がありそうだ。とりあえず、今度は秋かな。

この日出会った花たち
クリックでこの日出会った花たちの写真がご覧になれます。

【コースタイム】
鳩待峠 4:20…オヤマ沢田代 5:50…至仏山 7:40-7:55…高天ヶ原 8:15-8:25…
山ノ鼻 10:15-(食事&見本園散策)-11:25…竜宮十字路 13:15…見晴 13:45-(泊)-6:25…
富士見峠 8:55…アヤメ平 9:30-9:55…鳩待峠 11:20

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