Trekking Reports 〜山歩きの記録

2003.5.1(木)〜2(金) 四国剣大縦走【三嶺、剣山 四国】

西熊山の先から三嶺を望む(クリックで拡大:87k)

早朝3時前に実家を出たにもかかわらず、剣山の麓にある見の越に着いたのは7時。
さっそく支度を済ませ、折りたたみ自転車を取り出して、
大歩危へと続く国道439号線という名の林道を自転車で下り始めた。
自転車は街乗り用のちゃちなもので小さなタイヤは路面の凹凸を拾ってしまい、
重いザックを背負っていることもあり、非常に不安定。
ブッ壊れるんじゃないかという不安を感じながらもブレーキを延々とかけ続けた。
途中、名頃付近で、ここから三嶺に登ろうかと妥協しそうになったり、
なかなか目的の久保に着かず、もしかして通り過ぎてたら、引き返すのは無理だぞと、
不安になりながら下ること1時間半、ようやく久保バス停に到着。
祖谷川を渡ったところに自転車を停め、まずは林道を登り始めた。

スミレは既にでっかい葉っぱになっているが、クサイチゴやコンロンソウが咲き、
ユキモチソウの奇妙な形に見入ったりしながら登っていくと、林道の分岐に到着。
設置された道標には天狗塚は右側を指しているが、
エアリアマップには林道分岐を左折するように記述がある。
ただ、これまでにもエアリアマップには無い分岐があったので、
この分岐は地図にはない分岐なのだろうと考え、右側を進むことにした。

林道はなだらかながらもどんどん登って行き、
西山の集落に入った段階で先ほどの分岐の選択が間違いだったことに気づいたが、
引き返すには登りすぎていたし、このまま進んでも登山口に行けるので、
道端の花やのどかな山村風景を眺めながらのんびりと歩くことにした。


天狗塚登山口のイザリ峠

結局、正しいルートより10分ほど余分に時間がかかって天狗塚登山口である、
イザリ峠に到着。数台分の駐車スペースがあり、この時は1台停まっていた。
そこから階段を登って尾根に取り付く。と、あれ?足が上がらん...
それもそのはず、避難小屋2泊分の食料と着替えの入ったザックは15kg超。
これまでの林道のダラダラ登りでは感じなかったのだが、
ちょっと急になっただけでズッシリと堪えるようになった。

長丁場を考えて、なるだけペースをゆっくり登っていくが、
なんのイベントもない単調な登りは精神的にも辛く、
この日は三嶺避難小屋ではなく、手前のお亀池避難小屋泊にしようかと妥協案が頭をかすめる。
ここまで他の人にはまったく出会っていなかったが、
上の方からヘルメットをかぶった男性が駆けるように下りてきた。
伐採中の現場が現れたところを見ると、どうやら林業関係者のようだ。
そして雑木が途切れがちになり、反対にササが増えてくると天狗峠まではあと少し。
と、前方から単独の女性が現れた。聞くと日帰りで青少年旅行村から三嶺に登り、
天狗塚をも往復して下山してきたとのこと。
その人に、バテたから三嶺まで行かずにお亀池で泊まろうと思っているなんて話すと、
大丈夫!まだ昼過ぎだし稜線は歩きやすいから三嶺まで行ける!とハッパをかけられた。


古ぼけた道標と雑木林の尾根道

久保から4時間ちょっとかかって、ようやく天狗峠に到着。
この時点で1時近くになっており、これから三嶺まで行くとコースタイム通りでも4時過ぎになりそう。
その上荷物や体力を考えると、下手すりゃ5時過ぎるかも。
となると、天狗塚を往復している時間はないので、泣く泣く?天狗塚は断念した。

天狗峠で昼食を済ませて縦走を開始。
天気は雲ひとつ無い快晴だが、遙か彼方の剣山まで見えるのは良いような悪いような。
でも三嶺の鋭鋒とそれに続く笹原の尾根は陽光に光り輝き、疲れも吹き飛ぶようだ。
所々で露岩が顔を出す開放的な笹の草原をなだらかに下っていくと、あっさりとお亀岩避難小屋に到着。
この避難小屋はコースからちょっと南に外れているので、近くまで行かずに通過。
ただ赤い屋根の真新しい避難小屋は水場が近いこともあって快適そうだ。


お亀池避難小屋

西熊山へと登り返しにかかったとき、単独の外人男性が駆けるように下ってきた。
これでこの日であったハイカーは2人目。人気の山域でも平日ならこんなものか。
西熊山に登ると若い男女の2人組が休憩中。私も横に腰掛けてしばらく談笑。
三嶺を見ながら遠いねぇと話すと、でもそれほど急登もないし楽ですよとの返答。
う〜ん、そんなものかなぁと半信半疑ながらも、ちょっと勇気づけられた。

西熊山を過ぎても笹の稜線は三嶺まで延々と続き、
エアリアマップの「四国一の縦走路」との表現に納得の素晴らしさだ。
ただ実際に歩くと多少ヤブっぽく、ササはかき分けられるので問題ないが、
コメツツジは足が引っかかり邪魔になる。え〜いっ!天然記念物でも容赦せーへんぞ!(をい)

手前の鞍部から三嶺を見上げるとさすがにでっかい。
ちょっと長めの休憩を取って気合いを入れてから本日最後の登りへと向かった。
傾斜は急って程でもなく疲労と荷物の重さがなければなんてことのない程度。
なるだけ上は見ないように、時々振り返って素晴らしい展望に気を紛らせながら、
黙々と登っていくとなんとか肩に到着。このあたりで4人組の外国人とすれ違う。
それにしても外国人登山者の多い日だ。海外向けにガイドブックでも出ているのだろうか。


三嶺山頂からこの日歩いてきた稜線を振り返る

最後にちょっと下って登り返すと三嶺山頂にようやく到着。先客は単独の男性のみ。
この時間にここにいるってことはこの人も避難小屋利用だろう。
とりあえず、たったひとりでの避難小屋泊とならずにすんで、ちょっと安心。
日が落ちるまでここで過ごすという男性を残して、避難小屋へと向かった。

避難小屋に近づくと、中から賑やかな話し声が聞こえてきた。
あっちゃあ、混んでるのかと思いながらドアを開けると、20人近い中高年登山者で賑わっていた。
ただ、小屋自身50人以上泊まれるほど大きなものなので、混雑と言うほどではなく、
ひと声かけて、入口近くの隅に陣取って荷を置いた。

さぁ本日の山行は終了!というわけには実はいかない。
荷物の軽量化のため、水をあまり担いでこなかったので、
日が暮れるまでに水場まで汲みに行かなきゃいけないのだ。
この小屋は広くて新しくトイレまである素晴らしい小屋だが、水場が遠いのが難点。
エアリアマップには150mほど下るとあるが、名頃への下山路をどんどん下り、
もしこっちじゃなかったら悲惨だなぁと不安になってきた頃、
水場を示す古ぼけた道標が現れてひと安心。
ただここから崖有り茨有りの難路を経てようやく水場にたどり着いた。
ま、水場と言ってもただの小さな沢で水量も少ない。
前日雨が降ったばかりでこれだと、渇水期には甚だ心許ない水場である。
ヘロヘロになりながら4Lを持って引き返し、疲れからか夕食後早々に寝てしまった。


三嶺避難小屋

4時前、まだ暗い中で周囲の喧噪で目が覚めたので私も起きることにした。
前日遅くまで宴会していたグループはまだまだ夢の中。
なのに遠慮無く話し声やコンビニ袋などのガサガサ音をさせる無神経さはどうかと思ったが、
宴会していた方も前日は寝ている人間を無視して騒いでいたから、
お互い様かなと。ま、初対面なのに遠慮無く振る舞えるのが山小屋の良さということにしておこう。

菓子パンとコーヒーの朝食を済ませ、ザックに荷物を詰め、5時過ぎに小屋を出発。
山頂へ向けて少し登ったところで振り返ると、ちょうど朝日が昇り始めた。
ややガスが出ており、太陽は現れたり隠れたりだが、雲海から昇る太陽も幻想的で素晴らしい。
私より先に出発したパーティーも何組かあったが、山頂には誰もおらず、
風が強くて寒かったので、さっそく剣へ向けての縦走を開始した。


ガスの中のご来光

三嶺からの下りはクサリ場もあるガレた急坂から始まる。とは言え、
クサリは補助的なもので、クサリがなければ降りられないという程ではない。
標高差200m程を一気に下って振り返ると、山頂はガスに包まれてしまった。
この分だと次郎笈や剣山もガスの中だろう。う〜ん、昨年のリベンジ危うし!

三嶺韮生越と書かれた1720ピークを過ぎ一旦下ると、この日最初の難関、白髪分岐への登りとなる。
地図ではそれほどでも無いように思っていたが、
笹原の急坂をまっすぐに登っていき上部はガスに隠されている様子は、
天に昇っていく道のようで実際の斜度よりも急に思えてくる。
起き抜け+前日の疲労が抜けていない状態で足が上がらず、重い荷物が恨めしくなるが、
まさか水を捨てるわけにもいかないので大人しく登る。と、前方から単独の男性が下りてきた。
この先の白髪避難小屋に泊まっていた人で、前日の利用者は6人とのこと。
ほとんど利用者はいないだろうと思っていたので、平日とは言えさすがGWと言ったところか。


しばらくはガスの中の稜線歩きが続く

足下のネコノメソウに元気づけられながらもうひと頑張りで白髪分岐に到着。
そしてわずかに下ると、白髪避難小屋前に到着した。
小屋のドアを開けると、今まさに出発しようとしている男女の2人組とまだ就寝中の単独の外国人男性。
三嶺へ向かうという2人を見送って、寝ている人を起こさないように、静かに水の詰め替えを行い、
これからのヤブに備えてストックを格納し、手袋を付けてから出発した。
それにしてもこの段階でもう7時前なのに、いったいいつまで寝るつもりなんだろう。(笑)

白髪避難小屋を出発すると、道は途端にヤブっぽくなる。
踏み跡はしっかりしているので、そこを外さなければ問題ないが、
脇からのササで隠されているので、ちょっと気を抜くと本当の笹藪に突入となる。
ただ、ここから丸石まではヤブっぽいということは事前調査で知っていたので、
深くても腰程度のヤブは、どちらかと言えば、こんなものかといった印象。
ま、その情報は夏の話なので、この時期ならこんなものなのかもしれない。

元々は丸石避難小屋でもう一泊するつもりだったが、これなら今日中に下山できるかもしれないと判断。
ただ丸石避難小屋付近には水場が無く、水場をあてにした装備では、
元々泊まりは困難なことを後で気づいたのだが。(^^;


縦走路の核心部(1732mピーク付近)

笹藪は足下が見えない分、多少緊張を強いられるが、
登りではササを掴んでガシガシ登れるので、あながち悪いばかりでもない。
そして1732mピークに到着。広大なササの台地は朝日に照らされてまぶしく輝く。
これこれ、これが見たかったんだよと、ザックを置いて、
しばらく心地よい風の吹く草原の中でのひとときを過ごした。

1732mピークの先は次のピークの南斜面を巻くように石立山分岐へと続く。
見晴らしは最高だが、南側がかなりの急坂で落ちている上、
縦走路中最もヤブの濃い区間なので、多少の緊張を強いられる。
特に先行者がヤブをかき分けずに踏んでいるところは、
同じようにササを踏むと非常に滑りやすく、一度思いっきり転倒してしまった。

石立山分岐手前で踏み跡を外し、強烈なヤブ漕ぎに多少苦労したが、その後は順調に進み、
だんだん遠くなる三嶺を時折振り返りながら、石立山分岐を過ぎて高ノ瀬直下に到着した。
エアリアマップにある高ノ瀬の巻き道には水場ありとの記述があり、
ここにも道標が立っているが、道標の示す先は完全に笹藪に埋もれてしまっている。
事前情報から元々あてにはしていなかったし、白髪分岐手前で出会った男性に、
巻き道に入ったがヤブに阻まれ撤退する羽目になったとの情報を得ていたので、
ここは大人しく高ノ瀬へと登ることとする。


三嶺はもう遙か彼方

高ノ瀬山頂は樹林に囲まれ展望は無し。椅子になりそうな石も無いのでここは通過。
下りにかかると、ヤブは無くなった代わりに大きな岩が現れた。
と、向かいから夫婦と思われる2人組が現れ、
ヤブはひどいですか?いや大したこと無いですよなどと情報交換して別れた。

高ノ瀬を下ると、再度水場を示す真新しい道標が立っており、その先はヤブ。
でも、事前にこの巻き道の利用が困難なことを知っていなければ行っちゃうよなぁ。
高ノ瀬を過ぎるとヤブは多少マシになる。
途中、完全に廃屋とかした高ノ瀬避難小屋の脇を抜け、
なだらかなアップダウンをどんどん歩いていくと、丸石パークランドへのコースの分岐が現れ、
そこから少しで丸石避難小屋に到着した。
作りは白髪避難小屋と同じで赤い屋根が印象的な真新しい小屋。
もう10時なので中には当然誰もいなかったが、
高ノ瀬先で出会ったご夫婦の話では何人か利用していたようだ。
ちょっと空腹を感じていたので、ここでパンをかじって小休止とした。

丸石避難小屋付近は踏み跡が交錯していたため、間違ったコースに迷い込んでしまい、
無駄なヤブ漕ぎを強いられたが、なんとかメインコースに復帰。
ちゃんと地図を確認しておらず、丸石まで近いのかと思っていたので、
なかなか着かないなぁと不思議に思いながらなだらかなアップダウンを超えていくと、
しばらく雑木林が続いていたコースが、いきなり視界がひらけた。
すると、目の前には次郎笈がドーンと現れ、肩には剣山も覗いていた。
そして左手には次郎笈からの稜線続きに丸石と思われるピーク。
その丸石〜次郎笈間の稜線は美しいササの草原で私の大好きな大菩薩の稜線を思わせる。


丸石から次郎笈と剣山を望む

丸石を下り、剣山スーパー林道から登ってくるルートとの分岐を過ぎると、次郎笈への登りが始まる。
それほど急ではないのだが、これまでの疲労がたたってなかなかペースが上がらない。
途中、三嶺に同宿して私より先に出発した、休憩中の男性の2人組に追いつき、
さらに登って、トラバース道との分岐でザックを降ろして小休止した。
この分岐からは空身で次郎笈を往復する。パスしようかという弱気の虫も騒ぎ出すが、
昨年のリベンジを果たすなら、ここを登らなきゃまったく意味がない。
空身の割にはしんどいなぁと思いながら三嶺に向けて急坂を登っていった。

三嶺山頂には数人の先客。しばらくへたり込んでボーっと剣山を眺めていると、
先ほどの2人組の男性も到着したので、しばらく歓談。
「次郎笈でこんなに晴れたのは初めてだ」「私は2回目だから運がいいんですね」
なんて話ながら、剣山へと続く美しい稜線と、
反対側に遙か彼方に見える三嶺まで続く稜線を感慨深く眺めた。


次郎笈から剣山を望む

一旦分岐まで引き返してザックを回収してから、今度はトラバース道を進む。
途中に徳島の水50選に選ばれている次郎笈水があり、
ちょうど水を切らしていた(というか、ここで水を補給できることを計算していた)
ので、補給がてら小休止。岩に突き刺されたパイプから蕩々と湧き出しており、
ひとくち飲んでみると冷たくて無茶苦茶美味い!
コーヒーでも沸かそうかと思っていたが、これはコーヒーにしちゃうのは勿体ない。
ということで、持参のドーナツをかじりながら水でティータイムとした。

次郎笈峠からの剣山へと続く稜線は昨年に続いて2度目だが、
前回の雨と強風での辛いだけの稜線とは一転、
天気が違うとこれほど違うのかと思えるほどの極楽雲上散歩道。
ただ剣山への登りはよく見えているだけに精神的にはちょっと辛いかも。
ときおり振り返っては次郎笈の美しい山容を楽しみながらゆっくりと登っていき、
ついに縦走の終着点、剣山の山頂に到着した。
それにしてもここから見る三嶺の遠いこと遠いこと。
わずか8時間前にあそこにいたことが信じられないほどだ。
三角点のあるピークから木道を山小屋方面へと歩き、途中にあるテラスで小休止。
下山してから昼食にしようかと思っていたが、
もうしばらくのんびりしたい気になったので、ラーメンを作ってランチタイムとした。


剣山から次郎笈と彼方に三嶺

下山コースは山小屋の裏、剣神社本宮の前から始まる。
リフト利用の観光客に交じって下り始めると、大剣神社へと続くコースがあったので、
そっちへと寄り道。でっかい岩の下にある神社を通ると、道端には花が。
この縦走中見かけた花はショウジョウバカマばかりで、
花の収穫は皆無に等しかったので、これは嬉しい。
しばらく撮影モードで、ヤマエンゴサクやネコノメソウ、ミヤマカタバミなどを写しながら、
見ノ越まで下っていった。

帰りは久保に置いてきた自転車を回収後、徳島方面へと抜け、
大歩危小歩危を横目で眺めながら北上、瀬戸大橋を利用して岡山に入り、
5時間以上かかってようやく実家に帰り着いた。

結果的に約30km、最低点と最高点との単純な標高差1350mのロングコースを二日間で歩ききる
という強行軍になりましたが、2日とも天気に恵まれ、最高の縦走コースを堪能することができました。
さすがにしんどかったので、もう一回行くかと言われると二の足を踏みそうですが、
ある程度の経験者なら万人にお勧めできる素晴らしいコースでした。
四国にお越しの際はぜひ候補のひとつにお薦めします。

この日出会った花たち
クリックでこの日出会った花たちの写真がご覧になれます。

【コースタイム】
久保バス停 8:40…イザリ峠 10:50…天狗峠 12:55-13:25…西熊山 14:20-14:25…
三嶺 15:50…三嶺避難小屋 16:10-(泊)-5:10…白髪分岐 6:50…石立山分岐 8:45…
高ノ瀬 9:15…丸石避難小屋 9:55-10:15…丸石 10:50…三嶺トラバース分岐 12:00…
三嶺 12:15-12:25…次郎笈水 12:35-12:50…剣山 13:35-14:25…見ノ越 15:45

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