Trekking Reports 〜山歩きの記録

2003.3.21(金) ちょっと手強い春の低山歩き【沼津アルプス 伊豆】

小鷲頭山から沼津市街と駿河湾の展望

1年越しの懸案となっていた沼津アルプスに、つむぎさん、OL登山委員会のMさんと向かった。
天気は快晴を期待していったのだが、沼津に着いた時点で富士山方面にはガスがかかり、
事前情報で猪出没(数日前には怪我人がでるほどの大騒ぎになったらしい)のため、
香貫山は立入禁止というなんだかなぁな状況。
それでもバスに乗って多比へ移動し、沼津アルプスの南端から北へ向けてスタートした。

多比に到着し、民家の立ち並ぶ細いコンクリート道を登り始めると、
地元のおばちゃんが「猪が出たらしいから危ないよ」と忠告。
おばちゃんたちには大丈夫ですよと笑いかけたものの、
香貫山だけじゃなかったんだと一同内心ちょっと不安に...
それでも道端に咲く花々に慰められて、先へと進む。
咲いている花はクサイチゴにヒメオドリコソウにキブシ。
それに今年初めてのスミレも驚くほど群生し、他にもカキドオシやキランソウなど、
すっかり春真っ盛りといった様相。先週丹沢の檜洞丸で雪と格闘したというのに、
あまりの違いのちょっと唖然。標高が低いとはいえ、やはり伊豆は春が早い。


春真っ盛りのコンクリート道を登る

のっけからの思わぬお花見モードで初見のMさんを呆れさせながらも、
少しずつ登っていくと、やがて多比口峠に到着。五山七峠と言われる沼津アルプスの最初の峠だ。
ここからまずは反対方向にある大平山へとピストンする。
稜線では峠までのポカポカした春の里山の雰囲気とは一変して、
風も冷たく、まだ冬枯れの雰囲気で、花もまったく見あたらない。
急坂を10分ほど登ると雑木林の中の小広い広場である大平山山頂に到着した。
「おおべらやまへよくきたぢやぁー、きをつけて きやりにやんよ...」
ノートが入っているポストに書かれたこの地元の言葉が印象的だ。

引き返して多比口峠を通過、本格的に縦走を開始する。
しばらく雑木の中の快適な道を進んでいくと、次第に道は険しさを増してゆく。
ウバメガシの赤茶けてクネクネした木が群生する中を、
ときおり現れるクサリ場(というかロープ場・大したものではないが)を
アップダウンしながら進んでいくと、このコース中の最高峰である鷲頭山が正面に見えてくる。
たかだか400m足らずの低山なのにその急峻さもあって、
この周辺の盟主としての威厳を感じさせる山だ。
鷲頭山直下に二つ目の峠である多比峠がある。
雑木の中のうす暗い峠は北側から登ってくるコースはあるものの、
稜線を乗り越して南側へと下るコースがない奇妙な峠だ。


ウバメガシが群生する岩尾根

多比峠からはロープの付けられた急な坂をどんどん登っていく。
道は湿り気をおびて滑りやすく「登りで良かった」とMさん。
でも向こう側には下らなきゃいけないんですよ。
やはり侮れない山域だと思いながら急な坂道を息を切らせながら登っていくと、
石の祠が設置され桜の木が印象的な鷲頭山山頂に到着した。
客は数人。駿河湾と沼津市街の展望は素晴らしいが、
肝心の富士山はちょびっとだけ雲の上から覗いている山頂で満足するしかなかった。
三人で丸太のベンチに腰掛けて昼食の準備をしていると、
10数人の団体がやってきてワインや焼き鳥を取り出して宴会を始めた。
ときおり香ってくる焼き鳥の香りを仕切りに気にするつむぎさんの反応が可笑しい。
山頂での宴会も低山なればこそ。
我々は下山後にお寿司という楽しみがあるんだからこの場は我慢我慢。
食後、まだ宴会たけなわでとても賑やかな山頂を後にし、縦走を再開した。

鷲頭山からの下りは、このコース最大の難所である。
バスの中からすごい急な斜面があるなぁと思って眺めたのが、どうやらここのようだ。
太いロープが設置されてはいるものの、足下はぬかるんで非常に滑りやすい。
後からはあいかわらずのつむぎさんの悲鳴が聞こえ..と、Mさんも転んだみたい。
そして私も大損害。足が滑って反射的にストックで体を支えて事なきを得たと思ったら、
あーっ!!ストックが曲がってるぅ。最近買ったばかりなのになぁ。(;_;)
ということでここからはシングルストックとなってしまった。


難所を下る

難所をなんとか下りきると志下峠に到着。
ここから中将宮へと寄り道ができるようだが全員興味なさそうなのでパス。
クサボケとナツトウダイが多く、低木ばかりで見晴らしの良い快適な尾根道となる。
すると後ろから犬の鳴き声が聞こえ、前からハイカーらしくない身なりの男性が、
斜面を駆け下りてきて我々の横を走り抜けていった。
何事かと振り返って見ていると、さきほどの男性が犬を連れて現れた。
どうやら猪騒動でその猪を捕らえようとしているグループのひとりのようだ。
このあとも犬の鳴き声や、その犬を追いかけていく男性を何度となく見かけた。
どうやら犬を使って猪を追い込もうとしたが、
うまくいかず犬を回収しているところだったのだろう。

さらに先へと歩いていると、こんどはかなり高齢の男性1人と中年男性2人という
奇妙な取り合わせ(って人のことは言えないか)の3人組に出会った。
こんにちはと挨拶すると、聞いてもいないのに(をい)、1人が高齢の男性を指して、
沼津アルプスの命名者ですよと紹介してくれた。今では管理は市に移っているが、
最初にハイキングコースを整備して、ロープや道標を設置されたのだそうだ。
しばらく話し、今日は香貫山には入れないから横山峠で下山するように薦められたが、
もう1人の男性が「横山まで行って八重坂峠から下ればいい」と薦め、
「せっかくだから横山のクサリ場を楽んでってよ」と思惑ありげな表情をした。
もともと八重坂峠まで行くつもりだったのだが、なんかありそうだなぁ。


志下山から鷲頭山を振り返る

さらに先へ進むと志下山に到着。ここは五山七峠のひとつに数えられていないが、
草原状の広場で展望も素晴らしく、背後にそびえる鷲頭山の雄姿もあって、
沼津アルプス中、一番気持ちがいい山頂だ。
志下山を過ぎると何度となくアップダウンを繰り返す。
ピークに立つたびにここが徳倉山かと思っては騙され、
いつのまにか徳倉山を過ぎちゃったんじゃないかという不安まで出てきはじめた頃、
香貫台へと下るルートとの分岐である象の首と書かれた道標が現れ、
ようやくまだ徳倉山まで来ていないことが判明。
その象の首から急坂を登り切ると、ここも草原の広場の徳倉山山頂に到着した。
ここからは今日は入れない香貫山が眼下に広がり、
振り返るとこれまで歩いてきた大平山から続く稜線を眺めることができる。
ここでMさんからブンタンの差し入れを頂いて、しばらく休憩となった。

徳倉山からの下りは段差が高くクサリの手すりがついた急階段となる。
ここも滑りやすいのでクサリから手を離すことができない。
いったいどこまで下るんだろうと思っていると、 右手すぐ近くに学校(沼津商業高校)が見えたところで、ようやく下りもひと段落。
その後、小ピークを登り返して、ロープを頼りに4m程の斜面を下ると横山峠に到着した。
大きく掘れた峠道は昔から多くの人の往来があった生活道路だったことが窺える。


バスも通る八重坂峠にようやく到着

横山峠から横山へは急とはいえこれまでのことを考えるとなんてことのない登り坂。
途中で出会った男性の表情からかなり厳しいんじゃないかと想像していただけに、
なんとも拍子抜けしながら登り切り、雑木に囲まれて展望のない横山山頂を通過すると、
やっぱりというかクサリ場の急坂が現れた。あいかわらず足下は非常に滑りやすいが、
これを下りきったら終わりなので、ここで転んではなるものかと、
ロープを頼りに慎重に下っていくと、交通量の多い車道脇に飛び出した。
ここが八重坂峠。道の脇を西へと歩き出すと、脇を車が猛スピードで抜けていくので、
住宅街の中を通る脇道にそれて、道端の草花を楽しみながら下っていくと児童公園につきあたった。
で、ここでトイレを借りたりしていると、目の前をバスが...
ま、歩けばいいやと、お寿司屋のある沼津港を目指して車道を歩いていると、
横を通ったタクシーにすかさず反応。歩いたらけっこう大変だったね〜なんて話ながら、
運転手お薦めのお寿司屋さんまで連れて行ってもらった。

石原さんのレポートから侮りがたい低山だとは知っていましたが、なかなか骨のある良いコース。
花も多いし今回はほとんど見えなかったけど富士山の展望もバッチリ。
もちろんお寿司も美味いので、とてもお薦めです。

歩いているときも話してましたが、本当にこんな山が近所にあったらなぁ。

この日出会った花たち
クリックでこの日出会った花たちの写真がご覧になれます。

【コースタイム】
多比 9:20…多比口峠 10:10…大平山 10:20-10:25…多比峠 10:55…鷲頭山 10:55-11:55…
志下峠 12:20…志下山 12:50…徳倉山 13:35-13:55…横山 14:35…八重坂峠 14:55


コースマップ(クリックで拡大:227k)

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