Trekking Reports 〜山歩きの記録

2002.9.14(土)〜15(日) 荒天の八ヶ岳で日帰り派返上?【赤岳 八ヶ岳】

真っ白な山頂で記念撮影

当初はこの夏日帰りでの登山を予定していた赤岳だが、腰痛による入院で敢えなく中止となっていた。
しかし、ここにきて腰の調子も良く、翌週の鳳凰オフにも参加できそうな雰囲気になってきたため、
それならばその予行演習として泊まりでの登山をやっておきたいなぁと思い、
それならばと、2泊3日での赤岳登山が復活した。

当日、登山口の美濃戸に向けて中央道を車で走っていると、どんよりと曇っていた空は
甲府辺りに来てついに我慢しきれずといった様子で、雨が降り始めた。
日曜日は天気が回復するという予報を信じて出てきたのだが、
カーラジオから流れる最新の予報では3連休とも良くない様子で、悪化の一途をたどっていた。

美濃戸の赤岳山荘の駐車場に車を停め、係員に2日分の駐車料金2000円を支払う。
このときはガスっていたものの雨は止んでおり、カッパの下だけをはいて出発。
登山口である美濃戸山荘へは目と鼻の距離なのだが、
林道脇に咲いていたトリカブトにカメラを向けたりして、なかなか先へ進めない。
そうこうしているうちに今度は小雨が降りだし、カッパを取り出したりして、さらに時間が取られる。
こりゃ先が思いやられるなぁと思いながら、ようやく美濃戸山荘前に到着。
こんな天気だというのにかなりの人でごった返していた。


悪天にも関わらず美濃戸山荘前は大賑わい

美濃戸山荘からはゲートが閉鎖していて、一般車は入れないものの車道が北沢の堰堤広場まで続く。
だが登りで遠回りをしたくなかったので南沢の入り口へと向かう。
うっそうと茂る林の中へと入っていく道は、天気のせいもあって非常に薄暗く、
広い北沢へ向かう林道と比較して、廃道なんじゃないかと思えるほどだ。
とはいえ道標は間違いなくここが南沢コースだと指し示していたので、
仕方なくこの薄暗い林の中へと入っていった。

足下は石がごろつくものの歩きにくいというほどではない。小雨は相変わらずだが、
それよりも時折吹く強風によって樹雨がドバーッと落ちてくるのには閉口した。
急登と呼べるような登りは一切無く、だらだらとした変化のない登りが延々と続き、
いいかげん歩くのに飽きてきた頃、いきなり林を抜け出した。
お?もう森林限界か?と思ったがそうではなく、土石に埋められた沢の上に出たのだ。
日差しのあるルートに出たおかげで、ようやく道端にはアザミやキオン、
ヤマハハコなどの花が現れ始めた。
ただ、相変わらずの小雨で光量不足。明日、天気が回復すれば撮影することにして、
今回はあまり立ち止まらずに先へと進んだ。


南沢は樹林帯の中のダラダラ登りが続く

長かっただらだら登りもようやく終わり、行者小屋へと到着。
ここも美濃戸山荘前と同様、なかなかの人出で休憩するベンチを探すのにも一苦労。
出発支度を始めている夫婦を目ざとく見つけ、彼らが出発する前にその場所を確保した。
この段階で雨は霧雨程度。ほとんど気になる程ではないが、ガスは相変わらずで、
ここから見えるはずの横岳〜赤岳の稜線などは全く見ることができず、
すぐそばにあるはずのテントサイトにならぶカラフルなテントがなんとか確認できる程度。
時間もちょうどお昼だったので、ここでコンビニ弁当の昼食をすませ、飲料水を補給後、
この日一番の難所である、地蔵尾根へと向けて出発した。

地蔵尾根は樹林帯の急坂から始まる。
これまでのだらだら登りに慣れた体にはかなり堪えるが、まだ始まったばかりなので、
意識的にゆっくりと登っていく。
やがてクサリが設置された岩場に到着。クサリ場としてはそれほど難易度が高い方ではないが、
雨に濡れた岩場は、滑るかどうかは別にして精神的にかなり堪える。
ただガスのせいで高度感は全く無く、それを加味すると難易度的には差し引きゼロか。
ま、ゴウゴウと吹く風が真っ白な闇から吹き付ける様は、それなりの恐怖を伴うが。


急峻な地蔵尾根

やや長めのクサリ場を越え、濡れて滑る鉄製の階段(というか梯子?)をなんとかクリアすると、
あっけなく稜線に立つ道標が視界に飛び込んできた。
緊張のせいで時間の経過を意識する余裕が無く、気持ち的には本当にあっけなくといった印象だ。
この分岐で独りたたずむこの尾根の名前の由来となったお地蔵さんに、
心の中でここまで安全に来ることができたことへのお礼を言って、
強風が吹き付ける稜線を赤岳展望荘へ向けて歩き始めた。

赤岳展望荘に到着すると、中はかなりの人で賑わっていた。
とりあえずサービスのお茶で一息つき、宿泊の手続きをしてから大部屋へと向かう。
ここの大部屋は二段になっており、宿泊手続き時に場所が指定されるのだが、
壁にはかなりの狭さで番号が振られており、こりゃ寝られるかなぁと心配になってきた。
バイキング形式のかなり充実した食事をすませ、早々に布団に潜り込んだが、
同じ布団を使うはずの、隣とその隣の場所は空いたまま。
もしかしたら一枚の布団を占有できるかと淡い期待を抱いたまま消灯時間を迎え、
やったーと喜んだのもつかの間、若い男性が失礼しますといって入ってきた。残念。

朝起きるとすでに起きて外を見てきた人が、「あかんガスってる」「牛乳の中のようだ」
「昨日より酷い。全く見えん」と話していた。
昨晩は雨粒が窓を叩く音がものすごかったので、ほとんど諦めてはいたものの、
この情報にはやはりガッカリ。山頂は諦めて下山するという人が多い中、
どうしようかと対策を練るものの、天気相手ではいかんともしがたく、
ギリギリまで小屋で粘ってみることにして、とりあえず朝食を食べるために食堂へと向かった。


赤岳展望荘の食堂

食後のんびりしていると、テレビで天気予報が始まったので周囲の人たちはみんな大注目。
結果はみんなの期待をものの見事に裏切り、前日の曇り予報から曇り時々雨に悪化していた。
これじゃあ、いくら待っても良くなりそうもない。
仕方がないのでとりあえず山頂に立って、とっとと下山することにした。

まだ生乾きのカッパを着込んで小屋を出ると、ガスってはいるものの雨は降っておらず、
風も3000m近い稜線にいることを考えればそよ風程度のもの。
台風のような状態の中で歩くことを覚悟していた私としては、こりゃラッキーと思えるほど。
下山してきたハイカーに山頂の様子を聞くと、ここと変わらないとのことだったので、
こりゃラッキーと思いながら山頂へと向かった。
教えてくれたハイカーは残念ながらという意味で言ったようだったのだが。

展望荘から山頂までは岩屑の多い岩場の急登。
一部ではクサリも設置されているものの使わなくても登れる程度だが、
石を蹴落とさないように歩くことに神経を使う。
一ヶ所、ルートを間違って引き返す羽目になりながらも、30分かからずに頂上小屋前に到着。
そこからさらに岩場を歩いて、赤岳南峰すなわち山頂に到着した。


濃いガスの中、山頂へ向かう

山頂はさすがに人が多いものの、狭い山頂の割には立錐の余地もないという程ではない。
やはりこの天候で山頂に向かわずに引き返した人も多いのだろう。
祠の隣に腰掛けるのにちょうどいい岩を見つけ、そこに陣取ってやや明るくなってきた空を見上げた。
しばらく待ってみようか、それともとっとと下山しようかと考えあぐねて、
手持ちぶさたの癖でなんとなく携帯電話を取り出すと、展望荘では全く通じなかった
携帯のアンテナが三本も立っていた。展望荘で平気で電話できているドコモの携帯を見ながら、
やはり山でJ-Phoneは使い物にならないかと、ガッカリしていただけにこれは朗報。
携帯伝言板に無事山頂に立ったことを報告したり、現在の天気予報を確認したりしていると、
今度はドコモの携帯を持ったおばちゃんに、通じますか?と尋ねられた。
あながちJ-Phoneは使い物にならないとは言い切れないようだ。

30分ほど粘るも状況は変わりそうもなく、後ろ髪を引かれる気持ちを振り払いながら、
下山の準備を開始。
と、その前に登頂記念写真のシャッター押しを非常に愛想の良い単独の男性にお願いした。
ガスと慣れていないと使いにくいカメラのせいで、
三度シャッターを押していただいたが、快く引き受けていただいた。感謝。


下山中、振り返っても赤岳は見えず

赤岳山頂からはまず中岳方面への稜線を下る。
クサリ場の連続する岩場だが、ガスのおかげで高度感が無くそれほどの恐怖感を感じない。
ただ行者小屋泊まりの人が登ってくる時間にぶつかってしまったようで、
登ってくる人を待ってかなりの時間を浪費する羽目になった。
やがて文三郎尾根へと向かう分岐に到着。どっちに行こうか迷っている夫婦に話しかけられ、
文三郎尾根は鉄梯子が連続するのですれ違いが大変だろうと、知ったかぶりのアドバイスをした。
分岐から足下に無数にあるまだまだ堅いつぼみを付けたリンドウを見ながらジグザグに下っていくと、
小さなケルンがある広い鞍部に到着。
そこをすぎて、中岳への登りにかかろうとしたとき、視界の端にピンク色の何かが映った。
なにげなく振り向くと...あーっ!!コマクサだーっ!
この二日間お天道様に完全に見放されてガッカリの山行だったのだが、
もうとっくに終わっているだろうと諦めていた高山植物の女王の異名を取るこの花が、
私が来るのを待っていてくれたような感じがして、涙が出るほど大感激。
ザックを放り出して、露に濡れるコマクサにカメラのレンズを向けた。

中岳への登りは地図では楽そうに見えるのだが、実際には岩場の急登でちょっと大変。
なんとか山頂にはい上がって休憩していると、赤岳山頂でシャッター押しをお願いした
愛想の良い単独の男性が通りかかった。ちょっと話しかけて、コマクサを見ましたか?と尋ねると、
見逃したとのことで、非常に残念がられていた。
その後、今度は文三郎尾根分岐で悩んでいた夫婦が通りがかり、
「おかげでコマクサが見れました」と感謝された。

いつまでものんびりしていても仕方がないので、重い腰を上げて中岳を下り始める。
途中、真っ赤な実を付けたナナカマドの群生を見ながら歩いていると、
足下に三輪の白い小さな花を発見。ハクサンイチゲによく似た花だなぁと近づいてよく見ると、
どう見てもハクサンイチゲ。まさか尾瀬で七月下旬に見た花に9月中旬に再会するとは思わなかった。


中岳をすぎるとハイマツの尾根道となる

中岳のコルに到着すると、コマクサを見逃した単独男性(をい)に三度遭遇。
荷物を置いて阿弥陀に上がるという男性と再度しばらく立ち話。
来週は北岳に行くという男性に、私は来週は鳳凰です。じゃあ、お互い山頂から挨拶しましょうか。
な〜んて話をしたあと、またどこかの山でお会いしましょうと言って別れた。

中岳のコルから行者小屋へと向かう通称中岳道に入ると、いきなり斜面はお花畑となる。
見かけた花はアザミ、シラネニンジン、トリカブト、くたびれたウメバチソウなど。
まぁ珍しくはないが。(笑)(補足:春はもっと素晴らしいお花畑になるらしい)
なかなか気持ちのいい中岳道も途中からは薄暗い樹林帯へと入る。当然花は無し。
ここで登ってきた団体さんに道を譲ろうと、脇に退いた瞬間、木の根で右足がズルッと滑り、
踏ん張った左足まで滑って、大勢のギャラリーの目の前で大転倒。あ〜恥ずかし〜。
(そのとき突いた左手の平に内出血ができて、二日たった今でも痛いっす...)

さて、気を取り直して....
相変わらず混雑する行者小屋前にたどり着いて水を補給していると、周囲が明るくなり始め、
そして文三郎尾根に蟻のように張り付くハイカーや険しい岩壁の横岳への稜線が見えてきた。
やばい!晴れちゃう!もう少し粘れば良かったか!
と思っていると、見えていた稜線は再度スーッとガスに覆われていった。
いや、別に私が晴れるな!と思ったからガスったわけじゃないからね。>その時山頂にいた方

行者小屋からは登りで通った南沢をそのまま下ってもいいのだが、南沢は印象が良くなかったし、
同じルートを歩くのもつまらないので、赤岳鉱泉経由北沢ルートで下山することにした。


ガスの切れ間に文三郎尾根が現れた

赤岳鉱泉へは小さな峠を越える。峠には展望台へと向かうルートもあるのだが、
この天候では展望は期待できないので、とっとと通過。
意外と長い下りを経て、汚水浄化施設工事中の赤岳鉱泉にたどり着いた。
ここも小屋前はなかなかの賑わいで、その人混みをかき分けながら(おおげさ)通過し、
休憩無しで美濃戸へと続く北沢コースへと入った。

北沢コースは南沢に比べて沢近くを通るので比較的明るく、
途中、道が川になっていたりして足下は悪いものの、変化に富んでいて楽しい。
また花は多く、とくに変わった物は無かったものの、目を楽しませてくれた。
途中でどんどん登ってくるハイカーに、「こんな天気に物好きねー」「そりゃお前もじゃ」
と、心の中で独りボケツッコミしながらすれ違い、南沢と似た感じの薄暗い樹林帯を抜けると、
工事現場となっている堰堤広場に出た。
広場には多くの四駆が停まっており工事関係者の車だろうか。でも工事は休みのようだけど。
広場と言っても文字通りの広場でベンチなどがあるわけでもないので、立ち止まらずに通過。
ここからは当然、車も通れる広い林道歩きとなる。


何度も沢を渡る北沢コース

若干、足腰に疲労を感じていたので、林道歩きは嫌だなぁと思いながら渋々歩いていると、
道端をちょうど盛りを迎えたトリカブトが青紫に染めており、
しんどい林道歩きもすっかり快適なプロムナードへと変貌。
急いでいるわけでもないので、お花見モードでのんびりと美濃戸へと歩いていった。

2日ともガスに取り憑かれ、赤岳に行ったにもかかわらず全く赤岳を拝めないという、
なんとも残念な2日間になっちゃいましたが、コマクサやトリカブトとの出会いもあったし、
第一の目的の「退院後初の本格登山」が達成できたので、まぁ良しとしますかね。

この日出会った花たち
クリックでこの日出会った花たちの写真がご覧になれます。

【コースタイム】
美濃戸山荘 9:50…行者小屋 11:55-12:25…地蔵尾根分岐 13:20…赤岳展望荘 13:25…(泊)…
赤岳展望荘 7:20…赤岳山頂 7:50-8:25…文三郎尾根分岐 9:00…中岳 9:20-9:30…
中岳のコル 9:45…行者小屋 10:25-10:45…赤岳鉱泉 11:10…堰堤広場 12:15…美濃戸山荘 13:05
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