Trekking Reports 〜山歩きの記録

2002.3.31(日) 雑木林の静かな稜線歩きを満喫【天城縦走 伊豆】

八丁池展望台から天城縦走路の展望(クリックで拡大:192K)
熱海から伊東へと向かう電車の車内で待っていると、いきなり携帯の呼び出し音。
慌てて出るとつむぎさんで話そうと口を開きかけた時、階段からikaさんを連れだって登場。
もう一人参加予定の亜美さんは寝坊でドタキャンなので、今回のメンバーはこれで全員集合だ。

まだ電車の発車まで時間があったので、つむぎさんはここでお弁当を調達。
ホームの立ち食いそば屋でいなり寿司をテイクアウトしたとのこと。
なるほど、コンビニの物よりこっちの方が美味いかもね。

なんだかんだと話しながらつかの間の電車の旅が終わると、今度はバス旅行。
天城高原の桜はまだみたいだなぁとか話しながらバスでどんどん標高をかせぎ、
1時間ほどで終点の天城高原ゴルフ場に到着した。
このゴルフ場は昨年の1月以来の再訪だが、当時すごい積雪でブルドーザで
雪かきをしていた作業者以外人の気配が全くなかったのだが、
この日はゴルフ場へ行く人や我々と同じく天城登山へ向かう人でそこそこの賑わい。
これがシャクナゲの季節になるとすごい人出になるのだろう。
トイレへ行ったりして準備をすませ、さっそく登山開始。
天城山登山口の立派な標識から階段などで良く整備された道を歩きはじめた。

アセビ
登山道は当初登りと言えるほどの登りもなく、小さな沢沿いを何度か渡渉しながら進む。
前々日の大雨の影響か、沢の水量がかなり多いが、渡渉に困るほどではない。
広々とした雑木林はアセビの木が多く、見頃にはまだ早いが、
既に満開になっているものも少数存在し、そのたび立ち止まってはカメラを向けた。

このあたりは沢筋で水も豊富。それほどの高木もないので明るさも申し分ない。
普通ならスミレぐらいはあってもよさそうなのに、なぜか草花を全く見ることができない。
時期の問題なのかそれともいつも花がないのか判らないが、
アセビ以外は、まるで真冬の低山を歩いているかのようだ。

万二郎岳直下からはやや急な登りとなるが、それでも大したことはない。
前回は大ラッセル大会で、ものすごく苦労したのが信じられないほど、
あっけなく万二郎岳山頂に到着した。先客は単独の男性1名。
雑木に囲まれ展望のない山頂で小休止、呉春さんがキナバル山で食べて
美味しかったというモンキーバナナをお裾分け。(近所のスーパーで購入)
その後、万三郎岳への縦走コースへと入った。
前回は万二郎岳で折り返したので、私にとってここからは未知の領域だ。

馬ノ背(手前)と万三郎岳(中央奥)
今までに無かったほどの急坂を下っていくと露岩の展望台に到着。
このコースは展望が楽しめるポイントが少ないので、貴重なビューポイントだ。
馬ノ背越しに見える万三郎岳やこれから歩くコースを見渡しながら、
(ここからは小岳までしか見えないが)しばし展望を楽しんだ。

露岩からもうちょっと下ると鞍部に到着。
このあたりもアセビだらけで満開時にはなかなか素晴らしいかもしれない。
ただし、やはりアセビ以外の花は全く見当たらない。
結局、この日はアセビ以外の花を見つけることができず、
南国伊豆の山ということで、数々の花々が咲き乱れる様を想像していた私としては、
期待はずれの結果にちょっとガッカリだった。

鞍部を過ぎると馬ノ背への登りが始まる。
このピークは遠目にはなだらかな山容を見せるのだが、
実際に登ってみると意外なほどの急登を強いられる。
人気のコースということで、道が荒れていることもあって、
雑木につかまりながら、やや苦労して登り、最後に大きな岩を乗り越えると、
あとはなだらかに馬ノ背のピークへと続く。
ここで反対側から若者の男性2人組とすれ違った。
「あれが万二郎かなぁ」「そうですよ」ぐらいしか会話を交わさなかったので、
正確にはわからないが、天城峠から歩いてきたにしては早すぎるので、
万三郎から万二郎へと通常の反対回りで歩いていたのだろう。

アセビのトンネル
馬ノ背山頂には山名表示などはないので、だらっとしたなだらかな山頂は
どこがピークか判りにくい。ピークというよりただの通り道といった様相だ。
そして馬ノ背の先に「アセビのトンネル」と書かれた案内板が現れる。
ま、今までもず〜っとアセビのトンネルと言えるほど、アセビだらけだったが、
さすがにここはその密度が高いようだ。
そしてこのあたりから、天城名物のシャクナゲが現れるが、
さすがにまだ時期は早いようで、蕾さえ見ることができなかった。

アセビのトンネルを過ぎ、やや急な坂を下ると、万三郎岳への急登となる。
ここも道が荒れているために、崩壊した階段に邪魔されながら、
登りやすいルートを探しながら登っていく(こんなことをするから道が荒れるのだが)
と、賑やかな話し声が聞こえ初め、まもなく10人程度が食事中の山頂に到着した。
都合良く空いたベンチに陣取って、我々も食事の準備を開始。
今シーズン最後の鍋焼きうどんかなぁと思いながら、コンロに点火した。
天城最高峰の万三郎岳山頂は万二郎と同じく雑木に囲まれ展望なし。
ベンチと天城縦走路の案内板、それに大きな一等三角点。
休憩時間は30分ほどだったが、その間に縦走コースへと入るグループはなく、
みんなゴルフ場方面へと下ってしまう。
やはりマイカー利用可能な周回コースが圧倒的に人気があるようだ。

万三郎岳での集合写真
食後、山名表示板の前で集合写真を撮り、三角点にタッチしてから、
天城峠へ向け縦走路を歩きはじめた。
万三郎岳の先は今までとはうって変わって、良く整備された歩きやすい道。
歩く人が少ないお陰で、荒廃から免れているようだ。
そして片瀬峠を越えて小岳へと登り返すと、
素晴らしいブナ林の広場が現れ、一同大感激。
こりゃ万三郎よりよっぽどいいなぁと感想を漏らしながら、
我々以外誰もいない静かなブナ林をしばし堪能。
万三郎岳では今にも崩れそうだった天気も徐々に回復し、
木漏れ日がよりいっそうブナ林を美しく見せていた。
またこのブナ林にはヒメシャラが混じっており、赤茶色の幹がアクセントを加えている。
この日はまだ完全に葉を落とした冬枯れの林だったが、
新緑や紅葉、それにヒメシャラが花を付ける6〜7月頃はさぞや素晴らしいだろう。

ブナとヒメシャラの林
小岳からしばらくはブナ林のなだらかな尾根道を機嫌良く進んでいくと、
突然、ハシゴなども設置されている急坂となる。
ここを一気に下るとやがて戸塚峠に到着。
このあたりからは今までの集大成とでも言うかのように、
ブナ林にアセビが混じり今まで元気がなかったササも勢いを取り戻し、
名前の判らない雑木も加わって植生が賑やかになってくる。
道はとても歩きやすく、細かなピークはほとんど巻いてしまうので距離はどんどん稼げる。
途中、中高年女性だけの5人ほどのパーティを追い抜いたが、
出会ったパーティーはこのひと組のみで、本当に静かだ。
天城縦走のコースで人気があるのは万三郎岳より東側だが、
本当に素晴らしいのは絶対に万三郎岳より西側だと確信した。

ブナやアセビの小径を機嫌良く歩いていくと、あっという間に八丁池に到着。
池の周囲の長さが八丁あるところから名付けられたこの池は、
本当に静かで、のんびりと時間を過ごすには最高のところだ。
小休止のつもりが思わず長居してしまい、立ち去り難くなってしまったが、
あまりのんびりしていてバスに乗り遅れると大変なので、渋々立ち上がって八丁池を後にした。

八丁池(クリックで拡大:142K)
八丁池から天城峠バス停へは三本のルートがあるが、
せっかく縦走しているのだから、やはり天城峠を終点としたいという私の意見で、
真ん中の上り御幸歩道を選択。池を半分だけ周回して、まずは分岐へと向かう。
と、途中でとても綺麗なトイレが設置されていた。
完全循環式ということで環境を考慮したトイレをありがたく利用させてもらい、
ここから1分の距離にある展望台へと立ち寄ることにした。

展望台は鉄製の無骨なもので、景観への配慮などは無視された作りだが、
展望がほとんど期待できないこのコースでは本当に貴重な存在だ。
ここから見た万三郎岳は非常に遠く、あんなところから歩いてきたのかと思うと、
ここちよい充足感を感じることができる。
一方、反対側を見ると遙か彼方に天城峠が見え、
まだまだ距離が残っているのかと思うと、ちょっと挫けそうになる。

展望台から公衆トイレに引き返して、八丁池の周回コースをもう少し先へ進み、
向峠を指し示す道標に従って、上り御幸歩道に入った。
このルートは天城峠から八丁池へのハイキングコースなので、やはり人通りが多いようで、
道が掘れたり岩がごろついたりしてかなり荒れ気味。
アップダウンはほとんどなく、なだらかで単調な下りが続き、
あいもかわらずのブナとヒメシャラとアセビの雑木林ということもあって、だんだん飽きてくる。
こうなると長丁場の疲労がここぞとばかりに襲ってきた。
すっかり会話も途絶え、ただ黙々と歩き続け、相当歩いたと思ったところで、
沢の高巻きの開けたところにやってきた。
と、足下を見ると大見分岐と書かれた道標が転がっていた。
しかし分岐とは書かれているが谷側はササが密生しており、分岐とは思えない。
地図を見ると確かに大見分岐点は存在するが、八丁池から程近い所だ。
ということは、誰かが悪戯したのかなぁと、勝手に決めつけて先へと進んだ。

さらに延々と歩き続け、曲がり角のたびに天城峠が見えるんじゃないかとか、
もう天城峠を通り過ぎたんじゃないかとか話しながら歩いていると、
曲がり角の先にワサビ田が現れた。
これを見て、「地図にワサビ田という記述があった」とのつむぎさんの言葉で、
地図を取り出して調べてみるも、天城峠付近にそんな記述が見つからない。
あれ〜とか言いながらさらに探すと、ワサビ田発見...え?
なんとそのワサビ田は八丁池と天城峠の中間あたりだったのだ。
これには愕然。思わずへたり込んでしまった。
ということは先ほどの大見分岐も地図の場所で間違いなかったというわけだ。

言い訳を書くと、エアリアマップの伊豆の縮尺は一般的な5万分の1ではなくて8万分の1。
そして裏面の詳細図は3万分の1とこちらも中途半端。
これに疲労感が加わって距離感が完全に狂ってしまったようだ。
ともあれ、これで疲労感は倍増。相変わらず単調な下りなので、
疲労感というより足が擦り減ってしまうような痛みを感じながら朦朧と歩く。

そしてどのくらい歩いたか判らなくなったあたりで向峠に到着。
バス停まであと40分と書かれた道標にさらにショックを受けながらさらに歩き、
もう曲がり角の先に天城峠があるという希望を抱かなくなった頃、
ベンチのある峠が現れた。天城峠である。
観光地化されていて茶店でもあるんじゃないかと思っていたが、
テーブル付きのベンチがひとつと普通のベンチが2つあるだけの小さな峠だった。

天城峠
とりあえず、これで縦走は走破。
お互いの検討を称え合い、天気が保ったことに感謝しながら小休止を取り、
バス停へ向けて最後の下りへと向かった。
階段や木橋で整備された道を下ると、正面に建物が現れる。
ここが旧天城トンネル前で、建物はトイレである。
駐車場もあるので、ここに車を停めて八丁池へとハイキングが可能。
旧トンネルは封鎖されているのかと思ったら、ライトもついていて今でも使われているようだ。
そして、旧トンネル前から車道を離れて再度登山道を下り、
堰堤脇の階段を下ると、交通量の多い新天城トンネル前に降り立った。

エアリアのコースタイムでは6時間のコースで、休憩を含んでいるとはいえ7時間半の行程。
最高峰の万三郎岳までコースタイムを上回るペースで歩いていたのに、
なんでこんなに遅くなっちゃったのか、どうにも解せないので調べてみると、
休憩時間分だけ遅れた、ということはコースタイムでしか歩けなかったわけだ。
つまり急登などでは甘めにコースタイムを設定してあるが、
今回のような良く整備されたなだらかなコースだと、
コースタイムを詰めるのは至難の業ということのようだ。
6時間で計算すると一本遅いバスでも天城峠の最終バスに余裕で間に合うはずなのだが、
朝イチのバスを選択しておいて本当に良かったと、振り返って安堵した。
皆さんもお気を付け下さい。


【コースタイム】
天城高原ゴルフ場 9:15…万二郎岳 10:15-10:25…万三郎岳 11:30-12:05…
小岳 12:25-12:35…戸塚峠 13:00…八丁池 14:10-14:25…展望台 14:35-14:45…
向峠 15:55…天城峠 16:10-16:20…天城峠バス停 16:45


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