Trekking Reports 〜山歩きの記録

2002.2.16(土) 好事魔多し!冬の蛭ヶ岳【蛭ヶ岳 丹沢】


蛭ヶ岳山頂からの大パノラマ(クリックで拡大:185K)
集合場所の玄倉商店に向かって東名を西進していると、正面に富士山がド〜ン。
思わず見とれていたら、ヾ(^^;をいをい
大井松田ICを降り損なって御殿場までご案内〜。
それでも早めに出発したお陰でなんとか約束の7時半に玄倉にたどり着くと、
すでに坂元さんと亜美さんは到着済み。
すでに玄倉林道の鍵は借り出し済みだったので、さっそくユーシンロッジに向けて出発。

玄倉林道は所々凍結しており、ノーマルタイヤの私はかなり気を使いながら
スタッドレスで快調の亜美さんの車を追いかける。
途中にある素堀のトンネルには巨大なつららが数多くぶら下がっており、
あれが落ちてきたら車の屋根なんて突き抜けちゃうだろうなぁと思いながら、
恐る恐るその下を通過。
そして、30分ほどのドライブでユーシンロッジに到着。
宿泊予定の坂元さんと私は手続きを済ませようとユーシンロッジへ向かうと、
脇を男性1名女性2名の3人組が我々がこれから向かう熊木沢出合へと歩いていった。
おっ、こりゃラッセルせずに済むかもなんて気楽に考えたが、これが後々の悲劇を生み出すとは..

熊木沢から真正面にそびえる蛭ヶ岳
まずは車止めのゲート(ここは玄倉林道の鍵では開かない)を通過して、さらに林道を歩く。
積雪はあるものの深くない上、しっかり締まっている。
とはいえ凍結しているわけではないので、歩きやすいと思っていると、
となりで、亜美さんの悲鳴..日陰では凍り付いているようだ。(笑)

熊木沢出合で林道は分岐し、蛭ヶ岳へ真っ直ぐに向かう林道へと入ると、
昨秋に来た時と変わらずに林道は途中から完全に崩壊。
同様にガレた広い沢に降り立つが、日当たりがいいためかまったく積雪はない。
日差しは暖かく風もないため、極寒期の丹沢山中にいることを忘れるほどだ。
そして、この熊木沢からは真正面に蛭ヶ岳の威容がそびえる。
前回は山頂がガスに覆われていただけに、
これを見られただけでも来た甲斐があったというものだ。

前回苦労して乗り越えた堰堤も左岸から渡るとあっさりクリア。
そして、再度右岸に戻って進むと再度林道が現れる。
そして、その林道を進んでいくと真正面に東沢の堰堤群が現れる。
ここを間違って登っちゃう人がいるんだと坂元さん。
と、上の方から話し声が聞こえてきた。でも見上げても人の気配はなし。
先行の3人組は棚沢ノ頭コースから登っていて、
その稜線からの声が聞こえてきたのかと思ったが、稜線はかなり遠い。
ちょっと引っかかったが、まぁいいかと先へ進むことにした。

蛭ヶ岳直登コース登山口
赤い軽自動車の廃車が目印の蛭ヶ岳直登コース登山口に到着。
ここからの蛭ヶ岳はまさに見上げるようで、これからの急登の凄まじさが判る。
そして、小さな沢を乗り越えて対岸からつづら折れの山道に入る。
この辺りですでに標高は1000m。一面銀世界を想像していたが、日陰にちょこっと雪が残る程度。
なんども来ている坂元さんでもこんなに雪が少ないのは記憶にないとのこと。
嬉しいような残念なような。
でも、このところ雪の深さに撤退を繰り返していた私としてはちょっと嬉しいかな。

もう恒例となった猛スピードで登る亜美さんを
息を切らせながら追いかける男性陣という構図で急登を登っていく。
前回はガスの中で展望ゼロの登りだったのだが、今回は快晴ということで、
晴れていればこんなだったんだ!と感激の声を上げる。
それにしても本当にいい天気。
おかげで、いくら登っても熊木沢にころがる石までハッキリ見えてしまって、
あまり登った気がしない。
と、いきなりなんの前触れもなく左手に真っ白な富士山がひょっこり現れた。

雪は相変わらず少ないが、それでも標高を上げるにつれて積雪が増えてくる。
そして、このルートは上がれば上がるほど険しくなっていく。
1500m付近からは岩場が増え、ついに路面は完全に行きに埋もれた。
その上、左右は切れ落ちたやせ尾根で、
うしろは石を落とすと下まで止まらないんじゃないかと思えるほどの急斜面。
坂元さんが「足を滑らしたらただでは済まない」と、ボソッとつぶやくので、
この木が折れたらとか、足場にしている石が崩れたらとか、嫌な考えがわき上がってくる。
こんな状況でも亜美さんは軽快に上を登っていたので、
それに勇気づけられるようになんとか付いていく。

もうすぐ山頂
そして、ようやく山頂直下のクサリ場に到着。
クサリ場ではロープのお陰でそれほど恐怖感はないが、
ややなだらかになったところで、ロープが無くなると途端に滑落の恐怖が甦る。
もう格好を気にしている余裕もなく四つんばいで雪面をよじ登り、
じょじょになだらかになると、ようやく蛭ヶ岳山頂に到着した。

山頂からはまさしく大パノラマ。今回で3度目の蛭ヶ岳なのだが、
前2回はガスでほとんど展望がなかったため、感激もひとしお。
南の箱根はやや霞んでいるものの、南アルプスや八ヶ岳はクッキリ。
丹沢の主な山は全て見渡せ、まるで山岳模型かカシミールを見ているようだ。

先客はイギリス人の男性が一人のみ。英語に堪能な坂元さんがさっそく話しかけると、
ルートを聞かれたということで、地図を片手に解説。
そして、我々の前に出発した3人組が来ていなかったかと尋ねると、来ていないとのことだった。
直登コースも棚沢ノ頭コースもコースタイムは一緒。
となると30分以上先行していた3人組が到着していないのはおかしい。
あっちのコースは雪が深くて時間がかかっているのだろうか。
そして、丹沢山のほうからやってきた単独の男性に同じ質問をすると、
棚沢ノ頭で対策会議をやっている3人組を見かけたとのこと。
その話だとどうやら塔ノ岳に回ったらしい。
どうやら遭難したわけじゃないと判りひと安心。
このときは東沢での話し声のことはすっかり忘れていた。

すっかり定番の鍋焼きうどんを食べてから棚沢ノ頭へと向けて出発。
この稜線は30〜40cm程度の積雪でトレースはしっかりついているおかげで、
絶好の快適スノーハイクとなった。
夕方から用事があるので早く下山したい亜美さんをあえて無視して、
カメラを取り出して、はしゃぎながら歩く。

雪の稜線(正面が鬼ヶ岩と鬼ヶ岩ノ頭)
いったん下ると、てっぺんに2本の角のような岩が特徴の鬼ヶ岩の岩壁が立ちはだかる。
かなりの急登の上、左右も切れ落ちているため、かなり怖いので、
クサリを頼りに足を滑らさないように慎重に登る。

鬼ヶ岩を登り切ると再度快適なスノーハイク。
この稜線から見た蛭ヶ岳はガレた南壁が大迫力なのだが、
今回はそこを登ってきたということもあって、さらに感慨深いものがある。
ここでもついつい立ち止まってシャッターを押す。
そして、下山ルートとの分岐のある棚沢ノ頭に到着。
ここの分岐に気づかずに丹沢山まで行ってしまい、
結局、塔ノ岳まで歩いてヘロヘロになってユーシンロッジに戻ってくる人が
多いとのことだが、確かに道標は丹沢山側からは見えるものの、
蛭ヶ岳側からは見ることができず、知らなければ通り過ぎそうだ。
(ま、地図が頭に入っていれば、そんな間違いをするわけがないのだが)


棚沢ノ頭から蛭ヶ岳を望む(クリックで拡大:100K)
昨年5月に訪れた時とほぼ同じ構図です。)
そして、棚沢ノ頭から南西へ向かう尾根道へと入る。
踏み跡は先行の3人組のものだろう。確かに直登コースよりも雪が深く、
こりゃラッキーと思いながらその踏み跡を辿っていく。
右手には蛭ヶ岳が非常に大きく、東沢のガレた斜面が真正面になるので、
まるで北岳を見るようなすごい迫力がある。

そして、ずんずんと尾根を下っていく。といっても、
快調に先行する亜美さんと坂元さんの後方をなんとか追っかけていたのだが。
しかし、このとき私はどうも嫌な予感がしていた。
このルートは直登コースとは違い一般ルートなのだが、
これまで道標はおろかテープひとつ見つからない。
でも、丹沢を知り尽くした坂元さんの案内なのだから間違いないだろうと、
自分を納得させて、必死で2人の後を追いかけた。

と、突然前方から踏み跡が無くなったとの亜美さんの声が聞こえてきた。
それでもしばらくは尾根づたいに下っていったものの、悪い予感に我慢しきれず、
休憩を提案し亜美さんの持っていたGPSで遊びましょうと持ちかけた。
そして、緯度経度を調べて地図にマップポインターをあてると、
道を間違っているとは全く予想していなかった亜美さんの顔色が一気に変わった。
使い方を間違っているのかと、地図に書いた経緯の線を確認するが間違いない。
そこで、ずっと気になっていたことを話してみる。
「左手の深い谷の向こうに見えている尾根にあるピークが
弁当沢ノ頭のように見えるんだけど。」

下れるところを探して道無き道をさまよう
それで道外しは確定。たぶん予感があったのだろう、
休憩せずに道を探して先行していた坂元さんを呼び戻して、GPSの結果を元に対策会議。
こういうときは元に戻るのが鉄則。
引き返そうという言葉をいつ言おうか迷っていたが、そこは丹沢の主、坂元さんのこと。
#でも、ビバークが趣味の人でもあるのだが(笑)
現在地から下れる沢をひねり出し、その沢までトラバースを行うことになった。

ここからは雪とガレとの格闘が始まる。
こういうルートになると坂元さんは本当に強い。
私や亜美さんが苦労しながら下りるガレ沢をヒョイヒョイと下っていく。
そして、ルートを探しては前から声をかけて我々を誘導する。
やがて、広いガレ沢の堰堤上に出た。
この沢は登ったことがあるので、大丈夫。堰堤を2つ下れば熊木沢に出られる。
と、かなり責任を感じられていた坂元さんもほっとした様子。
そして、言葉通り脇を下りることができる堰堤を2つ下ると懐かしの熊木沢に降り立った。

ほとんど夕方からの用事を諦めていた亜美さんもこうなると間に合うかもしれないと、
我々を残して健脚を発揮。我々はそれを見送った後、林道脇でへたり込んでしばし休憩した。
結局、予定より40分ほど余分にかかりはしたが、
もし戻っていたら、暗くなるまで帰って来られなかったはずなので、
坂元さんが一緒で本当に助かった。
#その坂元さんも知った沢に下りられなかったらどうしようと、
#言い訳を考えられていたそうですが。(笑)

さて、ユーシンロッジに到着すると、先行の3人組はすでに戻られていた。
そして、そのとき衝撃の事実が告げられたのだ。

この人たちは直登コースを登るつもりだったのが、誤って東沢に入ってしまったらしい。
つまり、東沢で聞こえた話し声は空耳でもはるか彼方の稜線から聞こえたものでもなかったのだ。
そして、この人たちはそのまま右手にトラバースしながら支尾根を登り、
棚沢ノ頭まで登ってしまったらしいのだ。
(この人達は東沢を西沢と勘違いしていたらしく、
右手に巻けば直登コースに復帰できると考えて進んでいたらしく、
登ったところが蛭ヶ岳ではなく棚沢ノ頭だったことに呆然としたらしい)
そして我々はこの人たちの足跡につられて、
東沢へと下る支尾根に引き込まれてしまったというわけだ。
ちなみに、正しい弁当沢ノ頭へと向かうルートには踏み跡は全くなかったので、
よほど慎重に歩いていない限りは間違う可能性が高かっただろう。

それにしても、この雪の中を崖の多い東沢を登り切るなんて...
力ずくで登山をやるのは止めて欲しいなぁ。(笑)

なお、その後ユーシンロッジでは夕食に鹿刺が振る舞われた。
ユーシンロッジの小屋番のおじさんが丹沢の地主なので、
割り当てが回ってくることがあるとのことは聞いていたが、
この日は坂元さんが来られるとのことで、無理に用意してくれたそうだ。
高級料亭でも滅多に食べられないという鹿刺が、溢れんばかりにお皿に盛られており、
鹿刺初体験の私は大感激。
最後にこんなイベントまで用意されていたとは...
道外しも無事下山できたし、この日は本当に良い日でした。


【コースタイム】
ユーシンロッジ 8:25…熊木沢出合 9:00…蛭ヶ岳直登コース登山口 9:55…
蛭ヶ岳山頂 12:20-10:20…棚沢ノ頭 14:00…熊木沢出合 16:35…ユーシンロッジ 17:10
Top Page
-----------
Features
-----------
Back Numbers
-----------
Trekking Reports
DateArea
-----------
BBS
-----------
Profile
-----------
Links
-----------







このホームページはInternet Explore5.Xで最適化しています

ご意見、ご感想をお待ちしております。
dame-chan@mail.goo.ne.jp