Trekking Reports 〜山歩きの記録

2001.9.29(土) クライマーと観光客が同居する懐深い山【谷川岳 上越国境】

天神尾根から谷川岳と西黒尾根を望む
朝3時に起き、関越自動車道を新潟へと進み、水上ICで一般道へ。
白く輝く岩肌と山頂に雲をかぶった大迫力の谷川岳を望みながら、
水上温泉の温泉街を抜けて湯桧曽川沿いの国道291号を北上する。
そして、立体駐車場に車を停めて(500円也)支度をすませ、
まずは舗装路を石黒尾根コースの登山口へと向かう。
まだ営業していないロープウェイ土合口前を過ぎ、
しばらく歩いたところで西黒尾根コース入口と書かれた道標が現れた。

道標に従って斜面に取りつくと、いきなりすごい急登。
このコースはかなりハードだとは聞いていたが、いきなりこれかい!
だが、このコースはまだまだこんなものじゃ済まなかった。

とりあえず先は長いので、バテないようにペースを落として、一歩一歩確かめるように登っていく。
このあたりは樹林帯で、途中の高圧鉄塔下以外ではほとんど展望はない。
一向に途切れない急登をとにかく無心で登っていると、
いきなり眼前に一面の大パノラマが広がった。
真正面には上州武尊が大きく、それと覇を競うように至仏山と、その奥には一際高く燧ヶ岳。
また、手前にはロープウェイの天神平駅へと続く天神尾根と
その先にいくつものピークが折り重なる赤城山など、
上州の名山勢揃いの展望に思わず息をのみ、地図を見ながら同定に勤しんだ。
そうしているうち人の声が聞こえてきて、学生風の男性2人組が私の前を通り過ぎていった。
このコースでは今日初めて見かけたハイカーだ。
そして、下の方からさらに人の声が聞こえてきた。
もうちょっとこの展望を楽しんでいたかったが、
これ以上追い抜かれるのも悔しいので、先に進むことにした。

ラクダのコブ付近から絶壁の谷川岳を望む
ここからは樹林帯を抜け出し、クサリ場が連続する岩稜となる。
そして、最初のクサリ場を登ったところで、真正面に谷川岳山頂が現れた。
山肌は完全に切り立った岸壁で、ギザギザの稜線や所々の大岩などが大迫力。
そして岸壁にへばりつく低木が黄色く色づき本当に素晴らしい。
あまり目を奪われて足を踏み外さないように注意しながら何度も現れるクサリ場をクリアしていくが、
登り切るたびに現れる大展望に、ついつい足が止まってしまう。
そして何度クサリを登っただろうか、やがて、らくだの背と呼ばれる小ピークに到着した。

地図によるとクサリ場はここで終わりなので、
やれやれ一安心といきたいところだが、この山はそんなに甘くない。
正面には垂直とも思えるような岩場の急登が立ちはだかり、
ハイカーが岩にしがみついているのが本当に小さく見える。
うわぁ〜!こりゃ大変だとおもいつつ鞍部に下り、
息を整えて気合いを入れてから、この急登に立ち向かった。

西黒尾根最後の岩登り
この急登は雰囲気は北岳肩ノ小屋からのコースに似ているが、傾斜は一定して急なまま。
ひと息つけるところもほとんど無く、ただただ岩にしがみついて、両手両足を駆使して登っていく。
岩には要所要所でペンキの印があるが、ちょっと見逃そうものなら、
確実に絶壁に前進を阻まれてしまう。
救いは岩が滑りにくいことと、ガレがないので落石の心配が少ないこと。
それに尾根が広いので、それほどの高度感を感じずにすむことか。
ま、尾根と言うより、こうなるとただの急斜面(壁?)なのだが。

延々と続くかに思えた岸壁登りも徐々に山頂が近づき、
山頂であふそうな大勢のハイカーが見えるようになると、ザンゲ岩に到着。
そして、傾斜が緩やかになると天神尾根コースと合流。
あとは、なだらかな稜線(今までのことを考えたら)をひとがんばりで、ようやく山頂に到着した。

トマの耳から上越の名山を一望する(119K)
山頂からの展望はまさに360度。
完全な岩の頂に視界を遮るものは何もなく、
せまい山頂の端に立つと登ってきた西黒尾根がほとんど真下に見えていた。
そして、なんと言っても素晴らしいのが万太郎山へと続く稜線で、
赤に黄色に緑とカラフルに染まった様はまるでクレヨンで書いたように鮮やかで、
現実の世界ではないような気持ちさえしてくる。
と、常連とおぼしき男性2名の話し声を聞いて唖然とした。
曰く、
「せっかく登ってきたけど、もうひとつだなぁ」
「もっといい時期にまたきてくださいよ」
もうすっかり恐れ入りました状態。
登ってくる時に谷川岳3000回登山と書いたTシャツを着た男性とすれ違ったが、
なるほどそれだけの魅力が十二分にある山だ。

秋色に染まる万太郎山への稜線
さて、周知の事ながら谷川岳にはピークが2つあって、
今いるところがトマの耳と呼ばれる三角点ピーク(1,963m)。
そして、このさきには最高峰ピークのオキの耳(1,977m)がある。
ここまで来たら最高点を踏まなきゃ嘘でしょうということで、
かなり疲れた体を振り絞って、再び歩きはじめた。
いったん急坂を下るとなだらかな稜線歩きとなる。
脇には赤く色づくナナカマドの実が目を楽しませ、
振り返るとまるで直立する清涼飲料のビンのようなトマの耳が見え、
あんなところに立っていたのかと、思わず身震いする思いだ。
(写真で見るとそれほどでもないように見えるのはなぜ?(笑))

オキの耳への稜線から見たトマの耳
そして、団体とのすれ違い待ちなどで時間を食いながらも、20分ちょっとでオキの耳に到着。
展望的には当然の事ながらトマの耳とさほど変わらないが、
切り立ったトマの耳の異様な姿がひときわ目に入る。
そしてこの山頂の先には鳥居が見えていたが、ここまででいいだろうと下山にかかることにした。

と、下山の前に腹ごしらえ。
両ピークは狭くてとてもコンロを取り出せる雰囲気ではなかったので、
肩ノ小屋前の広場で食事にしようと、まずは来た道を戻り、
トマの耳を越えたところで、肩ノ小屋への分岐を右手に進むと、
かなりの人でごった返していた肩ノ小屋に到着。
ただ、たまたまベンチがひとつ空いていたので、
ラッキーとそこに陣取りコンロを取り出してラーメンを作り始めた。

お湯が沸くまでの間ぼ〜っと待っていると、すっかり体が冷えてしまい、
そうなると風が強いこともあって、めちゃくちゃ寒い!
念のためにザックに放り込んでいたウィンドブレイカーを慌てて着込み、ようやくひとごこち。
できあがったラーメンをすすっていると、30名ぐらいの団体が下山してゆき、
ごった返していた周囲もかなり静かになった。

天神尾根への下りは階段で始まる
下山は天神尾根の方へと向かう。
ロープウェイで下るか歩いて下るかまだ結論は出していないが、
ま、着いてから決めりゃいいやと、まずは高い段差が嫌らしい階段を下る。
普段はこんな階段は嫌でしょうがないが、登りの時を考えると、
落石や滑落の心配がないので、とても楽に感じ、ひょいひょいと下りていく。
そして、なだらかになったところで、天神ザンゲ岩と書かれた岩に到着。
同じザンゲ岩でも西黒尾根のとはだいぶ大きさが違うなぁとか思いながら、
今度は階段から木道になる登山道を進み、再度の階段を下ると、
天狗の溜まり場と書かれた露岩にたどり着いた。
とくに疲れてはいなかったが、露岩と聞けば登ってみないわけにはいかない。
横をすり抜けていくハイカーをしり目に、岩の上に登ってみると、
正面にはロープウェイ駅へと続く天神尾根が見えるが、これは下っていく途中ずっと見ていた景色。
ここで素晴らしいのは振り返った時に見える谷川岳と西黒尾根の展望。
朝、そこを歩いてきただけに感激もひとしおだ。
それにここから見る谷川岳は緩い丘陵状の円弧を描いており、
西黒尾根から見た岩だらけの谷川岳とはあまりにも異なる姿を見せている。

さて、天狗の溜まり場からは頂上直下よりは傾斜が緩やかなためか、
階段は整備されておらず、そのせいかかなり道が荒れている。
ところどころガレ場で、クサリが設置されているところもある。
そして、かなり長いガレ場を下ったところで、数人のグループが座り込んで休憩していた。
こんなガレ場の下で休憩してたら危ないですよと声をかけると、
不思議そうな顔をしてこちらを見ている。
へ?意味が分からないのかなと思って説明しようとすると、
すぐ後ろにいた男性が「落石が云々..」と説明を始めたので、
その場はその男性にまかせて先に進むことにした。
やはりロープウェイがあるせいで、山慣れていない人が多いのだろう。
他にも途中の道ばたでへたり込んでいる人や、スタートが遅すぎたのか、
山頂に立つのを諦めているグループなどとすれ違った。
このコースはロープウェイがあるので、かなりお手軽コースに見えるが、
標高差600m以上ある上、急登の連続で、なかなか厳しいコースなので、
観光気分での山登りは遠慮してもらいたいところだ。

やがて赤い壁面が印象的な熊穴沢避難小屋に到着。
周囲は休憩中のハイカーでごった返しており、
ちょっと中を覗くと小屋の中のベンチはぎっしりと埋まっている。
ま、休憩したかったわけではないのだが、
覗いた時に休憩中の人がいっせいに私を見た時はちょっと怖かった。(^^;

さぁここからは熊穴沢の頭へ向けて最後の登りかと思っていると、道は西側斜面を巻いていく。
あれ?てことはもう終わりかなと思いつつ歩いていくと田尻尾根分岐に到着。
ロープウェイを使わないならここから下るのだが、
ちょっとトイレに行きたかったこともあり、とりあえず天神平へと向かう。

冬はスキー場になる天神平
で、最後に階段を下ると観光客で賑わう天神平に到着。
ここのロープウェイは十数人乗りの小さなゴンドラが狭い間隔で稼働しており、
ロープウェイというよりゴンドラとかリフトといった感じ。
(とはいえ、この辺のネーミング基準はよく分からないが。(^^ゞ)
ロープウェイ駅でトイレを借りたりしていると、
また田尻尾根分岐まで登り返すのがおっくうになって、結局ロープウェイで下りることに決定。
で、切符を買うとなんと片道1000円也。
やっぱり歩けば良かったかと後悔しながらたった一人でゴンドラに乗り込み、
10分の空中散歩をへてロープウェイ駅の土合口に到着した。

西黒尾根での岩とクサリの険しいルートに、天神尾根での階段や木道の非常に整備されたルートと、
傾斜が急なこと以外、まったく正反対の面を見せてくれたので、
西黒尾根の登りはかなりしんどかったけど、このコース取りは大正解でした。
でも谷川岳と聞いて感じるイメージは西黒尾根のほうでしょうね。
ただし、西黒尾根コースを下りで使うのは私は遠慮します。


【コースタイム】
谷川ベースプラザ(駐車場) 7:00…西黒尾根登山口 7:10…厳剛新道分岐 9:15…
トマの耳 10:40-10:55…オキの耳 11:15-11:20…肩ノ小屋 11:35-12:05…
熊沢穴避難小屋 12:50…ロープウェイ天神平駅 13:15
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