Trekking Reports 〜山歩きの記録

2001.05.01(火) お花畑とササの高原とガレ尾根と【霊仙山 鈴鹿】

経塚山から360度の展望(106K)
翌日は赤坂山オフなのでどうせなら、ついでに行きたかった鈴鹿に行こうと思い立った。
向かったのは霊仙山。赤坂山に近く実家からの時間的距離が最も近いのでここを選んだが、
ガイドブックを見ると、展望にお花畑にと盛り沢山で、とたんに楽しみになってきた。

朝5時に実家を出発。途中忘れ物を取りに帰ったりして、時間を無駄にしながらも、
登山口には9時ちょっと前に到着した。駐車場には先客は2台。
準備しているうちに3台が到着し、狭い駐車場はほぼ満車状態になってしまった。

まずは、水がチョロチョロと流れる谷を歩く。やがて、脇には石垣が見られるようになり、
何だろうと思っていると、今度は廃屋が現れた。ガイドブックには書かれていないが、
どうやら廃村らしい。(あとで調べると、榑ヶ畑廃村ということである)

そして、廃村の奥には山小屋が一軒。あたりに誰も居らず、営業しているのかなぁと思ったら、
山小屋の前で小川で冷やした缶ジュースや缶ビールを無人販売していた。
(ビール350円、ジュース150円也)
山小屋から小川を渡ると、傾斜は急になり、一汗かいた頃に峠に到着した。

峠の名前は「汗ふき峠」。いわれは分からないが、敬意を表してタオルで汗を拭う。
ここからは霊仙山と落合集落との分岐。当然、霊仙山方面へ向かう。
峠からは斜度がさらにアップ。ときどきはなだらかになるものの基本的に急登が連続し、
かなり疲労を感じるが、ときどき視界が開けると霊仙山が覗き、また、道端にはスミレや
ヤマブキをはじめ、色とりどりの花が咲いており疲れを紛らわせてくれる。

尾根に上がると展望台があり、単独の男性が休憩していた。
展望台とは言っても、周囲は低木に囲まれそれほどの展望はなかったので、
私の方は立ち止まらずに通過。
なだらかな尾根道をゆっくりと歩いて、これからあるはずの急登に備えた。

そして、予定どおり先ほどよりさらに急な坂道。
足元は滑りやすいが、脇にロープがあるので、それを頼りに登っていく。
周囲は低木がまばらにある程度なので展望は良いのだが、今日は霞みで遠望はサッパリ。
わずかに鈴鹿の山々(たぶん御池とか藤原岳)のシルエットが背後に見えていた。

そして、急登が終わるといきなり平原に到着。
腰掛けるのにちょうどいい岩があったので、ここで休憩をとることにする。
それにしても、ここは広々としていて素晴らしいところだ。
一面ササの平原で、その間を経塚山へと道が登っていく。
足元にはあいかわらずところどころでかわいい花が咲いており、
一面お花畑になるという夏から秋にかけてはさぞかしと思われる。

あまりに気持ちいいところなので、休憩もそこそこに歩き始めることにした。
背丈を超えるササの回廊を、霊仙山を回り込むように進むと、
木の鳥居と水たまりのような小さな池が現れた。
案内板によると、「お虎ヶ池」という池で、琵琶湖の形をしているという。
言われてみれば確かにそんな形をしており、琵琶湖に近い山だけに、
誰かが悪戯で掘ったんじゃないかと勘ぐってしまう。

琵琶湖の形をしたお虎ヶ池
お虎ヶ池からもしばらくはササの回廊が続くが、そのうち下草のみとなり、
露岩が目立つようになると、経塚山はすぐそこ。
やや急になった斜面(といっても十分なだらかだが)を登ると、
今日のルート中の最初のピークである、経塚山に到着した。

名前に塚の字があるだけに山というよりは丘のようで、
露岩でごつごつした山肌には低木の一本もなく。まさしく360度の展望台。
先ほど歩いてきたササの平原が広がり、正面には霊仙山の3つのピークが並ぶ。
そして、反対側には倒壊した避難小屋の屋根が見えている。
感動的な眺望に圧倒され、長居していると、あとから続々とハイカーが到着した。

賑やかになった山頂に追い立てられるように出発。
目的地の霊仙山に向けて最後の登りにかかった。
割と急な斜面ではあるが、斜面には花がとても多く、ついつい立ち止まって
写真を撮りながら登っていくと、いつの間にか三角点ピークと最高点ピークの間の
小ピークに到着した。そして、三角点ピークに向けて歩くとすぐに山頂に到着した。

山頂は経塚山と同様に露岩が多くほとんどが尖った岩のため、座れそうな岩を探して
うろうろし、適当な岩に陣取って昼食タイムとした。
ここからは御岳、乗鞍、白山などが望めるとのことだが、今日の天候では鈴鹿も霞んでおり、
遠望はサッパリ。ただ、南霊岳へとむかう西南尾根がすばらしく、なだらかな稜線は、
快適な歩きを約束されているように見え、どうしてもそちらに向かいたくなった。

登山口の案内板には、西南尾根コースは不明瞭なカ所が多く、経験者以外は通らないように
との注意書きがあったが、尾根の先端にある近江展望台までのピストンなら大丈夫かなと思い、
まずは最高点ピークに向けて歩き始めた。

来た道を戻り、小ピークの分岐で最高点方面へ向かうと、前方からガサゴソといった音が
聞こえてきた。なにごとかと思ったら、この小ピークから最高点ピークまでが
完全に背丈を超える高さのササに覆われており、その中を団体さんが歩いているようだ。
いきなりの藪漕ぎにやっぱり戻ろうかという考えが浮かぶが、引率している男性の話では、
こんな藪漕ぎはここだけだよということだったので、え〜いっ!と笹藪に突入した。

この笹藪は、いざ入ってみると踏み跡はしっかりしており、
覆い被さるササを掻き分ける程度で済むので、本当の意味での藪漕ぎではなく、
踏み跡を外さないように進めば、それほど問題なくかなりのペースで歩くことができる。
鞍部でササが刈られていたので、どっちに進むのかちょっと迷ったが、
テープのあるところから藪に突入すると、先ほどと同じように踏み跡はつづき、
すこしずつ斜面を登っていくと、やがて笹藪から抜け出した。

こんな笹藪を越えなきゃいけないとなると、誰もいないだろうと思っていたら、
意外にも数人のハイカーがおり、霊仙山の展望を楽しまれていた。
山頂の雰囲気は三角点ピークと変わらないが、やはり訪れるひとが少ないせいか、
露岩の間には花が多く、山馴れた人にはこちらのほうがお薦めかもしれない。

さて、私の目的地はここではないので、ここでは立ち止まらずに西南尾根へと向かう。
しばらくは先ほどと同様の踏み跡のしっかりとした笹藪が続くが、
こんどは左側が急斜面となっており、調子に乗って進んでいると崖に突き抜けてしまいそうで、
ちょっと慎重に進む。南側の斜面はかなりの斜度で谷も深く、相当の恐怖感があるが、
ご丁寧にも踏み跡はその南斜面の脇を進んでいくので、けっこう怖い。
ササに足を取られてバランスを崩すと、500m下まで一気に転げ落ちそうだ。

西南尾根の露岩
ようやく笹藪を抜けると、こんどは露岩上を進む。
岩は尖っていて、底の分厚い登山靴でも足の裏が結構痛い。
とはいえ、その露岩を巻くように進むと、例の切れ落ちた南斜面脇を進むので、こっちも怖い。
登山口での注意書きが身に染みて分かり始めた頃、こんどは霊仙山側が霧に覆われ始めた。
あの霧の中崖脇の藪漕ぎはかなり怖そうなので、どうしたものかと思いながらも、
とりあえず目的地の近江展望台に向けて歩き続ける。

途中、なんどかピークを越えたりして、そろそろ南霊岳に着いてもいい頃なのになぁと思っていると、
近江展望台に到着してしまった。いつのまにか南霊岳を通り過ぎていたらしい。
山名表示とかを探しながら歩いてきたので、もしかしたら無かったのかもしれない。

近江展望台で岩の上に腰掛け霊仙山の方を眺めるが、霧が晴れる気配はない。
ガイドブックにはここから今畑廃村に下りて、落合から大洞谷沿いに汗ふき峠へと戻るルートが
紹介してあるので、このまま進んでも駐車地に戻れそうだが、途中のコースの状況が分からず、
特に、落合から汗ふき峠へのルートが荒れていたときは、駐車地に戻れないという最悪の事態が
考えられたので、(登山口で西南尾根へ向かわないようにという注意書きがあったため、
汗ふき峠〜落合間のルートが荒れていることは十分に考えられた)どうしたものかと悩んだが、
え〜い!行ってしまえということで、笹峠へ向けて急な斜面を下りることにした。
立ち上がって、岩の向こうに降りると、線香の束の燃え残りが...
ここでどなたか無くなったのかと、ちょっと背筋に冷たいものが...(^^ゞ

ここからしばらくは見晴らしの良いなだらかな尾根上を進むが、やがて尾根の先端に到着。
道は急斜面を真っ逆さまに下りていくので、ちょっと息を整えてから急坂下りにかかった。
かなり急な斜面は周囲のササを掴まなければ下りられないところもあり、
下りで良かったと思ったり、登りの方が斜度を感じずにすむのかと思ったり...
そして、一度スリップしてしたたかに太股を打った。まぁ、斜度がきついおかげで、
平坦なところでこけるより衝撃は少ないが、近くには尖った岩やササの枝が突き立っており、
ちょっと冷や汗...ここから慎重に進んだため、下りなのにえらく体力を消耗した。

鞍部に降り立つと雑木林だが、すぐに本日何度目かの背丈の高さの笹藪に突入した。
そして、しばらく笹藪の下を続く踏み跡を辿っていくと、斜面を登って尾根を乗り越えたところで、
笹藪はおしまい。先ほどとは全く異なり、ヤブやガレなどのないごく普通の尾根道となった。

尾根道はしばらくなだらかに進んでいくが、やがて植林の中のつづら折りとなり、
周囲に石垣の跡が見え始めると、しばらくで今畑廃村に到着した。
ここは、廃村になってまだ間がないのか、まだ住めそうな家も多く、表札もそのままになっていて、
本当にまだ住んでいるんじゃないかと思えるような家もちらほら。
また、お寺の庭にある蛇口をひねると水が出てきたし、庭の牡丹は満開の花を咲かせていた。

今畑廃村からは、まだ生活があったころの雰囲気を残している小径を進み、
つづら折りに下りていくと、川沿いに舗装路がある落合集落に降り立った。
案内板には今畑口とあり、道標は霊仙山方向を指し示していたが、榑ヶ畑側の登山口にあった、
西南尾根に関する注意書きは見あたらなかった。

さて、ここからは駐車地に向けて進むが、落合集落からは汗ふき峠を越えなければならない。
つまりここまできて、またもや登りとなるわけだが、愚痴を言っても仕方がないので、
まずは舗装路を谷川沿いに進んでいく。しばらくは舗装路だが、2度橋を渡ったところから、
暗い林の中の地道へと変わる。大洞谷の小川にかかった橋を何度か渡るうちに、
登山道は徐々に小川を離れていき、斜度を増していく。
そして、峠まで目の前というところで、路面の崩れたところが現れた。
元々ロープが付いていたようだが、上部が解けたのか、下でとぐろを巻いている。
その上足を掛けるところもあまりなく、最後の最後にとんだ難関が現れたものだと思ったが、
ここを越えない限りは駐車地に戻ることは不可能。(再度霊仙山に登れば別だが...(^^ゞ)
周囲の草木をつかみ少ない足場を辿って、ようやくクリア。
午前中に通過したばかりの汗ふき峠に戻ってくることができた。

汗ふき峠からは来た道を戻るのみ。途中の山小屋で無人販売の缶ジュースを購入し、
ちょっと休憩して、駐車地に戻った。
朝あれだけあった駐車車両はすべて無くなり、私の車だけがポツンと主人の帰りを待っていた。


お虎ヶ池周辺の広々とした笹の草原、至る所で咲き誇る多くの花々、西南尾根でのスリルと
ヤブ漕ぎでのちょっとした探検気分と非常に盛り沢山の山行となり、大満足の一日だった。


【コースタイム】
榑ヶ畑登山口(駐車地) 9:00…汗ふき峠 9:15…展望台 9:50…お虎ヶ池 10:35…
経塚山 11:00-11:10…霊仙山(三角点ピーク) 11:30-12:10…最高点ピーク 12:25…
近江展望台 13:20…今畑廃村 14:30…汗ふき峠 15:20…榑ヶ畑登山口(駐車地) 15:40
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