第135皿 コピ一1本メシの種。ラスベガス『ブラックストーン・ステーキハウス』

さて、ラスベガスでの仕事も佳境を迎えた日に、やっぱしアメリカだ、ステーキだ、ということで行ったのが、泊まったモンテカルロカジノ&リゾートのステーキハウス。東京ドームくらいあるんじゃないかと思うカジノを取り囲むようにバーやいろんなレストランがある中のひとつ、雰囲気のあるステーキハウス『ブラックストーン』に予約もなしに飛び込んだ。ホテルのパンフレットやアドボードにあるここの広告がイカシてるのよ。いい雰囲気で、ワインとディナーを楽しみつつ、そっと顔を寄せ合う男女のビジュアルに、コピーが“A night well-done.”だってさ。訳せば『上出来の夜。』とかってことなんでしょうが、訳しちゃったら、『肉はrareでも二人はwell-done』みたいな掛けコトバが分からないから面白くない。掛けコトバといえば、ここのホテルの担当コピーライターはけっこうそのテが好きのようで。ここ砂漠の真ん中のラスベガスにもちゃんと周囲にゴルフ場はあって、ホテルのツアーカウンターで紹介しますよ、って悪魔の誘いをするパンフレットには、(どのゴルフ場も数マイルしか離れていないから)“You can spend much time on driving fair way not high-way.”なんて書いてある。気が利いてるよね。まあ、いくら近くても、フェアウェイを行けるとは限らんだろうって?ほっといてくれ。そういえば、ミズラン主人、会社で幼少の砌に、『コピー1本メシの種』と説教してくれたオジサンがいたな。確かにうまかった。「発見がある」ってヤツね。このコピー見せたらなんて言うかな。

さて、肝心の食事ですが、こちらは年季の入ったウェイターさん(名前はおそらくアルベルトだろう)が、また例によって、ほんのちょっとだから2人前にしろよ、とか言ったシーフードカクテルが、1人前でこの量。そして圧巻のニューヨーク・ステーキは、聞かれるまでもなく1パウンドいきます。ここはアメリカだもん。移動に使った4WDだって日本で見たら片側車線に収まらないぞ、というくらいビッグですが、ステーキもね。焼き方はmidium-rareで、ちょっと歯ごたえありですが、香ばしくおいしく焼けててペロリといっちゃいました。今宵もワインが進み、連れは昼とは違う「戦場」に出かけていきましたが、こちらは今回はギャンブルはやらない誓い(ちょっとだけ、ご挨拶程度は仕方なかろうよね)。

ちなみに、ラスベガスが大膨張中。このホテルは、コンベンションシーズンはフツーに取ると目が飛び出るくらいするのですが、終了日の夜にはいきなり76ドルになっちゃう。カジノでちゃんとお支払いいただいてますから、ってことなんでしょう。向かいのホテルVenetianには、階上のドームに夜中でも青空の下、ゴンドラに乗れる運河があったり、はっきり言って呆れましたわ。


向かって右がアメリカンな4WD。日産ARMADA。語源は高校の世界史で習ったスペインの無敵艦隊Invincible Armadaだね、たぶん。

砂漠の中で、シーフードだい。日本の山中の秘湯宿で、サシミを食うのとはちょっと違うな。

これがパウンダーのステーキ。その夜はwell-doneとなったかどうかはあえて語らず。


●行き方:まずは成田空港に行ってください。LAから飛行機乗り継ぎじゃなく、陸路移動もいいものですよ。間で雪が積もってたりして。ラスベガス・ストリップ(メイン大通り)のモンテカルロ内。
●営業時間:23時には閉まってます。
●電話番号:702-730-7777 おお、電話番号までゲンを担いでる。
●予算:ZAGATには平均予算53ドルって書いてあるけど・・・。
●独断の星:アルベルト、今度は予約していくから。★★









第134皿 そこにタイムマシンがあった。ラスベガス『ブカ・ディ・ベッポ』

仕事でラスベガスに行っておりました。ラスベガスといえばカジノと言うのが当たり前ですが、ラスベガスのもうひとつの顔は、コンベンションを中心とするビジネスシティですね。さて当方は、都合でLAから4時間かけて移動し、コンベンションセンターに数日通勤状態の、カジノセレブ生活とは正反対の実直さ。晩飯も、ジミーに正しい労働者の道。「きょう、ナニしよう」「イタリアンはどない?」なぜか関西弁が飛び交う。LAで借りてきたアメリカンなビッグ4WDで、日本なら郊外のファミレス街といった風情の中、ちょいと旧い建物のイタリアンに入ると、中は・・・暗い。そして。店内に流れるのは、おお、カンツォーネではありませぬか。去年の夏、ワイキキでイタリアンレストランに入ったときも、ジリオラ・チンクエッティの『雨』や、CMで有名になった『ボラーレ』なんかが流れてたけど、それは明らかに日本人向けだった。これは、イタリア語だからそれと分かるようなものの、メロディは知らんなー。と思いつつ席に案内され座ると店員のパウロお兄ちゃんが言った。名前を聞いたわけではないが、こんなにイタリアンな店で働いているのはパウロに違いない。アメリカではポールと名乗ってるけどね。チョイ悪ジローラモさんを若くして、もっと人懐こくした感じ。ちなみに兄貴はペテロ、アメリカ名はピーターらしい。パウロくん、我らを見下ろして、「まず最初に言うとくけど」ナンやねん?「ウチのメニューには、全てスモールとラージがあるんや」パウロくん、なぜか英語が関西弁だ。「ここ2,3日なぜかはじめての客がいっぱい来て、ラージをオーダーしてはいっぱい残していくねん。これはようない」そりゃそうだ。「だから、スモールにしとき」了解。君も実直な労働者の仲間だ。ところが、このパウロくん、我らがアペタイザーやビッツァ、パスタを決めて頼むと、必ず「ラージorスモール?」と聞くのだ。そして「お奨め通りスモールにしまんがな」と言うと、大げさに悲しそうな顔をして言う。「ユー・ワナ・スモール?ホンマニ?これはウマイし、量もほんのちょっとだから、コレだけはラージにしたらどや?」我ら爆笑。そのテには乗らんぜ。さて、肩をすくめてオーダーをキッチンに伝えるパウロくんを尻目に壁に目をやると、なんと、ポスター代わりに貼ってあるのが、LPレコードのジャケットではありませんか。ヘンリー・マンシーニ!おお、ブレックファスト・アット・ティファニーズのサントラも入っていたりするのかしらん。彼は確かオハイオ出身だから、アメリカとイタリアの接点なのかもね。そういえば、昔、□□と彼のオーケストラ、みたいのいっぱいあって人気だったよなあ。メロディも切ない「夏の日の恋」はパーシー・フェースだ。ポール・モーリアなんか、ずいぶん長持ちして毎年日本に来てたけど、毎回メンバーは日雇い状態でまるで違ってたらしいね。最先端のPCや放送機器が展示されているコンベンションシティに来て、35年前のモノラル深夜放送の世界に連れ戻されるとは思わなかった。リーズナブルなキャンティクラシコの酔いに任せ、「カメカメアンコー」「ナッチャコ」などの話でさんざん盛り上がり、パウロに「気に入った。また来るぜ」と言い残して店を出ようとすると、ニコッと笑って「明日も待ってるよ」。オイオイ、口説く相手が違うんじゃないか?

ムール貝たっぷりのパスタ(手前)と、エッグプラント(茄子)。これでスモール。
シーザーズサラダだって、ドーン、だった。

 ヘンリー・マンシーニ。イタリア風なら、マンチーニ、
 かな。

 レイ・コニフはおっさんだけど。
やや!モンキーズカーではありませぬか!これはコンベンションのカーオーディオ展示館で。
ほかにバットマンカーのスーパーオーディオ仕様なんかもあって。おバカだねえ。

●行き方:412 East Flamingo RD.LAS VEGAS
●電話:聞き忘れました。
●営業時間:上に同じ。ランチはないかも。
●予算:アメリカの庶民の価格。
●独断の星:行きたいなあ、また。★★









第133皿 ああ、寄らずにいられない。大阪同心町『あんふぃに』

118皿目に書いた十三の『吾菜場』について、BBSに大阪の方?からお便りをいただきました。「兄ちゃん、兄ちゃん」とまた呼ばれに行かなくっちゃ。こういうことがあるから楽しくてやめられません。さて、先日大阪出張の折に『吾菜場』にも行かず浮気して寄ったのは、以前かの地で勤めていた時に発見した、焼鳥不毛の地大阪としては出色の店『あんふぃに』。とーっても仲のいい、うら若き(当時、ね)女性二人が手作りする焼鳥などなど、めちゃ豊富なメニューが、その後連れて行った会社の若いモンをビシバシととらえ、いつしか弊社関西支社オフィシャル焼鳥サプライヤーのようになっていたのでした。そのうら若き女性二人、今でも(失礼)十分に、いや、さらに魅力的でいらっしゃいますが、最大の特徴は店を挙げて体育会系だってことだな。二人がソフトボールチームを主宰野球チームもあり、公式競技としてのゴルフコンペが年2回あり、壁に貼られたメニューのよこにハンディキャップ表があったりする。弊社オフィスは主人の転勤後移転してしまい、会社の人間も足が遠のいてしまったようなのですが、このコンペだけは毎回参加する、というA先輩のような律儀な方もいらっしゃる。そうであったら、発見者としては、大阪に行ったら寄らないわけにはいかんわネエ。なんちゃって、えも言われぬ力に引き寄せられて行ってるだけなんですけどね。自家製つくね、それにボリュームたっぷりのトンペイ焼きも美味ですが、突き出しでちょこっと出てくるスパサラダみたいなものがえらくオイシかったりするのがまた魅力なんですわ。そして、体育会と関係あるかどうか分かりませんが、炭火に掛けている焼き物用のアミを素手で持ち上げて交換する、という特技も見せてくれます。そんなこんなで、見所たくさん。ぜひごひいきに。

これは焼鳥におろしポン酢の「みぞれ焼」

ね、可愛いでしょ。実物は現場視認で、よろしく。左側の方、以前は「もーれつア太郎」風(!)だったのが今やすっかりオンナらしくなり・・・。


●行き方:大阪のJR環状線天満駅から、阪神高速の下をくぐって、帝国ホテル大阪方向へ抜ける道、同心町通りの左側。分かりやすくはないんだけど。
●営業時間:17:00〜25:00くらい。休前日はもっと遅くまで。
●電話:06−6353−5851
●予算:3000円もあればオナカ一杯。
●独断の星:これからも仲良くね。★★









第132皿 キムカツ元祖は横浜にあり。東名横浜町田インター『三裕』

東京の隣県に、「ミルフィーユゴルフクラブ」というずいぶんとスウィートな名前のコースがあり、いかに甘いものに不調法なミズラン主人とて、ミルフィーユが、パイ生地が「千枚の木の葉」のごとく重なった状態の比喩ということくらいは知っているが、くだんのゴルフ場の名前が「千葉」の仏語直訳とは気づくのには、18ホール回るより長い時間がかかった。さて、こちらは、ちょいと前からブームの、ミルフィーユ的トンカツ、『キムカツ』である。恵比寿の『キムカツ』がいつも大行列なので、なかなか行く決心がつかずにいたのですが、意外な近くにその本家があることを発見、寄ってみたのがこの『三裕』です。リピーター狙い?に黒胡椒、ガーリックなど、いくつかバリエーションがあるのですが、まずは、本筋の「キムカツ」を注文。千枚の葉の如く超薄切りされた肉を再度20枚ほども重ねてから衣をつけて揚げる独特な構造。一枚肉と何が違うかって、何しろ柔らかい。味が中までよく染みていて、食感は、しょわっと口の中でとろける感じ。念願を果たした思いは心地よかったのですが、不思議なのは、なぜかアツアツでなく出て来たこと。そのほうが食べやすい、と思っているのか、この構造が冷めやすいのかは不明ですが、行列ができるほどではないにしろ、駐車場は一杯、30分待ち。注文したものはどんどん出てくる中で、この温度だけは分からない。さて、行っていただくと一目瞭然なのですが、この店のもうひとつ、Why?と思わせるナゾはその立地環境です。モノ知りによると、スウィーツのミルフィーユは、カタカナでは「ミルフィユ」と表記したほうが原語の感じに近い、とか。「ミルフィーユ」だと「千人の娘」、になってしまう、と。スウィーツに劣らずフランス語にも全く疎い主人としては、ふーん、そうなの、としか言いようもありませんが、その環境を見ながら、ムフフと笑ったのは、おっさんだからでしょうかね。

これがキムカツ。一見普通のトンカツ定食ですが・・・。

わかるでしょうか。超薄切りの肉を重ねた構造。


●行き方:保土ヶ谷バイパス(国道16号)東名横浜町田インターの横浜より「卸センター」信号を西に入ってすぐ
●営業時間:11:30〜15:00 17:00〜21:30(土日休は通し営業)
12/30〜1/3 休み
●電話:045−921−0211
●予算:名物キムカツはバリエーションを含め、写真の定食形式で1800円ほど。他に和食メニューもいろいろあるのがこの店の特徴で、ツマミに、と言う向きには、バリエーションを楽しめる2種盛りも。
●独断の星=やっと来れた、という感動は、冷めていたので帳消し、かな。一度食べてみていいものだとは思いますが。★










第131皿 ジャズ・そ・バー。三宿『板蕎麦山灯香』

何しろ2日間6食蕎麦を食べ続けても平気ってなくらいの蕎麦好きですから、いろんな蕎麦屋に行きましたが、ジャズが流れてるのは初めてだな。考えてみると、蕎麦屋って、あまり音楽が流れていないような気がする。何を流そうかと迷った結果、三宿、という場所柄、洒落てみたのかも知れませんが、不思議に違和感が無いんですね。山形の力強い蕎麦と、地酒月山、それにジャズ。深夜、というか早朝4時までやっているのも、ジャズっぽいかもね。さて、いつものごとく蕎麦屋飲みの王道、だし巻卵につくね焼き。前回。実は3日前に来たときは、焼き味噌も頼んだのですが、今回は忘れた。焼き味噌がね、また蕎麦の実が入った凝りようで。すべてしっかりした味で、酒がクイクイっと進みます。程よく酔いつつ1時間ほども話し込んだのち、さて、蕎麦だ。目黒のへぎそば(第4皿)と同様、板の箱に盛られた蕎麦は太くて、歯ごたえがしっかり。でもただ硬いだけではなく、よく噛むとほんのり甘い。(よく噛む、なんていうと江戸っ子には怒られそうだが)堪能しました。ちなみに店名は、さんとうか、と読みたくなりますが、さんとうこう、だそうです。・・・以上ここまで。なぜ短いかというと、これから忘年会なんだもん。秋田風ちゃんこ鍋だって。なぜか「道の奥」づいた暮でございます。

つくね焼き(右)、だし巻卵(左) おいしそうでしょ。

板蕎麦、1人前840円(税込)也

さりげない看板

●行き方:東急田園都市線 池尻大橋駅と三軒茶屋駅の間、三宿交差点の南西角そば。
●電話:03−5779−3670
●営業時間:17:00〜AM4:00
●予算:飲んで食べて3〜4000円、というところでしょうか。
●独断の星:今週また行く気がする。★











第130皿 だって惚れちゃったんだからしょうがないじゃないか。吉祥寺『ハモニカキッチン&てっちゃん』

久しぶりに国分寺などというところの某独立行政法人研究機関に行ったので、帰りは若者の腕を無理矢理つかんで、吉祥寺でドロップアウトを決め込みました。最近、吉祥寺のいわゆるハモニカ街(ハモニカみたいに小さな店が並んでいるから言うのよ、念のため)にもニューウェーブが押し寄せ、多国籍と小じゃれた店が増加。店名ロゴマークなんかけっこうしっかりしてやがんの。そのひとつ、前から行きたいと思っていた「ハモニカキッチン」に入ろうとしたら、向かいの焼鳥屋「てっちゃん」がいい味出してるんだ。吸い込まれるように入っちゃって、「お、ホッピーあるねえ。うれしいねえ」なんて言ってると若者「ご隠居さん、なんです、そのホッピーってのは」「なんだい、おまいさん、ホッピーも知らないのかい。ホッピーってのはね、アルコールになる前のビールみたいなもんだ。こいつにあたしは若いときからほの字なんだよ。ちょいとおニイさん、あたしにホッピーをセットでおくれよ」「ますますわからなくなってきた。そのセットってのは、どういうことで」「まあ、見ててごらんよ。ほら、ビールの小瓶みたいのが出てきただろ。これがホッピーだ。それをこの焼酎と氷が入ったグラスに・・おや、バカ丁寧な店だね、焼酎も別のグラスで出てきたよ」「はあ、それを混ぜて飲むってわけですね。で、セットってのは?」「焼酎とホッピーの両方を一緒に頼むことを言うんだ。どっちも同時に終わるってことがなぜか無いんで、あとは別々に頼むことになる。ほらそう言っている間にグラスが空いちまった。ホッピーだけが残ってるね。ほい、おニイさん『なか』をひとつ」「『なか』ってなんですか」「おまいさんはほんとに察しが悪いね。中味、つまり焼酎のことをそう言うんだ」・・てな具合で、皮とカシラを平らげ、さっきから気になっていたゴーヤ串を頼もうとすると、「ゴーヤ、ヤマです!」の声が・・・。ガクッとしていると、「お客さん、よろしかったら向かいのハモニカキッチンのほうならありますよ」と。そうそう、壁に貼ってあるバイト募集のポスターには、なぜか、両方の店に加えていくつかの店名が並んでいる。「グループなの?」「ええ、まあ、コンツェルンっていうか」オイオイそれは言い過ぎだろ。でも、お奨めに従い、満を持して「ハモニカ・・」へ。こちらは、ヘヴィメタのメイクが似合いそうな(失礼!結構みんな魅力的なのよ)おネエさんたちが、串を焼いている。ゴーヤ、ズッキーニと食べ進み、あーもうおなか一杯。「ご隠居さん、もう一軒行きましょう、パーッと」と赤い顔して言う若者に「何を言ってるんだい、あたしゃ隠居の身だよ。もう帰った、帰った」(こんなにニオイプンプンでキレイどころのいるところなんか行けるワケないじゃん)といったところで師走の吉祥寺ナイト、ひとまずお開きです。

皮2本とカシラ

ホッピーって初めて見るという人もいるかな。真ん中にあるのが文字通り「なか」のグラス

名物、ゴーヤ串。美味。一年中あるんだそう。

●行き方:JR吉祥寺駅北口からパルコ方面に。最初の小さな角を北にまがったあたり
●電話:知りませんわ。
●営業時間:17:00〜23:00 らしい。
●予算:豚バラ串100円、佐助豚バラ串200円、を食べ比べてみた。
●独断の星=ヘヴィメタメイクを想像しよう。★★










第129皿 限りなくノでなくナである。銀座『リストランテ・ポルトファーロ』

ノだのナだの何を言っておるのか?これだけでピンと来た人はすごいけどね。さて、久々に出た銀座。むかーし、親父に呼び出されてハゲ天で天ぷら食べた時に待ち合わせたよな、と思い出をたどりながら、まずは日産ギャラリーへ。新型スカイラインを眺めつ、ドライバーズシートに身を沈めたりしつつ(評価は保留)、連れと合流し、向かったのは和光の向かい、5丁目側のビルの8階にあるイタリアン、『ポルトファーロ』。つまりレストランではなくリストランテ、ってわけですな。わが敬愛する案内サイトの巨星“GinzaStreet”http://www.ginzastreet.com/ の女主人holly(朝食はティファニーで食べてるのかな)さんもお気に入りという、気軽でかつ雰囲気もよいお店。窓側テーブルがお奨め、というアドバイスの通りにリクエストしてあった席について、トスカナのハウスワインをデキャンタでもらい、乾杯。お、ウマイじゃん。軽すぎず、渋すぎず。冷え方もちょうどいい。で、前菜が出て来たころにふと気づくと、さっき入ってきたときには、ガラガラだった店内がほぼ埋まっている。あとで手洗いに立ったときに見てびっくりしたのですが、40席近い中で、男はわずか3名。つまり女子が大勢を占める。どこかの高校と逆ね。
かつてイタリア語をちょっとだけかじったときに発見した法則が、男性名詞はoで終わり、女性名詞はaで終わるってこと。これ、オトコー(o)、とか、オンナー(a)とか伸ばしてみると覚えやすいっしょ?そんなこと言わんでも、マリオとマリアで簡単か。ポモドーロはオトコ、マドンナやプリマは当然オンナね。だからこの店は、イタリアー「ノ」ではなくイタリアー「ナ」、なのであるナ、と決め付けた次第。ちなみに、リストラン「テ」のようにeで終わるのには、男性名詞も女性名詞もある。そして、メンドくさい中性名詞がないのもイタリア語に親近感を覚える理由のひとつ。
さて肝心な料理。なかなか、です。「北海道産エゾ鹿のスモークとオレンジのマリネ」に始まり、「寒ヒラメのカルパッチョ」のアンティパストに続いて、こぢんまりと盛られたパスタが2品。「三陸産カキとルコラのスパゲッティ」(ペペロンチーニ風味)、「豚肉と白インゲン豆のトマトソース リガトーニ」。メイン1の魚料理は、「函館直送真鱈とチリメンキャベツのアンチョビバターソース」、そしてメイン2の肉料理は「牛フィレ肉のグリル ゴルゴンゾラソース」…ああ、書き起こしただけでおなか一杯になっちゃう。あとデザートに関しては省略(!)しますが、このフルコース、通常8,000円が、ちょいとしたことで、3,800円になってしまうのですね。銀座のど真ん中のディナーでさっきのワインを入れても、大一枚でお釣りがくるリーズナブルさ。それで女性だけのグループが多いのか!とはたとヒザを打ったのですが、最後に隣のテーブルに座ったのは、某キー局の誰もが顔を知っているアナウンサー。これが4人目の「ノ」。お連れはいかにも局バイトのネーちゃん、と言う感じの「ナ」。それにしても、女性3人、って言うグループ多いんだね。2人だと話がヘビーになっちゃうから、気軽におしゃれに食べましょっていうときは、3人がいいのかも。
「ちょいワル」を流行らせた編集長も辞めちゃってブームも終わり?みたいだし、少数派の「ノ」はいい子にしてましょ、というクリスマス前の銀座でした。


窓の向こうに和光がドーン

カキとルコラのパスタでござい。

牛フィレグリル。ゴルゴンゾーラチーズのソースで、もうマンプクテンプク。
デザートはシナモンのジェラート。「全然甘くないよ」との甘言(?)にのせられ、あーやっちゃった。ひと匙なめて、アマッ。今夜唯一の後悔。

●行き方:晴海通りの数寄屋橋から銀座4丁目交差点に向かって右側。銀座フォリービル8F。女子衆には「鹿の子」のビルといったほうが通りがよいとか。9階から入って鉄板焼き屋を横目に見つつ会談を降りる不思議な作り。
●営業時間:11:00〜15:00(LO 14:00) 17:30〜23:00(LO 22:00)年中無休 ランチもリーズナブルなんでしょうねえ。
●電話:03−3289−7033
●予算:文中 ほかにコースはありますが、ほとんどの方がこれを。
●独断の星:満足。★★










第128皿 元祖『美しき国』へ。渋谷「麗郷」

世界バレーを見ていて、そういえばこのごろチャイニーズタイペイ、という呼称がこうした場では増えてきて、台湾という言い方が減っているけれど、それ以上に、英語でFORMOSAという言い方を聞かなくなったな、と思いました。FORMOSA=美しき島。日本でいえば「大和」に通じるような文字通り美称なのだろうか、言葉の響き自体がキレイだな、と思っていた。残念ながら台湾は行ったことがないので、国内では使われているのかどうか分かりませんが…。さて、台湾といえば、このページを初めて以来書きたいと思っていた台湾料理の伝統店『麗郷』にようやく行くことができました。建物の老朽化でリコンストラクトのために一時店を閉めていたのですが、再開。外からも腸詰がぶら下がっているのが見えた煉瓦作りの外観は以前のままですが、中は広く、明るく、小奇麗になっています。何はともあれ腸詰だ、生ビールだ。スライスされた後にもぷっくり膨らんで弾けそうな腸詰も嬉しいが、ジョッキにちゃんと「麗郷」と入っているのが好ましいじゃござんせんか。以前近くにあって「東京一うまい腸詰」と豪語していた『白雪』が残念ながら閉店してしまったので、そこのはもう思い出すしかないのですが、どちらかと言うと脂が少なく歯ごたえのあるハード系、こちらは、ぐっと柔らか。そして続くは豚の耳の甘辛煮。出てきたままではちょっと甘いので、辛い味噌をつけるとちょうどよく、ビールが進み、お約束の紹興酒「燗」へ。料理はこれまた好物の、鶏のカシューナッツ炒めへとハイカロリー路線をたどり(空心菜とか食べればよかった)赤いネオンの灯る怪しげな街並の夜は更けゆき…。急に思い出した。高校時代独り住まいしていたところに台湾から女子美に来てた膨さんという留学生がいたな。ちょうど日中国交回復すなわち台湾と断交、という流れが進んでいたときで、日本は蒋介石に感謝しなきゃいけないのに冷たい仕打ちしやがって、と怒るオッサン含めずいぶん論争したな。いまどうしてるんだろうな。(と、ちょっと遠い眼)

本家本元腸詰でござい。
豚の耳。聞こえが良くなるかな
鶏ノカシューナッツ炒め。美味。

●行き方:渋谷道玄坂を上がりPRIMEの先右側の小路を入ってすぐ左側
●営業時間:12:00〜14:00 17:00〜24:00(土・日・祝は通し営業)無休
●電話:03−3461−4220
●予算:腸詰は800円、一品料理は1000〜2000円に豊富(税別)
●独断の星=★★










第127皿 駅前の約束@ 青葉台『麺飯厨房』

わが庵は都の辰巳鹿ぞすむ・・的に言うと、わが庵は未申、と言うことになるわけですが、この縄文時代以来人口がほとんど増えていなかったと思われる丘陵地に東急が田園都市線を通した当時、駅前に、@パチンコ屋Aキャバレーの類を作らせない、という「約束ごと」があったそうな。キレイに整った街よりは猥雑なほうが好きな、どうにもお上品でない当主人などには、なんだかなー、という感じなのだよ。でも、健全な下世話化はちゃんと進んでいて、今やキャバクラという業態開発により、駅前のマクドナルドの上には2軒も入っている(らしい!)し、線路が通る前からあった3軒のパチンコ屋は隆盛を極めている。そんな一角に花を添えているのが、ガード下と言ったほうがいい位置づけの「麺飯厨房」です。道路に平行したほぼカウンターだけの店内、その中で超強火の上に載った大きな中華鍋で何でも作っちゃう、いろんな調味料の入った小さなボウルをその回りに並べ、お玉で、チョッチョッとすくいながら・・のスタイル。でもこれが旨いんだ。キクラゲ卵炒めなんて絶品。さて、当方、飯を食うだけではなく夜中に千円札握りしめてフラッと寄り、中華風ツマミに紹興酒、なんて飲み方をしたりもするのですが、時々見るのは、その駅前のキャバクラのマネージャーさんがおネエちゃんたち連れてメシ食わせに来るご一行様なのね。オイオイ、もうちょっとイイところで食わせてやれよ、と思うのですが、若いコたちもけっこう喜んで食べていたりするから面白い。時には7、8人とか連れて来たりするから、懐とも相談するとそうなるのかな。そんな中、美味そうだな、と気になっていて、この度ようやく食べることができたのが、スタミナラーメン。たっぷりの麺の上に、豆板醤風味で辛く炒めた肉ともやし、玉ネギ、ニラやら人参やら野菜が大量に載っている。スープを飲みながらすでに汗ダラダラなんだけど、これにギョーザとサービスの小ライスを付け、常連客の悪口を言いながらペロッと平らげる女のコたちを見ていると、日本の将来は意外と明るいかも、と思ってしまうのでした。

ド派手な壁画。もちろん実際に作っているのは人間ですが。

スタミナラーメン、850円。明日もホームラン王だ!

●行き方:青葉台駅降りて、環状4号を左へ。パチンコ屋の交差点を超えてすぐ右側
●営業時間:11:00〜深夜3:00 無休
●電話番号:045−093−7871
●予算:千円札握りしめて。大量に呑みかつ食う場合は、2〜3枚
●独断の星=隣にできたファミレスなんぞぶっとばせ。★★











第126皿 $9ステーキ。芝浦『吉甚』

昔、1000ドルカー、ってキャッチがあった。確かクルマに、メーカー希望小売価格なんていかがわしいモノじゃない文字通りの定価があったころ。35.9万円だった、パブリカスタンダード。そう1ドル360円だったんだよね、そのころは。100万円でクラウンが買えた時代。いまや、1万ドル出しても、ちょっとした軽だと足りなかったりする。あ、でも。150万以下でも、スズキのSWIFTとか、いいクルマはあるけどね。さて、ステーキで言えば、合成肉で安いところが増えていますが、ここは正真正銘のサーロインステーキが、何を隠そう1000円ポッキリ、税込という安さ。ドイツの旧いケラー風な店内は、いつも混んでいます。その中をサンダルの音高く足早に歩いてオーダーを取る従業員のおネエさんたちも、日本とドイツが組んで戦争やってたときにこの世に登場された感じの年季ものの方が多く、とっても素敵。ステーキの焼き加減とか一切聞いてくれないし、パンね、というと、えー?トーストしかできませんよ、ミタイに露骨にめんどくさそうな顔するし(でもこのトーストがうまいんだ)、ちょっとびっくりするかも。でも、ステーキソースは醤油ベースで、ショウガやクレソンとも合って実に美味。多少肉のスジが硬かろうと、脂が多かろうと、ついつい足が向いてしまうのだ。さて、長らくお世話になった芝浦にも、お別れを告げる日が近づいてきました。アデュー、サヨナラ、グッバイと別れの言葉はあるけれ〜ど〜♪ 前にあまりそういう店がない、と書いた覚えはあるが、いざ別れとなってみると名残惜しいものです。
しばらくそういうのが続くかも。芝浦なんて行かねーよーという方には申し訳ありませんが、あしからず。

100円あったらマックに行こう、はムリがあるが、1000円あったら吉甚に行こうは真実なのだ。これにサラダとスープ(おかわり自由)。きょうはパン、て言いそびれて、初めてゴハンです(けっこううまい)。


●行き方:JR田町駅芝浦口を出て徒歩5分、藻塩橋交差点横。
●営業時間:11:30〜22:00 日祝休
●電話:03−3412−0887
●予算:自ら、原価度外視、と謳っているくらいなので推して知るべし。エビフライランチ900円など。
●独断の星=好感が持てる★









第125皿 潮風のメロディー2006。BBQ@葛西臨海公園

このページを書き始めてまもなく3年になるのですが、考えてみたら、屋外で食べたこと(テラスは除き)も、自分たちで作ったこともなかった。そこで、BBSの常連さんたちをお誘い申し上げ、BBQをやろうと思い立ったのが夏のこと。当初予定したお盆のころが暑すぎるかな、ということもあって流れ、一方で今度の週末にたくらんでいた玉村豊男大先輩のヴェラデストに行くツアーも諸般の事情で延期となり(これは必ずいつかやるからね!)その替わりということで、10月15日の日曜にようやく実施の運びとなりました。場所も初め考えた多摩川べりから、潮風の吹く葛西臨海公園に変更。当日は小笠原に迫る台風の影響もありやや風は強かったけれど、晴天に恵まれ、まあ、よく食った、よく飲んだ。
参加男子6名女子3名、9人足して448歳。それでも、肉だけで4〜5キロくらいは食べたんじゃないかな。久々のギターも登場、周りの若者たちに引かれながらも、青春フォーク(笑)に声を張り上げ、昔、誰か(男子)が誰か(女子)の何か(・・)を引っ張ったという話で笑い転げ、まあ、甘酸っぱくも楽しい一日でありました。ところで、タイトルの『潮風のメロディー』、すぐ口ずさめたヒトいます?そう、南沙織ね。♪潮風にぃ 吹かれるとぉ 思い出すぅ あなたのこっとぉー うん、思い出しましたよ、あなたのことを。というわけで、今回の皿は店の位置も電話もありませんが、星だけは★★★ということで。

某制作会社からお中元にもらった海鮮バーベキューセット。これが話しの発端

お取り寄せの極上ラム。これにモンゴルの塩を擦り込んで・・
見事な霜降牛。店で食ったら、眼が飛び出る。










第124皿 トリセツ、熟読。たまプラーザ『侘助』



そのうち羽根が生えてくる、と書いて以来、久々の焼鳥屋。久しぶりなんだよね、ここ。外から見ると、どこの街にもありそうなこぢんまりしたいい感じの焼鳥屋なんですが、メニューを見るともうびっくり。ひな肉や、皮、つくねなど「定番」はもちろんありますが、その他の応用編は、それぞれがひとヒネリもふたヒネリもしてある。たとえば煮込みはカレー味。笹身はねぎとごま油で合えた「ささみねぎあぶら」(マンマだね)がお勧め、と壁の張り紙に書いてある。さてほかにどんなものがあるんだろう、とメニューを見ると、これが「トリセツ」という題なのですね。焼鳥屋の説明書だから、トリセツ。しゃれなのかどうかすらよくわからない、独特なセンス。一字一字明朝体のレタリングで手書きされたメニューが書いてある。そう、いまならタイポグラフィと言いたいところですが、あくまでレタリング、というべき感じ。これ、カウンターの中に居る、奥田瑛二の10年後みたいな、ちょいといい男のマスターが書いたのかね。その辺聞いてみたいのですが、筆者のようなまだ5回くらいしか来てない客は、焼方のマスターの前には座らせてもらえない。「10回以前はウチのヤツの前でいいんだよ」と公言してやまないと、某常連が教えてくれた。で、ちょいと寂し顔美人の奥方の前に座って、生、熱燗といつものコースを進んでいくと、おいおい、常連たちが飲んでいるあの酒は何なんだ??恐る恐る頼んでみましたよ、おおーっ、これは・・・。さ、あとは、筆者の10回達成に協力してくれた方だけのお楽しみ。

すぐ並びにある、ヒデキなどたまプラ
ゆかりの芸能人御用達の「とり平」とは
対照的な店構え 

ずばり、トリセツ。
元祖アキバ系?
これが「ささみねぎあぶら」 大好物なのよ。
ししとうと皮

●行き方:東急田園都市線たまプラーザ駅北口、横浜銀行裏。
●営業時間:23:30まで。休日は未確認
●電話:045−901−1268
●予算:フツーのお手軽な焼鳥屋
●独断の星:その気になれば一ヶ月以内にあと5回は軽いぞ。★★









第123皿 君はタツノを見たか。ホノルル『マリ・ポサ』



121皿に引き続きホノルル。今回のハワイは、スポーツ関係の仕事だったので、それにかこつけて果たしたかったいくつかの隠れた目的がありました。名高いコオリナゴルフコースでラウンドしてみたい、というのと、もうひとつは、かつて日本でも有名だったのに、あるときからふっつりと消息を聞かなくなったある野球選手のその後を調べる手がかりを探したかった。そのプレイヤーの名は、デレク・タツノ。日系で、ハワイの大学生として日米学生野球で(もちろんアメリカ側で)活躍した。MLBも日本のプロ野球も狙っていたが、結局は「ドラフト逃れ」で、西武が入団前提でプリンスホテルに採用してしまった。引退後、ハワイのプリンスホテルの支配人の座まで密約した、という話も嘘かマコトか出たくらい。けれども結局日本では鳴かず飛ばずで、ハワイに戻り、一時地元のチームでそれなりに活躍していたらしいのだが・・。確か、原、岡田といったあたりと同世代だと思うので、筆者ともほぼ同世代。いつか時間ができたら彼の野球人としての半生を調べて書いてみたい、と思っていたのです。けれども、今回の旅では、聞くチャンスがあった数少ないヒトにも「タツノ?あー、なんかいたね、そういうヤツ」といった反応が返ってきたくらいで目的は果たせませんでした。さて、そんな一日に立ち寄ったレストランは、これぞシーサイド、という『マリ・ポサ』。一時の超さびれた状態から確実に復活したアラモアナ・ショッピングセンターの最上階です。30分待ちの後、海に向かった屋外のテラスに席をとり、紹介してくれた会社の同僚が「これに決めてるんですよ」というメニューに乗ってみる。ロブスターのクラブハウスサンド。「マリポサ・バーガー」にも惹かれましたが、やはり海辺ではシーフードが似合う(かも)。ボリュームも味も、大満足で、フードコートなんかでジャンクなものを食べなくてよかった、と思った次第。とはいえ、あまりゆっくりしている暇もなく(午後には本来の目的であるシゴトにもどらなきゃいけなかったのでね)、お勘定の段になってなかなかやってくれないので催促っぽいことを言ったら、「まあ、ちょっと待ってよ。ウチはレストランでファストフードじゃないんだからさ」みたいなことを言われちゃった。反省。タツノの件も、ゆっくり調べてみよう、と思いなおしたハイヌーンでした。

スポーツマンがほおばるのも似合うボリューム、
突き出し?に出てくるパンも味はグッド。

● 行き方:ワイキキからバス、車で15分ほど。アラモアナ・ショッピングセンター内のデパート『ニーマン・マーカス』の最上階。待ち時間の間、回遊を勧められるので衝動買いに注意!
● 営業時間:月〜土 11:00〜22:00、日は21:00まで。休日はイースター、サンクスギビングデー、クリスマス、といかにもアメリカらしく。
● 電話:951−3420
● 予算:写真のクラブハウスサンドとビールで、25ドルほど。
● 独断の星:もしタツノと会えたら、ここでメシ食いたい。★










第122皿 八カン伝だ。館山『白浜屋本店』


残暑の中、『南総里見八犬伝』ゆかりの館山に行って来ました。海水浴の混雑も一段落した町で所用を終え、『八犬伝』の博物館を兼ねる館山城へ。馬琴の28年にわたる直筆の原稿(後段は失明したため息子の嫁が口述筆記)から、江戸時代の舞台復元、78年ごろのNHK『新・八犬伝』の辻村ジュサブロー作の人形、薬師丸ひろ子やタッキーの出た最近の映画や番組の資料まで、『八犬伝』のことならここに来たらすべてはわかる、という館内。犬塚信乃という名を聞いた途端ココロがざわざわする向きには、必見ですな。さて天守閣からの東京湾一望も満喫し、ハラも減ったし、ノドも乾いた。クルマで行ったのでビールが飲めないのは残念ですが、かねてより調べてあった寿司屋、『白浜屋本店』へ向かいます。房総の港町は、回転寿司でもおいしいところが多いようですが、今回は本格店へ。大正八年創業という歴史を感じさせる構えを眺めたあと(ただし、現在の店舗ではまだ!39年とのこと)、いよいよ注文へ。昼の基本メニューは、「おすすめ」というアワビ入りの「地魚にぎり・松」、アワビがサザエになった「地魚にぎり・竹」、そして、「にぎりランチ」。量と値段は、松が八カンで2,100円、竹が同じく8カンで、1,680円、ランチが6カンで、1,470円。え?8カンや6カン?少ないんじゃないの、とお思いかもしれませんが、ここのすしはとにかく大きいのが特徴。4代目の大将に言わせると、普通の回転寿司の3倍、その名を言えば誰もが知っている高級店と比べると5倍という、ネタとシャリの大きさ。シャリは小さめに握ってください、とお願いしても、ネタは小さくしないので、バランスからいうと、これが限界、という大きさでにぎってもらいました。アワビはこの次の楽しみにして、「竹」を注文。上のアジから時計回りに、ワラサ、スズキの昆布〆、卵をはさんでマダイ、キンメダイ、クロムツの炙り、写真でちょっと見にくいかも知れませんが軍艦のサザエ、煮ダコ。すべて地物です。アジだけが見本のために標準のシャリの量、あとは小さめ(3分の2くらい)にしてもらっています。どうかするとひとつひとつが刺身定食の分くらいあるわけで、もう満足感たっぷり。英雄揃いの八カン伝。とくにおいしかったのはマダイとクロムツ、煮ダコかな。さて、ここまで読んでいただいた方で、とくにミズランをよく読んでいただいている方は「あれ?」と思うかもしれません。そう、ヒカリものはアレルギーで食べられないはずのミズラン主人、食べちゃったんです。アジを。東京の市場に出ている時間にはもう寿司ネタとしてカウンター前に並んでいる、と大将が豪語する新鮮さに賭けてみたのでした。結果は・・。帰りの東京湾フェリーも実に快適で、日帰りとしては実に充実した「ぶらり旅」でした。

ひなびた町の一角に。中にはお約束の芸能人の色紙も

東京で食べたら数倍とられであろう『八カン伝』

●行き方:館山駅から歩いて7〜8分。館山郵便局前の路地を入る。
●営業時間:11:00〜21:00 水曜休みが基本ですが、不定休な場合も
あり、場所も含めて電話で確認を。
●電話:0470−22−3615
●予算:昼は文中。ツマミも豊富。
●独断の星=★★







第121皿 ドゥ・ユー・リメンバー?ホノルル『スーパー・フォー』



そっけない外観ですが、中は清潔で和やかな雰囲気。いろいろな系統なアジア人で、ほぼ満席でした。
もうすぐ5年になる、9.11の日、ワシントンDCで飛行機が突入したペンタゴン(国防総省)の近くにあるケーブルテレビ局にいました。そこでの朝の会議が突然中断され、そのまま再開されることはなく、日本からの一行は同社の用意してくれた数十マイル郊外の大きなモーテルに「集団疎開」したまま、4日間足止めを食うことに。「戦争報道」一色で激しさを競う4大ネットワークの姿をよそに、秋晴れの濃い青空をバックに翩翻とひるがえる半旗にされた星条旗を眺めつつ、いろいろなことを考えました。強烈な印象だったのは、生白い巨体をTシャツと短パンに包んだいかにもアメリカ人(!)のオヤジに、こっちを指差され“Remember Pearl Harbor!”と言われたことですね。一瞬何のことかわからず、でもあとで考えると、その日の事態は、平均的なアメリカ人にとって見れば、わけのわからん異教徒にアメリカが奇襲攻撃を受け、プライドを打ち砕かれた、その借りはしっかり返す、という点に置いて共通なのだな、ということがわかってきた。今回は「本土」の、しかも中心地がやられただけそのショックは深く、誓ったリベンジも大きいであろうことは予想できた。“Remember Hiroshima!”と即座に言い返せなかったのは悔しかったけど…(だって軍用施設でも何でもない市街に核爆弾を落として、何十万という一般市民を殺したのはアメリカじゃないか)。そのオヤジにとって見れば、アラブもアジアもいっしょくたなのね。でも、アメリカは、「攻められた」のでなく、「攻めに行って」負けた戦争はRememberじゃなく、Forgetしようとする。ベトナム戦争が最大の例ですね。「攻められた」「攻めに行った」両側面をもつ湾岸戦争〜イラク戦争については、将来どっちの態度をとるのだろう。さて、そのForgetのほうのベトナムですが、米国には移民がいっぱい逞しく住んでいます。戦渦を逃れてきた人、戦後の社会主義政権を嫌って脱出してきた人、新体制の上層部に居ながらより「上昇」を求めて移ってきた人、などさまざまでしょうが、少なくとも数十万人いると言われています。ハワイは地理的に近いこともあって、他のアジアの国同様多い。さて、すっかり硬いことを書いてしまいましたが、ほんとは、ハワイで日本では食べたことないほど美味な、ベトナムのフォーが食べられた!ってことを書きたかったのね。これも75年の戦争終了以来、ベトナム系の人が増えている恩恵だと思うのです。仕事で行ったホノルルですが、スケジュール空きの昼食にスタッフの紹介で行った、そのまも“Super PHO”は、ワイキキから高級住宅地カハラへ向かうワイアラエ通り沿いにあります。メニューは豊富ですが、まずはおススメの、熱々のフォー(固めのそうめんのような麺)に、生の牛肉をしゃぶしゃぶ状態で入れてあるコンビネーションを注文。別皿に生のもやし、バジル、辛いピーマンのような野菜がどっさりと盛られてきて、これをブチ込みつつ、また唐辛子の醤を溶かしつつ食うわけです。その辛さ、熱さ、旨さ、そして暑さは、思わず“フォー!!”と叫んでしまう!(お約束ですね。)ああ、タクシーに乗ってまで来てよかった、と痛感。そうそう、店内ではビールが注文できないけれど、となりのセブンイレブンで買ってきて持ち込み可。Coor’s缶が本場のフォーで進む。テーブル上では米越の友好関係がしっかり樹立されたのでした。
I never forget.I remember forever.

これこれ、フォーのお勧めコンビネーション。


●行き方:文中。ワイキキ中心部からタクシーで10分強。
●営業時間:10:00〜夜までらしい。
●電話:調査中です。
●予算:激ウマフォーの、文中コンビネーションが6ドル50セント。ほとんどのメニューが10ドル以下。
●独断の星=もう最高。久々に出しちゃう、★★★